2017年7月26日 更新

チェルシー・フラワーショー2017を訪ねて Vol.1 ~英国で最も有名なガーデン&フラワーショー~

毎年5月、イギリスはロンドン・チェルシー地区にて行われ、世界でも名高いガーデン&フラワーショーとして知られるチェルシー・フラワーショー。チケットは先行販売のみで常に事前に売り切れ、イギリスはもとより、世界各国から16万人ものガーデニング愛好家の人々が訪れる、ガーデンの祭典をレポートします!

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The World Horse Welfare Garden

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本年度にアーティザン部門でゴールドメダルを受賞、また一般投票のピープルズチョイスでも一位に輝いたのがこちらの『The World Horse Welfare Garden』です。

イギリス、スコットランドの動物保護団体であり、馬の快復、リハビリ、保護を目的とする慈善団体であるWolrd Horse Welfarre が発足90周年を記念し、サポーターたちへの感謝と、世界中にいる、見捨てられ、世話をされていない『見えない馬たち』の苦境、快復を表した作品だそう。

このガーデンの物語は、庭の片隅にいる、見捨てられ、遺棄された場所から馬を助け出し、愛情をこめて看病された馬はやがて健康になり、居心地の良い牧草地で幸せに生きている姿を描いたもの。

このガーデンを見た人々が、見捨てられた馬たちの苦境に気付き、助け出したいという気持ちにさせたいという、強い想いを表しているそうです。
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驚いたのは、こちらの馬は、馬の蹄に付ける蹄鉄で造られていた事。人々に気付かれていない、見捨てられた馬たちの存在、まさに『見えていない馬』を非常に上手く表していると思います。
また、蹄鉄の掠れた色合いが、自然いっぱいのガーデンにしっくりと馴染んでいました。

イギリス人は馬に対して特別な愛情と尊敬を抱いている人が多く、このガーデンがアーティザン部門の一般投票で第一位をとったのも頷けるものでした。

The Poetry Lover's Garden

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デザイナーであり、アーティストでもあるフィオナ・キャドワランダーが提案したのは、天気の良い午後に屋外で、水の音に詩を読み聞かせるという、とってもロマンティックで穏やかな、隠れ家的なガーデン。

ひと目を引く建造物と、リラックスした植物という、現代的なアイテムと、古典的な素材のふたつを上手にミックスしています。

パッと目に着く、爽やかな夏を感じさせるライムツリーは、このガーデンのインスピレーションとなったイギリスのロマン派詩人、サミュエル・テイラー・コールリッジのロマンティックな詩『The Lime Tree Bower My Prison』を表しているそうです。

ツタに覆われた石で造られた壁、ステンレススチールの水盤を流れる水のせせらぎ、廻りに咲き誇る美しい花の数々。
これらすべての要素が絡まり合い、引用したドラマチックな詩の結びのスピリチュアル性を実感し、見る人の想像力を高めてくれるガーデン。

イギリスらしい石造りと可憐な花たちのコントラストが美しく、この庭で過ごしたら、心を安らかに、そして穏やかにさせてくれそうなイメージでした。

The CWGC Century Garden

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アーティザン部門でシルバーメダル賞を受賞したのが、こちらの『The CWGC Century Garden』。
今年2017年は、展示者であるコモンウェルス戦争墓地委員会(戦争中、イギリス連邦加盟国の軍役の戦死者の墓地、記念碑の管理、記録を目的とした政府機関)の創設100年周年であり、それを記念としたガーデンです。

CWGCは、今でも150ヵ国に渡る170万人の戦死者をケアしているそうで、この庭は戦死者への敬意と、世界各国から集まったガーデナーの優秀さ、職人技術を褒め称えているそうです。

この写真では片側にしか見えませんが、実際は両サイドに設置されている銅像は、護衛をしているイギリス海軍の軍人だそう。
そしてひと目を引く丸いアーチは、最も大きいCWGC墓地である、ベルギーのタインコット墓地のブロンズの花冠をイメージしているそうです。

中央のアーチが非常にインパクトのあるガーデンですが、周囲に施された繊細さを持つ花が雰囲気を和らげ、暖かな空間にしていました。

The Seedlip Garden

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こちらは今話題のドリンク、SEEDLIP社が開発した世界初、ノンアルコールのスピリッツであるSEEDLIPの物語からインスピレーションを得て造られたガーデンです。

SEEDLIPとは、かつてイギリスでは17世紀に薬剤師が小さな銅製の蒸留器でハーブの薬を作っていた事があり、1965年に出版された、その方法を記した書物と同じ製法で開発したノンアルコールのスピリッツ。

庭の中央の銅製の彫刻は、SEEDLIPの開発者が小さなキッチンで世界初のノンアルコールのスピリッツを発見した時の、本から得た知識をボトルへと詰め込んだ、350年の歴史を描いているそうです。
銅製の配管と庭を巡る水路は、蒸留への感謝であり、ガーデンに植えられた植物の色彩は、現代と過去の薬草両方からインスピレーションを受けているそう。

このSEEDLIPはロンドンではブラウンズやリッツ、サヴォイやクラリッジなどの高級ホテルのバーで飲む事が出来、お酒が苦手な人も、酔いたくない人にもぴったりなドリンクとして注目を集めています。

森の中にいるかのような、初夏の風を感じさせてくれるナチュラルな雰囲気、そしてストーリー性をしっかりと感じさせてくれるガーデンで、SEEDLIPのスピリッツも是非トライしてみたくなりました。
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この記事を書いたひと

Hazuki Akiyoshi Hazuki Akiyoshi