2018年12月30日 更新

イングリッシュガーデンを巡る旅 ~ ポールスデン・レイシー Vol.1 ~

ロンドンからわずか30マイル弱の場所、ドーキングを南西に向かったエリアにあるポールスデン・レイシー。エドワード朝の豪奢な邸宅と広大な敷地に広がる庭園は、ナショナル・トラストが管理している中でもとても人気の高い場所です。今回は、ポールスデン・レイシーのレポートをお届けします!

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マギーはポールスデン・レイシーが王室の人々にもふさわしい場所であるよう、建築、装飾、家具、アート作品のディスプレイのすべてにおいて、細部に至るまで自ら監督していました。

彼女の最も大きな喜びであったのは、王室の人々のために、または地位の高い人たちをもてなすことであり、それに彼女の情熱をそそぎ込みました。

ポールスデン・レイシーの邸宅の中には、王室関係、首相、政治家、権威のある高官たちが滞在していたさまざまな写真が残されています。

強烈なキャラクターであったマギー・グレヴィル

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マギー・グレヴィルが催す贅を尽くしたパーティーに訪れる上流社会の人々は、ポールスデン・レイシーでの優雅なひと時をとても楽しんではいましたが、女主人であるマギーのパワフルなキャラクターや強烈な言動に対して、時には陰で、時には公然と反感を口にすることもあったそうです。

シシングハースト・カースル・ガーデンの創造主であり、ヴィタ・サックヴィル=ウェストの夫であるハロルド・ニコルソンは「毒で満ちた太ったのろま」と、とてつもなく辛辣な言葉でマギーを言い表しています。

また、著名なカメラマンであったセシル・ビートンはマギーのことを「貪欲で、ぞっとするようなヒキガエル」と、これもまた悪意を込めて表現しているのです。

ポールスデン・レイシーに新婚旅行で滞在したジョージ6世の妻、エリザベス王妃は「彼女はとても賢く、とても親切で、とても不親切で、とても頭が切れ、とても面白くて、いたずらで、リアルな人物であり本当に個性的。まったくグレヴィル夫人そのものでした」とマギーについて述べています。

マギー・グレヴィルは好き嫌いがハッキリしており、そうでなければ無関心、といったところもあったそうで、一度会ったら忘れることなどできない、とても強烈な個性の持ち主だったのではないでしょうか。

スノッブ、けれど愛情に満ちた女性

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マギー・グレヴィルは俗物、それもスノッブ中のスノッブ、と言われていた女性ですが、それはたとえ本当のことだったにせよ、彼女の一面にすぎないのかもしれません。

ロニー・グレヴィルとの間に子どものいなかったマギーはとても犬を愛しており、彼女と一緒に写るたくさんの犬たちの写真が残されています。

マギーは1942年9月15日にその生涯をロンドンのドーチェスター・ホテルで終え、ポールスデン・レイシーはナショナル・トラストに寄贈され、マギーはポールスデン・レイシーの「レイディーズ・ガーデン」に埋葬されています。
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そしてこの地に訪れた人が見ることができるのが、マギーの犬たちのお墓です。マギー自身のお墓よりさほど遠くない場所に、17匹の犬たちが眠っています。

マギーが生涯可愛がっていた犬たちのそばで永遠の眠りにつきたいと願ったのは、彼女の優しい気持ちの表れなのではないでしょうか。

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また、マギーはとても使用人たちから好かれており、彼らの失敗には非常に寛大であったそう。
そしてマギーは数多くの豪奢な宝石を所有していましたが、彼女の死後に遺言として幾つかの宝石を女王エリザベス2世と、その母である王妃エリザベスに、そしてマーガレット王女へと遺しています。

エリザベス2世の孫にあたるユージェニー・オブ・ヨークが2018年の1月に結婚した際、彼女が付けていたティアラがそのうちのひとつにあたり、グレヴィル・ティアラと呼ばれる大変ゴージャスなものになります。
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謎めいた出生を持ち、莫大な資産家である父、上流社会に通じている夫を持ち、その時代のハイソサエティの中心人物であったマギー・グレヴィル。

何度も持ち主が変わったポールスデン・レイシーの最後の女主人が造り上げた庭園は、この広大な敷地の中で記憶に残る印象的なエリアとなっています。

次回はナショナル・トラストの管理下にあるこのガーデンの魅力についてレポートをお届けします。
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この記事を書いたひと

Hazuki Akiyoshi Hazuki Akiyoshi