シェードガーデンを楽しもう!条件別ポイントとおすすめ植物は?

植物を育てるなら日当たりの良い庭が理想!でも、現実はなかなかそうもいきませんよね。そこで、シェードガーデンならではの楽しみ方や、条件別・日陰や半日陰の庭におすすめの植物などをご紹介します。それぞれの庭に合った楽しみを見つけましょう。

シェードガーデンって?

シェードガーデンとは、日陰の庭のこと。本来は、大きな木を植えて木陰を作り、そこに半日陰を好む植物を配置して作った庭のことを指します。
実際には、日当たりがあまり良くない日陰の庭や半日程度日が当たる半日陰の庭、植えてある樹木により木陰になる木漏れ日のある庭などをまとめてシェードガーデンと呼んでいます。

日本の場合、住宅事情によって日当たりの良い庭ばかり作れるわけではありませんよね。住宅密集地では、どうしても建物の陰になってしまい日当たりがあまり良くない庭もあります。また、一つの庭の中でも日当たりの良い場所と日陰になる場所が出てきます。

そのような場所でも、その環境に合った植物を選んで作る魅力的な庭がシェードガーデン。半日しか日が当たらない、植栽スペースが北側、狭いアプローチ沿いの庭など、さまざまな条件をクリアした素敵なガーデンを作りましょう。

シェードガーデンを美しく見せるポイント

シェードガーデンはマイナスイメージ?

「シェードガーデン=日当たりが悪い」と考えてしまうと、マイナスのイメージがわくかもしれません。
しかし、シェードガーデンは木漏れ日のような日が差す穏やかな気候の庭だとも考えられます。特に、真夏の強い日差しが照り付ける環境と比べると、半日陰の方が植物にとっても優しい環境と言えることも。日陰と相性の良い植物を選べば、素敵なシェードガーデンを作ることができます。

シェードガーデンの魅力

シェードガーデンの魅力は、強い直射日光が当たらないのでしっとり落ち着いて見えること。一方で、土がむき出しになっている部分が多いと寂しく荒れた印象にもなりがちです。ぜひ、常緑のグラウンドカバーを取り入れてみましょう。
日当たりの良い場所で育つ植物の中にも、意外と耐陰性が強いものや、夏の日差しはちょっと苦手というものも多いのです。季節によりそのような植物を上手に取り入れてみるといいですね。

日陰でも育つ植物は丈夫で手入れが簡単なものが多いため、ローメンテナンスの庭を作ることができるのもシェードガーデンの大きな魅力。さまざまなグリーンで一度植栽を作ってしまえば、あまり手をかけずに美しい状態を保てます。

美しいシェードガーデンを作るコツ

ベースになるグリーンを決めたら、あとはポイントになる花の咲く植物を配置してみましょう。ある程度大型のアジサイやアガパンサスなどを植えると広いスペースでも見栄えがします。
アプローチ沿いなどの狭いスペースには、ミヤコワスレやシャガなどを植えると邪魔にならず足元を明るく彩ってくれます。

株元の日当たりが悪くても上に伸びれば日が当たるのであれば、つる植物もおすすめです。

庭が「どのような日陰なのか」を考えて、そこで元気に育つ植物を選びましょう。

そして、環境に合った植物を選ぶだけでなく、レンガやトレリスなどの構造物で空間を補うのもポイントです。
例えば、建物の北側のアプローチだったら、レンガの小路を作って平面に変化をつけたり、暗くなりがちな壁面は明るい色の柵などでポイントを作ったり。エクステリアグッズを上手に取り入れてみましょう。

シェードガーデンの種類

木漏れ日が当たる半日陰の庭

木漏れ日の当たる明るい半日陰は、さまざまな植物にとって生育しやすい場所。特に、落葉樹の下は冬は陽だまり、夏は強い日差しを遮ってくれる理想的な環境です。球根類や暑さが苦手な草花類も良く育つので、あまり植える植物を選びません。

一方、針葉樹や常緑広葉樹が茂っている場所は、どうしても暗く日当たりが悪くなりがち。森林で育つ植物をイメージして、耐陰性の強い植物を植えるとよいでしょう。おすすめはタマリュウやシダ類、アジュガ、ホスタなど。和の庭に使われるツワブキなどの植物も向いています。
日当たりを良くするために、枝透かしなどを行って木の下も適度な明るさを保てれば、花の咲く植物も植えられます。

半日しか日が当たらない半日陰の庭

同じ半日陰でも、建物や庭の向きなどの要因で半日程度しか日が当たらない半日陰の庭というものもあります。1日2~3時間程度日が当たるようであれば、暑さが苦手な植物や半日陰を好む植物を植えられます。
ただ、このような半日陰の庭は、太陽の角度が低くなる冬には1日中日陰になる場合も多いのではないかと思います。冬は地上部が枯れる宿根草を中心に植えるのがおすすめです。

玄関周りなどの明るい日陰

玄関周りというのは明るい日陰になっていることが多いもの。直射日光があたらなくても反射光が十分に当たっていれば、明るい日陰に育つ植物にとっては育ちやすい環境になります。
玄関周りは、ある程度広くて風通しもよいことが多いので、日なたが苦手な植物を鉢植えで楽しんだりするのに向いています。意外と楽しめる植物が多いのが特徴です。

ほとんど日が当たらない家の北側やアプローチ沿いなど

暗くてじめじめしがちなこのような場所には、耐陰性が強い植物を植えましょう。
石畳やレンガなどを上手く組み合わせて植栽面積を少なくするとすっきりデザインされた素敵な空間になります。一度作ってしまえば、あとはあまり手をかけずにきれいな状態を保てます。

おすすめは、ヤブランやシダ類、ホスタ、ツワブキ、ユキノシタなど。苔の中でも日陰が好きな品種もよく育ちます。

シェードガーデンにおすすめ・葉を楽しむ植物

ギボウシ(ホスタ)

ユリ科(キジカクシ科)ギボウシ属の宿根草で、地上部が枯れた状態で冬超しします。林の中などで自生する、明るい木陰などで育つ植物です。
大株になると美しい葉が幾重にも広がり見ごたえ十分。葉だけでガーデンを美しく彩ってくれます。斑入りの品種や濃い緑色の品種などさまざまな品種がありますが、より耐陰性が強いのは濃い緑色の葉を持つ品種。どの程度の日陰なのかによって品種を選ぶとよいでしょう。

アイビー(ヘデラ)

ウコギ科キズタ属の常緑多年草。つる性で生育旺盛なアイビー(ヘデラ)は、日当たりの良い場所~日陰まで場所を選ばずに育つとても便利な植物です。病害虫の心配もほとんどありません。

斑入りや明るい黄緑色、暗い緑色など葉の色や形も豊富で多くの品種があり、寄せ植えや観葉植物としてもよく用いられます。
地面を這わせてグラウンドカバーにしてもよし、塀を這わせて立体的に楽しんでもよし。ただ、家の壁に這わせるとはがしたときに跡が残るので気をつけましょう。

セダム

ベンケイソウ科の多肉植物、セダム。和名はマンネングサです。
多肉植物なのに日陰のグラウンドカバー?と思われるかもしれませんが、日本原産の品種もあり、性質は強健。耐寒性・耐暑性ともに強いものが多く、カーペット状に広がる品種は屋上緑化などにも使われるほど育てやすい植物なのです。日陰の植栽に使う時は、常緑の多年草の品種を選びましょう。

タマリュウ/リュウノヒゲ

ジャノヒゲ(リュウノヒゲ)は、日本各地に自生するキジカクシ科の常緑多年草。その小型種がタマリュウです。和の庭や樹木の足元などに芝生代わりのグラウンドカバーとして植えられることが多く、街中でもよく見かけます。
日陰でもよく育つので、玄関周りやアプローチ沿い、塀沿いなどの植栽にぴったり。草丈が高くならず密集した葉がカーペットのように茂ります。

ヤブラン(リリオペ)

スッと伸びた涼し気な葉が魅力のヤブラン。日本原産のキジカクシ科(又はユリ科)の常緑多年草です。
耐寒性・耐暑性ともに強く、とても丈夫で日陰でもよく育つため、あまり手をかけられない場所の緑化にも使われます。
いくつかの園芸品種がありますが、よく知られているのは斑入りの葉を持つ品種。8月~10月頃に紫色や白色の花を咲かせ、グリーンだけで地味になりがちな日陰を彩ります。

フウチソウ

そよそよと風に揺れる繊細な葉が涼し気な姿のフウチソウ。焼き物の鉢に植えると和モダンな雰囲気になる、日本原産のイネ科の多年草です。
冬は地上部が枯れますが、日当たりの悪い玄関脇や落葉樹の下などの日陰でも育ちます。葉の色や形が違うギボウシなどと一緒に植えて、シェードガーデンを美しく演出するのにもおすすめ。

ヒューケラ

カラーリーフプランツとしてすっかりおなじみになったヒューケラ。ユキノシタ科ツボサンゴ属の植物です。日なた~半日陰でよく育ちますが、特に夏の直射日光が当たらない落葉樹の下がおすすめです。
ヒューケラの魅力は、葉色が豊富なこと。常緑の品種を選べば、1年を通じて庭を美しく彩ってくれます。乾燥が苦手なので、水切れに注意して育てましょう。

アオキ

アオキは耐寒性・耐陰性が強い、アオキ科の常緑の低木。冬につける赤い実も魅力ですが、雌雄異株なので、実を楽しみたいときは雌株と雄株を植えましょう。斑入りの品種を選ぶとシェードガーデンが明るい印象になります。

シダ類

常緑樹の下など日当たりの悪いジメジメした場所でも元気に育ち、美しい緑色の葉で地面を覆ってくれるのがシダ類。山に自生している姿を見かけたことがあると思います。
冬の間は地上部が枯れますが、和の庭にも洋の庭にも不思議と合います。シダ植物ならではのフォルムの面白さを楽しんでみましょう。

シェードガーデンにおすすめ・花も楽しむ植物

アジサイ

半日陰で美しい花を咲かせるアジサイは、アジサイ科(又はユキノシタ科)の落葉低木。日当たりの良い場所でも育ちますが、やはりしっとりした魅力を楽しみたいもの。ぜひ1日に2~3時間程度日が当たる半日陰の庭に植えてみましょう。湿った半日陰の環境であればヤマアジサイが向いています。
冬は葉が枯れてしまうので、常緑のグラウンドカバーと組み合わせるとよいでしょう。

シャガ

アヤメ科アヤメ属の常緑多年草。明るい日陰~半日陰で育ち、5月頃に白色に紫色と黄色が入った美しい花を次々と咲かせます。
アヤメのような光沢のある葉を持ち、シェードガーデンのグラウンドカバーによく使われます。病虫害もほとんどなくてとても丈夫。地下茎で増えていくので、生垣の足元やアプローチ沿い、庭の片隅などに植えてみてはいかがでしょうか。

クリスマスローズ

グラウンドカバーとして、水はけのよい明るい半日陰になる落葉樹の下に植えたいクリスマスローズ。キンポウゲ科の常緑の多年草です。品種にもよりますが、花の少ない2月~4月頃にかけてうつむき加減の美しい花をつけます。年々大株に育つのでスペースを十分取って植えましょう。

ツワブキ

10月~12月頃に黄色い花を咲かせるツワブキ。キク科の常緑の多年草で、やや丸い厚みのある葉が特徴です。黒っぽい緑色の葉を持つ品種のほかに、斑入りの品種なども。和の庭でよく植えられていますが、日陰でも育つのでシェードガーデンに取り入れてみましょう。

アジュガ

耐寒性・耐暑性が強く日陰でもよく育つアジュガ。シソ科の常緑多年草で、植える場所をあまり選びません。
紫色や茶色、斑入りなどさまざまな葉色を持つ品種があり、季節によって変わる色も楽しめるため、日陰を美しく彩ってくれます。
葉だけでなく、立ち上がるように咲く紫色の小さな花を楽しめるのも魅力。

ユキノシタ

ユキノシタ科の多年草。ランナーで広がる丈夫な植物で、庭の隅やアプローチ沿い、樹木の下などの湿り気のある半日陰~明るい日陰のグラウンドカバーに向いています。花期は初夏。白い小さな花をつけます。

環境に合う植物を探してみよう

この他にも、キョウガノコ、カレックス、ラミウム、オダマキ、ナルコユリ、ホトトギス、スズラン、ハツユキカズラ、コケ類など、日陰や半日陰でも育つ植物はいろいろあります。
環境が合わないといつの間にか消えてしまうということもありますので、その場合はまた違う植物にトライしてみながら、環境に適応して元気に育つ植物を探してみてください。