バラの庭を目指して!初めてのバラ栽培 第2回 苗の植え付けかた

どんなバラを育てるかが決まったら、次は苗の植え付けです。バラがよく育つにはどういう植え付け方をしたらいいのか、鉢植えと地植えにわけて詳しく説明します。

春はバラの植え付け適期です

もうすぐバラの花の季節がやってきます。バラの花の季節はバラの栽培を始めるのにも1番いい時期なんです。「バラはちょっと難しそう」・・・そう思っていらっしゃる方も多いのでは?バラの栽培はポイントさえおさえればそんなに難しいものではありません。この春チャレンジしてみませんか?

初めてのバラ栽培、スタートは苗選びから。4月になると園芸店などではバラの苗が数多く出回ります。第1回の記事を参考に、栽培が容易で環境にあった品種の苗を手に入れましょう。

苗は1年苗の新苗と2年苗の大苗とがあります。初心者の方にはちょっと値段は張りますが、よく育った大苗が育てやすくておすすめです。わからない時はお店の方に尋ねてくださいね。

同時に植え付けに必要なものも揃えましょう。

準備するもの

バラの苗を植え付けるにあたって、先ずは次のものを準備しましょう。

鉢植え・地植え共通して準備するもの ・・・ 培養土・ハサミ・スコップ
必要に応じて準備するもの ・・・ 植木鉢・鉢底石・鉢底ネット・支柱

植物の栽培において土作りは最も重要です。とは言え、土を耕したり、あれこれ混ぜて調合するのは大変!初めてバラの栽培に挑戦する方には、バラ専用に配合した培養土をおすすめします。これを使った方が無駄が無いですし、何よりもよく育ちます。植え付けに必要な量を揃えておきましょう。地植えする場合もバラ専用の培養土を使いましょう。

鉢植えで育てる場合は、適切な大きさの鉢を用意します。大きさはミニバラは小さい鉢でも大丈夫ですが、バラはけっこう根を張ります。品種にもよりますが8号~10号のちょっと大きめの鉢を用意します。適切な大きさで水はけがよければどのような鉢でもいいのですが、おすすめは「スリット鉢」です。スリット鉢とは、鉢の下の部分にスリット(切れ込み)が入ったプラスチック製の鉢で、根がよく成長します。

鉢に植え付ける場合

それでは、バラの苗を鉢に植え付ける手順を説明していきましょう。

1. 先ず、鉢底に開いている穴が大きい場合はネットを敷きます。その上に鉢底石を入れてその上に培養土を入れていきます。穴がそこまで大きくない場合は鉢底石、培養土の順で入れます。なお、スリット鉢を使用する場合は鉢底石は必要ありません、培養土を直接入れます。

2. 底から4~5cmまで培養土を入れたら、苗をポットから抜いて根鉢を崩さないように鉢の中央に入れます。根が張っていて取り出しにくい場合は、苗の根本を指の間に挟んで表面の土を手のひらで抑えながらひっくり返してポットを引き上げます。トゲの多い品種だと刺さるので場合によっては手袋をして作業しましょう。

3. 苗の周りにスコップで培養土を入れていきます。ウォータースペース(水やりの際に水がたまるスペース)の分を空けて鉢の縁の部分から3~5cm下まで土を入れます。ここで一旦、鉢ごと軽くトントンとして叩いて培養土を均一にします。バラは接ぎ木になっています。この時、接ぎ口が必ず土より上に出るようにします。また土をぎゅうぎゅう押さえないようにしてください。

4. 水をあげます。鉢底からたっぷり出るくらいあげて、ウォータースペースの水が引いたらもう一度たっぷりあげます。

以上で植え付け完了です。鉢は、なるべく日がよく当たり風通しの良い場所で管理してください。

地植えする場合

次に、地植えについてですが、ここで地植えを行うのは2年以上の大苗です。1年目の新苗を地植えで育てるにはそれなりのテクニックが必要です。なので、新苗を育てる場合は先ずは6~8号鉢に植え付けしてある程度大きく育ててから地植えをしましょう。

それでは地植えの手順を説明します。

1. 先ず植え付ける場所を決めましょう。バラがよく育つのは、日がよく当たり風通しのよい場所です。でも一日中日が当たる場所なんてなかなか無いですよね。でも大丈夫。一日最低3時間直射日光が当たればOKです。半日陰や木漏れ日がさすような場所でもよく花をつける品種もあるんです。植え付けるに当たっては成長した場合の枝張りや根張りなどを考え十分なスペースを確保してください。

2. 地面に穴を掘ります。ミニバラはそこまでは必要ありませんが、普通のバラなら直径40~50cm、深さ50cmぐらいまで掘りましょう。これがけっこう大変なんです。でも、面倒だからといって小さめに掘るとその後の成長に影響してきますので、しっかりと掘ってください。

3. 穴の底にバラ専用培養土を入れます。苗のポットを中央に置いてポットの中の土が地面と同じ高さになるまで入れましょう。苗をポットから抜いて根鉢を崩さないように穴の中心に置きます。苗のポットからの抜き方については、鉢に植え付ける場合と同じです。

4. 周りに培養土を入れていきます。この時土はふんわりと。決して押さえないようにしましょう。バラの接ぎ口が土よりも上に出るようにします。それが出来たらウォータースペースを作るために周りに小さい土手を作ります。これが植木鉢の縁の役目を果たすんです。

5. ウォータースペースの中にたっぷりと水をあげます。水が引いたらもう一度あげましょう。

用土は元あった土ではなく、バラ専用の培養土を使いましょう。育ち方が全然違いますよ!

株を充実させるために必ず摘蕾を行いましょう

無事、バラの植え付けが終わったし、蕾もたくさん付いてることだし、これで春のバラが楽しめる・・・そう思っていた方には残念なのですが、ここで蕾を切っていきます。これが摘蕾という作業です。

バラにとって花を咲かせることはそれなりに体力を使うこと。ここで花をたくさん咲かせてしまうと体力を使い切ってしまい、夏にダメージを受けてしまいます。厳しい夏を越すために葉や枝をできるだけ成長させておきたいのに成長させられず夏バテしたり、病気になったりしてしまうこともあるのです。ここは今後のことも考えて、株を育てましょう。

蕾をハサミで切りましょう。切る場所は蕾が伸びてきている葉っぱの上あたりです。こうすることで、新しい枝や葉っぱが出てきます。

また開花中の花も切ります。花のすぐ下に3枚葉が付いていると思いますが、切る場所は3枚葉のところではなくその下の5枚葉の上です。

それでも一つも花を見ること無く全て切ってしまうのはとても残念ですよね。どうしてもという場合は、1番大きな蕾1つだけ残して満開になる前に花を切ってください。切った花は花瓶にいけて鑑賞するといいでしょう。

バラの苗の水やり

無事に植え付けが終わったら、株を充実させるために気をつけなければならないことがあります。特に水やりはとても重要なんです。でも、毎日決まった時間にあげるのではなく、苗の状態を見ながら苗が水を欲しがっている時に水やりをします。

水やりのタイミングを知るために、先ずは植えている土を観察しましょう。苗が周りの水分を吸っていれば土の表面が乾いてきます。このタイミングでたっぷりと水をやります。鉢植えなら鉢底からたっぷり水が流れ出すくらいあげましょう。このタイミングを無視して水やりを行っていると、乾燥しすぎて枯れたり、水が多すぎて根腐れを起こして枯れてしまうことがありますよ。

水やりは、根元に静かに行います。水はねで病気を起こすことがあるからです。また葉や花に水がかかってしまうと葉焼けや花びらにシミが出来たりしますので注意してください。

時間帯は朝が1番ですが、乾きがはやい場合は朝・夕に行います。ただし真夏の暑い時期は早朝日が昇る前や、夜ある程度気温が下がってから行ってください。

よい花を咲かすためには肥料も必要

バラは他の植物よりも多くの栄養分が必要で、そのために肥料を与えます。肥料は2種類。即効性のある液肥と、ゆっくり効く置き肥です。

苗を植え付けて2週間経ったら液肥を与えましょう。液肥はバラが成長期に入る4月から6月に与え、頻度は月に1~2回程度です。

6月に入ったら緩効性の置き肥を施します。置き肥は6月と9月、それに新芽が動き出す3月に行います。

秋の開花を目指して丈夫な株を育てましょう

バラの苗の植え付けについてご理解いただけましたでしょうか?

バラの栽培で大切なのは毎日の観察です。水やりや肥料などバラの状態を見ながら行ってください。
また、苗の植え付け時にもったいないけれど思いきって蕾を取ることも忘れずに。これをやることで今後の成長に大きく差が出てきます。秋に美しいバラの花を咲かせるために先ずは丈夫な株を育てましょう。

次回はバラの病害虫と剪定、夏場の管理について解説します。