バラの庭を目指して!初めてのバラ栽培 第4回 秋のバラを咲かせるために今やるべきこと

暑かった夏も終わればいよいよ待ちに待った秋のバラのシーズン。でも今年の夏は暑さが厳しかったですよね。当然バラも消耗しています。ここで綺麗な秋のバラを咲かすために一手間。今やるべきバラの手入れをご紹介します。

まずは暑い夏を乗り越えたバラの状態を観察しよう

長かった夏も終わり、暦の上では秋となりました。この記事の連載とともにバラの栽培をスタートされた方にとっては初めての花まであと少しです。

待ちに待った秋のバラ。とても楽しみですね。

とは言え、今年の夏は暑さがとても厳しかったので夏バテをしてしまった方も多いのでは?この夏の暑さは人間だけでなくバラの体力も消耗させているはず。まずはお手持ちのバラの現在の状態を観察してみましょう。

元気に夏越しができたバラ

ボレロ

夏の終わりの状態
もしあなたのバラが半分以上葉っぱがついた状態なら、今年の夏越しがとても上手くできています。来年以降もその要領で夏場の栽培をやってください。

写真のバラは、わが家で栽培をしているボレロです。今年の福岡の夏は猛暑と熱帯夜の連続でバラにとっては大変厳しい気候でした。それでも鉢を風通しのよい半日陰に移動したら夏中成長を続け花もたくさん付けてくれました。

ただし勢いのある株でない限り、夏場に花を咲かすのはオススメしません。

暑さで消耗してしまったバラ

アレゴリー

夏の終わりの状態
もしあなたのバラが葉の量が半分以下になってしまっている状態なら、暑さで消耗しています。水やりや通風が適当でなかったり、病害虫が原因の場合などが考えられます。また元々暑さに弱い品種だった場合もあります。来年以降は暑さに対する工夫をしてみてください。

写真のバラはアレゴリーという品種です。ボレロと同じ環境で管理をしましたが、極端な暑さと蒸れに弱い品種なのでこのようになってしまいました。

こんな状態でもこれからきちんと管理することにより回復しますからご安心を。

9月から行う作業

元気に夏越しができたバラはもちろん、暑さで消耗してしまったバラも、そのまま放っておいても秋の花は咲きます。でも、せっかくなら美しく花を咲かせたいですよね。より美しい秋のバラを咲かせるために今やる作業をまとめてみました。

花を咲かせる前の剪定をしよう

最初に必ずやってもらいたいのが、9月上旬に行う夏剪定です。

9月に入ったばかりはまだまだ暑い時期ですが、この頃から土の中の温度が徐々に下がってきます。そうするとバラの根が動き出し、再び成長し始めるのです。この時期に剪定を行うことによって樹形を整え、枝数を増やし、花をある程度まとめて咲かすことができます。また枯れた枝や病気の葉などを剪定した際に取り除くことにより通風を良くして病害虫も防げます。

ボレロ

剪定イメージ
上のように葉をたくさんつけた株なら、全体の高さが2/3になるところで扇型になるようにカットします。その際に細い枝や枯れた枝、黄色くなった葉なども取り除いてください。

また夏の間に背が高くなりすぎた株は、葉がたくさん付いているのなら全体の高さが1/2のところでカットしてもいいですよ。

アレゴリー

剪定イメージ
葉が少ない場合でも夏剪定は行ってください。この場合、葉をなるべく残して枝の先や細い枝、枯れた枝、黄色くなった葉をカットします。先端を軽く剪定することで脇芽分化を促してやるのが目的です。大事なポイントは葉をなるべくたくさん残すこと。

なお剪定する際は、必ず切れ味のいいハサミを使用してください。よく切れないものを使うと切り口が潰れてしまい、そこから枯れる場合がありますので注意してください。

追肥で元気を取り戻そう

夏剪定をしたら株の根元に追肥をあげるのもお忘れなく。

追肥は緩効性の化成肥料を用います。市販のバラ用肥料を使うといいですよ。所定の量を地植えの場合は張っている枝の先端の真下にぐるっと。鉢植えの場合は鉢の縁に数ヶ所に置きます。

これをやると新芽がよく成長し、花付きも違ってきます。

水やり時に注意すること

水やりはこれまでと変わらず土の表面が乾いたらたっぷりとあげてください。

午前中の涼しい時間帯にあげます。9月に入ると根が本格的に動き出して新芽が出てきます。そうなるとより多くの水を吸うので乾きが早くなります。土の乾燥具合によっては昼間や夕方にもあげなければならないこともでてくるので注意してください。

乾燥はするけど昼間はどうしてもあげられない場合は、夏に引き続きしばらく風通しのよい半日陰で管理したほうがよいかもしれません。

台風が接近する際は対策を

マルクシャガール

台風対策
この時期に気になるのが台風の接近です。風により鉢が倒れたり、せっかく伸びた枝が折れてしまったりしないように対策が必要です。

鉢植えの場合は、できるだけ風の影響が及ばないような場所に避難させましょう。室内に取り込めたらそれが一番ですが、無理な場合は屋外で風がなるべく当たらない場所に全ての鉢をまとめて置きます。こうすることによって倒れにくくなります。また枝が風で折れないように紐などでぐるっとまとめておきます。

庭植えの場合は、写真のように支柱を立てて枝をビニタイなどで固定しましょう。また勢力の強い台風が接近する場合、大株は枝を切ってなるべくコンパクトな状態にすることも必要です。特に先端に蕾をつけた柔らかい枝は強風でバキッとやられます。残念ですが予め切っておきましょう。

台風が去ったら、元の位置に戻します。台風の雨で濡れた場合は、入念に株全体に水をかけ株についた塩分を洗い流してください。また風で葉が傷んでしまっているので放っておくと病気になりやすいです。消毒もお忘れなく。

病害虫に注意

9月になり気温が下がってくるとバラの生育が活発になりますが、同時に害虫の活動も活発になります。特に新芽が出てくる時期は油断できません。イラガやハダニ、ヨウトウムシなどが付きやすいので、早めの対策をうってください。

また病気に関しては、新芽が蒸れるとうどんこ病になりやすいです。雨が多いと黒星病も発生します。発生したら速やかに薬剤の散布を行ってください。

場合によっては植え替えを

朝水やりをしても夕方までもたない場合や鉢底から根がたくさん出ている場合は、鉢全体に根がまわってしまっているかもしれません。一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。

植え替え後はしばらく風通しのよい半日陰で管理します。

植え替えのやり方は下のリンクの記事を参照してください。

秋のバラの楽しみ方

ポールネイロン

夏剪定をして1ヶ月半ほどすれば、そろそろ四季咲きのバラが開花し始めます。地域やバラの品種により多少違いがありますが、だいたい10月中旬から11月上旬が開花ラッシュとなります。

春からバラを栽培し始めた方にとっては初めての花。一斉に花をつける春に比べるとやや大人しめですが、蕾が徐々に膨らんでふわっと開花した花はとても感慨深いものだと思います。

秋のバラの特徴

四季咲きのバラは1年中花を付けますが、いつも同じような咲き方をするわけではありません。季節によって表情が異なるんです。

わかりやすい例として、わが家で栽培しているマルクシャガールの春の花と秋の花とを比較してみましょう。

マルクシャガール

春の花
春の花は直径14cmほど。淡いピンクにクリーム色の絞りで、香りはほとんどありません。

マルクシャガール

秋の花
対して秋の花は直径が11cmほどのやや小ぶり。鮮やかなピンクと白の絞りで、フルーティーな香りがします。

春と秋とでは同じ株の花なのに別品種みたいに違いがでていますね。

このように秋のバラの特徴は、花の色が濃くサイズも小さめとなり香りが濃くなります。また花数は春と比べると全体的に少なく、房咲きする品種も房が小さめです。その代わり花持ちはよくなるので1つの花を長く楽しむことができます。

たくさん花を咲かせたいなら花が咲き終わったら剪定を

ポールネイロン

花後のカットイメージ
バラの花は、切ると横からまた花芽が出てきて2番花を楽しめます。せっかく咲いたのにもったいという気持ちがあるでしょうが、花が開ききったら花首でカットしましょう。すると枝の両脇から花芽が出てきて、1ヶ月ほどで2番花が咲きますよ。たくさん花を咲かせて長い期間楽しみましょう。

秋に新しく迎えたバラの苗はそのまま花を咲かせる

春と同様、秋にもバラの苗がたくさん出回ります。この時期にもう1株バラを増やしてみませんか?

バラの栽培で一番大変な夏越しができた方なら、もう大丈夫。ぜひお気に入りのもう1株をゲットしてもいいと思います。

秋に新しく迎えた株はもうじゅうぶん育ってきているので、そのまま花を咲かせてください。

バラの苗選びは下記の記事を参考にしてください。

初めてのバラの花を楽しもう

いかがでしたか?
春からスタートした初めてのバラ栽培もやっと花を咲かせるところまで辿り着き、バラの魅力も実感できると思います。バラは手をかければちゃんとそれに応じてくれる植物です。ぜひ素敵な秋のバラを咲かせてください。

次回は冬場の管理をご紹介します。