オシャレな「ココヤシ土のキット」で「なすの栽培」を試してみました

麻のトートバッグのようなプランターや水土の跳ね返り防止のマットなどが、19リットル分の「ココヤシ土」とセットになっている「ココヤシ土のキット『水でふくらむ野菜の土』」。さっそく、「ナスの栽培」で使ってみました。

なすの基本情報

インドが原産という説がある「なす」。野菜のなかでは、あの独特の紺色は、ポリフェノールの一種で、ナスニンとよばれ、アントシアニン系の色素だそうです。そういえば、ポリフェノールで有名な果物、ぶどうで近い色のものがある様に思われます。

「なす」の特徴としては、高温多湿に強く、大きさや味、育てやすさなどから、様々な品種改良品も出回っています。作る(食べる?)方としても、その豊かなバリエーションの中から一つを選ぶのは、楽しい悩みのひとつとなりそうですね。

栽培品種の種類や特徴について

<なすの種類について>
そんな日本だけでも180もの種類がある「なす」。とにかく、主な種類について見てみましょう。

<長卵型なす>
かなりメジャーな、いわゆる一般的な「なす」です。もともとは、岡山や京都の丹後などで栽培されていた特産物のなすで、栽培品種としては、タキイの「千両」シリーズなどがあります。

<長なす>
全長20cm前後の細長く、120g以上のナスの総称です。品種としては、河辺長、南部長、松山長、
博多長など品種に「長」がつくようです。柔らかい特徴から焼きなすや炒め物に向いているといわれています。

<加茂なす>
丸なすというジャンルに分類されるなすで、その名の通り、京都、加茂の特産品です。甘味が特徴で、漬物、煮物、揚げ物、焼き物など万能な品種として有名です。京都の特産品ですが、種や苗は、店頭でも購入可能なところもあります。

<米なす>
丸い見た目で、ヘタが緑色をしているという特徴があります。アメリカの「ブラックビューティー」という品種を元に改良して作られたものとされています。果肉は硬く、煮崩れしにくいのが特徴で、焼き物や煮物に向いています。

<青なす>
皮が緑色な点が特徴の種類で、別名「緑なす」とも呼ばれています。西洋では、漬物などを作る習慣もないため、こちらの「なす」の方が主流だそうです。つまり、皮は薄い反面、固いのですが、火を通すと、果肉が柔らかくなり、火を通す料理には、こちらのなすの方が向いていると言われています。

<水なす>
大阪特産のナスです。水分が多くて灰汁がないのが最大の特徴です。そのため、生食も可能な珍しい「なす」で、皮や果肉がやわらかいことから、漬物にも多く利用されています。

地植えなどの標準的な育て方

まずは、地植えでの標準的な育て方を見ていきましょう。その理由はベランダ菜園での最大の成否のポイントが、まず、一番一般的なこの「地植え」の環境を、いかに自宅のベランダで同様に再現できるかどうかに、かかっているからです。※今回は、「千両二号」という代表的な長卵型なすがモデルです。
<発芽と生育適温>
発芽までの日数は、6-8日と野菜類では標準的な長さです。発芽温度(地温)は昼間30度とたかめです(夜間20度)生育適温は、昼間23-28度と高め、しかし夜間16-20度と・・・こちらはやや低めのようです。栽培期域は、寒暖差が比較的多いところ向きなのかも知れません。
<種まき植え付け>
なす(千両二号)はビニールハウス(半促成栽培)、トンネル露地早熟などを併用することによって、ほぼ一年中、収穫することが可能です。

まず、ビニールハウス(半促成栽培)の場合、種まきは10月中旬~12月中旬まで可能です。この場合、育苗期間は約4か月~3か月半となるため、収穫は2月中旬~4月となります。
次に、トンネルを使った「露地早熟」の場合、種まきは1月上旬~2月下旬まで可能です。この場合、育苗期間は約3か月~3か月半となるため、収穫は5月中旬~6月中旬となります。

そして、通常の栽培方法「露地抑制」の場合、種まきは5月下旬ごろです。この場合、育苗期間は約3か月となるため、収穫は9月頃~10月となります。

※結論として、ハウスやトンネルを用いれば、ナス(千両二号)の場合、11月~2月の極寒の時期以外は収穫が可能ということになります。今回の「水でふくらむ野菜の土」キットの場合も、水抜き穴を開けなければ(後述します)、室内でも栽培が可能かと思います。

「水でふくらむ野菜の土」キットの紹介

「水でふくらむ野菜の土」キット

上がパッケージ・・・というよりも、見た目は、肥料や用土が売られているビニールの袋。でもカラフルなパッケージが製品への意気込みを大いに感じさせる。下は同梱されている説明書。袋の裏面には用土の表裏や、必要な水量などキット自体の説明があります。また、この説明書には、栽培について、きゅうり、なす、とまとなど栽培する種類別について、細かい説明が書かれていて、非常に親切で初心者向け。
当方、残念ながら、マンション住まいで、庭がなく「ベランダ菜園」を長らく楽しんでいます。そんな「ベランダ菜園」の大きな悩み事の一つが栽培用の土の問題です。小さな鉢植えの花ならとにかく、今回の「なす」の様な野菜となると、大量の土が必要となります。

しかも、今回の「なす」の様に「連作障害」を起こしやすいものの場合、土は使い捨てになります。大量の土を運び込み、しかも使い捨て・・・。さらに捨て方も自治体ごとに違うハズ・・・。なんともブルーになってしまいます。

「水でふくらむ野菜の土」キット

水(約10リットル)を入れ、「ココヤシ土」を膨らませたところ。蓋は泥はね防止用らしい。畑でよく行われている「敷き藁」の代わりを果たす。
そこで、ここ最近、店頭で目にするようになった「ココヤシ土」。今までは、「ココヤシ土」の単品(?)を買ってきて色々アレンジして使っていましたが、野菜専用の初心者向けのキットがあると店員さんに勧められ、購入してみました。

「ココヤシ土」の特徴は大きく2つあります。ひとつは、購入時、とてもコンパクトで軽いといった点です。今回のこの「水でふくらむ野菜の土」キットも、重さ的には、葉っぱばかりの「腐葉土」よりやや重たい程度です。

もう一つは、ほんものの「土」ではなく、「ココヤシ」なので、一般のごみとして出せる点です。しかも、野菜の栽培が終わって、完全に乾燥してから捨てれば非常に軽くコンパクトになり、枯れた野菜と一緒に捨てられます。しかも、「土」のように散りばりませんから、ベランダ自体を汚すこともほとんどありません。

そして、このキットの場合、いちばん上の写真にもあるように、このキットの使い方だけでなく、代表的な野菜として、「トマト」「ナス」「キュウリ」について、それぞれの具体的な育て方も解説した説明書が付属していて、懇切丁寧なところも初心者にはありがたいところです。

「水でふくらむ野菜の土」キット、「なす」の苗木を植えたところ

「ココヤシ土」の中央にスコップで穴を掘り、ポット苗の「なす」を植え込みます。この掘った土も当然「ココヤシ土」なので、別の栽培に使えます。
<手順>
0.事前準備として、バックプランターは内側にビニールが張ってあるため、その水漏れテストを実施。約2リットルの水を入れ、水漏れ確認をチェック。万が一、水漏れがあった場合はテープ等で補修(これは、大丈夫でした)。

1.ここに、二層構造になっている培土(ココヤシ土本体)の粒の細かい面を上に、荒い面を下にしてバックプランターにセット。

2.さらに8リットルの水を入れ、水漏れがないことを確認し、15分待つ。

3.バッグの下にある四か所の穴にペンやドライバーなどを刺し、水抜き用の穴を開ける(この工程は実施していません。なぜかというと、当方は水の代わりに水耕栽培用の水溶液を使用しています。なので、水が溜まっても、根腐れは基本的におきないため、この、水抜き用の穴あけ作業は、実施しませんでした)

4.十分「ココヤシ土」が水分を吸ってふくらんでいるのを確認したあと、中央にポットと同じ位の穴を掘り、苗木を移植。掘った「ココヤシ土」はまた別の鉢で使えそうです。

まとめ

今回は、キットになっている「ココヤシ土」で「なす」に挑戦してみました。いつもの小さな鉢植えでの栽培と違い、一度水(ハイポネックスの養液)を与えると一週間程度は持ちます。そういった意味で非常に安定度があります。

その反面、大量の「ココヤシ土」を使うので、夏場、狭い日照権の奪い合いになる南向きのベランダでは、大きな面積を取ってしまうという欠点があります。当然、使用している「ココヤシ土」が多いので、コストもかかります(金額的にキットは約1000円(、「ココヤシ土」は18リットル)、「ココヤシ土」だけのものは15リットルで500円程度、土だけのものは少量使用するため、3,4鉢分利用可能)。

つまり、とにかく着実に育てたい人(初心者ということになりそう)は、キットで、コストや場所のトレードオフを考えたい人は、「ココヤシ土」単品を買ってきて、自分でアレンジ・・・がいいかと思われます。