日向でも日陰でも夏のガーデンにおすすめ! インパチェンスを育ててみよう

夏を彩る花は色々ありますが栽培が簡単で日向でも日陰でも花をつけるインパチェンスは、夏の庭、特にシェイドガーデンには欠かせない存在です。夏の庭に重宝するインパチェンスを長く美しく楽しむためのコツをご紹介します。

インパチェンスとはどんな植物?

梅雨時から秋までの長い期間、白や薄いピンクや紫、赤い色の花を咲かすインパチェンス。低く広がる株は花壇やプランターの前面を彩ったり、この時期のローズガーデンなどのグランドカバーとして用いることができ、育てやすさも加わり夏花壇には欠かせない存在となっています。

今回はそんなインパチェンスの育て方や長く美しい花を楽しむためのコツをご紹介したいと思います。

またの名を「アフリカホウセンカ」

インパチェンスの原種は、元々はアフリカ東部のタンザニアやモザンビークにある高原地帯で咲いていた花。ツリフネソウ科のホウセンカの仲間で「アフリカホウセンカ」とも呼ばれます。19世紀にヨーロッパに持ち込まれ、20世紀半ばオランダで園芸種として改良され世界中に広まりました。

インパチェンスという名前は「せっかち」とか「我慢できない」という意味のラテン語。タネが熟すとちょっとした刺激で鞘が弾けて中のタネが飛び散ってしまうことを表しています。

草丈は品種によってかなり異なりますが20~60cm。葉や茎に水分を非常に多く含み、とてもよく分岐します。

花は一重咲き、八重咲き、バラ咲きがあり、花色は白、ピンク、紫、赤、オレンジの単色や複色、スプラッシュが入るものやラインが入るものなど様々です。花の根元にはツリフネソウ科の植物の特徴でもある距というとても細長い筒状のものがあり、この中に蜜を蓄えています。

本来は多年草ですが、寒さに弱いので日本では一年草として扱われています。

インパチェンスの主な品種

インパチェンスにはたくさんの品種があり、品種ごとに特徴があります。

まずはスタンダードな一重咲きの品種です。インパチェンスの中で一番よく見かけ、最も育てやすいのが一重咲きです。大輪で花をたくさん付けるスーパー・エルフィン・シリーズ、日陰でも花つき抜群なテンポ・シリーズ、日本の高温多湿の夏に強いスパーク・シリーズ、大株に育つスワール・シリーズなどがあります。

初心者の方にオススメです。

八重咲きのインパチェンスにも様々なタイプがあります。一重咲きに比べると草丈は大きめですが少し暑さに弱いような気がします。半日陰で育つバラのような八重咲きが素敵なムシカ・シリーズ、大きな花が咲くカリフォルニア・ローズ・フィエスタ・シリーズ、日陰で高温多湿を好むシルエット・シリーズなどがあります。

品種によって生育条件に特色があります。

鮮やかなで大きな花をつけ、一株でも存在感のあるニューギニアインパチェンスは、他のインパチェンスと違ってニューギニアの高冷地で自生していた原種を元に作られた園芸種です。そのため夏の暑さはちょっと苦手。夏場は明るい室内や明るい日陰の風通しが良い場所で管理します。

インパチェンスの育て方

それではインパチェンスの育て方のポイントを詳しく説明していきましょう。

タネをまくなら

インパチェンスはタネをまいて簡単に増やすことができます。たくさん苗が欲しい場合はタネをまいて育てる方法がオススメです。

発芽温度は20~25℃。お住いの地域にもよりますがだいたい4月頃にまけばいいでしょう。底に穴を開けた容器や鉢にピートモスとバーミキュライトが1:1の用土を入れ湿らせたあとタネをばらまきにします。土は特に掛ける必要はありませんが、用土が乾燥しないように注意してください。

水やりはタネがとても小さいので上から水を与えるとタネが流れてしまいます。受け皿を利用した底面給水がいいですよ。

10日ほどで発芽し、2週間で本葉が出てきます。本葉が4~6枚になったら小さめのポットに移植します。ミックスのタネをまいた場合、色によって成長のスピードが違う場合があるので間引く場合は注意してください。

また栽培したインパチェンスからタネを取って育てることも出来ますが、現代の品種はほとんどがF1といって、1代交配したもの。そのため、F1品種からできたタネをまいても元の株のような美しさは出ない場合があります。

苗を買ってきたら

インパチェンスの苗は5月頃から出回ります。タネから発芽させるのと比べると費用は高めになりますが、そんなにたくさんの苗数が要らない場合は花を確認して購入できますし、ある程度育っているので取扱いが簡単だという利点があります。

苗を買ってきたら、一回り大きな鉢やコンテナに根鉢を崩さずに植え替えましょう。庭植えする場合は株間を30cm取ってください。インパチェンスは肥沃な土を好みます。用土は赤玉土:腐葉土:堆肥が6:3:1になるように混ぜるか、市販の草花用の培養土を使いましょう。

育てる場所は日向?日陰?

インパチェンスは日向でよく育ちます。また耐陰性が強い植物なので明るい日陰でも育ち花をつけます。八重咲きの一部品種やニューギニアインパチェンスは、むしろ明るい日陰の方が調子がよかったりします。ただし、いくら耐陰性があるからといっても暗い日陰では花をつけません。

置き場所は日向から明るい日陰までなら大丈夫です。日向だと引き締まった株型に、半日陰だと伸びやかな株型になります。

気になる病害虫は?

インパチェンスは比較的病害虫が少ないとされていますが、以下のものが時々発生することがあります。見つけたら早めに対処しましょう。

・ハダニ ・・・ 高温期に葉の裏側に寄生し、被害がひどくなると枯らしてしまいます。
・アブラムシ ・・・ 新芽や蕾に付き、弱らせます。
・ネコブセンチュウ ・・・ 根に寄生します。寄生した根はコブ状に肥大します。地上部に病害虫の形跡が無いのに弱ってきたらこれかもしれません。
・うどんこ病 ・・・ 葉や茎がうどん粉のような白いカビで覆われます。

水と肥料の与え方

インパチェンスはやや湿った土壌を好みます。土の表面が乾いたらたっぷりと水をあげてください。また乾燥状態が続くと弱ってしまいますので、鉢や浅めのコンテナに植えている場合は表面に腐葉土などをまいて土の表面の乾燥を防ぐなど工夫が必要です。

肥料は植え付けの際に混ぜ込んでいるので多くは必要ありません。しかし花が咲き続けるということは植物は体力を使う事なので、体力切れをおこさないように2週間に1度ペースぐらいで液肥をあたえます。

切り戻しをするタイミング

インパチェンスは放っておくと枝や葉が密集してしまいます。また密集すると株が蒸れたり病害虫が発生しやすくなったりしますので切り戻しをしましょう。

切り戻す時期は本格的な暑さが来る前の7月頃。だいたい草丈が半分になるあたりで切り戻しましょう。すぐに脇芽が伸びてきて、厳しい夏をコンパクトになった状態で乗り切り、秋にはより美しい花を咲かせてくれますよ。

インパチェンスを使った庭づくり

インパチェンス

日向でも日陰でも花をつけてくれるインパチェンスはガーデニングの強い味方。インパチェンスを使ってどのような庭づくりができるか見ていきましょう。

日向で鮮やかな色をいかす

様々な色があるインパチェンスを使って夏の元気花壇を演出してみましょう。色をランダムに使うのもいいですし、グラデーションになるように使うのもセンスを感じます。

インパチェンス単体でもこんなに素敵な空間が作れますよ。

色々な植物と寄せ植えする

草丈が低いインパチェンスは、寄せ植えの前景に使っても重宝します。このように白を基調とした草花に色鮮やかなインパチェンスをアクセントとして使ったり、ビビットカラーの草花には白や淡い色のインパチェンスを合わせたりして楽しめますよ。

シェイドガーデンで葉の色が美しい植物と合わせてみる

インパチェンスが一番目立つのは、やはりシェイドガーデンではないでしょうか?強い日差しが照りつける夏は日向と日陰のコントラストが強くなり日陰がより暗く感じてしまいます。そのような場合にこそインパチェンスと使ってシェイドガーデンに明るい彩りを添えてみましょう。

オススメは、ホスタやカラジュームといった葉の色が美しい植物との組み合わせ。白っぽい色の葉を用いる場合はインパチェンスは白、または淡い色を使うと素敵です。また赤系統の葉を使う場合は赤や赤紫のはっきりとした色のものを使うといいです。

夏のシェイドガーデンを明るく彩るインパチェンス

いかがでしたか?
主役でも脇役でも素敵なインパチェンスは日向から半日陰まで置ける育てやすい花です。
特に夏は日陰で咲く花が少ない季節。インパチェンスは、貴重な存在です。ぜひシェイドガーデンに取り入れてみてください。