狭いスペースだからこそできる!植物で家を美しく演出するコツ

玄関周りや建物と道路の間のちょっとしたスペース、アプローチ沿いなど、狭いスペースこそおしゃれに見える演出をしやすいもの。そんなスペースに緑を取り入れる際のポイントや、スペースに合わせた植栽のコツなどを押さえておきましょう。

狭いスペースだからできることって?

玄関前に植栽コーナーを作っている例。斑入りの葉で明るい印象。一年中楽しめるグリーンでまとめてあります。
via Kaoru Sakamoto
広い庭がないとガーデニングを楽しめないということはありません。ほんの少しのスペースでも、グリーンや花で空間を美しく演出することは可能。植物があるだけで、なんだか空間が生き生きと見えてきます。

狭いスペースの植栽って、ガーデニング初心者さんにもおすすめなのです。例えば、1m×1mの庭があったとして、そこに「自由に植物を植えて庭を作ってください」と言われたら意外と困ってしまうのではないでしょうか。狭いと思っていた場所でも、最初に考えているより多くの植物を植えることができる場合が多いのです。

制約がない広い庭を作るよりも、いろいろな制約がある小さなスペースというのは、かえって統一感のある植栽を作りやすいもの。
ポイントを押さえて、魅力的な緑のスペースを作ってみてくださいね。

ポイント1・どのように演出したいのかイメージする

ブルーグレーの扉、ウッドデッキ、シルバー系植栽のバランスが絶妙。植物は全て、舗装された上に置かれた鉢植えです。ここを作った方の「好きなモノ」が伝わってきます。
via Kaoru Sakamoto
小さなスペースに植える植物。基本的には好きな植物を植えたらいいと思います。でも、建物を引き立て、センス良く見せて、となると、最初にある程度イメージを作っておいたほうがよいでしょう。
「ナチュラルな雰囲気の家だから植栽も自然な感じで」とか、「現代風の建物に和モダンの植栽でスタイリッシュに」とか。素敵な植栽を見かけたら、それを真似してみるのも良いのでは?

イメージがわかないという場合も、リゾート風や北欧風など、人それぞれ好みのイメージがあると思います。

家をどのように見せたいのか、どんな植物があったら素敵になりそうか。そのあたりからイメージを固めていくとよいのではないでしょうか。

ポイント2・統一感を持たせる

狭いスペースだけに、統一感は大切です。南国風の植物の横でラベンダーがそよそよと…では、あまり統一感がありませんよね。厳密にイメージを統一する必要はありませんが、植物の持つ雰囲気がなんとなく合っている、ということを目安にするとよいのではないでしょうか。

色について

真っ白い建物に合わせたホワイトガーデン。ほんのわずかなスペースでも、建物を引き立てる植栽が可能。
via Kaoru Sakamoto
上の写真は、花やグリーンの色に統一感を持たせた例。ひときわ目を引く真っ白い建物の周り、道路とのわずかなスペースが植栽コーナーになっています。そこに植えてあるのが、斑入りのグラス類や明るい黄緑色のグリーン、白~黄緑の色が魅力のハイドランジア。さらに、土の上を白い小石で覆い白を強調しています。遠くから見てもぱっと目に入る、素敵な植栽ですね。

このように、狭いスペースに花を植える場合は色合いに統一感があるとおしゃれに見えます。

雰囲気について

植物にはそれぞれ、持っている「雰囲気」というものがあります。「なんとなく和っぽい」とか、「イングリッシュガーデンにありそう」とか、そのような「感じ」が持っている雰囲気です。その雰囲気を合わせてあげると、植栽に統一感が生まれます。

もちろん、建物の雰囲気に合わせて選ぶことが大切。建物にそれほど特徴がないようだったら、植栽次第でさまざまな雰囲気を演出することも可能だということ。
狭いスペースの植栽は、家の雰囲気づくりだと考えてみてはいかがでしょうか。

ポイント3・グリーンでベースを作る

ヒューケラなどのカラーリーフを効果的に取り入れて華やかに。
via Kaoru Sakamoto
いつも花いっぱいのスペースも素敵ですが、管理が大変な場合は、グリーンでベースとなる植栽を作ってしまうとよいでしょう。その中に花をポイントとして置いても良いですし、花がないグリーンだけのスペースというのも素敵です。

グリーンだけで完成する植栽の良いところは、管理が楽という点。花がら摘みなどの手間もかからず、それほど急に成長することもないので、あまり手をかけずにきれいな状態をキープできます。

グリーンだけでも変化のある植栽にするために、カラーリーフなどを上手に取り入れてみましょう。特に、日陰になるスペースでは、斑入りの品種などを選ぶと空間が明るくなります。
忙しくてあまり時間が取れない人に、特におすすめです。

ポイント4・一年中楽しめる工夫をする

玄関や建物周りなど、外と面した部分は特に、季節によって植物が全部枯れているというのも寂しいもの。できれば一年中楽しめる植物を選びたいですよね。

常緑のグリーンでベースを作ってしまうと楽ですが、変化がなくてつまらないと感じることも。
もっと積極的に楽しみたい場合は季節の花を飾りましょう。グリーンの中に季節の花を置けば、手をあまりかけずに美しいスペースを演出することが可能です。
季節ごとに花期の長い花を植え替えたり、季節の花の鉢植えを置いたり。玄関前の花は、道行く人の目も和ませてくれるはずです。

ポイント5・生育環境に合う植物を選ぶ

生きている植物を植えるのだから、その環境に合っているかどうかというのはとても大事。日当たりはどうか、水はけはどうか。北向きか、南向きか。そのような条件に合った植物を選びましょう。

好きな植物を組み合わせて植える場合に気をつけたいのは、乾燥した環境が好きな植物と、水が大好きな植物を同じ場所に植えないこと。じめじめした場所には湿気に強い植物を、水はけが良く乾燥しやすい場所にはそのような環境が好きな植物を、それぞれ植えるようにします。

家と道路の間などの狭いスペースには、植物を育てるのに向いていない土が入っていることもあります。もし土の状態があまり良くなければ、良い土に入れ替えることも考えましょう。

ポイント6・壁面も利用する

植栽できるスペースが小さくても、壁や塀に這わせることのできる植物を植えれば、緑溢れる空間を演出できます。

例えば、上のつるバラで覆われた玄関の写真。つるバラの代わりに草丈の低い植物を植えただけの空間を想像してみましょう。印象もかなり変わるはずです。
参考までに、大型の鉢に背の高いコニファーやこんもり茂る草花を植え、玄関の両脇にシンメトリーに置くとフォーマルな印象になります。

大きな木を植えることはできないけれど緑でいっぱいにしたい、というときに、つる植物はとても便利。植栽が立体的になるので、ぜひ取り入れてみてください。

壁面も有効活用。木を植えなくても立体的になる例。ヘデラ(つた類)は、直接壁に這わせると根が食い込んではがすのが大変。跡になってしまうので、トレリスやスチールフェンスなどを取り付けた上に這わせるとよいでしょう。
via Kaoru Sakamoto

ポイント7・コンテナや鉢も利用する

住宅の一画を演出する素敵な植栽コーナー。実は、すべて鉢植え。
via Kaoru Sakamoto
植物を植えることを前提としていない場合、建物周りがすべてタイルや舗装で覆われていることもありますよね。
そのような場合は、大型コンテナや鉢を利用しましょう。水やりさえ気をつければ、地植えとは異なり雑草が生えることもありませんし、鉢さえ取り換えれば簡単に季節の花を楽しむことができます。常に花いっぱいの空間にすることだって可能です。

上の写真は、植栽スペースに地植えしているように見えますが、よく見ると全て鉢に植えた植物。背の高いコニファーや低木のアジサイ、背の低い草花をバランスよく組み合わせているので、素敵な植え込みのように見えています。

玄関に上がるまでの階段やタイル張りのテラスなどは、植物を飾る格好のスペース。鉢にもこだわってみましょう。おしゃれな雰囲気の鉢植えが目を引きます。

ポイント8・レンガや石、雑貨など植物以外の要素を取り入れる

アプローチや駐車場などに限らず、レンガやタイル、石などを組み合わせるのもおすすめです。まず構造物でスペースを区切ってから植栽すると、植物だけで空間を埋めるよりも簡単に、雰囲気ある空間を作りやすいのです。

家の裏にレンガ敷きの通路を作り、その両脇を日陰に強い植物で覆ってみたり、門扉脇の植栽スペースをレンガとモルタルでレイズドベッドにしてみたり。レイズドベッドだったら、湿気が苦手なラベンダーもすくすくと育ちます。

ガーデンショップに行くと、植栽の中に置いたり木から吊り下げたりして楽しめるおしゃれな雑貨がたくさんありますよね。ガーデンチェアなど大きなものは置けなくても、そのような雑貨を組み合わせて、緑のある空間を楽しみましょう。

【場所別】植栽のコツ

狭いスペースに植物を植える場合、高さに変化を持たせると立体的になり、実際よりも広く豊かに見えるものです。

広さや場所によって選ぶ植物も変わってきますが、例えば、シンボルツリーになる木と下草になる植物との組み合わせや、アジサイなどの低木や背の高い草花と草丈の低いグラウンドカバープランツとの組み合わせがおすすめです。

アプローチ&玄関周り

道路から玄関までのアプローチや玄関周りは家の顔ともいえる場所。
シンボルツリーを植えて下草となる植物を組み合わせると、空間がぐっと引き締まり、家がより魅力的に見えてくるはず。株立ちの木を選べば雑木林風のナチュラルな雰囲気になります。ほんのわずかなスペースしかないように思えても、空間は意外と広いもの。ぜひ縦の空間も利用してみてください。

植栽用のスペースがない場合は、大きな鉢に植えた木や花の咲く鉢を置いてみましょう。鉢植えの木だって立派なシンボルツリー。家に奥行きが生まれます。小さな鉢をこまこまと置くよりも、大きめの鉢にボリュームのある植物を植えたほうが見栄えが良くなります。大きめの鉢の方が、水やりなどの手間もあまりかからないので手入れも楽です。

門扉や独立したポストの足元には縁取りのような植栽を。植物は舗装面と建造物をゆるやかにつなぐクッションのような役目を果たします。常緑のグラウンドカバープランツなどを上手に取り入れてみてください。

駐車スペース

駐車スペースに植栽をする場合は、車の乗り降りの際に邪魔にならない植物を選びましょう。

邪魔にならないという点では、草丈の低いグラウンドカバープランツや、下枝のない樹木なども向いています。逆に、アジサイなど横に広がる低木は邪魔になるかもしれません。花や葉が落ちて車を汚さないような樹木がおすすめです。

最近は、駐車スペースにスリットのある舗装を施し、スリットの部分にタマリュウやヒメイワダレソウなど踏まれても枯れにくい植物を植えているお宅も多いですよね。
面積としてはわずかですが、緑があるだけでぐっとおしゃれに見えてくるから不思議です。全面舗装されていない駐車場では、土の飛散防止にもこのような植栽は有効です。

道と建物の間

道路の縁と建物の間、わずかなスペースですが土がむき出しのままになっていると、なんとなく殺風景に見えるもの。家自体も道路から突然現れたような、唐突な印象になりがちです。そのような場所があれば植物を植えてみましょう。植物が建物の縁取りとなり、道路との境界もはっきりします。
季節の花をその都度植え替えたり、常緑のグラウンドカバープランツを植えたりして、家に生き生きとした彩を与えましょう。

家の裏などの通路

家と塀の間の通路など、庭とまではいかないけれど植物を植えるスペースがあるようだったら、レンガの小道などを作って両脇に日陰にも強い植物を植えてみてはいかがでしょうか。

コツは、レンガやタイルなどで舗装した部分と植栽部分を分けること。暗い印象のブロック塀などがあれば、明るい色のトレリスを取り付けると印象が変わります。ヘデラやハゴロモジャスミンなどのつる植物を這わせてもいいですね。
とりあえず通過するだけだったスペースが、通るのが楽しみな秘密の小路のような雰囲気になれば大成功。植物は日当たりに応じて選んでください。