2019年1月31日 更新

イングリッシュガーデンを巡る旅 ~ パラム・ハウス&ガーデンズ Vol.1 ~

パラム・ハウス&ガーデンズは、ロンドンからも日帰りで行くことのできる場所、イギリス南東部のウェスト・サセックスにあります。広大な敷地に佇むエリザベス朝の大邸宅と美術館レベルのさまざまなコレクション、そして魅力にあふれたガーデン。今回はこの歴史あるパラム・ハウス&ガーデンズについてレポートをお届けします!

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パラム・ハウスを一般公開へ

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第2次世界大戦終了後の1948年、ピアソン夫妻は友人であるイギリス彫刻の歴史家であり、収集家でもあるルパート・ガニスよりパラム・ハウスを一般公開するべきではないかと言われます。
しかしクライヴとアリシア・ピアソンはその提案に躊躇しました。

彼らは一般公開されるべき邸宅はブレナム宮殿やチャッツワース・ハウスのような著名な大邸宅であるべきで、パラム・ハウスはそれに値しないと考えており、たとえ一般公開しても訪れる人など誰もいないだろうと考えていたのです。

しかし次第に彼らは意見を変え、ついに一般公開することを決意します。
1948年の7月17日の土曜日、初めての一般公開の日にパラム・ハウスを訪れた人は61人でした。最初の来場者が現れたとき、彼らは驚くとともにとても感動したそうです。

そしてピアソン夫妻と長女ヴェロニカはその日から、パラム・ハウスに訪れた人々を迎えることに情熱を注いでいくのでした。

現在のオーナー、レディ・エマ・バーナード

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ピアソン夫妻にはヴェロニカ、ラヴィニア、ディオーネの3人の娘がおり、その中の長女であるヴェロニカ・トリットンが1974年にパラム・ハウスを引き継ぎました。

ヴェロニカは最初の夫が亡くなったあと再婚していますが子どもはおらず、1993年の彼女の死後、パラム・ハウスを引き継いだのはピアソン夫妻の次女、ラヴィニアの孫娘にあたる、レディ・エマ・バーナードでした。

レディ・エマ・バーナードの両親はラヴィニアの娘のミランダと、ビール醸造会社ギネスの初代所有者の子孫である第3アイヴァー伯爵のアーサー・フランシス・ベンジャミン・ギネスになります。
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伯爵令嬢としてダブリンに生まれ育ったレディ・エマ・バーナードですが、幼い頃からたびたびこのパラム・ハウスに訪れていたそうで、この場所にたくさんの思い出と愛着を持っていたようです。

しかしパラム・ハウスを引き継ぐ決断を下したことは決して容易ではなかったと話しています。
確かに、この広大な敷地と古くからの長い歴史を持つ邸宅を管理し、その責任を負うのは並大抵の努力ではできないことだと考えられます。

継承者のリストでは4番目であり、まだ30歳になったばかりだったレディ・エマ・バーナードは、3週間この邸宅で過ごしたのちにようやく、このパラム・ハウスを引き継ぐ決心をしたのでした。
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クライヴ・ピアソンの両親は、なぜクライヴとアリシアが購入したパラム・ハウスを時代の流行に合わせ、ファッショナブルでモダンな装飾にしないのかを不思議に思っていたそうです。

しかしピアソン夫妻はこの邸宅を、できる限りエリザベス朝時代のままに現存すべきだと強く思っていたそうです。

だからこそ夫妻は、電気や水回りこそ現代のものに変えてもその他を変えることなく、エリザベス朝時代から残るこの優雅な邸宅と装飾を維持し続ける努力を重ねてきたのでしょう。

そしてその強く揺るぎない想いは、現在のオーナーであるレディ・エマ・バーナードにもそのまま引き継がれています。
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しかし彼女はパラム・ハウスを博物館とは思っておらず、この場所は家族に愛され続けてきた家であり、人が住む場所であると感じています。

彼女はこの大きな邸宅で、常に部屋の窓を開けて新鮮な空気を入れ、屋敷内の随所に花を飾り、家族とともにこの家での生活を楽しんでいるのです。

彼女は夫のジェームズ・バーナードと二人の息子とこの家に住み、そしてこの先もパラム・ハウスが現在と同じように引き続き人が住み続けることを望んでいます。

そしてパラム・ハウスに訪問する多くの人々がその歴史を知り、コレクションを鑑賞し、感動を得られる場所であって欲しいと話しています。

現在ではパラム・ハウスを永続的に維持していくために、多くのエリアは慈善信託であるPulborough Brooks Nature Reserveによって管理されています。

ピアソン夫妻とその一族が愛情をこめて大切にしてきたパラム・ハウスはこの先もきっと、いつの時代になっても変わらず多くの来場者にあふれ、そして人々に愛され続けていくに違いありません。
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古く長い歴史があり、さまざまな物語を持つパラム・ハウスですが、4エーカーの規模を持つ庭園もまた素晴らしいものでした。

繊細かつ大胆なカラーリング、クラシカルとモダンが美しく融合した植栽、そして誰しも憧れずにはいられないロマンティックなグラスハウス。

次回はたくさんの魅力がつまったパラム・ハウスのガーデンのレポートをお届けします。
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この記事を書いたひと

Hazuki Akiyoshi Hazuki Akiyoshi