ベランダガーデニングの基本~条件別ポイントや向いている植物は?

ベランダに植物を置いてガーデニングを楽しみたい!という方のために、ベランダガーデニングの基本をまとめてご紹介します。ベランダと庭の条件の違いや、ベランダの特徴とポイント、荷重などの注意点、ベランダに向いている植物などを知り、ベランダガーデニングを楽しみましょう。

ベランダと庭の違いって?

ベランダと庭は、環境がかなり違います。大きな違いは、ベランダは土の地面ではなくコンクリートなどの床面しかない空間だということ。鉢やプランターで育てることになるため、植物は大きく根を伸ばすことができません。
一方、屋根のあるベランダは雨があたりにくいため、乾燥を好む植物には好都合。根腐れなども起こしにくいというメリットがあります。

ただ、風通しや日当たりはベランダの向きなど条件によっても異なります。夏の直射日光が降り注ぐベランダは高温になり、植物にとっては過酷な環境とも言えます。

また、ベランダでは重い鉢を使ってしまうと動かすのが大変。積載荷重の問題もあるため、できるだけ軽量土を使わなければなりません。

ベランダの特徴を条件別に見てみよう

ベランダの方角

■南向きのベランダ

日当たりが良いため植物が育ちやすいのですが、夏は照り返しも強くなるため高温になりがち。コンクリートの床に直に鉢を置かずに、すのこやウッドパネルなどを置いて植物を守りましょう。乾燥しやすいので水やりにも注意が必要です。冬はポカポカとよく日が当たるので、露地栽培では冬越しが難しい植物の越冬も可能。
■東向きのベランダ

午前中の日差しがあるため、植物にとってはとても生育しやすい環境です。夏も気温が高くなる時間帯には日陰になるため、南向きよりも管理しやすいでしょう。
■西向きのベランダ

西日が当たるので、植物にとっては過酷な環境になりがち。夏は特に午後の強い日差しで床や壁面が高温になるため、乾燥と暑さに強い植物向きです。ベランダの形によっては蒸れにも注意が必要。日差しを遮りながら通風を確保する工夫をしましょう。
■北向きのベランダ

北向きのベランダでも明るい場所であれば、日陰で育つ植物を育てられます。冬は寒さが厳しいので、北風を防ぐなどの寒さ対策が必要です。

形状の違い

■一般的なベランダ

転落防止の防護柵が壁構造+柵、あるいは全体が柵になっているベランダは、風通しと日当たりが良く、植物もよく育ちます。
■壁で囲まれたベランダ

コの字型の壁に囲まれているベランダは、日当たりがそれほど良くないことも多いようです。広さにもよりますが、防護壁よりも下の部分は風通しも悪く、低い位置に植物をたくさん置くと蒸れやすいという問題も。
■ルーフバルコニー

風通し・日当たりともに良い条件が揃うルーフバルコニー。屋根がないので明るく植物も育ちやすいのがメリット。照り返しなどに注意すれば多くの植物がよく育ちます。

高さの違い

ガーデニングを楽しむなら、低層階のほうがおすすめです。高層階に行くほど風が強くなるというデータもあり、高層マンションではベランダに植物を置けないことも。

ベランダガーデニングで気をつけたいことは?

植物の大きさ

ベランダにいつも緑が見えていたら素敵ですよね。
でも、ベランダに大きな木を植えてしまうのはよく考えてからにしましょう。台風で倒れたりすると危険ですし、ベランダの外まで枝を伸ばしてしまうと問題です。落葉樹の場合、枯葉が他のベランダに入ってしまうことも考えられます。
管理できる大きさの植物を楽しみましょう。

植物の種類

植物の種類にも多少注意が必要です。
例えば、つる植物をベランダの外壁沿いに這わせることはできません。自分のベランダ内でも、壁にツタなどを這わせると跡が残ってしまうのでやめましょう。
また、たくさんの花びらがハラハラと散るタイプの花。ベランダ内だったら自分で掃除すればいいのですが、他のベランダに落ちてしまうと迷惑をかけることにもなりそうですよね。
迷ったら、周りに迷惑がかからないかどうかを基準に考えましょう。

肥料

庭で植物を育てる時によく使う有機肥料。ベランダでは使用を控えたほうが無難です。
油粕などの有機肥料はどうしても臭いがあります。隣とつながっているベランダでは、その臭いが気になるということも。使う肥料は、風で飛ばない大きさの粒状の化成肥料や液体肥料にしましょう。

水やり

植物をたくさん育てたい!となると、水やりもそれなりに必要ですよね。
水やりは結構重労働。ベランダに水栓があるかどうかで育てる植物の量も変わってきます。どこから水を持ってくるのかあらかじめ考えておかないと、後で大変なことになってしまいます。

排水溝の位置

植物を育てる前に必ずチェックしておきたいのが排水溝の位置。マンションによっては、自分のベランダ内に排水溝がないということも。
隣のベランダに排水溝がある場合は、水やりの際にそちらに水が流れていってしまいます。お隣がベランダを使っていたり、濡れたら困るものを干していたりするときに、水が流れてきたら大変です。
自分が使用するベランダに排水溝がない場合は、たくさんの植物を育てるベランダガーデニングはあきらめて、観葉植物をいくつか置く程度にしておきましょう。その場合も、鉢皿を置いて直接水が流れていかないような注意が必要です。

土の流出

ベランダガーデニングで気をつけなければならないことの一つが、土の流出。排水管に土が流れてしまうと、場合によっては配水管が詰まってしまい大工事が必要になることも!そんなことにならないように、配水管に土が流れ込まないように注意しましょう。

土は、普段の水やりでも少しずつ流出します。勢いよく水やりをすると周りに土が撥ねて流出の原因になることもあります。
植え替えの際なども、土がこぼれないようにビニールシートを敷いた上で作業を行い、余った土は蓋つきの容器に入れて風で飛ばないようにしましょう。

避難路の確保

ベランダを使う時は、避難はしごの上や避難通路の前には物を置いてはいけません。そのような場所に植木鉢などを置いてしまうと非常時にとても危険。
同様に、手すりより高いトレリスなどを設置した場合も火事などの災害時に救助活動の妨げになることがあります。
普段は気にならないかもしれませんが、非常時のことを考えながら、危険のない範囲でベランダガーデニングを楽しんでください。

エアコンの室外機の位置

ベランダに置いてあるちょっと邪魔にされがちなもの、それはエアコンの室外機。
室外機の前に植物を置いてしまうと、室外機からの熱風でせっかくの植物が枯れてしまいます。また、前面が植物や棚などで覆われてしまうとエアコンの性能にも影響を及ぼします。室外機の前には植物を置かないようにしましょう。

ベランダをアウトドアリビングのように使いたい場合には、室外機の見た目が気になりますよね。そのような時は、室外機の通風を妨げないカバーで覆ってしまうのがおすすめです。室外機に直射日光が当たらなくなるとエアコンの効率も良くなるそう。一石二鳥ですね。

棚の設置

小さいお子さんがいる場合は、手すりを乗り越えて落下する事故を防ぐためにも、踏み台になるような棚や台を手すり側に設置しないようにしましょう。

ベランダやルーフバルコニーを使用するときは規約にも注意!

ベランダやバルコニーは共用部分

忘れてはならないのが、ベランダやバルコニーはマンションの共用部分だということ。自由に使える部分ではありますが、避難路の確保など使用上の規約を守る必要があります。

直接土を乗せることはできない

ベランダに直接土を乗せて植物を植えることはできません。レンガなどで囲っても、根が防水層や躯体にダメージを与えることもありますし、土が流出することも。必ず、鉢やプランターなどに植えましょう。

構造物を設置できない

広々としたルーフテラス!ガゼボを置いたりパーゴラにつるバラを這わせたりしたら素敵ですよね。でも、その前に、ルーフテラスやベランダには構造物は設置できないことが多いので確認しましょう。同様に、倉庫などを置くこともできません。

ベランダの手すりよりも高いものはおけない場合も

マンションによっては、ベランダの手すりよりも高いものは設置できないという規約がある場合も。特に、高層マンションでは落下などの危険もあり注意が必要です。

ウッドデッキにしたいときは?

ウッドデッキにしてアウトドアリビングのように楽しみたい!でも、ウッドデッキ自体は工事が必要なため設置が困難。そんな時におすすめなのが、簡単に設置できるウッドパネル。設置の際は、避難はしごなどの上には敷かないように注意してください。
ベランダが広くて全面敷くのは大変、という場合は、リビングからつながる部分だけウッドパネルを敷いてもいいですね。

ルーフバルコニーの飲食について

お天気のいい日はベランダやルーフバルコニーの植物に囲まれてブランチや夕食を。そのつもりだったのに、規約をよく見たら飲食禁止となっていることも。
バーベキューは禁止というところは多いですが、そのような規約がなくても、隣近所に物音や話し声が聞こえて迷惑になる場合もあります。大騒ぎはせず静かに楽しみましょう。

大規模修繕の際は全面撤去

マンションで行われる外壁などの大規模修繕。その際は、ベランダやバルコニーに置いてあるものを全面撤去しなければならないことも。せっかく大きく育った植物やウッドパネルなども一時撤去。ベランダガーデニングを始める時は、一応大規模修繕の時期なども頭に入れておいたほうがよさそうです。

ベランダガーデニングに向いている植物

自然の雨や土の恵みがないベランダに向いているのは、乾燥に強い植物。乾燥気味の環境を好む植物にとっては過ごしやすい場所なのではないでしょうか。地面に植えるよりも暖かいので、冬越しが難しい植物も育てやすいようです。日本では一年草扱いになっている植物が多年草として育つこともあります。

限られたスペースでガーデニングを楽しむには、例えば宿根草ばかりにしてしまうと冬は寂しい景色が広がることに・・・。この鉢は一年草、このプランターは季節の野菜、リビングの前は多年草や常緑樹、宿根草は一年草と組み合わせて、という具合に、一年草と多年草、宿根草を上手く組み合わせるのがおすすめです。

ベランダガーデニングにおすすめの植物・ハーブ

ハーブの中には乾燥した気候が好きなものが多いですよね。風通しと日当たりが良いベランダで育てるのにおすすめです。梅雨~夏の高温多湿で枯れやすいラベンダーなども、蒸れに注意すれば育ちます。一方、高温が好きなバジルやレモングラスなどを育てるのにも向いています。シソなども良く育ちますよ。
■ローズマリー
■ラベンダー
■セージ
■タイム
■バジル
■レモングラス
■シソ

ベランダガーデニングにおすすめの植物・花が咲く植物

花が咲く植物には一年草と多年草があります。いつも花を眺めていたいという時は、決めた鉢に季節の一年草を植え替えて楽しむとよいでしょう。
乾燥に強いゼラニウムは海外のベランダガーデンなどでもよく使われる植物です。マーガレットなども育てやすいので取り入れてみては?バラは一季咲の大輪よりもミニバラが育てやすいようです。
■ゼラニウム
■マーガレット
■ニチニチソウ
■ペチュニア
■インパチェンス
■パンジー
■ミニバラ
■アサガオ
■ホスタ
■クリスマスローズ
■チューリップ、ムスカリなどの球根類

ベランダガーデニングにおすすめの植物・低木など

丈の低い草花ばかりでなく背の高い樹木の鉢植えを置くと、ベランダが一気に居心地よいアウトドアリビング的な空間になります。家の中から葉が揺れる姿を眺めてリラックスできそうですね。テラコッタなどの鉢でなく、プラスチックや木製の鉢に軽い土を使いましょう。
■オリーブ
■ローリエ(月桂樹)
■ブルーベリー
■ラズベリー
■キンカン
■アジサイ

ベランダガーデニングにおすすめの植物・その他

乾燥に強い植物と言えば、多肉植物やサボテン。ベランダやルーフバルコニーにもおすすめです。水やりは大変だけれどグリーンを育てたいという人にも。
■多肉植物

ベランダガーデニングにおすすめの植物・野菜

ベランダにプランターを置いて野菜を育てたいという人も多いのでは?まず育てたいのは、ミニトマト。誰でも簡単に栽培できて、毎日収穫できるので長く楽しめます。スペースがあれば、シシトウなどの夏野菜もおすすめです。
緑のカーテンを作りたいという人に人気なのはゴーヤ。暑さに強く食べられて日差しも遮ってくれます。つるが伸びるのでネットを張り、水切れに注意して育てましょう。台風が来たら残念ですがネットを外してくださいね。
■ミニトマト
■シシトウ
■ミックスリーフ、小松菜などの葉物
■ラディッシュ
■イチゴ
■パセリ
■ニラ
■ゴーヤ
庭がなくてもガーデニングは楽しめます。マンションではトラブルにならないように規約にも注意して、自分の家にあった植物を選んで育ててください。