ハーブの夏前の手入れと収穫、保存方法は?

庭で育てたハーブ。夏前にお手入れと収穫を兼ねて切り戻しをしましょう。ハーブごとの収穫の方法や長く楽しむための保存方法、利用方法もご紹介します。

庭でハーブを育てているという方は多いもの。せっかくだから、ハーブの香りが一番よい時期に、剪定も兼ねて収穫してみませんか。まとめて収穫して保存するのはちょっと面倒だと感じるかもしれませんが、保存方法や利用方法を知れば意外と簡単にできるんです。1年中手軽にハーブを楽しんでみましょう。

ハーブの収穫はいつ頃がいい?

ハーブの香りが最も強いのは、花が咲く直前。ハーブを保存する場合は、香り成分が多くなる花が咲く前の時期にまとめて収穫するのがおすすめです。ローズマリーなど常緑のハーブも同様に、最も香りがよくなるのは花が咲く直前です。
多くのハーブは6~7月頃にかけて花が咲きます。できるだけ天気の良い日、できれば数日晴天が続いた後の乾燥した日を選んで収穫しましょう。

花が咲く前に収穫する理由は、香りがよいからというだけでなく、花芽がつくと植物のエネルギーが種子を残すことに使われてしまうから。それまで柔らかかった葉も花がつくと固くなるため、できるだけ長い期間葉を収穫したい場合は花芽を摘んでしまいます。

ハーブによってはまとめて収穫するよりも、使う時にその都度収穫したほうがよいものもありますよね。1日のうちでハーブの葉を収穫するのに適した時間帯は晴れた日の午前中早めの時間。花を収穫するときは十分に開花した頃、晴れた日の午前中(できれば早朝)がおすすめです。

植物は風通しの良い環境のほうが元気に育つため、日本の高温多湿の夏を乗り切るには、蒸れ防止のために茂りすぎた株は刈り込んでしまったほうがいいのです。収穫を兼ねて切り戻しを行い、いつでも使えるように保存しておくとよいですね。

ハーブの収穫方法

ハーブを収穫するときは、よく切れる園芸用やクラフト用のハサミを使用しましょう。手でちぎると植物の組織がつぶれたり傷ついたりしてしまいます。

葉を収穫するハーブ

【使うたびに必要な量を収穫する場合】

・摘心を兼ねて収穫

普段、料理などに利用するハーブは、摘心を兼ねて収穫すると、収穫後に脇芽が伸びて収穫量が増えるというメリットが。摘心をしないとひょろひょろと背が高くなり、葉の数も増えません。摘心を繰り返すことで大きな株に育ちます。
小さな苗は頂点の芽をカットしたら、あとは少し育つまで収穫は我慢。少し大きくなって葉の枚数が増えてきたら、脇芽の摘心を繰り返しながら使いましょう。
摘心をしながら収穫するハーブは、バジル、レモンバーム、ミント、シソ、ローズマリーなど。気候の良い時期は摘心を行ってもすぐに大きく育ちます。バジルやシソは花が咲くと葉が固くなってしまうので、花芽も摘心と同じように摘み取りましょう。

・地際から収穫

地際から使う分だけ収穫するのが、レモングラス、フェンネル、チャイブなど、地際から葉が分かれて生えているタイプのハーブです。レモングラスは葉の先はハーブティーに、茎の下の部分は料理に使うとよいでしょう。

・株(枝)の下のほうから収穫

枝の下のほうから収穫するハーブは、タイム、ロケット(ルッコラ)、マジョラムなど。収穫する際に、一年草のロケットなどは地上部を8cm程度残し、多年草のハーブの場合は株の1/3程度まで残します。
【乾燥して利用するためにまとめて収穫する場合】

葉を利用するローリエ(月桂樹)などは、傷のないきれいな葉をまとめて収穫します。込み入っている箇所の剪定を兼ねて収穫するといいですね。オレガノなどは、花が咲く前に株の1/3程度を残して収穫しましょう。高温多湿の時期に蒸れて枯れあがるのを防げます。

収穫は、晴天が続いた後のお天気のいい日に行います。午前中に収穫し、ドライにする場合は風通しの良い日陰で乾燥させましょう。湿気が多いと上手く乾燥できず、カビの原因にもなります。

花を収穫するハーブ

・花の下からカット

カモミールやナスタチュームなど花そのものをハーブティーやエディブルフラワーとして利用するハーブは、花首からよく切れるハサミでカットして利用します。摘み取った花はかごや器などにそっと入れ、傷まないようにしましょう。

・茎ごとカット

ラベンダーなど茎から利用したいハーブは、必要な長さでカットします。ドライにする場合は下に向けて下げておくと、しおれて茎が曲がるのを防げます。

収穫したハーブの保存方法

フレッシュなまま冷蔵庫で保存

すぐに使い切る分量だったら、冷蔵庫で保存することも可能。
バジルなどは、湿らせたキッチンペーパーでくるみ野菜室で保存すれば、1週間程度フレッシュな状態を保てます。そのまま冷蔵してしまうと黒ずんでしまうので注意。
摘んですぐの葉を水を入れたグラスに挿しておいてもフレッシュな状態を保てます。

冷凍して保存

風味や色を保つことができる冷凍保存に向いているのは、パセリやフェンネル、バジル、チャイブなどです。冷凍前にさっと水洗いして汚れを落とし、よく水を切っておきましょう。
ハーブをビニール袋に入れて、さらにハーブが傷まないようにタッパー容器に入れて冷凍します。
ミントを製氷皿に入れて水を注ぎ冷凍すると、飲み物に浮かべて利用することができて便利です。さらに、刻んだハーブを製氷皿で水とともに凍らせ、料理に利用する方法も。
冷凍させたハーブは風味が落ちないうちに使い切りましょう。

ドライにして保存

乾燥前にキッチンペーパーなどで葉をきれいに拭いて、土やほこりを落としましょう。そのあと、よく水気を切り、風通しの良い日陰で乾燥させます。茎ごと収穫したハーブは少量ずつ束ねて下げておきましょう。カモミールの花などは新聞紙に広げて乾燥させます。
葉がパリパリに乾燥したら、タッパーやジッパー付きポリ袋などに入れ、冷暗所で保存します。乾燥材があれば一緒に入れておくといいですね。
ドライに向いているのは、オレガノやタイム、ローリエ、セージ、ローズマリーなどです。

ハーブオイル

お料理に手軽に使えてハーブの香りを楽しめるのがハーブオイル。摘み取ったハーブをオリーブオイルやヒマワリ油などに漬けこんで香りをオイルに移してから使います。

作り方はとても簡単。
まず、摘み取ったハーブの汚れをよく落とします。水洗いした場合は、しっかりと水気を拭き取ってください。水分が残っていると傷みのもとになってしまいます。きれいに洗って乾燥させた瓶にハーブを入れ、ハーブが全部浸かる高さまでオイルを注ぎます。ハーブがオイルから出ているとカビが生えるので要注意。小さめのハーブはそのまま、サイズが大きければ荒く刻むとよいでしょう。蓋をして、時々瓶をゆすって中身が混ざるようにし、2週間ほどねかせます。オイルに香りが十分移ったらハーブを取り出して出来上がり!パスタや炒めもの、ドレッシング、マリネなどに利用してください。

ハーブビネガー

ハーブを漬け込んだお酢も料理に使いやすいもの。シードルビネガーやワインビネガーに、ハーブオイルを作るときと同様の方法で漬け込みます。ハーブがしっかりお酢に浸かるようにしてください。毎日振って中身が混ざるようにしながら約2週間で出来上がり。
使ったハーブがわかるようにラベルを貼るか、ハーブの小枝を1本入れておくとわかりやすいだけでなく見た目もおしゃれ。ドレッシングやマリネなどにどうぞ。

調理して保存

バジルペースト

バジルがたくさん育ったらぜひ作りたいのが、バジルペースト。
生のバジルの葉は軽く洗い、水気をよく拭き取ります。水気が残っているとカビが生えるので気をつけましょう。バジルの葉にオリーブオイルを注いでフードカッターやミキサーにかけ、なめらかにします。分量は、葉全体にオイルがからまるようなイメージで大丈夫。オイルが多めだと、バジルが黒ずんでくることがありません。
出来上がったら保存容器に入れてオリーブオイルを少量ふたをするように流し込んで保存しましょう。長期間保存する場合は、ジッパー付きのビニール袋などに入れて薄く伸ばしてから冷凍すると、使う都度必要な量を取り出せます。塩などを加えていないので、調理をする時に味を調えてください。

ペーストを作るときににんにくや松の実、塩を加えるとジェノベーゼソースになります。味付けしてあるものは料理にすぐに使えて便利です。
ハーブバター

刻んだフレッシュハーブを混ぜ込んだハーブバター。パンに添えるだけでなく、ビスケットや肉・魚料理などに添えても。おしゃれで美味!なのでおすすめです。チャイブやパセリ、にんにく、タイム、ローズマリーなどで作ってみましょう。

刻んだハーブをバターによく練り込み、塩・黒コショウを加えて混ぜ合わせ、形を整えて冷蔵庫で冷やし、味をなじませます。製氷皿で凍らせるとしばらく保存でき、使いたい分量だけ解凍することができますよ。

梅雨時~夏にやっておきたいお手入れは?

梅雨前に蒸れを防ぐために葉が込み入ったところを刈り込み、湿度が高い環境に弱いラベンダーの鉢植えは雨があまり当たらない風通しのよい場所で管理します。
梅雨時はハーブの挿し木に良い時期です。ローズマリーやオレガノ、タイム、マジョラムなどは挿し木も簡単なので、増やしたり株を更新したりしてみては?
バジルはこの時期に長めに摘心を行って、夏の成長に備えましょう。

7月~8月頃にかけてはハーブも盛大に茂る時期。刈り込んだハーブも新しい芽が伸びてくるはず。特に、暑さに強いバジルやシソ、レモングラスなどは最盛期を迎えます。
8月初旬~中旬頃、バジルは地面から15cmほどの高さで収穫を兼ねて刈り込むと、9月頃に再び収穫することができます。

気温が高くなってくると虫も増えてくるのが問題です。ハーブは農薬を使わずに育てたいので、青虫などを見つけたらすぐに退治することが大切。虫の姿が見えないのに1日で葉を大量に食べられてしまう時は、ヨトウムシのせいかもしれません。ヨトウムシは、昼間は株元の土の中で寝ています。夜、懐中電灯片手にチェックすると見つかるので、見つけ次第退治しましょう。
ハーブを保存するために収穫するのは、育てたハーブを1年中使うことができるのが大きなメリット。使う時に摘んでくるだけという方も、育てているハーブにぴったりの保存方法で、ぜひ長期保存に挑戦してみてくださいね。