2018年10月1日 更新

イングリッシュガーデンを巡る旅 ~ヒドコート・マナー・ガーデン Vol.2 ~

数ある英国の庭園の中でも、世界中の園芸ファンにその名を知られており、かつ人気の高いガーデンのひとつである、ヒドコート・マナー・ガーデン。裕福なアメリカ人、ローレンス・ジョンストンが1代で築き上げ、現在ではナショナル・トラストが管理するこの庭の歴史と魅力をレポートします!

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ヒドコート・マナー・ガーデンの庭造り

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1948年よりナショナル・トラストの管理下に置かれているヒドコート・マナー・ガーデンは、40年間の年月をかけ、この土地と邸宅を母とともに購入したリッチなアメリカ人、ローレンス・ジョンストンが造り上げた庭園です。

現在では年間17万5千人を超える来場者を迎え、今もなお人々を魅了してやまないこのガーデンは、今では古典的とも言えるレイアウトとデザイン、そして植栽が特徴です。

しかしジョンストンがこの土地を母と共に購入した頃は、ガーデニングに詳しい人間であれば決して庭造りに向いている場所ではないとすぐに分かる土地だったと言われています。

悪条件の中でのスタート

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ヒドコート・マナー・ガーデンの土地はコッツウォルズ北部の、西から東にかけて昇る丘の高原にあり、海抜600メートルの場所に位置しています。

そこは北からは冷たい空気が流れ込み、南西からは強風が吹きすさぶ場所であり、土は多くの石灰を含んでいました。

今でこそ多くの人々に愛される卓越した庭園であるヒドコート・マナー・ガーデンのですが、庭づくりがスタートしたときは、誰もこの土地に、このような素晴らしいガーデンが完成するとは思っていなかったのではないでしょうか。

しかし土や天候、立地の悪条件をものともせず、ジョンストンは自身の理想とする庭を造り始めていくのでした。

ローレンス・ジョンストンが受けた影響

Knowledge Book Library · Free photo on Pixabay (12344)

ローレンス・ジョンストンは非常にシャイで人見知りのする人物として知られていましたが、それはガーデニングに関しても同じでした。

彼の庭づくりに関する記述や計画書などはほとんど残されておらず、現在ではその時代の庭の写真や、当時を知る人々の記憶から得た情報から、ヒドコート・マナー・ガーデンの歴史や、ジョンストンが受けた影響を知るばかりとなっています。

このように情報が少ない中で、ローレンス・ジョンストンが最も影響を受けた本は、トーマス・H・モーソンの『庭造りにおけるアート&クラフト』と言われています。

ローレンス・ジョンストンがこの本を読んでいた記録が残されていること、またモーソンの本には庭の特色とともに写真が多くあり、その中の風景とヒドコート・マナー・ガーデンがとても良く似ている点が指摘されているのです。

ヒドコート・マナー・ガーデンの特徴『ROOM』

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モーソンはこの本の中で、『庭のレイアウトは、ひとつの視点のみで理解できるような風景となるのではなく、連なる区画を提案すべきである。』と述べています。

また、『芸術はいつも好奇心を刺激し、常に探求心を誘発し、そしてそれらは決して終わることのない発見なのだ。』とも。

その言葉を実際に表現したかのように、ローレンス・ジョンストンが造り上げたヒドコート・マナー・ガーデンは、いくつもの『ROOM』と呼ばれる部屋で分かれ、それぞれがテーマにあった、そして個性のある風景を描いています。

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ヒドコート・マナー・ガーデンの特徴であるこの『ROOM』はおよそ28の数もあり、中にはとても小さいサイズの『ROOM』も存在します。

通常の一般公開されている庭園の規模があまりにも大きく、自身の庭へはそのアイデアを取り入れることができないと感じる方も、ヒドコート・マナー・ガーデンの小さな『ROOM』のレイアウトや植栽はお手本にしたい点が多々あるのも、この庭園の魅力のひとつなのかもしれません。
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この記事を書いたひと

Hazuki Akiyoshi Hazuki Akiyoshi