ハーブのある生活を楽しもう!身近なハーブの効能とおすすめの使い方

ヨーロッパでは中世より薬としても用いられてきたハーブ。なんとなく育てているけれどあまり使っていないという人も多いのでは?今回は、手に入りやすいハーブの効能と使い方などをご紹介します。ぜひ生活の中で役立ててくださいね。

意外と知らないハーブのこと…

ハーブとは?

ハーブとはラテン語のHerba(ヘルバ)からきている言葉。人間にとって役に立つ草の総称です。薬や料理に使う香辛料、香料のほか、保存料や防虫薬などさまざまな形で生活に使われます。ハーブと似ていますが、コショウや山椒など実や根を使うものはスパイスと呼んでいます。

ハーブと言えば、料理やハーブティーに使うものを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。香辛料として使われるハーブは、料理をよりおいしくしてくれますよね。味に深みを出すだけでなく、使用することで食材を傷みにくくする役割を持つハーブも。

ハーブはさまざまな効能を持つことが知られています。ハーブティーやアロマオイルは、体調や精神のバランスを整えたり、リラックスしたりというときに役立つのはよく知られています。ハーブによってどのような効能があるのか知っておくと、目的によって使い分けることができます。

ハーブの歴史

ハーブの歴史は古く、古代エジプトではミイラの防腐剤としても用いられていました。また、古代ギリシャでも薬草として使用され、医学の祖として知られるヒポクラテスもハーブを処方していたといわれています。中国で発展した漢方薬も大きく見ればハーブの一種。ハーブは、古代からいろいろな地域で薬草として用いられていたことがわかります。

中世のヨーロッパでは、修道院でハーブが栽培されていました。さまざまな疫病が流行っていたこともあり、修道士によって薬草として用いられていたのです。これがハーブガーデンの始まりです。

やがて、19世紀になって科学の進歩とともに薬学が発展すると、ハーブは民間療法として引き継がれることになります。現在は、ハーブのさまざまな有効成分が研究され、その薬理効果なども明らかになっています。料理に用いるだけでなく、おだやかに体や心に働きかけ生活を豊かにしてくれる植物としてハーブの役割が見直されています。

バジルの効能と使い方

バジルの効能

甘くてスパイシーな香りを持つバジル。イタリア料理には欠かせない香味野菜です。毎年バジルの種をまいて育てているという人も多いのではないでしょうか。

バジルの葉を乾燥させたバジルティーには、自律神経の働きを整え、ホルモンバランスの乱れによるイライラを解消するなどの効能があります。そのため更年期にもおすすめ。消化促進作用があり、胃腸が弱い人にも向いています。
また、すっきりとしたバジルの香りは、仕事などで疲れたときの気分転換にも役立ちます。そのほか、バジルには抗菌作用、鎮痙作用なども。片頭痛や不眠症、アレルギー、うつ病などを改善する効果も期待できるといわれています。

バジルの使い方

料理にはフレッシュのまま使います。トマトと相性が良く、パスタやピザに使われることが多いですよね。豚肉とともに炒めてもおいしいものです。トマトとフレッシュモッツァレラチーズとともにいただくサラダ、カプレーゼにも。

保存する場合は、バジルペーストにして冷凍保存しましょう。よく水気を取った葉をオリーブオイルとともにフードカッターなどですりつぶしながら混ぜると簡単に作れます。

ハーブティーとして用いる時は、乾燥させた葉を使用します。バジル単品ではなく、ブレンドするのがおすすめ。ミントやローズヒップなどとブレンドしてみましょう。

ラベンダーの効能と使い方

ラベンダーの効能

ガーデニングでも人気のあるラベンダー。シソ科の常緑性低木です。イングリッシュ・ラベンダーとフレンチ・ラベンダーがあり、どちらもすっきりとした染み入るような花の香りが特徴。産地はプロバンスやタスマニアなどが有名です。ラベンダーは香水やせっけん、ボディケア用品、化粧品などの香り付けにも用いられます。香りが良いだけでなく、精油は虫刺されや小さなやけどの治療にも役立ちます。

緊張をやわらげてリラックスさせてくれるラベンダーの香りは、ゆっくり休みたいときにおすすめです。緊張や不安でなかなか眠れないときなどに香りをかぐと気分が落ち着いてリラックスでき、ポプリを枕もとに置いておくと安眠できると言われています。ラベンダーには殺菌・防虫作用もあるため、ポプリはクローゼットに置いておくと香りを楽しめるだけでなく虫よけにもなります。

花を乾燥させたハーブティーには、鎮静作用や鎮痙作用などがあります。気持ちを落ち着かせたいときや神経性の片頭痛、消化不良などにどうぞ。

ラベンダーの使い方

ラベンダーはどの品種も良い香りがありますが、特に香りを楽しむのに向いている品種は、イングリッシュラベンダーやスパイクラベンダー、ラバンディンです。

ラベンダーのハーブティーは、乾燥させた花の部分を使います。かなり香りが強いので、少量をレモンバームやミントとブレンドするとよいでしょう。
ポプリとして使う場合は、蕾のうちに収穫し、日陰でよく乾燥させて使用します。

ローズマリーの効能と使い方

ローズマリーの効能

ガーデン用のグリーンとしても人気のあるローズマリー。シソ科の常緑性低木で、立ち性とほふく性の樹形があり淡い紫色の花が咲きます。葉や茎に強い香りがあり、肉料理などによく使われます。

ローズマリーの香りには、殺菌作用や強壮作用、血行促進作用などがあることが知られています。空気を浄化する作用があるといわれ、中世から薬用にも用いられてきました。また、心身の疲労を取り集中力・記憶力を高めるため、テスト前や物覚えをよくしたいときにもおすすめ。ローズマリーの精油は、頭を活性化し眠気を覚ましてくれます。

ハーブティーには美容効果もあるそう。「若返りのハーブ」ともいわれています。収れん作用などがあるので化粧品やリンスなどにも使用されています。

ローズマリーの使い方

ローズマリーはフレッシュでもドライでも利用できますが、庭や鉢植えで育てて使用するたびに摘み取るとよいでしょう。肉料理や野菜料理、クッキーなどのお菓子にも。
ローズマリーのハーブティーは、香りが強いわりに味はソフト。ラベンダーやレモンバームとブレンドすると、疲労を回復し気持ちを明るくしてくれます。

レモンバームの効能と使い方

レモンバームの効能

レモンの皮をむいた時のような爽やかな香りのレモンバーム。レモンを少し甘くしたような香りですが、レモンのような酸味はありません。そのため、ハーブティーのブレンドにもおすすめのハーブです。

レモンバームには消化を促進し食欲をわかせる効能があります。鎮静・鎮痛作用、強壮作用などがあり、消化器の不調を改善し、夏バテ予防にも効果的。爽やかなレモンのような香りは、心身をリラックスさせうつ病を改善するとして古くから用いられてきたそうです。ハーブティーにすると、すっきり明るい気分にしてくれます。

レモンバームの使い方

レモンバームはハーブティーにするのがおすすめ。どんなハーブとも合いますが、特にミントとブレンドすると爽やかさが引き立ちます。ハーブティーにするのはドライでもフレッシュでも。
フレッシュで使用するときは、摘みたてのハーブをそのままガラス製または陶器製のティーポットに詰め、沸かしたてのお湯を注ぎます。お湯が淡い色になったらハーブティーの出来上がり。そのまま置いておかずに、すぐにカップに注ぎましょう。好みではちみつなどを添えて。

レモンバームは料理にレモンの香りをつけたいけれど、酸味はいらないというときに利用できます。ドレッシングやお菓子にも使いやすいハーブです。

タイムの効能と使い方

タイムの効能

香りの芝生として利用できるタイム。初夏に淡い紫色の花が咲きます。コモンタイムやレモンタイムなどさまざまな品種があり、グランドカバーとしても優秀です。

タイムには殺菌作用や防腐作用があるため、ソーセージなどの保存食に利用されます。脂肪分の消化を助ける働きがあり、肉や魚料理とも相性が良く、シチューなどの煮込み料理にも使われます。料理によく使われるのは、すがすがしい強い香りがするコモンタイム。煮込んでも香りが変わりません。

ハーブティーには殺菌・消毒作用などがあり、のどの痛みがある風邪のひき始めなどにもよいとされます。疲労回復や消化促進、食欲増進などの効果も期待できます。

タイムの使い方

料理に使う時は、小枝を少しだけで十分。香りが強く、煮込んでも香りが飛ばないので使いすぎないようにしましょう。セージ、パセリ、ローズマリーなどと一緒に束ねるとブーケガルニになります。
ドライのハーブティーはかなり香りが強いので、フレッシュで使ったほうが飲みやすくなります。他のハーブとのブレンドがおすすめです。

ミントの効能と使い方

ミントの効能

一株植えると、あっという間に庭中に広がるミント。シソ科ハッカ属の多年草です。清涼感のある香りと使いやすさから育てている人も多いのでは?歯磨きやガムなど暮らしの中のさまざまなものに利用されています。
ミントにはペパーミントやスペアミント、ペニーロイヤルミントなどさまざまな品種があります。日本に自生するハッカもミントの一種です。ただ、何種類か育てているとすぐに交雑してしまうことも。

ミントは消化促進作用や殺菌作用、防虫作用などさまざまな効能が知られ、湿布薬など医薬品としても利用されています。
ミントの香りにはイライラを鎮め気持ちを穏やかにする作用があります。ハーブティーは食べ過ぎたときにもおすすめです。

さまざまな品種があるミントですが、ハーブティーなどとして最も使いやすいのがスペアミントやリンゴのような香りがするアップルミント。ペパーミントよりも甘みがあるので、料理やティーに使う場合はこれらの品種を選んで育てましょう。
ペニーロイヤルミントは虫よけになりますが、食用には不向きです。

ミントの使い方

デザートに一枝添えると、たちまちおしゃれな雰囲気になる便利なハーブ。料理やお菓子作りにはスペアミントを、ハーブティーにはスペアミントやアップルミントを使います。他のハーブとブレンドしやすいので、好みの組み合わせを探してみるのも楽しいもの。

ミントとライムを使った冷たい飲み物”モヒート”には、フレッシュなスペアミントの葉を使いましょう。ラム酒を加えずに炭酸水とライム、ミントを組み合わせたモヒート風ドリンクは、暑い日におすすめです。
庭に植えておくと、ふとした瞬間に優しい香りが漂ってくるハーブ。丈夫で育てやすいハーブは、ナチュラルガーデンを彩るグリーンとしても優秀です。せっかくですから育てているハーブの効能を知り、生活の中で役立ててみましょう。
ただ、ローズマリーなど妊娠中の人には向かないハーブもあります。ハーブティーを飲むときは量に気をつけ体調に注意してください。