クリスマスの定番!ポインセチアの育て方や注意点、短日処理の方法は?

クリスマスの時期になると店頭に並ぶポインセチア。赤い葉がとても華やかなクリスマスの定番植物ですが、上手く育てられずにすぐにダメになってしまったという経験を持つ人もいるのでは?ポインセチアのお手入れ方法や注意点、さらに翌年も楽しむための育て方、短日処理の方法などを知っておきましょう。

クリスマス気分を盛り上げてくれるポインセチアとは?

ポインセチアとはどのような植物?

クリスマスを飾る定番植物のポインセチア。和名は猩々木(ショウジョウボク)。クリスマスフラワーという別名があるように、クリスマスシーズンになるとあちこちで見かけますよね。星のような形に展開する赤い葉がとても華やかでクリスマスのイメージにぴったり。真冬を鮮やかに彩ってくれます。

ポインセチアは、もともとメキシコのサバンナ原産の植物。樹液から解毒剤を作る薬草として使われていました。クリスマスカラーの緑色と赤色を持つポインセチアは、ヨーロッパから新大陸に渡った修道士たちが、キリストの血を表す植物としてクリスマスに飾るようになります。

その後、育種化による栽培や品種改良が進み、やがてクリスマスの定番として広まりました。現在では、赤だけでなく、斑入りやマーブル模様、サーモンピンク、クリーム色などさまざまな品種が生み出されています。

赤い部分は花ではなく苞

ポインセチアは、トウダイグサ科ユーフォルビア属の常緑性低木。本来メキシコ原産の熱帯植物なので寒さに弱く、冬の寒空の下に飾るのは少々かわいそうな植物なのです。

真っ赤な花のような部分は、実は葉。正確にいうと、花芽を保護するために普通の葉が赤く変わった苞葉というものです。ポインセチアの花は、この苞葉の中心にある黄緑色の小さな粒々。花と言われてもあまりに目立たないため、赤い苞葉が花のように見えます。赤い葉は花とは違い長く楽しめるのが嬉しいですね。

ポインセチアのお手入れ

置き場所

ポインセチアは暖かい地域で育つ植物なので、冬の寒さは苦手です。生育に最適な温度は10℃~28℃くらい。冬は10℃以上の室内で育てましょう。寒さが苦手、とはいっても暖房の温風が直接当たる場所は株が傷むので避けてください。

太陽の光を好むため、冬の間は室内の日当たりが良い場所に置きましょう。ただ、窓辺は夜間の温度が下がりやすいため、夜も窓辺に置いておくと株が傷んでしまうことがあります。夜は部屋の中央の室温が下がりにくい場所に移動させるとよいでしょう。

水やり

鉢の表面の土が乾ききったら、水を与えます。冬の間、ポインセチアは休眠状態になっているため、水も控えめで大丈夫。どちらかというと、土が常に湿っている状態にならないように注意したほうがいいでしょう。そのかわり、水を与える時はたっぷりと。たっぷりと与えることで、根のすみずみに水が行き渡り、土の中の酸素を入れ替えることもできます。

水やりは晴れた日の午前中がベスト。冬は気温が下がる夕方以降に水をやると、夜の間に鉢の中の水分が凍ってしまうこともあります。室内に置いてあれば凍ることもないと思いますが、冬の水やりの基本として覚えておくとよいでしょう。

受け皿に常に水があると水やりの手間が省けそうな気もしますが、受け皿にたまった水はすぐに捨ててください。そのままにしておくと過湿になり、根が腐ってしまいます。

肥料

冬の間、ポインセチアの根はほとんど成長していません。そのため、春に新芽が動き出すまで肥料は必要ありません。春になって成長が始まったら、緩効性肥料などを与えましょう。

茎から出る白い液に注意

茎が折れたり葉が傷ついたりすると、切り口から白い液が出ます。メキシコの原住民はこの液から解毒剤を作っていたのだとか。肌の弱い人が触るとかぶれることがあるため、もし肌についたらよく洗ってください。

パラパラと葉が落ちてしまうのはなぜ?

室内で育てているポインセチアの葉が、パラパラと散ってしまうことがあります。これは、気温が低いことや日光不足、水やりが上手くできていないことなどが原因です。

気温が低い

葉が黒くなって落ち枯れてしまうのは、気温が低いため。夜でも室温を10℃以上に保つ工夫が必要です。室内の暖かい場所に移動してみてください。

日光不足

葉が黄変して落ちるのは、日光不足。よく日が当たる場所に移動させましょう。

水やり

まだ緑色の葉がパラパラ落ちる時は、根腐れを起こしている可能性があります。水やりを控え、完全に土が乾いてから与えるようにしましょう。
葉がちりちりになって落ちる時は、水分不足です。冬でも暖房の効いた室内は乾燥しやすいので、土の表面や葉の様子を見て水やりを調整しましょう。
葉が落ちても茎が緑色でまだ瑞々しければ、復活する可能性があります。どのタイプの落葉なのか見極めて(いくつもの原因が重なっていることもありますが)適切なお手入れを行ってください。
春になって葉が落ちるのはポインセチアの成長サイクルによるものなので問題ありません。

ポインセチアの栽培方法

冬を越したポインセチア。せっかくですから大切に育て、翌年も赤い葉を楽しみましょう。

冬が終わったら?

最低気温が10℃以上になるまで室内で育てます。
5月頃、新芽が伸びてくるのを目安に、昼間は外で日に当てて外気に慣らしていきます。再び気温が下がる時期まで、外で育てて構いません。
真夏以外は日当たり良い場所で、乾燥に注意して育てましょう。

植え替え

クリスマスの頃に買ったポインセチアは、観賞用の白いポットに入っていることが多いと思います。このポットは地上部に対して小さくバランスが悪い場合が多いので、生育をよくするために一回り大きな鉢に植え替えましょう。

植え替えは、新芽が展開する前の4~5月頃か、気温が十分上がる5月中旬~7月中旬頃に行います。植え替えの際は根鉢を少しくずし、傷んで変色した根を取り除きます。

植え替え用土は、観葉植物用や花・野菜用の培養土で構いませんが、ポインセチア専用土が手に入ればそのほうがよいでしょう。水はけ・水もちがよく有機質が豊富な土を好むため、自分で作る場合は赤玉5:腐葉土3:ピートモス(酸度調整済みのもの)2、あるいは赤玉7:腐葉土3の配合がおすすめです。元肥としてリン酸が多めの緩効性化成肥料を入れておきます。

剪定

植え替えと同時に高さ半分くらいまで切り戻しましょう。これは、根が減ったのに合わせて地上部もバランスを取るためと、低い位置から新芽を出させてこんもりとしたバランスの良い株にするためです。剪定を行うことで、植え替え後の生育も良くなります。

新芽があるとつい残したくなり、切り戻しをためらってしまうかもしれませんが、下から3節ほど残して思い切って切りましょう。

置き場所

日当たりの良い場所を好みます。水をやりすぎると根腐れを起こすため、梅雨の時期は雨があたらない軒下などに置くとよいでしょう。
また、ポインセチアの枝は弱く、人や物が当たったり強い風が吹いたりすることで簡単に折れてしまいます。歩くときに当たるような場所や、風が強い場所に置くのは避けてください。

水やり

ポインセチアの成長期は、気温が上がる4~10月。冬の間は休眠期になるのでほとんど成長しません。当然、生育が盛んな時期は水を多く必要とします。

4~10月頃は、土の表面が乾いたらたっぷりと水をあげましょう。特に夏の間は水切れを起こさないように注意します。
11月~3月頃は、水やりも控えめに。土が十分乾ききってからで大丈夫です。逆に、水の与え過ぎは根腐れにつながるので気をつけましょう。

肥料

新芽が伸び始める5~7月頃は速効性のある液体肥料を与え、その後は緩効性肥料を与えます。11月頃になって葉が赤くなり始めたら肥料を控えめにします。冬の間は肥料を与えません。

病気や害虫

ポインセチアにつきやすいのは、オンシツコナジラミやアブラムシなど。特に、オンシツコナジラミは冬の間室内で育てていると発生しやすくなります。できるだけ風通しをよくして、霧吹きで葉に水をかけるようにすると予防につながります。

白くて小さな虫(オンシツコナジラミ)が葉の裏にたくさんついていたら、園芸用の殺虫剤などを塗布しましょう。殺虫剤の説明に「コナジラミ類」と表記されていれば大丈夫です。株元に置いて植物に成分を吸わせる粒剤タイプもあるので、使いやすいものを選んでください。卵や繭は殺虫剤の影響を受けにくいため、週1回程度の散布を2~3回続けて退治します。

ポインセチアを赤く色付かせる方法

自然に赤くなる?

ポインセチアの赤い部分は花でなく葉が変化したもの。本来は自然にまかせて育てていれば赤くなるのですが、冬の気温が低い日本では、屋外に置いたままでは赤くなる前に枯れてしまいます。そのため、クリスマスの頃に華やかな赤にしようとすると少し工夫が必要です。

赤くなるための条件は?

ポインセチアは短日性の植物です。短日性植物とは、昼間よりも夜の時間が長くなると花芽をつける性質を持つもの。ポインセチアの花が咲いて苞が赤くなるためには、1日のうち夜、つまり暗い時間が13時間以上必要なのです。そのため、夜も電気をつけている室内で育てているといつまでたっても赤くなりません。

このような植物を狙った時期に開花させるために行うのが「短日処理」です。ポインセチアの場合は、開花させたい(赤くしたい)時期の約2カ月前から、短日処理を行います。もし12月頃に赤くしたければ、9月中旬~下旬頃から短日処理を行えばよいということになりますね。

ポインセチアの短日処理の方法

夕方5時頃~朝7時ころまで、段ボール箱などでポインセチアをすっぽりと覆います。隙間から光がもれないものを使いましょう。これだけで、2カ月ほど経つと葉が赤く色付きます。
時には暗くするのを忘れてしまった!ということもありますよね。1日か2日程度だったら問題ないので、そのまま続けましょう。
短日処理の方法は一見簡単ですが、2カ月間毎日行わなければならないため、少し根気が必要かもしれません。
ポインセチアの短日処理はなかなか大変ですが、美しく色付いたポインセチアをクリスマスシーズンに楽しむためにがんばりましょう。