バラと庭の祭典!第19回 国際バラとガーデニングショウ その3

第19回 国際バラとガーデニングショウの報告第3弾は、このショウのメインテーマである「バラ」を中心にお届けします。バラの新品種やバラを使った展示、バラの歴史のほか、ハンギングバスケットコンテストの様子や多肉植物のかわいらしい使い方などもご紹介します。

会場入り口付近から多くのショップが並び、ガーデニングショウの雰囲気を盛り上げる中、会場に入るとバラ、バラ、バラ。ガーデニングのすばらしい展示とバラの香りや色に包まれる空間は特別なもの。バラの種苗会社による苗の販売も盛況で、好みのバラを買い求める人の長い列も。
国際バラとガーデニングショウの取材その3は、モダンローズの歴史や2017年の新作バラのほか、高度なテクニックを駆使したハンギングバスケットコンテストやバラを使った展示、バラに合わせるおすすめの植物や今回特に目についた多肉植物の可愛い使い方などをご紹介します!

モダンローズ150年の歴史

バラの歴史を見ることができるバラのタイムトンネル
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
バラの歴史を振り返ることができる「バラのタイムトンネル」。全長20mのモダンローズのトンネルを通り抜けることができます。トンネル内には、1867年誕生の「ラ・フランス」から年代順に各年代の代表的なバラが展示されていました。こぼれるように咲くバラで埋め尽くされた空間は圧巻!バラの香りと美しい色に包まれていました。

ラ・フランス 1867年
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
モダンローズ第1号の「ラ・フランス」。ここからモダンローズの時代が始まったと言われています。それまでほとんどのバラが一季咲きだったのに対し、フランスのギヨーによって生み出された「ラ・フランス」は四季咲きで樹形は木立性という画期的なもの。ダマスクの芳香の、花壇によく似合うバラです。

レディ・メアリー・フィッツウィリアム 1882年
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
華やかな大輪で結実しやすく、人工交配の親として知られるレディ・メアリー・フィッツウィリアム。ハイブリッド・ティーローズの発展を支えたバラです。

ニュー・ドーン 1930年
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
「新しい夜明け」という意味のニュー・ドーン。耐病性のある強健種で、中大輪のつるバラの原点ともいえるバラです。育種の素材としても知られています。

ピース 1945年
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
第二次世界大戦 終戦の年である1945年に発表されたピース。平和を願って名付けられました。フランスの育種家によって作出された、本格的な巨大輪の先駆けとなった品種です。交配親としても利用されています。

アイスバーグ 1958年
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
1958年に発表されたアイスバーグ。今なお人気の高い、純白の名品種です。つるアイスバーグなどもあります。純白の可憐な花がよく咲き、丈夫なのも魅力です。

グラハム・トーマス 1983年
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
黄色の花弁にティーの香りが特徴のグラハム・トーマス。1983年作出のイングリッシュローズを代表するバラです。丈夫で育成旺盛なので育てやすい品種としても知られています。

ピエール・ドゥ・ロンサール 1988年
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
1988年に発表されたピエール・ドゥ・ロンサールは、こぼれるように咲くカップ咲きの美しいバラ。オールドローズのような雰囲気の優雅な花姿が魅力の品種です。日本で一番売れているバラだそう。

シェエラザード 2013年
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
日本のバラ育種家によって2013年に発表されたシェエラザード。先がとがった波打つ花弁、濃いピンク色の花色が美しい品種です。フランスでも販売されています。

2017年春の新品種 ベスト10

バラの専門誌『New Roses』編集長の玉置一裕さんが選んだ、2017年春の新品種イチオシのバラ10種です。
気になるバラのトレンド、海外では「育てやすさ」「華麗さ」が重視されるそう。日本で発表されるのは数年の試作を重ねてから。それに対し、日本のバラは花も木も繊細だとか。海外・日本ともに「香り」が重視される点は共通だそうです。

パオロ ペイローネ ジャルディニエレ (イタリア/バルニ)
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
中輪の花、コンパクトなシュラブで耐病性が強いパオロ ペイローネ ジャルディニエレ。花はレモンイエロー~アプリコットの優しい印象のバラです。

メルヘンツァウバー (ドイツ/コルデス)
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
メルヘンツァウバーは丸弁カップ~ロゼット咲きの中大輪の花が印象的。ソフトなアプリコット色がかったピンクのバラで、フルーティーな香りがあります。耐病性、大暑性、耐寒性が高い育てやすい品種。横張りの木立性の樹形です。

ウィリアム クリスティ 2015(フランス/ギヨー)
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
中輪ロゼット咲きのウィリアム クリスティ 2015。フリルのように花弁が重なった華やかなバラです。横張りで半つる性のシュラブ樹形で、芳香があります。

パルファン ダムール(日本/河合伸志)
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
フルーティーなダマスク香が特徴のパルファン ダムール。中輪の花は、咲き始めはバラ色、やがて紫色がかったピンクに変わっていきます。樹形はコンパクトな木立性、波状弁カップ咲きで花つきが良い華やかなバラです。

ニンファ(日本/バラの家 ロサ オリエンティス)
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
やわらかなオフホワイトに淡いピンク、クリーム色が混ざった色合いのバラ、ニンファ。中輪~中大輪の丸弁咲きのバラで、ティーと青りんごの芳香があります。高めの木立性で、晩秋までよく咲き育てやすい品種です。

恋結び(日本/京成バラ園芸)
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
長い花首の先に丸弁高芯咲きの大輪花がつく恋結び。高さ1.2mほどの木立性で枝にとげが少ないバラです。芳香はフルーティー~スパイシー。

フィネス(日本/京阪園芸F&Gローズ「ローズ アロマティーク」)
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
始めはバーガンディ色、やがてパープル系のトーンに変化するフィネス。四季咲きで、さわやかな香りにダマスク香が溶け込んだ芳香を持つ中大輪のバラです。木立性で広がるように生育します。

レヨン ドゥ ソレイユ(フランス/メイアン)
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
レヨン ドゥ ソレイユは、花つき・花もちの良い中輪の修景バラ。大暑性、耐寒性、耐病性に優れ、繰り返しよく咲く優秀な品種です。国際コンクールでもさまざまな賞を受賞しています。

シャルム(日本/河本バラ園)
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
優しいラベンダートーンのピンク色の四季咲き中輪バラ、シャルム。ダマスクとミルラが調和した甘い香りがあります。樹高0.9~1.3mほどのシュラブで育てやすいバラです。

ピンク パラダイス(フランス/デルバール)
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
花弁の底や裏側が淡い黄色、全体は華やかなピンク色のピンク パラダイス。ハーブとローズの芳香を持ち、繰り返しよく咲きます。コンパクトな木立性で耐病性が強く、ADR(耐病性、耐寒性が高いバラを認定する賞)などさまざまな賞を受賞しています。

フランス流・バラの素敵な魅せ方

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
バラにクレマチスやライラック、アジサイ、ピオニーなどを合わせて種類ごとにディスプレイ。全体を淡いピンク~ローズピンク、紫、水色、白でまとめてロマンチックな空間になっています。
古いレンガやアンティークのテーブルに合わせるのは、やはりアンティークの風合いのあるものたち。ガラスやブリキ、木の素材でできた器やピンなどを組み合わせています。かごも田舎風にしたいときに欠かせないアイテム。フレンチスタイルはナチュラルなガーデンにもよく似合います。

バラの花は豪華に魅せるのも得意ですが、アンティークの器や雑貨などに合わせるのも素敵です。庭で摘んできたようなナチュラルな草花と合わせたり、一種類ずつ器にまとめて並べてみたり。
フレンチスタイルの飾り方、たくさん咲いたバラを室内に生けるときの参考にしてみてください。

バラと合わせるのにおすすめの植物は?

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
バラと合わせたい宿根草、多くのガーデンで使われていたのがジギタリス。イングリッシュガーデンには欠かせない宿根草です。ボーダー花壇の主役にもなるジギタリスは王道といった感じでしょうか。その他、クレマチスとつるバラの組み合わせも人気です。
ジギタリスと似た形状の花がデルフィニューム。ブルーや紫色の花がガーデンに華やかさを出してくれます。同じく、淡い紫色の花が美しいカンパニュラもおすすめです。どちらも暑さに弱いので、蒸れないように注意しましょう。
高さを出せるコモン・マロウ(ウスベニアオイ)もイングリッシュガーデンにはよく使われていますね。

バラと合わせたいのは花だけではありません。むしろ、葉が美しい植物のほうがバラの美しさを引き立ててくれることもあります。
人気があるのは、ホスタ(ギボウシ)やヒューケラ(ツボサンゴ)、ラミウムなど。さまざまな葉色の品種があるので、花のない時期も庭に変化をつけることができます。ふわふわの毛が触り心地の良いシルバーリーフ、ヘリクリサムやラムズイヤーもおすすめです。

繊細な草花もバラの庭には人気があります。優しい印象にしたいときは、オルラヤや矢車菊、ニゲラ、リナリアなど風にそよぐ姿が楽しめる植物がおすすめ。足元を埋めるタイムや、高さを出せるローズマリー、ラベンダーなどのハーブを組み合わせてもよいでしょう。

ボリュームたっぷり!ハンギングバスケットコンテストより

今年の大賞を取った作品
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

最優秀賞の作品
via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
ハンギングバスケットコンテストはどれも力作ぞろい。大人っぽいシックな色合いのハンギングが目立ちました。
大賞になった作品は、アジサイやアスチルベなどが生える自然の風景をぎゅっと凝縮したようなハンギング。高度なテクニックで、ボリュームたっぷりのハンギングバスケットにまとめていました。
最優秀賞の壁掛け式のハンギングバスケットは、イエロー系の色合いがとても美しいもの。周囲を多肉植物がぐるりと囲んだ、装飾性の高いハンギングバスケットです。
他にも、色彩や使用する植物の種類、背景などに工夫を凝らしたさまざまなハンギングバスケットが並んでいました。

多肉植物の可愛すぎる使い方

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ

via 第19回 国際バラとガーデニングショウ
国際バラとガーデニングショウで、バラ以外で目を引いたのが多肉植物を使った展示。どんなところにも植えられる多肉植物は、庭やベランダを装飾するのにとても重宝な植物なんです。花壇の植え込みとして使ったり、小さなオブジェとして使ったり。水やりしにくい場所に植えても工夫次第でしっかり育ってくれる多肉植物。多用したくなるのは、その色合いの美しさと形の可愛さにもあるようです。

多肉植物を窓辺のプランターボックスやドアにかけたリースに使ったコンテストガーデンも。全体を形・色とりどりの多肉植物でまとめているため、とても変化に富んでにぎやかな印象でした。全体を多肉植物でまとめるのはハードルが高いかもしれませんが、一部分に使ってみるのもよさそうですね。

一方、多肉植物を使ったミニチュアサイズのオブジェも。多肉植物の特徴をうまく使い、ワインのコルク栓や壁掛けなどにアレンジした可愛い作品がたくさん並んでいました。
第19回 国際バラとガーデニングショウでは、他にも鉢植えのバラやバラの盆栽、バラの切り花などのコンテストも行われます。バラと竹の巨大生け花なども会場を飾っていました。
このガーデニングショウは、バラの苗をはじめさまざまなグッズを買うことができるのも楽しみのひとつ。みなさん目的のバラの苗などを購入していました。私も、ついバラの苗を購入してしまい、さてどこに植えようか…と考え中。当分鉢植えで楽しむことになりそうです。
毎年開催される国際バラとガーデニングショウ、来年の開催も楽しみですね。