水やりは?肥料は?上手に育てるコツは植物をよく知ること

水やりや肥料のこと、花がらを摘むのはなぜ?など、植物を上手に育てるために知っておきたいことは、実はどの植物にも共通のこと。植物が育つ仕組みをよく理解しておくと、普段のお世話も簡単になります。まずは植物についてよく知ることから始めましょう!

水やりは朝!その理由は?

まずは光合成の話から…

植物に水をあげるのはどうしてだか知っていますか?

植物の成長に必要なのは、水と空気と光。これらを使って、植物は光合成を行い、成長に必要な養分を作り出します。この際、酸素が空気中に放出されます。水は、光合成の際に空気中の二酸化炭素と結びつき、デンプンなどの炭水化物を作り出しているのです。
ここで作り出されたデンプンは、植物の重要な栄養源です。それと同時に、このことは植物が生物の大切な栄養源になる理由。自分で栄養分を作り出せるということは、生物とは大きく異なる点なのです。

一方、植物だって呼吸をしています。
呼吸では、人間と同様に酸素を使い二酸化炭素と水を放出します。昼間は光合成で発生する酸素のほうが消費する二酸化炭素よりも多いのですが、夜、光合成をしなくなると昼間作ったデンプンと酸素を消費して二酸化炭素と水を放出する量のほうが多くなるのです。この際に生まれるエネルギーは、植物の成長に使われます。

蒸散って覚えてる?

中学校の理科で習ったのを覚えている人も多いのでは?
蒸散とは、主に葉の裏にある気孔という穴から水分が蒸発すること。蒸散を行うことで、根から水を吸い上げやすくなります。
蒸散を行うのは、主に昼間。光合成でできた水分を放出するときです。そのため、根から水を吸い上げやすいのは、植物が光合成を行っている間ということになります。

水が必要なときに水やりをするのがコツ

植物が光合成をするのは光が当たっているときです。ということは、水やりは光があたって光合成を行うときにするのが一番ということになりますよね。水やりは朝、と言われるのはそのためです。
水を一番必要とする時にあげるようにすれば、それだけでも植物はよく育つようになります。

水やりは朝(少なくとも午前中)、水を必要としている植物にあげるのが正解です。

ただ、朝水やりをすればいいと言っても、水のやりすぎはよくありません。水は、土が乾いてからあげましょう。その理由は、根だって酸素が必要だから。土がいつも水で湿っていては、根腐れを起こしてしまいます。

水をあげるときは、鉢植えの場合は鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりとあげましょう。土中の空気もすべて入れ替えるつもりで株元にあげると、鉢の隅々まで水が行き渡ります。

夜水をあげるのはNG?

昼間水やりを忘れてしまった! 忙しいと夜になってから思い出すこと、ありますよね。光合成が…なんて考えると、夜水をやるべきかどうか、悩んでしまう人もいるのでは?
水やりを忘れても、特にしおれている様子がなければそのままにしておいて大丈夫。朝になってからたっぷり水をあげましょう。
反対に、しおれて元気がないときは夜でも水をあげましょう。朝まで待つ必要はありません。

水やりを忘れた!しおれそうな鉢植えは要注意

水やりを忘れていてしおれかけている鉢植えの植物があったらすぐに水をあげますが、そのあとが肝心。日なたにそのまま置いておくとなかなか回復しないこともあります。
そんなときは、いったん直射日光があたらない場所に置いておきます。元気になったら日なたに戻してあげましょう。特に夏場の水不足でしおれている場合は要注意。水をたっぷりあげて日陰で十分休ませてあげてくださいね。

意外と知らない肥料のこと

植物を育てる時に必要なのが肥料。でも、市販の肥料は種類が多すぎてどれをあげたらいいのかわからない…ということはありませんか?まずは、肥料の種類と選び方を知っておきましょう。

化学肥料に有機肥料、植物別肥料…いったいどれを選べばいい?

肥料には、化成肥料と有機肥料があります。
化成肥料とは工場で無機質の原料から化学的に作られる肥料、有機肥料とは油かすや骨粉、牛糞など。ある程度即効性を期待するなら化成肥料、じっくり時間をかけるのであれば有機肥料を使います。

咲いている花の色が褪せてきた…花が小さく葉も元気がないみたい…そんなときにあげたいのが化成肥料。人間でいえばサプリメントのようなものです。
効き目が穏やかな緩効性肥料であれば、成長期間中もゆっくり穏やかに効くのでおすすめです。

一方、野菜や植木、バラ、宿根草などをじっくり育てるのに向いているのは有機肥料。元肥として土に混ぜたり、定期的に株元の土に混ぜ込んであげれば大丈夫。寒肥など、じわじわ効かせたいときに向いています。

基本的に、植え付けの際に土に混ぜておきたいのが有機肥料。元肥や追肥として加えたいのが化成肥料。化成肥料と有機肥料の良いところを取った混合肥料というものもあります。有機成分を含んだ緩効性肥料などもあるので、花をきれいに咲かせたい場合などに使ってみるとよいでしょう。

これらの肥料とは別に、園芸ショップなどでバラ用肥料やパンジーの肥料、トマトの肥料など、植物別になった肥料も見かけますよね。これらの肥料はその植物に必要な養分を配合しているので、育てている植物の種類が少ない場合におすすめです。

植物に必要な3つの養分

植物が必要とする主な成分は「窒素」、「リン酸」、「カリウム」。肥料にはこれらの成分のほか、「マグネシウム」や「カルシウム」などが含まれています。

・美しい花を咲かせるために必要な養分
花や実を立派に育てるのに必要な主な成分が「リン酸」。花を楽しむ植物のほか、果樹や実を育てたい野菜などにも必要な成分です。

・葉を育てるときに必要な養分
葉を育てたい植物に必要な成分が窒素。観葉植物や葉野菜などのほか、葉をしっかり丈夫に育てたいときにも多めにあげたい成分です。

・根をしっかり育てる養分
根をしっかり育てるには「カリウム」が多めの肥料を使います。

どの成分も植物に必要なもの。これらをバランスよく含んだ化成肥料と土壌状態を改善する働きもある有機肥料を組み合わせるのが理想です。

花が咲いた後の花がらは取ったほうがいい?

見た目だけでない!花がらを摘む意味とは?

花が咲き終わったあとの花がら。できるだけすぐに切り取ったほうがいいとされています。でも、たくさん花の咲くパンジーやノースポールなどで花がらを摘むのは結構大変。ついそのままにしてしまいがちですが、花がらが残っていると株に負担がかかり、花を楽しめる期間も短くなってしまうことをご存知ですか?

受粉した花はすぐにしおれて種を作り始めます。これは植物が子孫を残すために行うこと。そのため、種がなかなかできなければ次々と花を咲かせることになり、結果として長く花を楽しめるのです。

一方で、受粉するとよい種をつくるために養分が使われます。十分種を残せるとなれば、花の時期が終わり、種を作ることにエネルギーを使うことになります。
花がらを残したままにしておくということは、種を作るということ。種を作る花がたくさんあると養分をそちらに使い、株にも負担がかかって寿命も短くなるのです。

長く花を楽しむためには、こまめに花がらを摘み取りましょう。摘み取るときは花びらだけでなく、柄から摘み取ってくださいね。摘み取った花は株の足元に落として置いたりせずに処分しましょう。下に落ちた花びらや葉もこまめに取り除くと、病気の発生を防げます。

種を取りたいとき

種を取りたいときには、花がらを残したままにしておきます。やがて十分種が色づいたら収穫の時期です。種まきの時期までよく乾かして保存しておいてくださいね。
植物の中には、種が熟すと弾けて遠くに飛び散るようになっているものもあります。そのような植物の場合は、飛び散る前に種を取り、他の植物同様、そのままそっと湿気のない場所で保管しておきましょう。冷蔵庫で保管すれば数年持ちます。

咲き終わった球根、葉だけになってもそのままにしておくべき?

花が終わっても葉は残しておこう

球根の花が咲き終わったあとに残る葉。花がないのにいつまでも残しておくのはスペースの無駄にも思えますよね。スノーフレークのように葉が広がってしまうものは、邪魔にも思えてきてしまいます。
でも、葉を片付けてしまうのはちょっと待って!実は、残った葉には球根を太らせるという大切な役目があるのです。

水仙やムスカリ、スノードロップなどは植えっぱなしでも大丈夫。葉は残しておき枯れるまでそのままにしておきましょう。邪魔になるようだったら軽く束ねておきます。あとは肥料をあげれば、翌年もきれいな花を咲かせてくれます。

一方、品種改良されたチューリップなどは、大切に葉を残しても翌年花が咲かないことが多いようです。大切に育てても翌年は葉が出るだけということがほとんどなので、また球根を買って植えなおさなければなりません。この場合は掘りあげてしまって次の植物に植え替えてもいいですね。

葉の役割とは?

葉の役割とは、光合成を行って植物の成長に必要な養分=デンプンを作ること。葉を取ってしまったり、極端に葉が少なかったりすると植物は健康に育ちません。
例えば、花が終わった後の宿根草。葉だけになっても大切に育てることで、翌年も美しい花が咲きます。
球根もそれと同じ。葉が光合成を十分に行うことで、球根が太り、翌年また花を咲かせてくれるのです。

ラベルがヒント!原産地を見て育てる

via Kaoru Sakamoto

原産地って何?

買ってきた花の鉢にさしてあるラベル。よく見ると原産地が書いてあるのをご存知ですか?「原産地なんて関係ない」と思って気にしないのはもったいないこと。実は、育て方がわからない植物は、原産地を知ることで育て方のヒントを得ることができるのです。

園芸店で売られている花などは品種改良されたもの。しかし。これらの品種改良された植物でも、原産地の風土に合う性質を持っています。そのため、初めての植物を育てる際も、育て方がわからなければ、できるだけ原産地の気候に近い状態を意識してみましょう。

もともとの性質を知ると育て方がよくわかる

植物の原産地を調べたら、次にその地域の気候を見てみましょう。西洋海洋性気候や地中海性気候、ステップ気候などさまざまな気候がありますが、その中で原産地のあたりはどの気候にあたるのか調べてみます。それがその植物が最も好む気候なのです。

例えば、ラベンダーの原産地は地中海沿岸や北アフリカなど。この地域の気候は、地中海性気候。地中海性気候は、夏の暑い時期は雨が少なく湿度が低いのが特徴です。反対に、冬は雨が多く降ります。これが、ラベンダーが日本の夏に弱い理由。高温多湿の状態に耐えられず枯れてしまうのです。そのため、ラベンダーを上手に夏超しさせるには、水はけのよい土を使って、できるだけ風通しがよく雨にあたらないような場所で育てるのがよいということになります。

原産地がどのような場所なのか考え、できるだけその条件に近づけてあげると、初めての植物でもよく育ちます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
植物を育てるときに知っておきたいことをまとめてみました。種類ごとに異なる育て方は原産地を知ることである程度対応できます。植物が育つ仕組みと一緒に、ぜひ覚えておいてくださいね。