タネから育てるハーブ栽培 オレガノを育ててみよう

トマト料理や煮込み料理、肉や魚の臭み消しにと古くからスパイスとして使われてきたオレガノは、すっきりとした香りと美しい花をが魅力のハーブです。栽培もとても簡単。これからがタネまきの適期です。育ててみませんか?

オレガノとはどんなハーブ?

タネから育てるハーブ栽培、今回は地中海沿岸が原産のシソ科の多年草オレガノをご紹介します。オレガノといえばすっきりとした香りが魅力のハーブですよね。日本では「ハナハッカ」とも呼ばれる植物です。古くからスパイスとして、薬用植物として用いられてきた人気のハーブです。

オレガノの歴史

人々とオレガノとの関わりはとても古いんです。

古代ギリシャでは女神アフロディーテが創り出したスパイスとされ、人々に幸福感を与えるものとしてもてはやされました。オレガノという名前もギリシャ語で「山の喜び」という意味なんです。この時代には結婚式で幸福のシンボルとしてオレガノの花冠が用いられたり、薬用植物としてさまざまな病気に処方されました。

その後ギリシャを征服したローマ人たちによってオレガノは飲用やスパイスとしてヨーロッパおよび北アフリカに広まります。このころから肉や魚の臭み消しやワインの香り付けとして用いるようになりました。

中世に入るとスパイスロードを通って中東や東洋にまで伝わり、その後、世界中に広がりました。

オレガノの効果

もともとオレガノは薬用植物として古代ギリシャ時代から中世にかけて頻繁に使われていました。

最初は消毒剤として使われだしたオレガノですが、中世ヨーロッパではリウマチ、歯痛、消化不良の治療薬としてや鎮咳薬として用いられました。またスパイスロードを通って運ばれた先の中国では発熱、嘔吐、下痢、黄疸、かゆみを和らげるために医師が処方していたとの記録があります。

オレガノの健康上の効果は次の通りです。ただし妊娠中の方は使用を最小限にしてください。またアレルギー体質の方も使用には注意してください。

・耐性を高める ・・・ 強力な抗酸化化合物であるロスマリン酸とチモールがフリーラジカルによる体内の酸化を減らします。

・解毒作用 ・・・ マンガン、カルシウム、鉄分、ビタミンK、繊維といった有機化合物が肝機能を高め、毒素排泄のプロセスを促進します。

・抗菌作用 ・・・ チモールやカルバクロールといった有機化合物が皮膚、腸、および身体の他の部分の細菌から体を防御してくれます。

・エネルギーレベルを高める ・・・ ビタミンB群により代謝の機能が向上します。

・骨の健康改善 ・・・ オレガノにはカルシウム、鉄、マンガンといった骨にとって重要なミネラルを多量に含んでいます。

オレガノの主な品種

現在オレガノにはさまざまな品種がありますが、だいたいオリガヌム類、マヨラナ類、アマラクス類の3つのいずれかに分類されます。

・オリガヌム類 ・・・ 食用と薬用とに使われる一般的なオレガノです。

・マヨラナ類 ・・・ 香りがとても強く一般的にマジョラムと呼ばれているオレガノです。

・アマラクス類 ・・・ 観賞用に改良された花や葉が美しいオレガノです。

手に入れやすい主な品種をあげていきましょう。
<ワイルドマジョラム>

一般的にオレガノと呼ばれているのはワイルドマジョラムのこと。オリガヌム類に属し、葉を乾燥されたものはスパイスとして売られています。花付きがとても良く、香りも強い品種です。
<スイートマジョラム>

スイートマジョラムは甘い香りのするマヨラナ属の代表的な品種です。ワイルドマジョラムとともにスパイスとして有名ですよね。こちらは白い花が咲きます。
<ゴールデンオレガノ>

ゴールデンオレガノはワイルドマジョラムから作った園芸種で、黄色味を帯びた美しい葉色が人気です。草丈が低く、横に広がります。
<オレガノ・ディクタムナス>

オレガノ・ディクタムナスはアマラクス類に属する観賞用の花オレガノです。小さくて丸い葉は綿毛で覆われており、薄いグリーンの萼とピンクの花がかわいいですね。
<ケントビューティー>

観賞用のオレガノといえば最初に浮かぶのがケントビューティーじゃないでしょうか。こちらもアマラクス類に属し、初夏には薄いピンク色の萼がたくさん垂れ下がるとても美しい品種です。

オレガノを栽培してみよう

料理にアロマテラピーに重宝するオレガノがお家に1株あれはいいなと思いませんか?実はオレガノはとても簡単に育てられるんです。育て方のポイントをまとめましたのでご覧ください。

オレガノのタネまきと発芽条件

植物のタネを蒔くにあたって守ってもらいたいことは、発芽に適した温度の時に蒔くことです。そうしないといくら待っても発芽しません。

オレガノのタネの発芽温度は15~20℃。お住いの地域差はありますが、時期としては春、遅霜の心配がなくなった3~5月か秋の9月中旬以降となります。とても細かいタネなので土の表面に指で浅いくぼみを作り、1箇所につき2~3粒を重ならないように蒔きます。その後、軽く土をかぶせてください。

土は水はけがよくて有機質に富んだものがよいでしょう。ハーブ用や野菜用といった市販の培養土を使うと便利ですよ。地植え、鉢植えともに可能です。多年草なので年々大きくなります。鉢植えの場合は株が大きくなったら株分けや植え替えを行ってください。

半日陰でも育ちますが、基本的には日当たりのよい場所を好みます。屋外の日向で育てましょう。暑さ寒さにも比較的強いです。

オレガノの日常の手入れ

オレガノは、基本的にあまり手がかかりません。

水やりは、他のハーブ同様に土の表面が乾いたらたっぷりあげます。多湿を嫌いますのでやや乾燥気味に管理してください。

肥料に関しては植え付け時に土に混ぜ込んであれば、その後特に与える必要はありません。むしろあたえすぎると肝心な香りが薄くなってしまいます。

オレガノの病害虫

オレガノは、病害虫の心配はあまりないハーブです。たまにアブラムシがつく程度なので、見つけたら駆除してください。

また蒸れに弱いので、株が混み合ってくるとカビが発生することがあります。剪定して通気をよくしてください。

オレガノの収穫

株が育ってきて葉がたくさん出てきたら随時収穫ができます。オレガノは、他のハーブと違って花芽を取り除かなくていいです。というのも香りが一番強くなるのが花が咲き始めの頃だからなんです。しかし、そのまま花を咲かしてしまうと香りが薄れてくるので、咲き始めたら茎を5cmくらいになるまで剪定し収穫しましょう。

収穫したオレガノをすぐに使わない場合は乾燥されて保存しましょう。さっと水洗いし、よく水気を切って、室内で干しておくといいですよ。

オレガノを利用してみよう

オレガノは、イタリア料理にメキシコ料理によく使われるスパイスとして有名ですが、それ以外にもさまざまな利用法があります。

いくつかご紹介しましょう。

グランドカバーに

香りのいいオレガノは、ガーデニングの素材としても重宝します。特にゴールデンオレガノのような草丈が低くて匍匐性のある品種は花壇の縁取りやグランドカバーにしても素敵ですよ。

コンパニオンプランツとして

実はオレガノは、コンパニオンプランツとしても使えるんです。

コンパニオンプランツとは、花や野菜と一緒に植えると良い影響がある植物のことです。オレガノは、キュウリ、メロン、カボチャといった蔓性植物と一緒に植えることにより、それらの野菜や果物の風味をよくしてくれるとされています。

美しい花を楽しむ

収穫時に一緒に取ったオレガノの綺麗な花や、花オレガノといわれる観賞用オレガノの萼や花を使ってみましょう。

香りのブーケやドライフラワー、ポプリなどのクラフト作りに利用できます。また食用品種の花ならエディブルフラワーとして食卓を彩ることもできますよ。

ハーブバスもおすすめ

リラックスにはハーブバスがおすすめです。オレガノだけでも、ミントやローズマリーといった他のハーブと一緒にでもOKです。やり方は次の2つの方法があります。

・方法① ・・・ オレガノの葉をよく洗い、やかんに入れて煮詰め、煮詰めた液をお風呂に入れる。
・方法② ・・・ オレガノの葉をよく洗い、茎を紐で結び浴槽に入れ、お風呂にお湯を入れる。葉のクズが気になる場合はネットやガーゼで包んでもみほぐして入れるといい。

またオレガノを使ってバスソルトを手作りしてもいいですね。

やっぱりハーブティーは外せない!

ちょっとスパイシーなオレガノティーはいかがですか?乾燥させたオレガノの葉をポットに入れて熱湯を注ぎ、フタをして3分間待てば出来上がりです。

ちょっと食べすぎた時、風邪をひいた時、何だか落ち着かない時におすすめです。

もちろん料理にも!

イタリア料理やメキシコ料理によく使われるオレガノは、トマトとの相性が抜群です。また肉や魚の臭み消しに、煮込み料理やピザやパスタに加えると一味違った仕上がりになりますよ。

このようにオレガノを乾燥させ細かく刻んだものを瓶に保管しておくと、いつでも使いたい時に利用できて便利ですよ。

オレガノのタネは9月中旬以降が蒔き時

いかがでしたか?
古くから料理や薬用に利用されてきたオレガノは、色々と活用できる葉だけでなく花も美しいハーブです。暑さ寒さに強く栽培も簡単なオレガノをぜひタネから育ててみませんか?