グラウンドカバーとしてもおすすめ!クリスマスローズの育て方や切り花で楽しむ方法

クリスマスローズの魅力は上品で複雑な色合いの花ですが、常緑の葉もガーデンを彩るグリーンとして優秀です。クリスマスローズの基本情報や育て方、切り花で楽しむ方法などをご紹介します。

クリスマスローズとは?

クリスマスローズとは?

クリスマスローズ(学名 Hellebprus×hybridus)は、キンポウゲ科ヘレボルス属(クリスマスローズ属)の多年草。
クリスマスローズには多くの原種があることが知られています。それら原種の自生地は東ヨーロッパ~西アジアにかけて。真っ白の花が咲くニゲルは、イタリア~バルカン半島にかけて自生しています。草丈30~40cmの原種アトロルーベンスは旧ユーゴスラビアやスロベニア。グリーンの花が鈴なりに咲くアゥグチフォリウスの自生地は地中海沿岸です。

現在クリスマスローズとして売られているのは、ヘレボルス・オリエンタリスを親として交配したオリエンタリス系の園芸種がほとんどです。真冬に白い花をつけるニゲル系(ヘレボルス・ニゲル)もよく見かけます。手に入りにくいですが、クリスマスローズ専門店では原種系のものを扱うところもあります。

複雑な色合いの花が魅力

クリスマスローズの花に見える部分は、実は花ではなくがく片。アジサイなどと同様に葉が花のように変化したものです。そのため、普通の花のようにすぐに散ってしまうことがなく、長期間楽しめるのです。

クリスマスローズの花(がく片)は派手ではありませんが、上品で複雑な色合いが魅力。品種改良により、一重だけでなく八重咲きの花形やサーモンピンク、黒に近いえんじの花色など、さまざまな園芸品種が生み出されていて、マニアもいるほど人気があります。
さらに、種から育てると株ごとに個性の異なる花が咲く楽しみもあります。

クリスマスローズの名前の由来

「クリスマスローズ」という名前の由来は、花の少ない冬のヨーロッパで、クリスマスの頃にバラのような花を咲かせるから。ここで言うクリスマスローズは、オリエンタリスではなく「ヘレボルス・ニゲル」のこと。うつむきがちに咲く清楚なバラのような姿のニゲルは、寒い冬の時期に庭を彩ってくれる貴重な花だったのではないでしょうか。

一方、現在主流ともいえるヘレボルス・オリエンタリスには、「レンテンローズ」という別名があります。これは、キリスト教で4月をレンテン節と呼ぶため。「ヘレボルス・オリエンタリス」は、ヨーロッパで4月頃に花を咲かせるためレンテンローズと呼ばれています。

このように、正確にはクリスマスローズと呼ばれるのは「ヘレボルス・ニゲル」なのですが、現在は、ニゲル系もオリエンタリス系も含めて「クリスマスローズ」と呼んでいます。

清楚な花とはうらはら!根には強い毒があり要注意

実は、クリスマスローズの根には強い毒があるのです。学名のヘレボルスとは、ギリシャ語で「Helenin=殺す」と「bora=食べ物」を組み合わせた言葉。クリスマスローズの根から採れる毒を含んだ汁を狩りに使ったり、戦争に用いたりしたのだとか。
クリスマスローズは根に「ヘレボレイン」という、薬の原料にもなる有毒物質を含有していて、古代ギリシャでは薬草としても使っていたそうです。

全草に毒があるので、子どもやペットが誤って口にすることがないよう気をつけましょう。切り花を生けておいた水も誤って飲むことがないように注意してください。

クリスマスローズの基本情報

クリスマスローズは寒さに強く、明るい半日陰でよく育つ丈夫な常緑性の多年草です。夏は木陰、冬は日当たりのよい落葉樹の足元などを好みます。
草丈は、オリエンタリス系が20~30cmほど。ニゲル系はもう少し小型で15~25cmほどです。

クリスマスローズはクリスマスの頃に咲く花だと思われがちですが、実際に咲くのはもう少しあと。オリエンタリス系とニゲル系では花の時期が異なり、オリエンタリス系の花期は2月頃~4月頃。ニゲル系は12月頃~3月頃にかけて花をつけます。

秋から翌春にかけてがクリスマスローズの成長期。夏の間は半休眠状態になりますが、常緑の葉はそのまま残ります。

クリスマスローズをよく見ると、花のつく茎と葉が別々に地面から出ているものが多いと思います。これを無茎種と呼び、株元から出た同じ茎に葉と花がつくものを有茎種と呼んでいます。園芸店などでよく見かけるハイブリッド種は無茎種、アーグチフォリウスなどの原種系ヘレボルスは有茎種です。有茎種と無茎種では、葉のお手入れの方法などが多少異なるので注意しましょう。

クリスマスローズの育て方

栽培場所

クリスマスローズは耐寒性が強いため、地植えでの栽培が可能です。半日陰を好むため、夏の間は木陰になり冬は日当たりが良い落葉樹の足元などに植えるのがおすすめです。もともと丈夫な植物なので、栽培場所が合っていれば、こぼれ種でどんどん増えて大株に育ちます。
鉢植えの場合は、夏の直射日光や梅雨時の雨を避けられる軒下などに置きましょう。秋~翌春は日が当たる場所に置きます。

鉢植えの場合は、クリスマスローズ用の培養土を使うと便利です。
地植えの場合や自分で配合する場合は、水はけ・水持ちの良い土にするのがポイント。日本の夏は高温多湿。梅雨時の長雨にも要注意。この時期を根腐れせずに乗り切るために、水はけの良い土を意識しましょう。かといって、水はけが良すぎると逆に枯れてしまうことも。ほどほどが大切です。おすすめの配合は、赤玉小粒5+腐葉土3+軽石1(鹿沼土でも可)です。

肥料

施肥の時期は、クリスマスローズが生育期に入る9月末~翌5月頃まで。6~9月中旬頃は半休眠期になるため、肥料は与えません。気温が高いこの時期に肥料を与えると株が弱る原因にもなります。
与える肥料は有機肥料でも化成肥料でも構いません。鉢植えの場合は、緩効性の化成肥料を使うとよいでしょう。固形の化成肥料は置き肥として、半休眠期には効果がなくなるように使用します。液肥の場合は定期的に与えましょう。地植えの場合は緩効性肥料を10~翌2月にかけて施します。11~12月頃に有機肥料を株周りの土に混ぜ込むと育ちが良くなります。

水やり

クリスマスローズは乾燥気味の環境を好みます。乾燥には強いので、むしろ水のやりすぎに注意しましょう。土が乾いたら、鉢の下から水が流れ出るまでしっかりと水を与えます。特に、クリスマスローズの生育期である冬は乾燥しやすいので、水やりを忘れないよう気をつけましょう。
庭に地植えした場合は、よほど乾燥しない限り水やりをしなくても大丈夫です。

鉢植え・地植えとも、水切れすると葉が垂れてくるので、そのような時はすぐに水をあげてください。株元に腐葉土を敷いておくと乾燥防止になります。

植え付け・植え替え

株が出回る時期であれば株の植え付けができます。目安は10~12月頃。夏の植え替えは避けましょう。
植え付けや植え替えの際は、根を傷めないよう、根鉢をあまり崩さないで丁寧に植えましょう。クリスマスローズの根は成長が早く根詰まりを起こしやすいため、最初に植えてある鉢よりも2サイズほど大きな鉢を選びます。鉢底の穴から根が出ているかどうかを植え替えの目安にすると良いでしょう。鉢の大きさにもよりますが、だいたい3~5年くらいで植え替えを行います。

クリスマスローズの増やし方

こぼれ種でもどんどん増える!種まきの方法

クリスマスローズは、こぼれ種でもどんどん増えます。混みあってしまう場合は、少し育ってから植え替えするとよいでしょう。いろいろな品種を植えている場合、種から育ったクリスマスローズはもとの株とは異なる色の花が咲くことも。どんな花が咲くのか楽しみに、大切に育ててみてください。

自分で種をまく場合の種まき適期は、5月~6月と9月下旬~10月です。種が成熟したら袋をかぶせ、落ちてくる種を採ってまくか、市販の種を買いましょう。クリスマスローズは発芽まで4~5ヶ月以上と、かなり時間がかかるので、種を採ってまくよりもこぼれ種や採りまきで育てるほうがよいかもしれません。

■種まきの方法
種まき用土あるいは、赤玉土8+バーミキュライト2で配合した土を育苗ポットに入れ、ジョウロで水をかけて土を湿らせ、種をばらまきします。種まきは肥料分のない土で行います。
覆土は1cmほど。たっぷりと水を与え、風通しがよい軒下などの雨があたらない日陰に置きましょう。発芽するまで土が乾燥しないように気をつけます。
双葉が出たら液肥を与え始め、本葉が出たら培養土に植え替えて育てましょう。

クリスマスローズの株分け

植えてから何年か経って大株になったクリスマスローズは、株分けをすることができます。株分けは10月~翌3月頃まで行うことができますが、最適なのは10月~12月頃です。
株分けする株を掘り起こし、根についた土を落としたら、一つの株に3芽残して清潔なハサミやナイフで根を切り分けます。その後、それぞれの株を新しい植木鉢に植え付けましょう。株分けした株を植える鉢に使用する土は、もとの土と同じものにします。
株分け後は水切れしないように気をつけて管理してください。

クリスマスローズのお手入れ

病気や害虫

灰色かび病やべと病、ブラックデスなどの病気に注意します。蒸れなど過湿状態になると病気が発生しやすいので、混みあった古い葉を取り除いたり、風通しの良い場所で管理したりして防ぎましょう。
害虫はつきにくいですが、アブラムシやハダニ、ナメクジ、ハモグリバエ、ヨトウムシなどがつくことも。アブラムシは病気を媒介することもあります。早めの防除が大切です。

お手入れ方法

基本的なお手入れでは、古い葉や枯れた葉は取り除き、汚れて疲れてきた花は株元から切り取ります。種を採る場合は、種が成熟するまで花を残しておきましょう。

無茎種は、秋に新芽が出始めたら、ゴワゴワした古い葉を根元から切り取ります。古い葉を取ることで、新しく生えてきた黄緑色の葉がのびのびと育つようになり、見た目も美しく保てます。
一方、有茎種の場合は、古い葉を切り取らずに育てます。花後、葉が枯れて色が黄色くなってから切り取りましょう。

常緑だからグラウンドカバーにおすすめ!

クリスマスローズは華やかすぎないため、和の庭にも洋の庭にもぴったり。常緑の葉を持ち、30cm程の高さでこんもりと茂るため、グラウンドカバー植物としても優秀です。半日陰で生育し、手をかけなくても丈夫に育ってくれるので、シェードガーデンにも積極的に利用してみましょう。

1年中葉が茂っているクリスマスローズですが、古い葉は濃い緑色、新しく伸びてくる葉はみずみずしい黄緑色をしているため、葉の色の変化も楽しめます。
秋から翌春にかけてがクリスマスローズの生育期。この時期、枯れるものが多い庭の植物の中でクリスマスローズの緑はとても貴重。落葉樹の足元などにまとめて植えておくと、殺風景になりがちな冬の庭を明るく彩ってくれます。
常緑のメリットを生かし、玄関脇など常にきれいにしておきたい場所に植えるのもおすすめです。

切り花で楽しむには?

クリスマスローズとスイセン
via Kaoru Sakamoto
クリスマスローズがたくさん咲いたら、切り花で楽しみましょう。ただ、切り花にするとすぐに萎れてしまうという経験を持つ方も多いのでは?クリスマスローズを切り花として楽しむには、ちょっとしたコツが必要なのです。それが「湯揚げ」という水揚げの方法。驚くほど長持ちするようになるので、ぜひやってみてください。

湯揚げの方法

1.切り取ったクリスマスローズを束ね、湯気で花が傷まないように新聞紙でしっかりとくるみます。茎は5cmほど出しておきます。

2.コップなどに熱湯を入れ、その中に、新聞紙でくるんだクリスマスローズの茎の先をつけて1分ほど置いておきます。切り口からぷくぷくと空気が出てきて茎の色が変色しますが問題ありません。

3.お湯から引き上げたクリスマスローズを、水をたっぷり入れた花瓶やバケツなどに入れてよく水を吸わせましょう。新聞紙が濡れてしまいますが1~2時間そのままにしておきます。その後新聞紙を外し、花瓶などに飾れば長く楽しむことができます。もし茎がくったりとしてきたら、切り戻して再び湯揚げを行ってみてください。
花だけでなく常緑の葉もクリスマスローズの大きな魅力。とても丈夫な植物なので、ぜひ育ててみてください。