タネから育てるハーブ栽培 ナスタチウムを育ててみよう

タネからハーブを育ててみませんか?今回は初心者でも発芽させるのに失敗が少ないナスタチウムの栽培方法をご紹介します。初夏から秋まで鮮やかな花を咲かせるナスタチウムは、食用のハーブとしても、花壇やコンテナ、ハンギングバスケットを彩る花としても、野菜づくりのコンパニオンプランツとしてもおすすめの植物ですよ。

ナスタチウムとはどんな植物?

花が美しいハーブとして人気のナスタチウムを育ててみませんか?

赤やオレンジ、黄色など鮮やかな色の花をつけるナスタチウムは、中南米原産のノウゼンハレン科(Tropaeolum)の1年草のツル性植物。16世紀にスペインの植物学者によってヨーロッパにもたらされました。味がクレソンに似ているためなのかナスタチウム(Nasturtium)という名前は、実は元々はクレソンの属名だったのです。

日本には、江戸時代の末期に入ってきました。金色の花とハスに似ている葉を持つことから金蓮花(キンレンカ)とか花がノウゼンカズラに似ていることからノウゼンハレンとも呼ばれています。

草丈は品種により異なりますが30cm~3m、最近はコンパクトにまとまる矮性品種がよく出回っているようです。花色は赤・オレンジ・黄色・サーモンピンクなどの明るい色で一重咲きのほか八重咲きや万重咲きの品種もあります。また葉に斑の入る品種もありますよ。さまざまな品種から好みのものを選びましょう。

ナスタチウムのタネをまいてみよう

ガーデニング初心者の方にとって植物をタネから育てることは少しハードルが高いかもしれません。タネが小さすぎて水をあげると流れてしまったり、なかなか発芽しなかったりすることも少なくないからです。しかし、ナスタチウムのタネは発芽率が抜群に高いんです!その上、発芽した芽も大きいので、育てやすく、初めてハーブを栽培する方でも失敗することはまずありません。

そうは言っても闇雲にタネを蒔いてもいいというものではありません。タネを蒔くにあたっては次の点に注意してくださいね。

・タネの発芽適温は15℃~20℃です。
お住いの地域によって多少のズレはありますが、だいたい4月から5月にかけてと9月が蒔き時です。春植えの場合は2~3ヶ月で花が咲き、秋植えの場合は冬越しをして翌年の初夏に花をつけます。気温をチェックして遅霜の心配が無くなったら蒔きましょう。

・タネは蒔く前に一晩水に浸しましょう。
ナスタチウムのタネは外側にある薄皮がコルクのようになっていてとても硬いので、一晩水に浸して薄皮を柔らかくしてむきます。なお、市販のタネには予め薄皮をむいているのもあるので、その場合はそのまま蒔きます。

・タネは庭や鉢に直に蒔きます。
ナスタチウムは移植を嫌います。庭や鉢に直接タネを蒔きましょう。蒔く深さは1.5cmほど。日当たりと水はけが良い場所で赤玉土と腐葉土の割合が6:4の用土に緩効性化成肥料を混ぜて植え付けます。

ナスタチウムの育て方のポイントは?

ナスタチウムはとても丈夫なハーブで、栽培自体はそんなに難しいものではありません。育て方のポイントをまとめましたのでご覧ください。

・発芽して本葉が4枚以上出てきたら摘心しましょう。
摘心とは株の頂点にある芽を摘むことです。こうすることにより脇から新しい芽が出てきて枝数が増え株のボリュームが増します。

・過湿が苦手なのでほかの植物よりやや乾燥気味に管理しましょう。
水は土の表面が乾いてからたっぷりとあげてください。過湿状態で育てるとひょろひょろとした茎が生えてきたり、葉っぱばかり茂って花がなかなか咲かなかったりしますよ。

・肥料は植え付けの時に元肥として土に混ぜておけば特に追加して与える必要はありません。
与えすぎると花付きが悪くなったり、葉っぱばかり茂ります。特に窒素分の多い肥料は控えてください。与えるとしても花の時期に薄い液肥を2週間に1度程度にしましょう。ただし高温時は与えないように。

・暑さが苦手なので真夏になる前に草丈の半分まで切り戻しましょう。
鉢植えであれば風通しのよい明るい日陰に移動させるなどなるべく涼しい場所で夏越しをさせましょう。うまく夏が越せれば秋に再び花を付けてくれますよ。

・ハダニとナメクジが付きやすいので注意しましょう。
ハダニは葉の裏側に付きます。発生すると葉に小さな白いスポットができるので、見つけたら水やりの際に葉の裏側まで水をかけたり集中的に霧吹きで水を吹きかけると駆除できますよ。ナメクジは見つけ次第捕獲しましょう。被害が大きい場合は薬剤散布で対処しますが、食用として用いたいのであればなるべく農薬は使いたくないところ。早めに対処しましょう。

・咲き終わった花や枯れた葉は早めに摘み取りましょう。
ナスタチウムはタネができやすいのです。タネができると栄養が取られるので収穫する予定が無いのであれば花が咲き終わったら早めに摘み取ります。また枯れた葉も放っておくと蒸れて体力を消耗したり病気や害虫の原因となるので取り除きます。枯れた下葉は取って風通しを良くしましょう。

ナスタチウムの花を楽しもう

明るい色のナスタチウムの花は、エディブルフラワー(食用の花)として利用できるほかに花壇やプランターでもとても人目を引きます。ほかの植物と寄せ植えにしてハンギングバスケットや玄関前のコーナーなどに飾るととても素敵なんです。

花の時期は、4月下旬から7月まで。暑さに弱いので真夏は花が休みますが、上手に夏越しをすれば涼しくなってくる9月の中旬から11月上旬ぐらいまで再び花が楽しめます。春にタネを撒けば6月頃ぐらいから花が咲き出します。

咲いた花をさり気なくグラスにいけてもカワイイですよ。

コンパニオンプランツとしてのナスタチウム

食べてもよし、鑑賞してもよしのナスタチウムですが、実はコンパニオンプランツとしてもよく知られています。コンパニオンプランツとは、野菜や花と一緒に植えると良い影響がある植物のことです。対象植物の病害虫からの被害を少なくしてくれたり成長を促進してくれたり味をよくしたりしてくれるのです。

ナスタチウムは野菜やバラなどのアブラムシ除けとしてよく使われます。これにはナスタチウム自体がアブラムシの天敵であるテントウムシを呼び寄せることもプラスの要因とされるのでしょう。またナスタチウムは、アリや面倒なコナジラミ、カメムシなどにも効果があるとされています。

ナスタチウムを一緒に植えるとよい植物は、キャベツ・ラディッシュ・トマト・ピーマン・ナス・ブロッコリー・リンゴ・バラなどです。

またナスタチウムは、ナメクジやカタツムリを引き寄せるためにイチゴなどのトラッププランツ(自分が害虫のおとりになってほかの植物を守る植物)にもなります。

なおコンパニオンプランツによる効果は完璧なものではありません。あくまでも被害にあいずらくするというレベルなので、必要に応じて他の手立ても講じてください。

ナスタチウムを収穫してみよう

エディブルフラワーとしてよく使われるナスタチウム。実は花だけでなく蕾や若葉に種子も食べることができるんです。どの部所もクレソンに似た辛さがあります。株が大きくなって花が咲き出したらさっそく収穫してみましょう。

クレソンのようなピリッとした辛味は肉料理の付け合せにいいですよ。また花はスイーツなどの飾りにもよく用いられます。

ナスタチウムのおすすめレシピをご紹介しましょう。

ナスタチウムのサラダ

ベビーリーフなどを使ったサラダにナスタチウムの花や葉を加えると目にも鮮やかなサラダに早変わり。ビタミンCや鉄分も豊富なので栄養的にもいいですよ。

ナスタチウムを使ったサンドイッチ

お好みのサンドイッチにナスタチウムの葉をはさみ、花をサイドに盛り付けるととてもオシャレな感じに。苦味のあるナスタチウムの葉が程よい味のアクセントになりますよ。

ナスタチウムのピクルス

ナスタチウムの種子と蕾はピクルスにおすすめです。作り方は以下の通り。

① ピクルスの液を作ります。私は酢と水と砂糖の割合を5:3:1程度にし、それに塩と白ワインと塩少々にローリエとブラックペッパー(ホール)を少々加え煮立てます。配合はお好みにより加減してください。

② 種子と蕾を綺麗に洗い、種子は軽く湯通しします。

③ 煮沸した瓶に種子・蕾の順に入れて、上から静かにピクルスの液を注ぎ込みます。

④ フタをして冷蔵庫に保存します。

翌日以降、漬かり具合を確認して食べ頃になったら食卓へ出します。

ナスタチウムティー

用いるのはナスタチウムの葉を適量、花を数輪、ミントの葉を適量です。ナスタチウムとミントの割合は1:1で。

① よく洗ったナスタチウムの葉とミントの葉を、水気を切って細く刻んでティーポットに入れます。

② 熱湯を入れて待つこと4~5分。

③ カップに花を入れて上からナスタチウムティーを注ぎます。

④ お好みではちみつを加えます。

ミントを入れることによりスッキリとした味になり飲みやすくなります。ナスタチウムには去痰作用と抗菌作用とがあり、さらにビタミンCも豊富なので風邪をひいた時におすすめですよ。
また利尿作用もあるので体の浮腫みにもいいですよ。

明るい色のナスタチウムは花壇でもキッチンガーデンでもよく映える

いかがですか?

美しいナスタチウムの花は見ていると明るく元気な気持ちにしてくれますね。栽培が簡単で鑑賞にも食用にもよく、バラや野菜作りのコンパニオンプランツとしても役に立つナスタチウムを育ててみませんか?