被災地に咲く水仙への想い｜東日本大震災での絶望と希望

花を通して、誰かと一緒に何かをするということの意味を、震災後に改めて感じることができたスイセンプロジェクトのボランティア活動。これは純粋に、「花が好き」と思っているガーデニングファンと、「花を見ると元気が出る」と思う被災地の人たちの気持ちが一つになった瞬間なのだろうと感じます。

釜石市で参加させてもらったボランティア活動で、「自分でも役に立てるのなら」と思えたことは、筆者にとっても希望の灯でした。

そして2011年11月3日、陸前高田市で、希望を込めた高田松原メモリアルロードプロジェクトが行われました。

参考ページ：【Green Fields】
http://g-fields.blogspot.jp/2011/11/blog-post_4.html

オランダのガーデンデザイナー、ジャクリーン・ファン・デル・クルートさんと一緒に、チューリップと水仙の球根を思いっきりばら蒔くという斬新な植え込みボランティア活動に参加。被災して荒れ果てた場所に、参加者さんたちの元気な笑い声が飛び交います。

「もう花を植える庭もなくなったから、とても楽しい」といった声や、「花を楽しむことさえ申し訳ない気持ちで過ごしていた」「久しぶりに笑った」といった声も聞こえてきて、心に負った傷の深さを改めて感じました。

こういう気持ちを吐き出せるきっかけを作ってくれるのは、やはり多くの人たちからの心の支援なのだと強く感じた瞬間でもあります。柳生さんをはじめとした全国にいるガーデニングファンの皆さんに、被災地の人たちは、どれだけ救われたか計り知れません。この思いは、何年経っても絶対に忘れることはないでしょう。

2015年5月、柳生さんは咽頭がんのため47歳の若さでお亡くなりになりました。柳生さんの、被災地への思いから始まったスイセンプロジェクト。その熱い思いに共感し、全国のガーデニング好きさんから、本当にたくさん水仙の球根が届いたと聞きました。この記事を読んでくださっているあなたも、もしかしたら協力してくださった一人かもしれませんね。

皆さんのご自宅のお庭から届けられた球根は、今年の春も芽を出し始めています。背の高いものから低いもの、黄色いものから白いもの、形も様々でとても愛らしい表情を楽しませてくれています。我が家に届いた水仙も、芽吹き始めました。皆さんからの温かいお気持ちは、柳生さんを通して今もなおしっかりと東北の地に根付いています。

希望を持つことができたスイセンプロジェクトは、前へ進むほんのきっかけだったのかもしれません。小さな1歩でも、歩き出す勇気もらえたことは、本当に感謝しなければならないことだと心から感じます。大切な球根を分けていただき、本当にありがとうございました。

これからも、お花仲間と一緒に、ガーデニングを楽しみたいです。