夏から育てるブーゲンビリア

鮮やかな色で夏を彩るブーゲンビリアを育ててみませんか?熱帯植物なので栽培がちょっと難しいのではと思われがちですが、ポイントを押さえさえすれば意外と簡単に育ちます。無理なく栽培をスタートするには夏がオススメ。たくさん花を咲かせましょう。

ブーゲンビリアとはどんな植物?

真っ青な夏の空をバックに色鮮やかに咲き乱れるブーゲンビリア。元気なビビッドカラーが素敵ですよね。ブーゲンビリアは熱帯植物として知られ栽培が難しいイメージですが、実は日本でもポイントさえ押さえれば簡単に育てられる植物なんです。

ブーゲンビリアはオシロイバナ科ブーゲンビリア属に属するつる性の低木。日本ではイカダカズラとかココノエカズラという名前で呼ばれています。原産地は南米エクアドルからブラジル、アルゼンチンにかけての熱帯雨林地域です。

ブーゲンビリアが初めて世の中に知られるようになったのは1789年。フランスの植物学者のフィリベール・コメルソンがブラジルで発見したこの植物のことを記録に残しています。ブーゲンビリアという名前は一緒に航海をしたフランスの探検家であり海軍提督のルイ・アントワーヌ・ド・ブーガンヴィルにちなんでつけらたということです。
19世紀初頭には、ブーゲンビリアの2つの品種が初めてヨーロッパに導入され瞬く間に各国に広まります。現在ではさまざまな交配が行われ世界中で300以上の品種がある人気の植物なのです。

ブーゲンビリアの魅力といえば鮮やかな色の花ですよね。
ピンク、マゼンタ、紫、赤、オレンジ、白、黄などの明るくはっきりとした花色ですが、実はこの部分は花の周りについた「苞」と呼ばれる葉で、中に見える小さくて白いのが実際の花なんです。苞は通常3枚付いていますが6枚のものもあり、薄くて紙のような質感であることから英語では「paper flower」とも呼ばれます。

トロピカルフラワーといえばプルメリアやジンジャーなど香りの良いものが多いですが、ブーゲンビリアには香りがありません。

葉はほとんどが単色ですが、品種改良で斑入りのものもあります。

ブーゲンビリアの育て方のポイント

ブーゲンビリアは元々赤道直下の原産地では一年中花をつける植物です。温室のように管理された環境下では周年花をつけますが、一般家庭で栽培する場合も春から秋までの長期間(条件によっては夏場は花が咲かないことがあります)綺麗な花をつけてくれます。

ブーゲンビリアをうまく育てるポイントをまとめてみました。

ブーゲンビリアはお日様が大好き

熱帯植物のブーゲンビリアの生育温度は16℃~38℃。冬は5℃を切るとだんだん弱ってきて3℃以下になると枯れてしまいます。暖地では地植えも可能ですが、一般的には鉢植えで管理するのがオススメです。

ブーゲンビリアはお日様が大好き。日差しが足りないと枝ばかり伸びて花芽がつかなくなったりすることもあります。開花株の移動も注意してください。鉢を日が当たらない場所に移動すると花が落ちてしまいます。必ず日当たりのいい場所で育ててくださいね。

風通しがよい場所を好みます。特に夏場は暑いのは平気ですが、風通しが悪いと葉が蒸れてしまい枯れてしまうので注意してください。

水は夏はたっぷりと、冬は乾かし気味に

生育期の水やりは土の表面が乾いてから鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと。ただし必要以上にやりすぎると、葉っぱばかりが増えて花芽が付きにくくなることもあるますので、必ず乾燥してからたっぷりを守ってくださいね。夏場はよく乾燥しますが多少葉っぱが萎れても水をやると直ぐに回復します。ただしあまりに乾燥がひどい場合は株が弱ってきて枯れてしまいますので真夏だけ風通しがよい半日陰で管理するといいでしょう。その場合は花は咲きません。

一方冬場は根も動かないので乾かし気味に管理します。寒くなってきたら徐々に水やりを控え、真冬には週に1度くらいにします。ただし室内が比較的暖かい場合はもう少し水が必要です。株の状態を観察しながら調整してください。

肥料はやるタイミングが大事

生育期のブーゲンビリアは、常に枝を伸ばしながら花を咲かせていきます。そのためある程度の栄養を肥料で補ってやる必要があります。肥料は生育期に1~2ヶ月に1度、緩やかに効く固形肥料をごく少量与えてください。窒素:リン酸:カリウムの割合が1:1:1または2:1:2がいいですよ。

ただし肥料は与えすぎると葉ばかり茂って花芽がつかなくなるので、ほんの少量でけっこうです。また開花の直前に肥料を与えると花が落ちたり花付きが悪くなりますので避けてください。

ブーゲンビリアの病害虫

健康に育っているブーゲンビリアは、基本的に病害虫はほとんどありません。あっても春先や高温時に風通しが悪いとアブラムシがつくぐらいです。アブラムシは葉や茎や苞に寄生し養分を吸って株を弱らせていきますので見つけたらすぐに駆除しましょう。

根詰まりのサインが出たら植替えを

ブーゲンビリアは根詰まりを起こすと成長が停滞してしまいます。次の根詰まりサインが出たら植え替えましょう。

<根詰まりサイン>
・根がびっしりと張って水が染み込みにくい
・黄色い葉が増える
・成長が前年と比べて遅く、葉が小さくなり花つきも悪い

頻度はだいたい2~3年に1度、春暖かくなって一回り大きい鉢に植え替えをします。まず古い鉢から株を抜いて傷んでしまった根を取り除き、土も軽く落とします。それを水はけがよい用土を入れた一回り大きい鉢に植え替えます。用土は市販の観葉植物の培養土が便利ですよ。

ブーゲンビリアの冬越し

熱帯植物であるブーゲンビリアは寒さがとても苦手。晩秋、最低気温が10℃を切るようになったら室内に入れて管理をしましょう。

置き場所は室内でも日がよく当たり暖かい窓辺など。この際注意するのが夜の冷え込みです。特に窓辺は冷気が伝わってきやすいので寒くなる夜間や寒波が来る時は窓から少し離すなどして最低気温が5℃以上になるように気をつけて、乾かし気味に管理してください。

もし最低気温が10℃以上保てる場合は真冬でも日当たりさえよければ花が咲きます。生育期よりは少し乾かし気味ぐらいで管理してください。

春になって遅霜の心配が無くなったら外に出しましょう。

ブーゲンビリアの花をたくさん咲かせる

ブーゲンビリアは日当たりのよい場所で育てれば花が咲きますが、どうせならたくさん花を咲かせたいですよね。まずは枝数を増やして花数を増やしましょう。

花芽が発達できないとトゲが増える

まずは花芽がつくメカニズムについて説明しましょう。

実はブーゲンビリア、意外とトゲがあるのをご存知ですか?ブーゲンビリアの枝をよく見ると、花が咲いている枝にはトゲが無く、花のない枝にトゲが目立ちます。下の写真をご覧ください。花付きの枝は、花・葉・花・葉と交互になっていますが、花の無い枝もトゲ・葉・トゲ・葉と交互になっていますよね。

これはどういうことかというと、ブーゲンビリアは枝が伸びるたびに葉の付け根に脇芽をつけるのです。そして条件が良ければそれが花芽となって花を咲かせ、そうでないと脇芽がトゲに変異してしまうのです。

花芽形成の鍵は日光と乾燥具合。日によく当てて水と肥料はやや控え目にすると花芽が発達してたくさん花が咲くのです。

花をたくさん咲かせる剪定と誘引の仕方

とは言え、そのまま育てていても枝は上に向かって伸び、一向に枝数は増えません。それどころか少ない枝の上の方にしか花が咲かなくなり寂しい見た目となってしまいます。ここで大事なのがいかに枝数を増やしてたくさんの花を咲かすかです。枝数を増やすにはたくさん脇芽を出させるといいのです。

それではどうしたら脇芽を出させることができるのでしょうか?それは簡単にできます。剪定と誘引をすればいいのです。

まずは剪定です。時期はいつでもいいのですが、花芽を切りたくなければ冬場と夏の花が一休みする時期に行うといいですよ。伸びすぎた枝などを刈り込んで形を整えましょう。頂点を切ることで脇芽が伸びてきて新しい枝になります。

そして誘引です。要領はつるバラの誘引と同じです。支柱を使って枝を斜め横方向に誘引していきます。ブーゲンビリアの枝は通常上方向に伸びますがこれを斜め上45°より下に誘引してあげると頂点の成長が鈍って脇芽が出てくるのです。

剪定と誘引で脇芽を出して枝数を増やし、たくさん花を咲かせましょう。

ブーゲンビリアはちょっとしたコツで美しく育つ

いかがでしたか?熱帯植物のブーゲンビリアは、夏からの栽培がとてもやりやすいんです。じゅうぶんな日差しと温度、それにちょっとしたコツで美しく育ちますよ。ぜひチャレンジしてたくさん花を咲かせてみませんか?