2019年1月17日 更新

イングリッシュガーデンを巡る旅 ~ ポールスデン・レイシー Vol.2 ~

莫大な遺産を父から受け継ぎ、夫からは英国王室を含む上流階級の人々とのコネクションを得たマギー・グレヴィル。のちに億万長者の未亡人となった彼女が過ごしたポールスデン・レイシーはナショナル・トラストの中でも人気の高い施設のひとつです。今回はこの広大の敷地の中にある庭園の魅力についてご紹介します!

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ラベンダー・ガーデン

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キッチンガーデンやコールドフレーム・ヤードの南側に位置しているのが、ラベンダー・ガーデンになります。

こちらはパルテール式のレイアウトとなっている、とてもエレガントでクラシカルなガーデン。ラベンダーとタイムが織りなすコンビネーションは、1970年代にグラハム・スチュアート・トーマスが新たにデザインしたものだそう。

周囲は垣根と壁に囲まれ、しんとした静けさの中でラベンダーとタイムのかぐわしい香りを堪能することができます。

このエリアの中央に配置されているのは、「ダンシング・ファウヌス」と呼ばれる石像です。家畜や森を守る古代イタリアの神格の石像はまさにこの場所にぴったりの印象でした。

ローズガーデン

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ポールスデン・レイシーの庭園の中でも最も有名なエリアがこのローズガーデンになります。エドワード朝の壁に囲まれたローズガーデンは、パーゴラに100以上のバラを、そして中央の花壇にはハイブリッドティー、フロリバンダ、ハイブリッドムスクを含む、約50種類の品種が使われているんだそう。

残念なことに滞在したときは既に初夏のバラの季節は終わり、夏の開花時のスタートであったため、満開の姿を眺めることはできませんでした。

この広いローズガーデンにバラが咲き誇る光景はとても優雅なものだろうと想像します。ポールスデン・レイシーに滞在される方は、ぜひバラが花開く季節に行くことを強くおすすめします!
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このローズガーデンは4つに区切られており、当時英国で高い人気を誇っていたJ. Cheal and Sonという造園会社が設計を担っています。

ローズガーデン内に存在する、とても印象的なパーゴラには栗の木を使っており、エドワード朝のアーツ&クラフツのスタイルと言われています。

周囲を囲むエレガントな花壇は、やはりグラハム・スチュアート・トーマスが1970年代と1980年代に植栽を手掛けています。
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実はこの場所は、マギー・グレヴィルが移り住む以前はキッチンガーデンであったそう。なぜ彼女がキッチンガーデンを西へと移し、ここをローズガーデンに変えたのかは諸説があるそうです。

ひとつは邸宅からほど近いこの場所がキッチンガーデンだと、滞在したゲストの歓心を得ることができなかったためではないかということ。野菜や果物が生るガーデンでは、王室を含む上流階級の人々を感動させることはできないからだという理由です。

また、彼女はこのポールスデン・レイシーで数多くのパーティーを催し、それに対応するために多くのスタッフを雇っていました。

以前この場所にあったキッチンガーデンではこれらの人々に提供できる植物を栽培するには小さすぎたからではないか、というのが、もうひとつの理由として考えられています。

どちらの推察も、マギー・グレヴィルのポールスデン・レイシーでの豪奢な暮らしが垣間見えるものではないでしょうか。
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一見、他人の歓心を得るためだけに庭園を造ったような逸話が多く、あまりガーデナーとしては惹かれないマギー・グレヴィルですが、実はとてもガーデニングに興味を持っていたそうです。彼女の出品する農作物は何度も地元の園芸協議会で賞をとったこともあるのです。

もちろん、当時は40~50人ほどの庭師を雇っていたというマギー・グレヴィル自身がガーデニングをすることはなかったと思いますが、彼女が永遠の眠りについたお墓がこのローズガーデンのすぐ横にあることは、やはりこの庭園をとても愛していたのではないかと思えるのです。

レディース・ガーデン

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邸宅から一番近い場所、そしてローズガーデンのすぐ隣に位置しているのが、レディース・ガーデンです。ここにはこのポールスデン・レイシーの最後の女主人であるマギー・グレヴィルのお墓があります。

このように敷地内にお墓があるのはとても珍しいことのようで、私も数々の庭園に滞在しましたが庭園内にその持ち主のお墓があるのを見たことは今までに一度もありません。

しかしマギー・グレヴィルは非常に個性的な女性で、おそらく他の人の意見や過去の慣習などに囚われる人ではなかったのでしょう。

この広く、優雅なエリアの中で彼女は安らかに眠りについています。彼女のお墓の前には花壇があり、そこには彼女の名前がついたバラが植えられています。
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この記事を書いたひと

Hazuki Akiyoshi Hazuki Akiyoshi