【ガーデニングダイアリー】1月・2月の庭仕事

寒い季節でも、地面の下や枝の先端では春に向けた準備が進んでいます。比較的のんびりできる季節だから、1年のガーデン計画を立てたり庭のレイアウトを考えたり。春に備えておきたいものです。また、この時期ならではの庭木の寒肥に始まり、落葉樹の剪定や宿根草の手入れ、土作りなど冬の間にやっておきたい庭仕事をご紹介します。

1月の庭仕事

庭木に寒肥を行う

多くの木が休眠期に入り、落葉樹は葉を落とした状態になっています。休眠期になると根の活動も低下しますが、この時期は有機質肥料を与えるのに最適な時期なのです。
その理由は、有機質肥料はゆっくりと分解されてから吸収される肥料だから。また、根の活動が低下している1月頃は、根の周りに有機質肥料を施しても根に悪影響を与えないというのも理由のひとつ。

春の成長期に根からたっぷり吸収されるように、土の中で分解される時間を考えて冬の間に与えます。鶏糞や牛糞堆肥、骨粉などを与えて春からの成長に備えましょう。

なお、堆肥を使用する場合は、必ず「完熟堆肥」と書いてあるものを選びましょう。完熟でないものは、土の中で醗酵しますが、その際に熱を発生するので根が傷みやすくなるのです。肥料選びの参考にしてください。

まだ空気が冷たく寒さも厳しい2月上旬頃、木の内部では、早くも春の芽出しや花に供えた活動が始まります。寒肥はまだ木が休眠状態の1月中に終わらせましょう。
【寒肥の与え方】

木の根元ではなく、樹冠の真下あたりに穴を掘って有機質肥料を混ぜ込みます。樹冠とは木の枝で葉が茂っている部分。根の先端がちょうど樹冠の真下あたりまで伸びているので、この位置に肥料を与えます。穴を掘る際、根が切れてしまっても構いません。シャベルで切ってしまった時は、ハサミできれいにカットし直しましょう。根が切れても、そこから再び新しい根が出てきます。

開花中の宿根草や一年草の手入れ

クリスマスローズやパンジーなど開花中の植物には、緩効性肥料や液体肥料などを与えます。まめに花がらを摘み、水やりも忘れずに行いましょう。
寄せ植えの鉢などは、寒さが厳しい時は霜除けのため軒下に避難させると安心です。

寒さ対策を行う

■腐葉土でマルチング

寒さに備えてマルチングをしておきましょう。林の中の植物は、ふかふかの枯葉で覆われていますよね。それと同じように、庭の植物も株元に腐葉土をたっぷりと置きます。本当は寒い地域では11月初めころ、温暖地でも12月にはやっておきたい作業ですが、寒さの底は1月~2月にかけて。ここを乗り切るために、まだ行っていないという人は今からでもいいので行いましょう。
特に、秋に植え替えた植物はまだ十分根が張っていない場合もあり、霜で持ち上げられて枯れることもあるため注意が必要です。
せっかく腐葉土をたっぷりとかぶせておいたのに、いつの間にか風で跳んでしまうこともありますよね。時々チェックして、足りないようなら追加してあげましょう。
■他にもある!簡単にできる寒さ除け

寒さ対策には、他にも不織布などで覆ってしまうという方法があります。小さな鉢植えだったら、2Lのペットボトルをカットして被せる方法もおすすめです。
また、一回り大きい鉢の中に鉢を入れて寒さを防いだり、包装用のシート(プチプチ)を鉢と植物の周りに巻いて寒さ除けをするという方法も。身近にあるものを使って上手に寒さ対策をしましょう。

観葉植物の管理

■室温に注意

室内の観葉植物も、夜間の気温低下に注意が必要です。昼間は暖かい窓際は、夜になると窓ガラスを通じて冷気が伝わりやすく温度が下がるため、夜になったらできるだけ部屋の中央など温度が一定の場所に移動させましょう。

室内の温度が下がる場合は、植物を鉢ごと段ボール箱の中に入れたり、発砲スチロールの箱に入れて保温します。包装用の緩衝材で作ったカバーをかけるのもおすすめです。
■冬の水やり

冬はつい水やりを忘れがちですが、部屋の中はとても乾燥しています。気が付いたら土がカラカラに乾いているということも。葉がパラパラと落ちてきたら水不足のサインです。鉢の底から水が流れるくらいたっぷりと水をあげましょう。水やりの後は鉢底の水を捨てるのも忘れずに。
■シンビジューム

シンビジュームは洋蘭のなかでも寒さに強く、夜間の温度が5℃くらいに下がっても元気に育ちます。室内で育てているシンビジュームは花芽が上がって開花する頃です。水やりを忘れないようにしましょう。花にアブラムシがつきやすいため、天気の良い暖かい日に外で鉢ごと水をかけたり、薬剤を散布したりして防ぎましょう。
■シクラメン

室内で育てているシクラメンは、昼間はよく日光に当て、夜は窓際を避けて管理します。底面吸水タイプの鉢に植えられている場合は、水が切れないようにしておけば大丈夫。水やりの手間を減らせます。時々、普通の水やりのように上からたっぷりと水をあげると、土の中の空気が入れ替わり、肥料の吸収も良くなります。それ以外の鉢に植えられているものは、土の表面が十分乾いたらたっぷりと水をあげましょう。
この時期はシクラメンの成長期。花を長く楽しむためにも、週に1回程度液体肥料を与えるか、緩効性固形肥料を与えてください。
萎れた花は手で摘むようにします。

バラの手入れ

12月に引き続き、バラの大苗を植えられます。12月に元肥を与えていない場合は、1月になってからでもいいので元肥を与えましょう。
つるバラの誘引も葉が落ちている時期の作業。誘引してあるものを一度はずし、余分な枝を落として、木の成長に合わせて誘引しなおします。この作業は12月~2月頃まで可能です。

ブッシュローズは12月~2月の間に、1/2程度切り戻す冬剪定を行います。病気の枝や細くて弱い枝、枯れた枝なども切り取りましょう。
この期間に一回、黒点病やハダニ、カイガラムシなどのお予防のために石灰硫黄合剤の散布を行うとよいでしょう。

春花壇の計画を立てよう

冬の間に春花壇の計画を立てましょう。どんな植物をどこに植えるか、株分けする宿根草はあるか、どの種をいつごろまくか。2月に入ったら、あっという間にまき床の準備や株分け作業などが始まります。

2月の庭仕事

落葉樹の剪定

葉がないこの時期は落葉樹の剪定の適期。葉がないので枝ぶりがわかりやすく、木への負担も少ないのです。
剪定では、内向きにクロスするように生えている枝や徒長枝、込み入っている部分の枝、根本から生えてくるひこばえなどを切り取るのがポイントです。

枝ぶりがすっきりすると見た目が良くなるだけでなく、葉が出たあとも風通しが良くなり、病害虫が発生しにくくなります。

宿根草の株分けと施肥

2月中旬になると、そろそろ宿根草の株分けを行うことができます。新芽が出る前に、大きくなりすぎた宿根草を株分けしてすっきりした姿にしてあげましょう。宿根草の株分けは花後に行うこともできます。植えたままの宿根草は、2月中旬以降に緩効性化成肥料などを与えます。

【株分けの方法】

1.鉢から抜き、根鉢の根をほぐして分けやすくする。
2.手で株を割くか、ハサミでカットして株を分ける。
3.鉢に培養土と緩効性化成肥料を入れて、分けた株を一株ずつ植え、十分水をやる。
4.約1週間風と直射日光の当たらない場所で管理。寒さにも注意する。

秋植え球根の追肥

秋に植えた球根、どこに植えたか覚えていますか?長らく見た目は何も変わらないため、ついその存在を忘れがちですが、土の中ではそろそろ芽出しの準備をしているはず。それとともに、植え付けの際に施した肥料もそろそろ切れてきています。緩効性化成肥料などを追肥しましょう。鉢植え球根には液体肥料でもよいでしょう。

バラの手入れ

2月中に、つるバラの誘引や剪定、ブッシュローズの冬剪定などを行いましょう。大苗の植え付けも2月中には終わらせ、春からの成長に備えます。鉢苗の植え付けは1年を通して可能です。

病害虫の予防

薄めた薬剤を噴霧器で散布
冬の間に、病害虫の予防を行っておきましょう。この時期は、まだ害虫も本格的に動き出す前。増える前に予防を行っておけば春からの被害を抑えることができ安心です。また、落葉樹の葉がないため、薬剤の散布も楽に行えます。

散布する薬剤は、石灰硫黄合剤やマシン油乳剤がよいでしょう。どちらの薬剤も、春以降に散布するとひどい薬害が生じることがあるため、必ず木の休眠中(冬)に散布します。積雪地帯では、積雪直前あるいは雪解け直後に散布します。使用する際は、表示通りに水で希釈して使ってください。両方の薬剤を同時に使うことはできず、もし両方使用する場合は1か月以上間を空けましょう。

石灰硫黄合剤は殺菌作用・殺虫作用があり、カイガラムシやさび病、うどん粉病、黒星病などに効き目を発揮します。バラの栽培ではよく使われる薬剤ですが、少量購入ができず、散布には噴霧器が必要です。500ml入りの製品などを購入するといいでしょう。金属類にかかると錆びてしまうという欠点があります。また、臭いが気になるので周囲の家に飛ばないよう風のない日に散布するなど、使い方には注意しましょう。

一方、マシン油乳剤は、機械油に乳化剤を混ぜた殺虫剤。カイガラムシやハダニ、アブラムシなどの害虫に油の膜を作って窒息死させます。特に、カイガラムシに困っているという人は、この時期に薬をまいておくことをおすすめします。松類やサツキ類は薬害が出ることもあります。

薬剤の散布は、マスクや手袋、眼鏡、帽子などで防御し、良く晴れた風のない日に行います。皮膚やフェンスなどに薬がついた場合はすぐに水で洗い流してください。
残った薬剤は密閉し、子どもの手の届かないところに保管しましょう。薄めた液をペットボトルなどに移して保管すると飲料と間違える可能性もあるので絶対にやめましょう。

春花壇や鉢植えの準備・用土作り

春の植物を植える前に、花壇の土を耕してふかふかにしておきましょう。コンテナや鉢植え用の用土も毎回購入していては大変です。リサイクルできるので、この時期に準備しておきましょう。

■花壇の土の準備

深さ30cm程度まで掘り起こし、残っている古い根や石などを取り除きます。苦土石灰をまき、よく耕します。これは、植物を栽培しているうちに酸性に傾いた土を、アルカリ性の苦土石灰で中和させるためです。苦土石灰をまくときは、目などに入らないように注意してください。
土をふかふかにするために、天地返しを行います。天地返しとは、土の上と下をひっくり返すこと。掘り返して下の土を上に乗せ、そのまま2週間ほど置いておきます。土中の害虫駆除にもなるので、冬の間にぜひやっておきましょう。
2週間ほど経ったら、堆肥や腐葉土を混ぜて軽く耕します。これで春花壇の準備が整いました。

■鉢植えの土

鉢植えに使った土は、まず全部出して古い根などを取り除きます。そのまま寒風にさらしておいても良いですが、土を黒いビニール袋に入れて霧吹きで十分湿らせ、直射日光の当たる場所に2~3週間ほど置いておくという方法もあります。袋の中の温度が上がるため、害虫の駆除や土の殺菌ができます。
一度使用した土はかなり痩せているため、土壌改良剤などで再生させましょう。春花壇の土作りと同様に、苦土石灰を混ぜ、その後堆肥や腐葉土を混ぜると再び鉢植えに使えます。
冬は春からの植物の成長に備えて、地道に土台を作る時期。有機肥料の施肥や土作り、剪定などを行い、春からの植栽計画などを立てることでガーデニングシーズンに備えましょう。