バラと庭の祭典!第19回 国際バラとガーデニングショウ その2

国内最大規模のバラとガーデニングの祭典「第19回 国際バラとガーデニングショウ」取材第2弾。庭作りをライブで見ることができるライブガーデンや、ガーデンのあるライフスタイル、おしゃれなガーデングッズ、エクステリアをご紹介します。

ライブガーデン「家族でくつろぐグランピングガーデン」

会期の初日から3日間かけて徐々に庭が出来上がる様子をライブで見ることができるライブガーデン。製作者のトークで庭づくりのポイントなどを学ぶこともできます。
初日のライブガーデンは、高い木や主要なモノのレイアウトは出来上がっていますが、まだ草花が植えこまれていない状態。ガーデンの周りには出番を待つ草花や植木がスタンバイしていました。

施工途中のグランピングガーデン
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
有福創さんのライブガーデン「家族でくつろぐグランピングガーデン」は、アウトドアを身近で感じることができるライフスタイルの提案。
庭の中にファブリックをどう取り込むか、また火を囲む心地よさを庭に取り込みたいという点にチャレンジしてデザインされたそう。庭に大小のテントを点在させてファイヤーピットも設置し、家族で気軽に楽しむグランピングガーデンの在り方を見せてくれました。

完成したグランピングガーデン
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
使える庭として広々とした芝生の面を残し、木の足元や庭の周囲を植栽。ヒューケラやラムズイヤー、シダ、アゲラタムなど、さまざまな色・フォルムの葉物を中心に植えこんで変化をつけています。シルバー系、明るいグリーン系、赤紫系、斑入りなど多種多様なカラーリーフが使われているので、花がなくても見ごたえ十分です。
カラーリーフは花のない時期の庭を華やかにしてくれるので、実際の庭に取り入れてみるとよいでしょう。

庭を作るうえで大切なことは?

ライブガーデンは製作者の話を伺うことができるのも魅力です。
有福さんによると、庭をつくる上で大切なことは5つ。

①自分を知ること
②最低限必要な機能を考えること
③庭の環境を知ること
④作りたい庭に自分でタイトルをつけてみること
⑤特に優先させたいものがないときはストーリーを考えること

まず考えたいのが、自分を知るということだそう。これは、住む人のライフスタイルや価値観から使用目的を考えるということ。花を育てるのか、お茶を飲みたいのか、あるいはゴルフの素振りをしたいのかなど、具体的に考えてみましょう。

次に、最低限必要な機能をピックアップします。例えば子供の自転車置き場や洗い場など、欲しい機能を書き出してみましょう。

ファイヤーピット
どのようなことをやりたいか考えることが庭づくりでは大切
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
庭がどのような環境なのか知ることも大切です。環境によって適するものが違ってくるからです。庭や家の中が隣家や道から見えないように隠すのかなどといった周囲との関係や、軒先や塀の際など庭の中での環境の違いによる植物の向き不向きなどを考えましょう。
環境はある程度作り出すことも可能です。ホスタなど明るい日陰のほうが生育に向いている植物を植えたければ、庭に落葉樹を植えて日陰を作ったり、木の下に草花を植える時は下枝を取ったりします。

作りたい庭に自分でタイトルをつけてみるというのは、作りたい庭を考えるうえで大切なこと。必要な機能などをピックアップしたあと、では、どのような庭にしたいのか、ということを考えるうえで欠かせません。

優先したいものがない、漠然としたイメージしかないという場合は、あこがれのライフスタイルやそこでやりたいことをストーリーにしてみましょう。どのような庭にしたいのか、知ることができます。

ホームセンターのエクステリア売り場でとりあえず気に入ったモノばかりを買ってきてしまうと、ライフスタイルを重視した庭ではなく、モノが並んだ庭になりがちだということです。

ライブガーデン「天文学者と詩人の庭 星降る’トゥインクルパーティ’ガーデン」

もうひとつのライブガーデンが、浜本規子さんによる「天文学者と詩人の庭 星降る’トゥインクルパーティ’ガーデン」。”自然をこよなく愛し、宇宙と大地に寄り添って暮らす一組のパートナーのストーリー”がテーマだとか。週末のガーデンパーティーの準備をしているという設定。庭づくりでいかにストーリーが大切かということを学ぶことができますね。

施工中のガーデン
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

施工途中のガーデン
コンテナを設置するなど、徐々に庭が出来上がっていく
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

完成したガーデン
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
浜本さんのライブガーデンでは、木の持つ力を実感。まだ施工途中のガーデンに1本高い木を設置すると、それまで平面的だった空間がぱっと広がり立体的になりました。木があることで空間にリズムが生まれ、かえって庭が広く感じられるようになったのです。

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
トークの中では、フォーマルとナチュラルな配置についても触れ、玄関前は花の鉢を左右対称に置いてフォーマルに、それ以外は左右不対称にしてナチュラルに見せるテクニックなどを解説。
実際に施工途中のガーデンに鉢を置くと、玄関前がきちんとした華のある印象に変わりました。ナチュラルな雰囲気の庭づくりの中で、玄関前などをきちんとした印象にしたいときに、この手法を取り入れてみるとよさそうです。

庭づくりでは、見せ場(フォーカルポイント)を作ることが大切だとか。例えば、植物を這わせるアーチは額縁の役割も持っています。アーチの向こうにフォーカルポイントを置くことで、視線を集めることができるのです。
フォーカルポイントを引き立てる背景を作ることも大切です。今回の庭では、入り口の白いアーチから見える日時計がフォーカルポイント、その後ろのヒイラギが背景の役目を果たしています。

さらに、花壇に植える植物を決める時は、まず主役を決めるとよいのだとか。どうしても「花」にばかり目が行ってしまいますが、大切なのは「葉」。フォルムや大きさ、色などが異なる葉を組み合わせて花壇を作っていきます。

庭づくりでは、庭にタイトルをつけるのが成功の秘訣だというお話も。庭は生活を豊かにしてくれる場所。ライフスタイルに合わせて変えられる余裕も必要です。
今の自分にとってどのような場所にしたいのか、ぜひタイトルをつけて考えてみましょう。

フォーカルポイントの日時計と背景のヒイラギの木
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

フォーカルポイントを決め、門から玄関が直接見えないように工夫
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

ガーデンのあるライフスタイルいろいろ

「男子ガーデン」

二村昌彦さんの「男子ガーデン」
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
暮らしの中にインテリアのような感覚で植物を取り入れる。二村昌彦さんの「男子ガーデン」は、そんな新しい「植物との暮らし」を提案。
ラフでありながらカッコいい「男前」なガーデンは、さりげない渋さと甘さを抑えた植物セレクトが鍵。さっそく真似してみたいアイディアが豊富です。

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
ナチュラルで繊細な植物選びではなく、一つだけで存在感のある植物を選んでいるのもポイントです。古い木材やブリキ、アイアンなどの素材を使い、線の面白い植物などを飾っています。

大きなブリキ缶は黒くペイントして木を植えたり、テーブルの上に植物のスペースを作ったり。そこここにさりげなく置かれた植物は、インテリアの一部としてすんなり溶け込んでいます。
一般的なガーデニングとはまた少し違った、新しいスタイルの植物との暮らしです。

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

「週末 家族で集うバルコニー」

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
杉山洋さんのバルコニーガーデンは、週末に家族で集うというテーマ。寄せ植えなどにしないで、植物をひとつずつの鉢植えにしている「ポッティングガーデン」です。単植のコンテナを並べて景色を作り出す手法、庭がなくてもすぐに真似できそうですね。
背の高い木も鉢に植えて一緒に並べると、空間に立体感が生まれます。高低差を生かしたり色を統一したりしてたくさん並べれば、庭のような空間が出来上がり!
先がとがった葉を持つ植物やサボテンなどを置いて色を絞り込めば、”かっこいい” 印象になります。

「和ばらの庭」

小山内健さんの「和ばらの庭」
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
和の庭にはバラは似合わないと思っていませんか?そんな先入観を払しょくする小山内健さんの「和ばらの庭」は、優し気なバラの花が和の空間に溶け込んでいます。
和風の庭だから…とバラをあきらめていたとしたらもったいないこと。庭石を取り入れることの多い和風の庭と、同じく石をデザインに取り入れることのあるイングリッシュガーデンには、実は共通点もあるのです。純和風の植物だけでなく、洋風にも和の雰囲気にも合う植物を選ぶことで和の庭にバラがすんなり溶け込みます。
ぜひこの庭を参考に、和の庭にバラを取り入れてみてはいかがでしょうか。

コンテストガーデンより

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
今年もハイレベルなコンテストガーデンが多数出品されていました。
見事大賞を取ったガーデンがこちら。
中央のアーチを境に二つの部分に分かれ、アーチの向こうにちらりと見えるガーデンや建物が奥行き感を出します。アーチに続く小道もとてもナチュラル。バラやクレマチス、ジギタリス、その他さまざまな小花が庭を彩り、アイアンのフェンスやアンティーク風のライト、扉、窓のデザインが繊細な雰囲気も醸し出しています。
お茶を飲むスペースも素敵で、我が家の庭もこんな風にしたい…と夢が広がるガーデンでした。

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
白い花でコーディネートしたガーデン。
白だけでまとめても単調にならないのは、建物に這わせたつるバラと高低差を生かしたグリーンが多めの植栽や、小さな木の椅子、レンガ敷きのアプローチ、白を基調とした建物の力。
扉にかけられたグリーンのリースも素敵なポイントになっています。

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
最優秀賞を取ったこの作品は、飼い猫のための庭。左の高さのある白い塔はキャットタワーです。
アウトドアリビングとして使えるウッドデッキの床と芝生の階段、スペースを決めて植えられた植栽が空間全体を美しく見せています。喜んで遊ぶ猫の姿が目に浮かぶようですね。

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
こちらも最優秀賞のパン屋さんの庭。パンを焼くための窯やテーブル&チェアが置かれた手前のガーデンを、色とりどりの花が彩ります。
落葉樹の下やアプローチ沿いに植えられたバラやアゲラタム、アスチルベ、デルフィニュームなど優しい色合いの花々が魅力的。庭の植栽を考える時に真似してみてはいかがでしょうか。

庭に取り入れたいエクステリア

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
スペースに余裕があれば取り入れてみたいエクステリアがガゼボ。木製のものやアイアン製のものなどがあります。つるバラなどを這わせても良し、庭のフォーカルポイントとして設置しても良し。庭に立体感が出る優れものです。水色に塗ったフェンスも素敵ですね。

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
建物の入り口に続く小道は、レンガや枕木、石などで作るのが定番。その周辺も植栽で飾れば殺風景になることもなく魅力的なアプローチが出来上がります。ガーデンテーブルなどを置いてポイントにしてもいいですね。

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
アーチも効果的に取り入れてみたいエクステリアのひとつ。アーチから覗いて見える景色にはフォーカルポイントとなるものを置きましょう。このような壁を設置するのは大変かもしれませんが、つるバラなどを誘引するためのアーチは設置も比較的簡単です。庭の広さに合わせて選んでください。

おしゃれなグッズでガーデンを演出!

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
植物をこだわって選んだら、植物を植えるコンテナや鉢にもこだわりたいもの。古い木箱やブリキ素材などを使うとおしゃれな印象になります。空き缶にペイントした鉢もかわいいですね。1種類ずつキッチンハーブを植えてキッチン周りに置くのにおすすめ。野菜もおしゃれに見えてきます。

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
ベランダや庭の片隅にこんな作業スペース欲しい!植木鉢を逆さにした椅子が味を出しています。
庭づくりに大切なのは、自分のライフスタイルを把握すること。そのうえで、優先させたいものを選びデザインしていくことで、生活を豊かにする庭が出来上がります。

コンテストガーデンにはガーデニングのヒントとなるさまざまなアイディアが満載。バラを主体としたイングリッシュガーデン風の庭が主流の中、洗練された都会のベランダガーデンやアウトドアリビングの提案などもありました。おしゃれなガーデングッズやエクステリアなども、庭づくりの参考にしてくださいね。

次回は、第19回 国際バラとガーデニングショウ その3として、今年のバラの新作ベスト10やバラの歴史、ハンギングバスケットコンテスト、バラを使った展示などをご紹介します。