タネから育てるハーブ栽培 バジルを育ててみよう

スパイシーだけど爽やかで心地よい甘さのある香りを持つバジル。イタリア料理に欠かせないこのハーブは、栽培もとても簡単なんです。今がタネの植えどきのバジルを育ててみませんか?

バジルとはどんなハーブ?

イタリア料理だけでなくアジア料理などでもよく用いられるバジルは、今やスーパーでも売られているほどポピュラーなハーブ。口にしたことのある人もきっと多いはず。今回はこのバジルをタネから育ててみましょう。

バジルは、もともとは東南アジア原産のシソの仲間です。バジルという名前は、ギリシャ語のβασιλικόνφυτόνという言葉に由来するもので王の植物という意味だそうです。イタリア語の「バジリコ」という名前でもよく知られています。和名は「メボウキ」。タネは水分を含むと中のグルコマンナンが膨張しタネの周りがゼリー状になることから、目の汚れを取る目薬代わりに使われたことからついた名前です。

バジルは古くから神聖なる植物として神に捧げたり、宗教儀式などで用いられてきたほか、ハーブとして料理はもちろん薬用にも使用されてきました。

バジルには、リラックス作用・抗酸化作用・食欲増進作用・消化促進作用・殺菌抗菌作用・咳止め作用・防虫作用があるとされています。

スパイシーだけど爽やかで心地よい甘さのある香りは、料理の風味付けにぴったりなだけでなくアロマテラピーにも用います。

バジルの品種

バシルはとても種類が多く、現在世界中で栽培されている品種は約150種。日本でもいくつかの品種が流通しています。主な品種をご紹介します。

スイートバジル

スイートバジルは、バジルの代表的な品種で、一般的にバジルといえばスイートバジルのことをさします。葉は柔らかくて香りもよく、トマトとの相性が抜群にいいことからイタリア料理によく使われます。

ダークオパールバジル

紫色の葉が特徴のダークオパールバジルはスイートバジルの改良種です。用途はスイートバジルと同じです。グリーン以外の色合いが欲しい時によく用いられ、特にダークオパールバジルを漬け込んだオイルや酢は色が美しいです。「赤バジリコ」とも呼ばれます。

レモンバジル

レモンバジルは、名前の通り爽やかなレモンの香りが加わります。魚や肉の料理に使うとさっぱりとした感じになります。

ブッシュバジル

ブッシュバジルは、スイートバジルの変異体で、葉は小さめですが樹形がこんもりと茂り大きく育ちます。香りや用途はスイートバジルと同じです。

バジルのタネを蒔こう

バジルは今ではスーパーでも売ってますが、必要な時にいちいち買いに行くのも面倒だし、少量なのにけっこう高いですよね。ちょっとした時に使えるように自宅にあったら便利だと思いませんか?実は今、バジルのタネの蒔き時なんです。栽培も簡単なので育ててみましょう。

時期 ・・・ 気温が20度以上になったらタネ蒔きの時期です。
だいたい4月の中頃から6月の始めぐらいまでの間に蒔きます。発芽率が高いのでプランターや地面に直接タネを蒔いても大丈夫。上から土を薄くかぶせます。

用土 ・・・ 有機質に富んだ湿り気のある土を使います。
有機肥料を混ぜ込んでおきましょう。市販のハーブ用や野菜用の用土ならそのまま使えて便利ですよ。

置き場所 ・・・ 日当たりが良い場所であれば屋外でも室内でも大丈夫です。

料理で余ったバジルも捨てないで

料理に使おうと買ってきたバジルが余ってしまうことってよくありますよね。そんな時は捨てないでそのまま育ててみましょう。バジルは押し芽で簡単に発根するんです。

コップなどに水を入れてバジルを入れておくと、気温により異なりますが数日から2週間くらいで茎の部分から根が出てきます。それをそのまま明るい場所で水栽培してもいいですし、根がある程度伸びたらプランターに植えてあげてもいいです。

バジルの育て方のポイントは?

バジルの育て方を簡単に説明します。

水やり ・・・ 土の表面が乾いたらたっぷりと水をあげてください。
バジルはハーブには珍しく乾燥に弱いです。常に湿り気のある状態で育てあげましょう。ただし過湿にならないように注意が必要です。

肥料 ・・・ 植え付け時に有機肥料を混ぜ込んでいるので最初は必要ありませんが、成長期に入ったら様子を見ながら液肥をあげてください。

環境 ・・・ 屋外や室内の日当たりの良い場所で管理しますが、真夏は半日陰で管理します。

摘心 ・・・ 草丈が15cmくらいに育ったら、株のてっぺんの芽を摘む摘心を行います。
こうすることにより脇芽が育ち、その脇芽が育ってきたら再び摘心をして枝数を増やします。枝数が多いとたくさん収穫ができます。

梅雨 ・・・ 株が大きくなり葉や茎が増え混み合ってくると、梅雨どきに蒸れてしまいます。収穫を兼ねて間引きましょう。

バジルは本来は多年草ですが、寒さに弱いので日本では1年草として育てているケースがほとんどです。ただし真冬でも室内などで最低気温が10度以上を保てれば冬越しできますよ。わが家では室内栽培で冬も暖かいので冬場の収穫もしています。

バジルを収穫しよう

バジルの株が成長してきたら収穫できます。株の上部の大きくて柔らかい葉を収穫しましょう。

ここで注意したいのが花穂です。バジルは夏になると花穂を付けますが、花を咲かせてしまうとせっかくの柔らかくて美味しいバジルの葉が固くなり風味が悪くなります。花穂は見つけたら摘蕾してしまいましょう。

一度に使い切れない量を収穫したら冷凍したり乾燥させたりして保存できますよ。

収穫したバジルを使ってみよう

新鮮なバジルを収穫したら、さっそく使ってみましょう。お料理やハーブティーに使うと美味しいだけでなく、美容と健康にも良いんです。簡単に作れるレシピをいくつかご紹介します。

カプレーゼ

バジルを使って美味しくてとても簡単でお洒落な一品を作ってみましょう。

用意するもの
・トマト
・モッツァレラチーズ
・バジルの葉
・オリーブオイル
・塩
・コショウ

下準備
・トマト ・・・ 1cmぐらいの輪切りにする
・バジルの葉 ・・・ 洗ってキッチンタオルなどで水分を拭き取る

作り方
トマト・モッツァレラチーズ・バジルの順にのせ、上からオリーブオイルをかけて、塩とコショウをかける

急なお客様が来ても、これならすぐにできますよ。

バジルオイル

料理に使うオリーブオイルもバジルを使って風味付けすると、さらに洒落た味わいになりますよ。

用意するもの
・バジルの葉 適量
・ニンニク 1~2片
・鷹の爪 適量
・オリーブオイル
・広口の瓶

下準備
・バジルの葉 ・・・ 洗ってキッチンペーパーで水滴を拭き取る
・ニンニク ・・・ 皮を剥き包丁の腹で軽くつぶす
・鷹の爪 ・・・ 種を取り除く

作り方
・広口の瓶にバジル・ニンニク・鷹の爪を入れてオリーブオイルを注ぎ込み漬け込む
・1週間したらバジル、ニンニク、鷹の爪を取り出す

必ず冷蔵庫に保管してくださいね。4~5日もすれば味が溶け込んできて、料理に使えますよ。

バジルビネガー

ドレッシングやマリネに使う酢もバジルの風味をちょっときかせたバジルビネガーを使うと美味しさも倍増します。これも簡単なので作ってみましょう。

用意するもの
・バジルの葉 適量
・酢
・広口の瓶

下準備
・バジルの葉 ・・・ 洗ってキッチンペーパーで水滴を拭き取る

作り方
・広口の瓶にバジルの葉を入れて酢を注ぎ込み漬け込む
・4~5日したらバジルを取り出す

お好みで鷹の爪を入れても美味しく召しあがれますよ。

ジェノベーゼソース

パスタやピザ、肉や魚のソースに大活躍のジェノベーゼソースも簡単に作れるんです。作り置きしておくと便利ですよ。

用意するもの
・バジル 25g (1カップ)
・松の実 20g
・ニンニク 1片
・塩 小さじ1杯
・粉チーズ 25g
・オリーブオイル 50ml

下準備
・ニンニク ・・・ 皮を剥く
・バジルの葉 ・・・ 洗ってキッチンペーパーで水滴を拭き取る

作り方
・フードプロセッサーまたはミキサーに材料をすべて入れてペースト状にする

バジルがたくさん収穫できた時にまとめて作って小分けにして冷凍しておくと便利ですよ。

バジルウォーター

暑い季節におすすめのバジルウォーターを作ってみましょう。爽やかなバジルに柑橘の香りでリフレッシュできますよ。

用意するもの
・バジルの葉 適量
・オレンジまたはレモン 1/4個
・水 1,000cc
(お好みで ・蜂蜜 適量)

下準備
・バジルの葉 ・・・ 洗う
・果物 ・・・ 薄く輪切りにする
(・糖蜜 ・・・ 水で溶いておく)

作り方
・容器にバジルの葉と輪切りにした果物を入れ、お好みにより蜂蜜を水に溶いたものを加え、水を注ぎ込み、冷蔵庫でよく冷やす

水の代わりにスポーツドリンクで作っても美味しいですよ。暑い時期におすすめです。

家にバジルがあると重宝します

いかがでしたか?

これからが旬のバジルは今が植えどきです。お家に一株あると重宝するハーブ「バジル」を育ててみませんか?