ガーデニング愛好者を魅了する「オープンガーデン」の緻密なテクニック

ガーデニング愛好者なら、誰もが憧れる「オープンガーデン」。そこには、実に細かい計算がされているのです。センス良く植栽されたお庭には、四季を感じられるさまざまな植物がバランスよく植えこまれていますが、実は、それだけで人の心を魅了することはできません。

美しく手入れされた自慢のお庭を公開している「オープンガーデン」は、ガーデニングファンの楽しみでもあります。しかし、見習うべきポイントがいくつも隠されていることに、意外と気がつかない愛好者も多いのです。せっかくお庭を見せてもらっているのに、そのポイントに気が付かないなんてもったいない！

人々の心を癒す、魅力的な「オープンガーデン」。その秘密はいったい何なのでしょうか？

人々の心を魅了するガーデニング、そのポイントは物語を感じる「テーマ」のあるお庭作りにあります。例えば、まるで天使が舞い降りたようなロマンチックさや、不思議の国のアリスが眠っていたようなメルヘンさを感じるお庭。こういった物語を感じられる「テーマ」のある風景に、私たちは心を奪われるのではないでしょうか。

「テーマ」というのは非常に重要で、お庭が広くても狭くても関係ありません。限られたスペースでこそ楽しめるのが、ガーデニングのテクニックです。

日本のガーデニング文化は、イギリスなどのヨーロッパからから見ればまだ浅いとは言われるものの、テクニックやクオリティの高さは、今や世界レベルです。イギリスで毎年開催される国際的なガーデニングショー「チェルシー・フラワー・ショー」でも、日本人の庭園デザイナー、石原和幸氏が輝かしい賞を受賞されたことでも話題になりましたよね。

「オープンガーデン」はお庭作りの参考になるので、ぜひ見るべきポイントをほんの少し変えてみると良いでしょう。

夢のようなガーデンを完成させるには、いくつか条件があります。市販されているガーデニング専門誌を参考にし、「植えたい」と思った植物や花苗をたくさん植栽したからといっても、なかなか理想通りにはいかないもの。特に、物語を演出するお庭作りのためには「日常感」が漂うガーデンではあまり魅力的とは言えません。

理想的なガーデニングは、「非日常感」を演出するテクニックも欠かせないものです。

ガーデニングを始めたばかりの初心者が失敗しがちなのは、つい好きな苗ばかりを買ってきてしまうこと。気持ちはとてもわかるのですが、あまりにもたくさん植栽しすぎると、あとで管理が大変になってしまいお手入れがしにくくなるのです。

もしかして、植えっぱなしガーデンになっていませんか？

もし心当たりがあるなら、思いきって「植物の引き算バランス」をしましょう！これは、ガーデニングの断捨離みたいなもので、一度ゴチャゴチャしてしまったお庭をリセットしてしまうテクニックです。断捨離といっても「捨ててしまえ」というのではなく、植栽のバランスをリセットするということ。

例えば、植物の「高さ」「色」などを改めて組み換え、今まで植えられていた場所とは違うポイントに植え替えるとお庭のイメージが変わります。大きく成長しすぎた苗も小分けにし、別の植物とアレンジすることで「寄せ植え」や「コンテナ植栽」にできるので、センス良くまとまりグッとおしゃれになります。

センスが良くおしゃれなお庭に、「日常的」なものは見えないほうがベストです。お庭はとってもステキなのに、道具や資材が無造作に置いてあるガーデンでは、見る人の気持ちをワクワクさせてくれないでしょう。

「オープンガーデン」に何度か足を運んだことがあるなら、1度は感じたことがありませんか？無駄なものが置かれていないことに。これも、「非日常さ」を演出するガーデニングのテクニックと言えるでしょう。よほどのデザイン力がなければ、「日常的」なものをセンス良く演出することは難しいものです。

普段、作業に使っている道具や園芸資材などは、なるべく人の目につかない場所に隠してしまいたいもの。倉庫やバッグヤードがあればその中に整理整頓できますが、ない場合は道具を片付ける「DIYグッズ」が便利です。

「作るのが大変…」というのであれば、市販のものでもOK。自分が作りたいガーデンのイメージに合うものを置くと、違和感なくステキなお庭のアイテムにもなります。

実際に、どんなお庭にしたいのか迷っているなら、全国で開催されるガーデニングイベントに行ってみると、とても参考になりますよ。特に、自分でもオープンガーデンをしたいと考えているのなら、ぜひプロがデザインするお庭のイメージをリアルに体感してみてください。

世界中のガーデニングファンが訪れる人気のイベントなどは、目からウロコの植栽方法やデザインを学ぶことができます。ガーデニング専門誌や、NHKの「趣味の園芸」などでも最新情報を公開していますので、うっかり見逃してしまうことがないよう普段からチェックしておきましょう！

【2017年の注目ガーデニングイベント】
国際バラとガーデニングショウ　会場：西武プリンスドーム
http://www.kateiengei.or.jp/show/index.html
日本フラワー＆ガーデンショウ　会場：パシフィコ横浜展示ホール
http://www.bara21.jp/

オープンガーデンを目指すなら、まずは真似したいデザインから実践してみるのがベストです。

アレやコレやと考えすぎても、なかなか思うようにいかないのがガーデニングの難しさでもあります。ですから、最初のうちは「こんなお庭が理想だ！」と思ったものを真似してみることから始めましょう。

いざ実践してみて、なんとなくしっくりこなくても別に良いのです。1回チャレンジして気に入らなかったら、何が気に入らなかったのかをメモしておき、来年の修正ポイントにすれば問題ありません。何度も繰り返しお手入れしていくことで、植栽する場所に向いている植物のことだって知ることができます。

最終的には、自分のお庭に適した植物をバランスよく組み合わせることで、お手入れしやすく美しい「憧れのガーデン」が完成されていくでしょう。

ガーデニング初心者が失敗しがちなのが、最初からお庭の全体をデザインしようとすること。全体の構図をしっかりと計算し、設計されたとおりにお庭作りができれば良いのですが、実際はそう簡単にはいきません。

立体的で魅力のあるお庭を完成させるには、植栽する場所ごとに、植物の「高低差」「前後のバランス」「葉や花の色彩バランス」を計算する必要があります。想像しただけで、なんだか難しそうな気がしますが、実はお庭のスペースを小さく分けてデザインするだけで失敗が少なくなるのです。さらに言うと、小さなスペースごとに「テーマ」を加えながらデザインすると、もっとステキなお庭を完成できるでしょう。

ガーデニングファンが憧れるオープンガーデン。このテクニックを利用しているお庭の達人も多いので、せっかくならぜひ参考にしてみましょう！

ガーデニング愛好者が憧れる「オープンガーデン」の庭は、何年も何年もお手入れをし、丁寧に作り上げられていくもの。愛情をかけて作られていくガーデンは、ガーデナーそれぞれの気持ちが表現されていて、そのメッセージ性の強さに、ついつい感動し惹きこまれてしまいます。だからこそ、多くの人たちの心を魅了し続けるのです。

そして、作品として「終わりがない」といった楽しみがあるのも、ガーデニングの魅力のうちかもしれません。毎年変化する表情豊かな自然と、その美しい姿を支えるガーデニングテクニックは、今後さらにクオリティが高くなっていくのではないでしょうか。

時代が変わっても愛され続けるガーデニングへのクオリティは、私たちの心を癒してくれるために、これからも緻密なテクニックを見せてくれることでしょう。