おしゃれに見せるコツは? 色や質感からデザインするガーデニング

庭にいろいろな花を植えてみたり、何種類かの植物で寄せ植えしてみたり・・・でもなぜか、なんとなくまとまりがないと感じることはありませんか?雑誌で見るような統一感のある庭やセンスの良い寄せ植えは、実は組み合わせる植物や鉢などの色彩、質感を考慮して全体をコーディネートしているのです。 おしゃれなガーデニングのために、まずは色や質感の考え方、イメージの作り方の基本を知っておきましょう。

まずは植物の色をよく見てみよう

ガーデニングで植物を植える際、多くの人がまず考えるのが「植物の種類」と「花の色」ではないでしょうか。

限られたスペースにどうせ植えるなら、好きな植物・好きな色の花を集めたくなりますよね。
ただ、「好き」だけで選んで植えてしまうと、場合によっては似たような色合いになったり、まとまりがなくなったりしてしまうことも。庭全体がなんとなく同じような色合い、なんだかうるさく感じるという場合はその可能性があります。

そんなふうに感じたときは、色や質感について知っておくとよいでしょう。色合わせの基本やイメージの作り方を覚えて植物を選べば、驚くほどおしゃれなコーディネートができるようになりますよ。

花の色は複雑?

via Kaoru Sakamoto
「花の色」と一言でいっても実はとても複雑なのです。
例えば、同じピンク色でも、青みがかったピンクや白に近いような淡いベビーピンク、赤に近い強いピンク、黄色みを帯びたピンクなどさまざまなピンク色があります。パープルに近いような濃いピンク色のバラとソメイヨシノの限りなく淡いピンク色、ゼラニウムの赤に近いピンク色ではそれぞれ色味が違いますよね。
微妙に色が合わないと感じる原因は、そんな「色味」によるものかもしれません。

また、一つの花に含まれている色は一色だけとは限りません。
例えばビオラ。花をよく観察すると紫や黄色、ブラウンなどさまざまな色が含まれていることがわかります。
逆に、一色だけでできている花は少ないもの。どの花もおしべの色や花の中心と外側など、わずかずつでも違う色を含んでいます。

たくさんの色を含んでいる花は、隣り合わせにするのは一見難しそうな色と色のつなぎにぴったり! とても便利な花なのです。
淡い紫と黄色の花びらを持つビオラを混ぜれば、オレンジと紫、黄色の花たちもうまくなじませることができます。このように、花が持っている色を参考にして組み合わせる花を選ぶのもよい方法です。

葉の色も考えよう!

さらに考慮したいのが植物の葉の色です。
宿根草は花のない時期にも植えっぱなしになるので、花が咲いている期間よりも葉だけの期間の方が長いもの。このような場合は、花だけでなく葉の色にも注目して選ぶとよいでしょう。

また、植物は葉の緑がクッションになってくれるため、意外とかけ離れた色でもすんなり溶け込むことがあります。
ぎゅうぎゅうに密集させるように植えなければ、たいてい緑の葉が花を囲んでいるのが見えるはず。花の色が合わないかも…と思うような場合でも、葉の色がつなぎになって美しい庭が完成することも多いものです。
ただ、どの程度色がかけ離れていると合わないのか見極めるのは難しいところ。その辺りは経験がフォローしてくれるでしょう。

知っていると便利な色相環って?

色を構成している要素は、「色相」と「明度」、「彩度」の3つ。わかりやすく言うと、「色味」「明るさの度合い」「鮮やかさの度合い」です。
一つの色は、これらの要素が組み合わさってできています。植物をコーディネートする時にもこの3要素を考慮するとうまくいくので、基本だけでも覚えておくと便利です。

植物のコーディネートにも便利!色相環を覚えておこう

via Kaoru Sakamoto
3要素が重要とは言っても、それだけでは色をどのように組み合わせるかわかりませんよね。
そんな時に役に立つのが色相環というもの。ここでは24色相環を参考にしてみましょう。
隣り合った色は同系色、反対側の色は反対色だと思ってください。洋服のコーディネートと基本は一緒。同系色はなじみやすく、反対色は目を引く組み合わせです。
緑色の葉の中に赤い実があるととても目立ちますが、これも赤色と緑色が反対色(正確には捕色)の関係だからです。

例えば、黄色い花とオレンジ色の花は同系色です。同系色であれば黄色系やピンク系など色合いを決めたグラデーションのような見せ方も素敵ですよね。

一方、黄色い花と紫色の花は反対色。これらをセンス良く見せるには、使う色の分量が問題です。反対色の場合は、同じ分量で使ってしまうと色同士が主張しあってまとまりがなくなります。このような時は、7:3くらいで目立つ方の色をアクセントとして入れてみましょう。紫色の花の中に黄色を少しというように。紫と黄色を併せ持つパンジーやアイリスのような色と色をつなぐ花があると馴染みやすくなります。

明度も意識してみよう

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色相に加えて大切なのが「明度」です。色合いと同時に、明るさの度合いである明度を考えて植物のコーディネートに応用してみましょう。
明度を考えるとは、淡い(明るい)色でまとめたり、濃い(暗い)色ばかりでまとめたりという色の明るさを意識すること。淡い色から濃い色まで、明るさに幅を持たせるとグラデーションを作ることができます。

使う色の幅が広い場合は、淡い色でまとめるなど、明るさを統一するとうまくいきます。反対に、同系色でまとめる時は単調にならないように、濃い色と淡い色を組み合わせると素敵です。
例えば、パステルカラーでまとめたい場合、水色、クリーム色、ピンクなどさまざまな色を使っても違和感はありません。これは、明るい色で統一しているから。
反対に、暗い色合いの紫や赤、オレンジなども、色の濃さを統一すれば幅広い色でもまとまりがよくなります。

また、黄色系でまとめたい場合は淡いイエローから濃いオレンジ、はっきりとした黄色などさまざまな明るさの色を混ぜるなど、明度に幅を持たせることで同系色による単調さがなくなります。

彩度や色の重さとは?

via Kaoru Sakamoto
一方、ビビッドな色やくすんだ色などは、彩度の面から見た色です。スモーキーな色合いなど彩度が同じような花をまとめる時は、明るさを変えてみるなど明度に幅を持たせるとまとまりやすくなります。

また、色にも重量感という感覚があります。白や薄い色は軽やかに見えますよね。反対に、黒や濃い色は重たく見えます。
コンテナや鉢に何種類かの花を植えこむときは、低い位置に濃い色合いの花、背の高い花は薄い色合いにするなど、重量感も考慮すると違和感なくうまくいくようです。

基本は、色合いを統一したら明るさで変化を、さまざまな色合いを使うときは明るさを統一、と覚えておくとよいでしょう。

植物にも「質感」がある?

物にさまざまな質感があるように、植物にも質感があります。
例えば、固い印象のワックスフラワーの花びらとふわふわ柔らかい印象のポピーの花びら。毛が生えたようなモフモフしたラムズイヤーやヘリクリサムのような葉や、固く艶のある椿の葉。
植物にもそれぞれ異なる「質感」があり、私たちが植物を見る時はその印象を通して全体をとらえています。

庭を単調に見せないためには、これらの質感に変化をつけるのもひとつの手。全体がふわふわした葉の植物ばかりだと、広い庭の場合はぼんやりした印象になってしまいますよね。
質感の異なる、色味の違う葉を適度に取り合わせることで色合いにも深みや変化が生まれ、素敵な庭が出来上がります。

反対に、小さな鉢を並べる時は質感が似ているものでまとめるのもよいでしょう。淡い色合いのラベンダーやヘリクリサムなど、似た雰囲気の植物をいくつかまとめてみるのもおしゃれです。

鉢やガーデンファニチャーとの相性を考えよう

植物に合う鉢は色と雰囲気で選ぶ

ガーデンショップに行くと、色、形、素材もさまざまな鉢が並んでいます。鉢植えの植物をおしゃれに見せたい時には、鉢にも凝ってみましょう。

真っ赤な花の色に合わせてビビッドな赤やブルーの鉢を選んだり、スモーキーな色合いの植物には、白っぽいテラコッタの鉢やアンティーク調の素朴な木箱風の鉢を選んだり。和の雰囲気を持つ植物や山野草には、焼き物の鉢などがよく合います。
他に、台所で使うボウルやじょうろなど、水はけさえ確保できればどんなものでも鉢になります。

色と同時に、その鉢が持つ雰囲気もよく見極めて自由に選んでみましょう。
それぞれのセンスで植物がおしゃれに見える鉢を選ぶのも楽しいものです。

イメージを作ってみる

植物に合う鉢を選ぶ時、庭に植物を植えてラティスやガーデンファニチャーなど庭を演出するものを置いてみる時。おそらく、そのような時は誰しも何らかのイメージを持っているはずです。

ばくぜんとしたイメージだったら、それを言葉にしてみましょう。ナチュラル、モダン、エレガント、自然の野原のような、和風、洋風、プロバンスやイングリッシュガーデン、フレンチアンティークなど、好きなイメージを言葉にしてみることで、イメージがより具体的になり植物に合わせる鉢選びなどに役立ちます。

イメージを統一すると多くの鉢を並べておいても違和感がありません。ひとつひとつのものの相乗効果でぐんとセンスアップして見えるので、ぜひやってみてくださいね。

ただ並べてない?鉢の置き方も工夫が必要

平面に鉢を多く並べるとごちゃごちゃ見えてしまいがち。同じサイズの鉢をただ並べると高さに差が出ないので単調になってしまいます。
植物に合わせた鉢を選んだら、今度は高低差をつけて鉢を並べてみましょう。「後ろは高く、前は低く」が基本です。同じような高さの鉢の場合は、スタンドなどを利用して高低差をつけるのがおすすめ。鉢の数も3つや5つなど奇数で数を絞るとバランスを取りやすくなります。

大きな鉢をひとつだけ、というのもいいですね。室内に大型の観葉植物を置いたり、玄関前につる性の植物や高さの出る木を植えたりという場合に向いています。
地植えすると大きくなりすぎるミモザも大型の鉢に植えておけば安心。ほどほどの大きさでおしゃれな雰囲気を楽しめます。ローリエ(月桂樹)やハーブなども鉢植えにしてキッチンのそばに置いておけば、いつでもお料理に仕えて便利ですよ。

ただ、おしゃれに見えてもあまりに重たい鉢は、植物を植えてから動かすのが一苦労。室内であれば車輪付きの台座に乗せておくという方法もありますが、地震などのことを考えると安全面で心配が。
鉢を頻繁に動かす必要がある時は、あらかじめ軽い素材の鉢を選ぶとよいでしょう。
おしゃれに見せるガーデニングで大切なのは、植物の色や質感、鉢との組み合わせ、置き方などを工夫してみること。多くの植物の色合いをトータルコーディネートするのは難しいという時は、好きな色、質感など気に入った植物を選んでそれに似合う鉢や他の植物、と幅を広げていくのがおすすめです。