2017年10月16日 更新

イングリッシュ・ガーデンを巡る旅~スモールハイス・プレイスを訪ねて~

魅力的なガーデンが数多く点在するケント州。ここにあまり名は知られていないけれど、小さく素朴なガーデンを楽しめる、スモールハイス・プレイスがあります。英国を代表する女優であったエレン・テリーの生涯と、味わい深い彼女の自宅やシアター、そしてガーデンをレポートします!

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スモールハイス・プレイスとの出会い

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エレンがアーヴィングと交際していた頃、二人はライからテンダーデンへ移動している際に、このスモールハイス・プレイスを見かけます。

エレンはこの家屋と土地にひと目で恋に落ち、もし購入が可能になったら教えて欲しいと頼み、それから数年後の1899年に家が売りに出された事を知ります。

スモールハイス・プレイスを購入したエレンは、ロンドンでの忙しい俳優業や都会での喧噪を逃れ、静養するための場所として、心からその場所を慈しみました。

エレンはバラを好み、ガーデンには50種類も超える品種を植え、田舎での生活を楽しんでいたそうです。

3度目の結婚

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その後も彼女は演劇活動を続け、また、恋愛に対する情熱を失う事もありませんでした。

エレンは1907年3月22日、60歳の時に、アメリカ公演で共演したアメリカ人の俳優、ジェームズ・カル―と結婚しています。

驚く事にこの結婚は、エレンの最初の結婚と逆のパターンで、彼はエレンより30歳年下でした。しかしこの結婚生活も短く、二人の関係は僅か2年後で終わりを告げています。

彼女は舞台とともに、1916年からは映画にも出演し成功を収め、イギリスやアメリカでシェイクスピアについて講演も行っています。

大英帝国勲章受章

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1922年にエレンは、デイム・グランド・クラスを受賞しています。

これは1917年、ジョージ5世が創立した、経済人や文化人、芸能人やスポーツ選手など、また社会奉仕活動等に貢献した人々に贈られる勲章で、エレンが受賞したものは、その大英帝国勲章の中の最も偉大な賞となります。

これを受賞したのは女優としては2人目であり、またこの賞を得た女性は、名前に『デイム』を付ける事が許されています。
これは名称に「ナイト」が含まれる、いわゆる「ナイト爵」の一種で、英国籍を有していれば男性ならサー、女性ならデイムの敬称が付ける事が出来ます。

彼女の正式名が”デイム”・アリス・エレン・テリーであるのは、この名誉な賞を得たからなのです。

エレンの死後

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1928年7月21日、エレンが81歳の時、彼女はスモールハイス・プレイスで脳溢血のため、その生涯を終えました。

エレンの死後、娘のイーディスにより、スモールハイス・プレイスはエレンの非凡な人生と、その業績を記念するミュージアムへと生まれ変わります。
最初は母と同じ俳優からスタートし、その後監督、コスチュームデザイナーなどを兼任していたイーディスは母の為のメモリアル・ミュージアムを建てる為に奔走します。

イーディスはスモールハイス・プレイスのエレンの寝室をそのまま残し、今もなお、その当時のままの姿を見ることが出来ます。

訪れた際に内部の案内して下さったボランティアの方が言うには、正にエレンが亡くなった朝と同じ状態で保たれているそうです。

また、シッティングルームとダイニングルームでは歴史的な展示物を展示しています。
イーディスはまた、庭にある17世紀の藁ぶき屋根の納屋を劇場、バーン・シアターへと改装し、ここでエレンの業績を称える記念公演を行う事にし、この催しは今も受け継がれています。
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この記事を書いたひと

Hazuki Akiyoshi Hazuki Akiyoshi