植えっぱなしで大丈夫!毎年春に咲く秋植え球根を植えてみよう

植えっぱなしでも花を楽しむことができる球根を植えてみませんか?丈夫でとても育てやすく、ガーデニング初心者さんにも向いています。一度植えれば毎年春の庭を明るく彩ってくれる、秋植え球根をご紹介します。

球根の良いところは、球根自体が発芽のための養分をたっぷり蓄えているので、初心者さんでもほとんど失敗がないところ。チューリップのように毎年植える球根もありますが、植えっぱなしで数年間花を楽しめる球根は手入れも簡単。手間をかけずに、毎年春の訪れを感じることができます。
  
翌年も球根の花を楽しむためにはコツがあります。それは、花後に葉が完全に枯れるまでそのままにしておくこと。葉があることで光合成をして球根に養分を蓄えることができるので、球根が太り、翌年また開花するのです。葉が広がって邪魔な場合は、ひもで軽くまとめておくとよいでしょう。

ほとんどの球根は日当たりが良く水はけのよい場所を好みます。水はけが悪いと、球根が腐ってしまうこともあります。もし植える場所の水はけがあまり良くなければ、腐葉土やたい肥を混ぜて、水はけのよい土を作りましょう。夏の暑い時期は日陰になる落葉樹の足元などがおすすめです。

球根を植え付けたあとは、土の表面が乾いたら水をたっぷりあげてください。まだ葉が出てこない冬の間も球根は成長しています。特に、鉢植えの場合は乾燥させすぎないように気をつけましょう。

植える場所は最初によく考えておいたほうがよいですが、もし植える場所に失敗してしまっても、地上部が枯れた後、掘り起こして違う場所に植え替えることができるので大丈夫。
春、花いっぱいの庭を目指して、さっそく秋植え球根を植えてみましょう。

スイセン

春を告げる花として、生け花などにも用いられるスイセン(水仙)。地中海や北アフリカ原産のヒガンバナ科の植物で、ギリシャ神話にも登場します。よく知られているのはニホンスイセン(日本水仙)。海岸近くに群生している場所もありますよね。ニホンスイセンは房咲きスイセンの一種で、1本の茎からいくつもの花が房のように咲くのが特徴です。スイセンにはそのほかに、ラッパズイセンや華やかな八重咲きスイセンなど多くの品種があり、園芸品種はなんと1万種以上。混乱を避けるため、イギリス王国園芸協会によって花姿や原種をもとにラッパズイセンや大杯スイセンなど13の種類に分類されています。

スイセンの球根は、内部が玉ねぎのようになっている鱗茎(りんけい)で、10月~11月頃に植え付けます。10月初めころに植え付けると、寒くなる前に根を十分張ることができるのでその後の成長が良くなります。庭植えにする際は、球根2つ分の深さに植えます。鉢植えの場合は、球根の頭が土の表面から少し見えていてもかまいません。
できるだけ日当たり、水はけのよい場所に植えましょう。
花後は葉が完全に枯れるまでそのままにしておけば、翌年もまたスイセンの花を楽しむことができます。

植え付け時期:10月~11月
開花期:11月~4月(品種により異なる)

■注意■
スイセンの葉はニラと似ています。全草に毒があり、食べると食中毒を起こすので、誤って食べないように気をつけましょう。

スノーフレーク

スズランのような形で、白い花弁の先に緑色の斑が入った可憐な花が咲くスノーフレーク。別名、スズランスイセンとも呼ばれます。地中海沿岸から中央ヨーロッパ、ロシア西部にかけてが原産地。
華麗な姿とは裏腹にとても丈夫で、何年もの間きれいな花を咲かせてくれるため、初心者さんでも簡単に育てることができます。

スノーフレークは草丈30~40cmほどに育ち、長い茎の先に下向きに鈴のような形の花をつけます。まとめて植えて群生させるとかなり見ごたえがあるので、スペースがあれば挑戦してみましょう。

植え付ける時は、日当たり~半日陰の水はけがよい場所に。落葉樹の下などが向いています。完全な日陰だと花があまり咲きません。

球根は10cmほどの深さに植えます。植え付け後は、地上に葉が出ていなくても土の中では球根が成長しているため、土の表面が乾いたらたっぷりと水をあげましょう。
花後、葉が枯れたあとは休眠期に入るので、しばらく水やりの必要はありません。

植え付けの際は緩効性肥料を元肥として入れておきます。あとは、追肥として花後に液体肥料をあげればよいでしょう。
花後の葉はそのままにしておきますが、かなり広がって見苦しくなるので、軽くまとめておくとよいでしょう。葉が完全に枯れたら取り除きます。この頃に、球根は休眠期に入ります。

植え付け時期:9月下旬~11月
開花期:3月中旬~4月中旬

ムスカリ

ムスカリの原産地は地中海沿岸から西アジアにかけての地域。キジカクシ科の球根植物で、野生化することもあるほどとても丈夫です。植えっぱなしでも毎年花が咲き、庭でどんどん増えていきます。
ムスカリには白花や八重咲きなどさまざまな品種があります。中でもよく知られている品種は、青紫色の花をつけるアルメニアカムという種です。手に入りやすいため、育てている人も多いのではないでしょうか。

ムスカリは日当たりと水はけの良い場所を好みますが、半日陰でもよく育ちます。
庭植えでは5cmほどの深さに植えます。鉢植えの場合は球根が隠れる程度の覆土でかまいません。庭植え、寄せ植えともに、密植すると色合いが美しく見栄えがします。

球根の植え付け時期は、10月~12月中旬頃。植えっぱなしにすると葉がだらんと伸びてしまうので、もしそれが嫌な場合は、毎年球根を掘り起こして植え替えをするとよいでしょう。11月下旬~12月中旬頃に植えるとコンパクトに育ちます。

何年か植えたままにしていると、球根と球根の間がだんだん窮屈になってきます。そのままにしておくと花付きが悪くなるので、地上部が枯れてから掘り起こして分球しましょう。

植え付け時期:9月下旬~11月
開花期:3月中旬~4月中旬

イフェイオン(ハナニラ)

ニラのような葉に星形の花が咲くイフェイオン。南アメリカ原産のネギ科(ユリ科に分類されることも)の植物です。花の色は藤色、白、紫がかったピンクなど。植えっぱなしでも毎年花が咲き、どんどん増えていくとても丈夫な植物です。
いくつかの品種がありますが、人気があり手に入りやすいのは3~4月にかけて花が咲くイフェイオン・ユニフロルム。通常、ハナニラと呼ばれます。中でもウィズレー・ブルーという品種は藤色の美しい花を咲かせ、人気があります。
イフェイオンには花の時期が異なる品種もあり、黄花ハナニラは2月~4月頃、白い花の咲くパルビフローラは11月~12月頃に開花します。

イフェイオンの球根植え付け時期は9月~11月。日当たり、水はけの良い場所を好みますが、半日陰でも十分育ちます。落葉樹の足元などに植えるとよいでしょう。球根を植え付ける際に元肥として緩効性肥料を混ぜておけば、その後追肥は必要ありません。

球根植物ですが、種でもよく増えます。花後に採れる茶色い種を5月~6月頃にまいて育てることができます。庭では種が飛んで自然に増えていくことも多いです。

植え付け時期:9月~11月
開花期:11月~4月(品種により異なる)

■注意■
葉にはニラのようなにおいがあり見た目もニラに似ていますが、食べられません。

トリテレイア(ブローディア)

春~初夏にかけてアガパンサスのような青みがかった紫色の美しい花を放射状に咲かせるトリテレイア。ブローディアという名前で知られています。繊細な雰囲気で切り花としても人気がある、北アメリカ原産のキジカクシ科(又はユリ科)の植物です。

繊細なイメージですが、とても丈夫で育てやすく、初心者さんにもおすすめ。植えっぱなしでも、5月~6月頃に美しい花を咲かせてくれます。

トリテレイアは、日当たり、水はけのよい場所を好みます。翌年以降も美しい花を咲かせるために、できるだけ日がよく当たる場所に、5~10cmほどの深さで植えましょう。花が咲くころには高さ30~70cmほどに育ち、ナチュラルな雰囲気の初夏の花やバラなどと組み合わせてもよく馴染みます。

葉が出てから、3月下旬~5月に緩効性肥料を、花後に液体肥料(カリ分が多いもの)の追肥を行いましょう。肥料は少なめでかまいません。葉が枯れた後、夏は休眠状態になります。

植え付け時期:10月~11月中旬
開花期:5月下旬~7月

クロッカス

黄色や紫色、白などの花色があり、春の訪れを教えてくれるクロッカス。子どものときに育てたことがあるという人もいるのでは?クロッカスは地中海沿岸が原産地のアヤメ科の植物で、サフランもこの仲間です。葉が細くて草丈が10cm前後と低いのに対して、花が大きいのが特徴です。

寒咲き種は2月頃、春咲きの品種は3月頃に開花します。草丈が低いため、背の高い植物の間に植えると見えなくなってしまいます。春の植物が大きく育つ前に花を楽しめるような場所に群生させたり、芝生の間に植えたりするとよいでしょう。小さな鉢植えや水栽培でも育てることもできます。

庭植えの場合、球根は8cmほどの深さに植え付けます。水はけと日当たりの良い場所に植えれば、何年もの間、毎年花を咲かせてくれます。植え付けの際は緩効性肥料を施し、花後にカリ分の多い肥料を追肥して球根を太らせましょう。

植え付け時期:10月~11月
開花期:10月中旬~11月中旬(秋咲き)、2月~4月(寒咲き、春咲き)

シラー・ペルビアナ

シラーは中央アジアからヨーロッパ、アフリカにかけての地域が原産のユリ科の植物です。さまざまな品種がありますが、中でもシラー・ペルビアナは草丈30cmほどになるやや大型のもの。青色や白色の星形の小花が大輪の花火のようにたくさんつき、やや幅広の葉が長く広がり、地植え向きです。とても丈夫で、植えっぱなしでも毎年5月頃に花をつけます。

球根の植え付け時期は10月~11月。日当たり、水はけのよい場所に、球根2~3個分の深さで植えます。植え付け時に元肥として緩効性肥料を、花後にカリ分の多い肥料を施します。

シラー・ペルビアナは、ナチュラルな雰囲気の洋風の庭によく合います。花が咲いた後、葉はそのまま残しますが、かなり広がってしまうので、広がっても邪魔にならない場所を選ぶとよいでしょう。

植え付け時期:10月~11月
開花期:5月~6月
冬の終わり頃、何もない地面から球根の芽が出てくると春が近いことを感じてうれしくなるものです。
植えっぱなしでも毎年花を咲かせてくれる、手間がかからない秋植え球根。そのほとんどが丈夫で、初心者さんでも簡単に育てることができるためおすすめです。ぜひ落葉樹の下などに地植えしてみてくださいね。