プランターで一度使った土は使えない?古い土を再利用する方法

プランターや鉢で使った土を再生して使ってみませんか?ガーデニングの閑散期ともいえる冬の間にやっておきたい、土をふかふかの状態に再生させる方法をご紹介します。

プランターや鉢で使用した土は翌年もそのまま使えるの?

プランターや鉢で植物を栽培する時の土、どうしていますか?

毎回新しい培養土を使うのが理想だと言われていますが、その都度土を捨てるのって結構大変。
自治体によって処分方法も異なり、燃えないゴミとして出せない地域も多いようです。ホームセンターなどで回収してくれるところもあるようですが、土を捨てるたびに処分業者に有料で依頼しなければならないことも。

そのうような処分方法に困る土、できれば再生して利用したいですよね。病原菌などがなければ土を再び使用することは十分可能。ぜひリサイクルしてください。

古い土をそのまま使わない理由

1.土の栄養分がなくなっている

植物が成長するためには養分が必要です。
プランターや鉢では限られた土で育てることになり、古い土ではさまざまな養分(肥料)や有機物などがすでに使われたり流出したりしています。有機物が少ないと土も固くなり、養分も少ないため植物の生育が悪くなってしまうのです。

2.団粒構造が崩れている

土の団粒構造が崩れてくると微塵が土の粒の隙間を埋めてしまい、水はけや通気性が悪くなってしまいます。土の粒の間の隙間がなくなるので植物も根を伸ばしにくくなり、栄養分や水分の吸収にも影響がでます。
乾くとカチカチになる土も団粒構造が崩れている状態。もしそのような鉢植えがあったら、土の入れ替え(植え替え)が必要です。

3.害虫や病原菌、雑草の種などが潜んでいる

前に植物を植えていた土にそのまま新しい苗を植えたら病気になってしまったという経験はありませんか?
古い土には、病原菌や害虫などが潜んでいることも。雑草の種が飛んできていて、いっせいに芽を出すこともあります。

4.連作障害が起きやすくなる

同じ土で育てると連作障害を起こし、育ちが悪くなる植物もあります。代表的なのがトマトなどナス科の植物。家庭菜園では植える場所を変えていきますが、プランターなどでは土を取り変えるのが得策です。

5.前に育てていた植物の根などが残っている

植物の植え替えをした後も、土の中には意外とたくさんの根が残っているものです。分球した小さな球根なども残りがち。雑草の根が残っていると再び雑草が生えてきてしまうこともあります。余分なものは取り除いておきましょう。

良い土の条件とは?

団粒構造であること

団粒構造とは、土の粒子がお団子のようにくっついている状態のこと。
丸いお団子を重ねると隙間ができるように、団粒構造の土は団子状の土の塊と塊の間に適度な隙間があるため通気性や排水性があり、ふかふかの状態になります。

団粒構造が崩れてくると、土の粒の隙間に細かい土(微塵)が入り込み、土の粒の間の隙間がなくなってきます。
その極端な例が粘土です。反対に、土がくっつかない状態のものが砂。軽石のような大きな粒(石)は土とは分けて考えます。

団粒構造は良い土の条件である通気性や排水性などとも深い関係があります。

排水性・保水性が良いこと

水を好む植物を除き、水はけの悪い土は根腐れしやすく植物の生育が悪くなります。水はけが良すぎるのも問題です。例えば砂地ではせっかくの水分がすぐに通り抜けてしまい、植物がゆっくり水を吸い上げることができません。

水が土の粒子の間を通りやすく、なおかつ水分をほどよく保つ、排水性と保水性のバランスの良い土が植物の良く育つ土です。

通気性が良いこと

植物が育つためには、土壌中の水分のほかに空気も必要。土の中で根は絶えず水に浸かっているわけではありません。空気が動く隙間がないと水分も動かず、植物はやがて枯れてしまいます。
通気性が良いということは、水分の出入りも良いということです。

肥料分をほどよく含むこと

肥料分を含まない土で植物を育てると極端に育ちが悪くなります。もちろん、絶えず液肥などで肥料を補えば別ですが。
反対に、肥料を与え過ぎた場合も植物に障害が出てしまい、育ちが悪くなります。
肥料分やさまざまな微量要素などをほどよく含んでいると、植物が良く育ちます。

肥料を保つ力(保肥性)があること

肥料分は水に溶けた状態で植物の根から吸収されます。そのため、土に肥料を保つ力がないと、せっかく肥料を与えてもすぐに流出してしまい、植物が養分を吸収することができません。
肥料分を保つ力のある土は、ある程度保水力のある土ということになります。

微生物がバランスよく生存すること

微生物は枯葉を分解するなど、物質の循環に欠かせません。マメ科の植物の根に生息する根粒菌も微生物の一種。大気中の窒素を植物が吸収できる状態に固定します。

土壌中に腐葉土や堆肥などの有機物があると微生物が増え、土を良い状態に保つことができます。しかし、有機物を入れずに化成肥料や農薬で植物を栽培していると、微生物が少なくなりやがてやせた土地になってしまいます。
微生物は自然界でとても大切な役割を果たしているのです。

土をふかふかに戻すにはどうしたらいい?

団粒構造が崩れて、肥料分や微生物が減ってしまった土をふかふかの状態に戻すには、排水性や保水性を改善する物質や有機物を補い、微生物の活動を活発にする必要があります。いくら有機物を補っても、微生物が少なければ植物が利用できる状態に分解できないからです。

庭の土には腐葉土や堆肥などをすき込んで、ふかふかの土に改善しましょう。プランターや鉢で植物を育てた土も同様に、土壌再生材などを混ぜて土の質を改善すれば再び使えるようになります。

土を再生してみよう

土の再生に向いている時期

土の再生作業に向いているのは、夏と冬。
夏は高温にさらすことで殺菌することができます。
一方、冬は寒さに当てることで殺虫や病気の原因となる菌を減らすことが可能。春のガーデニングシーズン前に作業して春苗の植え付けに備えることができるのもメリットです。

準備するもの

・土の再生材または腐葉土(さまざまなメーカーから販売されている土の再生材を利用すると作業も簡単。おすすめです。)
・スコップなど
・細かい目と粗い目がセットになっている園芸用のふるい
・大きめのバケツやプラスチックのケースなど(土を入れて作業する時に使います)
・新聞紙やビニールシート(ベランダなどで作業するときに下に敷いておきましょう)
・園芸用手袋(手が汚れたり荒れたりするのを防ぎます)
・夏に作業する場合:黒い大きめビニール袋(土を中に入れて殺菌するのに使います)
・ジョウロ(土に水またはお湯をかけるのに使用します)

土の再生方法

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土が湿っていると作業しにくいので、土が乾いた状態にしてから作業しましょう。

1.不要な根やゴミを取り除く

鉢やプランターから植物を抜いたら、残っている大きめの根やゴミ、虫、いつの間にか紛れ込んだ球根や雑草などを手で取り除きます。

2.ふるいにかける

まず、土を粗い目のふるいにかけて細かい根やゴミ、虫などを取り除きます。
さらに細かい目のふるいにかけて、粒の崩れた微塵のような土を取り除いておきましょう。
これは清潔でふかふかの土に再生させるために大切な作業。
ふるいに残った団粒構造のある土を再生させます。鉢底石(軽石)は取り除いて洗い、再利用しましょう。


ふるいはガーデニング用のものがおすすめ。目の粗さが異なる3種類の網がセットになっているステンレス製のふるいを用意しておくと何かと便利です。園芸店やインターネット通販などで購入できます。

3.土を殺菌する

土を殺菌する方法はいくつかあります。夏と冬で向いている方法が異なるので、時期により適した殺菌方法を使いましょう。
■(冬)日当たりの良い場所で日光と寒風にさらす
園芸用のプラスチック容器やビニールシートなどの上に土を広げ、日当たりの良い場所に1週間ほど置いておきます。できるだけ薄く平らに広げましょう。スペースがない場合は、途中で上下の土を入れ替えます。ベランダでは土の飛散に注意。

■(夏)黒いビニール袋に土を入れて殺菌
土を黒いビニール袋に入れて霧吹きで水分をたっぷり与え、上下まんべんなく日に当てます。土を高温にして殺菌するため、日当たりの悪い場所では意味がありません。

■(冬・夏)熱湯をかける
土にまんべんなく熱湯をかけて殺菌します。スペースがあまりない場合などにもおすすめ。火傷や容器の変形に注意してください。

4.肥料などを混ぜて完成!

殺菌が終わった土に肥料や腐葉土などをまぜて1週間ほど寝かし、使える状態にしましょう。酸性を嫌う植物を植える場合は、苦土石灰などを混ぜて1~2週間置いておきます。

腐葉土などを混ぜる代わりに、土の再生材(リサイクル材)を混ぜると簡単です。
商品によってさまざまな原料が配合されていますが、基本は土壌微生物を増やして活性化し有機物の働きで土の団粒化を助けるしくみです。

土を再生するときに注意すること

・虫が残らないようにする
・連作障害に注意する
・未発酵の枯葉などは混ぜない
・雑草の種を残さない

こんな場合はあきらめて処分

虫は取り除けば土を再生できますが、病気には注意が必要。
前に植えていた植物が病気にかかっていたという場合は、土も処分して新しいものにしたほうが安全です。特に、ウイルス性の病気やカビによる病気にかかったものは、次に植えた植物も病気にかかる可能性が大。植物と一緒に土も処分しましょう。

植え替えをしない鉢の土をそのまま使いたい時

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小さな熊手などを使って土の上部を軽く耕し、土の再生材や腐葉土などをすき込みましょう。これだけでも土の状態はかなり変わってきます。しばらく植え替えずに育てる植物は、毎年冬の間にやっておくといいですね。

水やりをしたときに水分のしみ込みや流出が悪くなってきた土は、団粒構造がすでに失われている可能性があります。その場合は、適期に植え替えを行って新しい土に取り換えてあげましょう。

庭の土も再生させたほうがいい?

プランターなどと異なり、庭の土を取り替えることはあまりないのでは?
地植えの場合も土がだんだん固くなってくることはあります。土を良い状態に保つために自然の力も借りましょう。腐葉土をすき込み、ミミズなどが住める状態になっていると、土は良い状態を保てます。

季節ごとに植物を植え替えたり家庭菜園に使う場合は、「天地返し」を行います。
天地返しとは土の上と下を入れ替える作業のこと。土を30cmほど掘り起こして2週間ほど天日にさらします。苦土石灰や堆肥、腐葉土などを混ぜて2週間ほど経ったら新しい植物を植えられます。

ただ、病気にかかった植物がある場合は土を取り替えなければならないことも。病気の植物を掘り起こして処分し、病気に適応した薬剤で土を消毒してください。

春花壇の準備は冬の間にやっておこう

寒いと庭仕事は後回しにしてしまいがちですが、店頭に春の花の苗が並び始めてから土の改良をしていたのでは大忙し。植えるタイミングも遅くなってしまいます。できることは冬のうちにやっておきましょう。