バラの庭を目指して!初めてのバラ栽培 第1回 バラの苗選び

バラ栽培、何だか難しそう・・・そう思っている方も多いと思います。でも実は要点をおさえてやれば、美しい花を咲かすことができるんです! 初めてのバラ栽培でうまくいくかどうかは、苗選びから。おすすめの品種と苗選びのポイントを解説します。

今年こそバラを育ててみませんか!

美しい花や香りで多くの人々を魅了するバラ。バラが咲き乱れる庭はガーデニングをする人にとっては憧れですよね。ところがバラは好きだけど、育てるのが難しそう・・・そう思って諦めていませんか?

実は、私もそうでした。バラは育てにくい植物だと勝手に思っていたのです。でも想像してみてください、お家に美しいバラが咲いている光景を。すごく素敵じゃないですか?

そこで思いきってバラを育て始めました。当時は、ネットもまだ発達してなくて、情報が限られた時代。栽培書を片手に癒やしのバラの庭を夢見ながら試行錯誤してきました。今回から、そんな私の体験から得たバラ栽培のハウツーを、初めてバラを栽培される方向けにシリーズでご紹介しようと思います。

バラ栽培はポイントさえおさえれば、そんなにハードルが高いものではありません。ぜひチャレンジしてみてください。

まず最初に栽培条件を考えましょう

バラはとても品種が多い植物で、その品種の数は数万とも言われています。品種によって好む環境・苦手な環境があります。なので、いくら花が美しくて気に入っていても、これを無視して育てようとするといとも簡単にダメにしてしまいます。私も何度も失敗しました。

これからバラを育てようという方は、まずはご自分の庭やベランダなど育てる場所にあう品種を選ぶことが大事です。

植える場所は?

バラはなるべく日当たりがよく風通しもいい場所がよく育ちます。とはいえ一日中日当たりのいい場所なんて無い方もいらっしゃるでしょう。でも安心してください。全く日陰だと難しいですが、一日のうち4時間以上日が当たればなんとかなりますよ。半日陰でもよく育つ品種もけっこうあるんです。

まずは地植えでも鉢植えでもなるべく条件のいい場所で育てられるようにしましょう。

どんなイメージで咲かせたい?

バラの樹高は、ミニバラのようにコンパクトなものから、2mを超す大きさに育つものまで品種によってさまざま。どの程度の大きさの株になるか調べてから購入したほうがいいですよ。なお鉢植えにした場合は、巨大化する品種でない限りはある程度は大きさを調整できます。限度はありますが・・・

また樹形もこんもりときれいにまとまる木立ち性(ブッシュ ローズ)、フェンスやアーチに這わせて楽しむつる性(クライミング ローズ、またはツルバラ)、木立ち性とつる性の中間タイプでオベリスクやトレリスなどに向くシュラブタイプと大きく分けて3タイプあります。なるべく簡単にという方には、木立ち性のバラをおすすめします。

バラにトゲはつきものだけど

忘れてならないのがトゲです。トゲがあるせいで、他の植物のように不用心には触れません。

しかし、トゲの状態も品種によってかなり異なります。鋭いトゲが枝全体にびっしりなうえに、花茎までトゲだらけのものもあれば、トゲがとても少なくて気にならないものまであるんです。

選ぶ際にどうしても花に目が行きますが、ぜひトゲも確認して、自分が取り扱えるレベルなのかも確認してください。

初めてのバラ栽培におすすめの品種

それでは初めてのバラ栽培におすすめの品種をご紹介していこうと思います。品種を選定するにあたっては、次の点を重視しました。

・育てやすいこと・・・病気に強く、なるべく少しの手間で管理できる品種
・四季咲き性があること・・・春たくさんの花をつける一季咲きも素敵ですが、どうせなら何度も花を見たいから
・花つきがよく美しいこと・・・これは絶対ですよね

私や親しいバラ仲間が育てたことのある品種から上記の条件を満たしたものをご紹介します。

グリーン アイス・・・ミニバラで色の変化が楽しめる

コンパクトでよく咲くバラをお探しならなら「グリーン アイス」がおすすめ!樹高が50cmくらいのミニバラです。最初白で咲いて、徐々にグリーンの色が入ってくるので色の変化も楽しめます。四季を通じてよく花をつけますよ。また気温が低くなるとピンク色が入ってくることも。

病気に強く、耐寒性・耐暑性があり、日照時間が少なくても咲いてくれます。シュラブタイプなので、ハンギングバスケットなどでふんわりと垂らすように育てると素敵ですよ!

ほのかなティーの香りがします。

スイート チャリオット・・・香りがいいミニバラ

とにかくたくさんの花をつける「スイートチャリオット」は、樹高が30~50cmくらいのミニバラです。ポンポン咲きのカワイイ花は、完全四季咲き。咲き始めは濃い目のピンク色で、咲き進むにつれて淡い色になってきます。私は、残念ながら鉢を落としてしまいダメにしてしまいましたが、7年間とてもよく咲いてくれたお気に入りのミニバラです。

病気に強く、耐暑性に優れています。こちらもシュラブタイプなのでふんわりと仕立てるといいですよ。

ミニバラには珍しく、強いダマスク香(いわゆるバラの香り)に少しスパイス系が入った香りがします。

ボレロ・・・白バラを育てるならこれ!

ボレロ

わが家のボレロ
ある園芸店で香りにつられて5年前に購入した「ボレロ」です。樹高は地植えにすると80cmほど。白くて中心部が淡いアプリコット色やピンク色の大輪の花は、上品なロゼット咲き。花数も多く、完全四季咲きです。

こちらも病気に強く、耐暑性があります。耐寒性はあまりないので寒い地域には向かないかもしれません。木立ち性なので樹形が綺麗にまとまります。

香りはとても強く、ダマスクにトロピカルフルーツを混ぜた香りとよく紹介してありますが、わが家ではさらにシトラスが加わります。トゲは多めです。

マルクシャガール・・・絞りの大輪の花をつける品種

マルクシャガール

わが家のマルクシャガール
樹形の美しさに惹かれて購入したフランス・デルバール社の「マルクシャガール」は、年間を通じて絞りの美しい花をよくつけます。咲き始めは写真のように黄色味が濃いカップ咲きですが、咲き進むにつれこの部分は白くなっていきロゼッタ咲きになります。樹高は120cmほど。

同社の「クロードモネ」とよく似ていますが、マルクシャガールの方が花が大きくて、病気にとても強く、樹形が木立ち性でまとまっています。

ティーと桃を混ぜたようなほのかな香りで、わが家のはさらにレモンの香りが加わっています。トゲは多いです。

ヘリテージ・・・美しい花姿が人気のイングリッシュローズ

イングリシュローズ ヘリテージ

わが家のヘリテージ
猛暑の夏も雪が降る冬も20年間、わが家の庭で花をつけてきたイングリッシュローズの「ヘリテージ」も初めてのバラ栽培におすすめの品種です。淡いピンクの花びらを幾重にも重ね、カップ咲きの花はクラシカルな上品さがあり見ていてうっとりとします。花保ちはあまり良くないですが、次々と咲きます。樹高は150cmとちょっと大きめ。

病気に強く、抜群の耐寒性と耐暑性があり、半日陰でもよく咲きます。シュラブタイプなのでオベリスクに這わせると見応えがありますよ。

ミルラ香(スパイスのアニスに似た香り)にフルーツとカーネーション、はちみつの香りをプラスした強い香りがあり、開花すると庭全体に香りが漂います。トゲがとても少ないのもありがたいです。

アンジェラ・・・一面に咲き誇るツルバラ

バラでアーチやフェンス、壁面を飾りたい方におすすめなのが「アンジェラ」です。アンジェラはツルバラの中でも一年を通じて花をつけます。特に初夏は抜群の花つきで、小さなカップ咲きのピンクの花を無数につけます。

病害虫にとても強く、わが家ではほとんど放置していますが順調に育っています。耐暑性・耐暑性ともによく、半日陰でもたくさん花をつけます。つる性で成長スピードが速いので、這わせるアーチやフェンスは最初から用意したほうがいいですよ。

ほのかなティーの香りがあります。難を言えばトゲが多いことでしょうか。

グラハム トーマス・・・美しい黄色のバラ

グラハム トーマス

わが家のグラハム トーマス
明るい黄色が魅力的なイングリッシュローズ「グラハム トーマス」が一株有ればお庭がパッと明るくなりますよ。樹高は180cmほど。成長はゆっくりめで株が充実してくると花つきがよくなります。

耐寒性と耐暑性があり、うどんこ病には強いですが、黒点病にかかることがあるので早めの対処が必要です。半日陰でも花をつけてくれます。樹形はシュラブタイプ。トレリスを使って誘引するといいですよ。

ティーの香りがして、トゲが少ないです。

苗選びのポイント

品種の目星がついたら苗選びです。バラ栽培がうまくいくかどうかはよい苗を選ぶことが重要なんです。

まず苗の種類ですが、「新苗」「大苗」「鉢植え苗」の3タイプがあります。

新苗とは、その年の冬にノイバラの台木に各品種を接ぎ木した1年生苗です。サイズが小さく価格が安いですが、まだじゅうぶんに育ってないので初心者には不向きです。

初めての方には大苗か鉢植え苗をおすすめします。大苗とは、新苗を秋まで畑で育てて冬以降にポット詰めされる2年生苗で、鉢植え苗は、新苗または大苗を鉢植えにして育てた苗です。

選ぶ時によく見て欲しいのが、次のポイントです。
・台木・・・しっかりしているか
・枝・・・太くて勢いがあるか
・葉・・・虫食いや病気が無いか、厚みがあり適度なかたさがあるか

通販で購入される場合は、質のいい苗を取り扱う業者を選びましょう。

失敗しないコツは育てやすい品種で丈夫な苗を選ぶこと

バラの苗選びのポイント、おわかりいただけたでしょうか?

バラは、他の植物に比べれば手間がかかるかもしれません。しかし環境に合った品種で丈夫な苗を選び、栽培のコツさえおさえれば、初めてでも綺麗な花を咲かすことができるんです。

第2回では植え付けのポイントを解説します。