バラと庭の祭典!第19回 国際バラとガーデニングショウ その1

国内最大規模のバラとガーデニングの祭典「第19回 国際バラとガーデニングショウ」を取材してきました。今回の見どころであるウェルカムガーデンやキッチンガーデンなど、実際のガーデニングに取り入れたいポイント満載!ぜひ参考にしてみてくださいね。

今年で19回目になる「国際バラとガーデニングショウ」。2017年5月12日~17日にメットライフドーム(旧西武プリンスドーム)で行われました。世界有数のバラとガーデニングの祭典として、国内外からバラと庭の愛好家をはじめ多くの人が訪れます。美しくてため息がでるような企画展示のほか、多くのコンテストガーデンの展示などもあり、庭づくりの参考になるアイディアがたくさんありました。まずは、今回の見どころでもある、ウェルカムガーデンや平野レミさんのキッチンガーデン、深町貴子さんのエディブルガーデンなどをご紹介します。

国際バラとガーデニングショウとは

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
1999年に始まった「国際バラとガーデニングショウ」とは、日本初の本格的なバラとガーデニングの祭典。今年で19回目を迎え、累計来場者数は400万人を超えます。日本国内だけでなく、世界各国のバラ育種会社の世界中で愛されるバラやその年の新種バラ、ガーデニングのトレンドなどを知ることができます。

「国際バラとガーデニングショウ」では毎回メインテーマがあり、そのテーマに沿った展示も魅力。さらに、テーマに沿ったガーデニングコンテストやハンギングバスケットコンテスト、バラの鉢植えや切り花などのコンテストも。大賞や最優秀賞、優秀賞などさまざまな賞を受賞した庭の展示を見ることができるのも楽しみのひとつです。
今年の「国際バラとガーデニングショウ」のメインテーマは「バラ好き」。「バラを魅せる」「ガーデンを魅せる」の二つの切り口で、ドームの中はバラの花と香り溢れるガーデン空間になりました。

マーク・チャップマンのウェルカムガーデン

バラに囲まれた噴水のあるウェルカムガーデン

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
会場に入ってすぐ目に飛び込んでくるのが、ピンクやオレンジ、黄色など色とりどりのバラや季節の花に囲まれた噴水のある華やかなガーデン。ガーデンデザイナーのマーク・チャップマンさんによるウェルカムガーデンが訪れる人を迎えてくれます。
中央の噴水の周りを囲む満開のバラたちに思わずうっとり。手前に背の低いバラ、背景になる後方に背の高いバラを植えこんだ庭の、こぼれるように咲くバラの美しさは格別でした。

カナダのブッチャートガーデンのエッセンスを取り入れたサンケンガーデン

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
噴水のあるコーナーから続いて、限られたスペースながら変化にとんだ植栽で広がりを感じさせるダイナミックなガーデンが配置されています。このガーデンはカナダにあるブッチャートガーデンの要素を取り入れたもの。オリジナルであるブッチャートガーデンの特徴である、高低差を生かし立体的なデザインが取り入れられたサンケンガーデン(沈床庭園)です。
高さ1.9mの高さの見晴台からは変化にとんだ植栽や木々を取り巻く美しい花々などを一望でき、低い位置から見ていた景色とはまた違うガーデンの姿を見渡すことができます。

変化に富んだ植栽はガーデニングの参考にも

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

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ブッチャートガーデンのもうひとつの特徴が四季折々の美しい景色。このガーデンでも一年を通じて庭を楽しめるよう、アイキャッチとなるコニファーや変化に富んだ植栽など、見ごたえある景色を作り出すような工夫が凝らされています。樹木の足元に植えこんだ春の球根や夏の宿根草、白系の花でまとめたボーダー花壇など見どころが満載。

特に印象的だったのが、美しいリーフが特徴の樹木類。ブルーグリーンやイエローグリーンなど、さまざまなグリーンを取り合わせているので、樹木だけでの空間でも単調ではない華やかさを感じられます。
色彩・フォルムともに異なる樹木や宿根草の組み合わせは、家庭の庭でも取り入れることができそう。木々の足元をローズマリーとダリア、紫色のカンパニュラとアイリス、ホスタなど、グリーンと花を組み合わせたボリュームたっぷりの植栽で囲むアイディアは、落葉樹の足元に半日陰を好む宿根草などを植えれば真似できそうですね。

カナダのブッチャートガーデンとは

カナダにあるブッチャートガーデンは「世界一美しい庭」と言われ、年間100万人もの人々が訪れる場所です。このガーデンは、もともと、1900年初頭にセメント製造事業を営んでいたブッチャート氏の夫人が、セメント採掘跡地を修復・美化のための植栽を始めた個人庭。22万㎡もの敷地を、長い年月をかけて世界的にも有名なガーデンに育てていきました。石炭採掘の後の岸壁を隠す高木を植えるなど、高低差のある地形を生かした庭づくりが特徴です。2004年にカナダの国家史跡になっています。

平野レミのキッチンガーデン

明るさと開放感が魅力の多彩な顔を持つキッチンガーデン

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
明るいキャラクターとアイディア満載の料理が人気の料理愛好家・平野レミさんのキッチンガーデンが「レミ・アン・ローズ」。ガーデンデザインは、昨年の第18回国際バラとガーデニングショウのコンテストガーデン部門で大賞に輝いたアトリエナナの小林裕子さんによるものです。

デザインのポイントは、明るさと開放感。デザインした小林さんによると「レミさんの明るい雰囲気を意識して開放感を意識したオープンスタイルでデザインしました」とのこと。キッチン後ろ側のデッキは、シャンソン歌手でもあるレミさんがステージとして使えるようにもなっており、多くの人が集える多彩な顔を持つ庭として設計されています。

また、レミさん考案のレミパンのカラーである黄・オレンジ・白・茶にペイントしたドラム缶で作られたコンテナが、開放的なガーデンに明るさとリズム感を与えています。これらのコンテナには取ってすぐに調理できる野菜を植栽。「コンテナだと植える手間や手入れも簡単。畑を作るスペースがない人にもおすすめ」だとか。野菜栽培初心者さんにも向いていますね

おおらかで居心地の良さを感じる庭

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
この庭は作りこみすぎているように見えないおおらかさが魅力。植えてある樹木も自然な形を生かしています。例えば、キッチン脇に植えられたロシアンオリーブの木。剪定しすぎない枝の暴れた感じがナチュラルな雰囲気を醸し出し、シルバーリーフが庭を明るくおしゃれな印象にしてくれます。
レミさんもこの作りこまないスタイルがお気に入りだとか。ナチュラルな印象の庭にしたいときに取り入れてみてはいかがでしょうか。

こんなオープンキッチンで料理したい!

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

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オープンキッチンは美しい濃淡のピンクのつるバラや芝生の庭とその周りを囲む美しい花々に囲まれています。ガーデニング好きならこんな明るくて美しいキッチンで料理してみたいもの!バラに組み合わされた花はジギタリスやデルフィニューム、カモミール、オルレイヤなど、優しい印象の草花たち。バラに品の良い華やかさを添えています。
よく見ると、ドラム缶コンテナの足元にもこぼれ種で増えたような自然な姿の花の植栽が。これも、自然な姿に見えるようにデザインしたものなんだとか。

取って食べられる野菜のハンギングバスケットはいかが?

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

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テーブルの上にはフランスパンのサンドイッチのようにもみえる、多肉植物のオブジェたち。多肉植物がテーブルの飾りにもなっていておしゃれです。この他にも、今回のショウでは多肉植物を使った植栽やオブジェが多くみられました。かわいくておしゃれ、手入れも楽なので取り入れてみたいですね。

テーブル上部を飾るのは野菜のハンギングバスケット!スイスチャードやナスタチューム、バジルなどの葉野菜やハーブ、エディブルフラワーを組み合わせた華やかなもの。魅せながら食べる楽しみもある野菜のハンギングバスケットもキッチンガーデンにおすすめです。実際に取り入れる際は上からつるすタイプではなく、壁掛けタイプが作りやすいでしょう。

キッチンの背景は雑木林に

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
このガーデンはコンテストガーデンとは異なり、四方開放の庭。家庭の庭も四方開放というのはあまりないものですよね。それだけに、どこから見ても絵になる庭、という点で細かいところまで手を抜かずにデザインする必要があったそうです。
キッチンの背景はモミジなどを使った雑木林。デッキからつながる小さな雑木林は、実際に庭にも取り入れてみたいと感じる風情あるもの。花だけの庭ではなく、このような木々を効果的にデザインに取り入れることができるといいですね。

エディブルガーデン

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
趣味の園芸・野菜の時間でおなじみの深町貴子さんによる「エディブルガーデン」。野菜やエディブルフラワー、ハーブなどで美しい庭が作られていました。
葉色の違う野菜を混色し、その縁をナスタチュームが縁取ってとても華やかな庭になっており、育てて、見て、そして使って楽しめるのが魅力です。

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

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ガゼボにもつるバラを這わせそうなところですが、さすがエディブルガーデンだけあり、エンドウをからませ、ミニトマトやイチゴのハンギングバスケットなどが飾られています。地植えや低い位置のプランター栽培では失敗もしやすいイチゴ栽培は、ハンギングバスケットがおすすめ。ミニトマトのハンギングも取り入れてみたいですね。

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
ナスなどの野菜もよく見ると地植えではなく鉢植え。高さを出したい場合や、連作を嫌う野菜にもおすすめです。また、野菜もかわいいハンギングにして育てれば、スペースがあまりないベランダでも楽しめますね。下のほうまで日が当たりにくいベランダの場合もハンギングだったら位置が高くなる分、日当たりも確保できるので育ちも良くなります。

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

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その他、苗栽培用のセルトレー(連結ポット)に二十日大根などの種をまき、そのまま収穫まで楽しめるアイディアも取り入れやすそうです。さらに、キッチンでは調理器具などを使ったおしゃれなスプラウトの栽培も。これなら気軽に真似できそう!
庭づくりに取り入れてみたいさまざまなアイディアが見つかる、国際バラとガーデニングショウ。バラの中では自然な雰囲気で咲くバラに人気があるようでした。
バラに組み合わせる植栽も、自然な姿が魅力的な繊細な植物がトレンドのようです。バラを引き立てながら溶け込むようなシックな色合いや優しい色合いなどの植栽が多く、さらにカラーリーフなどをうまく組み合わせて変化を出すテクニック、ぜひ真似してみたいと思いました。

次回は、「2017 国際バラとガーデニングショウ その2」として、ガーデニングのトレンドや庭づくりで大切なこと、おしゃれなガーデングッズやエクステリアなどをご紹介します。お楽しみに!