水耕栽培で、ハーブに挑戦 (レモンバーム)

今まで、ベランダでのガーデニングをやってきましたが、今回は、キッチンなどでも育てられるというハーブ類の栽培に挑戦しました。「トマト」や「きゅうり」などの「実もの」よりは簡単ではないかと・・・。ところが、ところが、いざ始めてみると…。今回はその中のひとつ「レモンバーム」について紹介します。

水耕栽培ベースで、レモンバームを試してみました

ちょっと、お試し! 

スーパーで買った食用の「レモンバーム」を水に浸してみました(発根するかは???)
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今回は、水耕栽培ベースで、ハーブの代表的なものの一つである「レモンバーム」に挑戦しました。ここ、数年間、私はベランダや室内でできる「水耕栽培」で野菜などを中心に育ててきました。その実績を、この「ハーブ」でも応用できないかと、最近始めた、いわゆる「新プロジェクト」です。

芽だし、根だし作業

ハーブ種まき(ロックウールブロックとプラスチックケースを使用)

8種類のハーブを2つの箱(環境)で試してみた(5/11)。
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5/11。どれがどれか分からなくなるのを防ぐための記録写真。8種類をそれぞれ緑と黄色の蓋つきプラスチックケースとロックウールブロック(写真下参照)を使って発芽、発根を促進する環境を設定してみました。

そもそも、「ハーブ」とは何を指すのでしょうか? あまり詳しく調べず、まずは種袋に「ハーブ」とあるものを買い集め、いつもの方法(※方法の詳細は、下記参照)で、発芽、発根させてみました。緑の箱は、クローゼットの中(暗所)で、黄色の箱は、上にカバーをかけた状態(半日陰)にしました。

ロックウールブロック

これがロックウールブロックです。3x3x3のサイズは60ピースがワンセットで販売されています。
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※いつもの方法(発芽、発根)…大和プラスチック(株)製のロックウールブロックという種まき、挿し木用の立方体の素材(高炉スラグと数種の岩石を高温で焼き、綿状にしたもので、3X3X3cmの一番小さいサイズのものを使用)に種を蒔きます。一区画がこの大きさに近い蓋つきのプラスチックケース(100円ショップで購入)に入れ、水をひたひたに入れます。そして、クローゼットなどの真っ暗なところに置くと、種袋のパッケージにある「発芽日数」で、ほとんどのものは、発芽します。

「ハーブ」の基本情報

5/23 発芽した「レモンバーム」(種まき 5/11)
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今まで「水耕栽培」を中心にやってきた野菜達は、たとえ、その種の原産が日本でなくても、最終的には「日本」の畑で栽培されることにより、最大限の能力を発揮するようにつくられたものでした。その証拠に、この水耕栽培で、手がけた品種は20を超えていますが、「これは、明らかに失敗」というのは、「ほうれん草」だけです(それは、また別の回で紹介します)。

しかし今回挑戦している一連の「ハーブ」達は、どうもちょっと趣が違うようです。具体的に言うと、もともと、「ハーブ」の文化は、ヨーロッパ主体のものです。一部、東アジアを含む日本の「シソ」類などもありますが、それ以外のものが多数派を占めます。つまり、その土地土地の気候にあった育て方をすることが大切になります。
そこで、原産地を大きく区分けすると

1.東アジア、日本
2.東南アジア、中米
3.地中海沿岸
4.ヨーロッパ中緯度

に分類できます。
今回取り上げている「レモンバーム」の原産地は、南ヨーロッパなどを含む、3.地中海沿岸に属します。この地方の気候は、偏西風の影響で、夏は涼しく、冬は温暖です。また外国から輸入されたような日本の穀物類も一部そうですが、土壌が酸性だと育ちにくい特徴があるようです。

冬場に越冬が必要なこと、土壌を酸性にしないこと、夏の蒸し暑さで高温多湿を避けることなどがコツになると思われます。

レモンバームの基本事項

発芽したものをミニコンテナ風のケースに収めたもの(6/11)
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<特徴>
その名の通り、レモンに似た香りのハーブで、ハーブティーとして楽しむのには最高の品種と言われています。属名の「メリッサ」はギリシャ語で蜂を意味し、蜜源植物(蜂が好んで集め、はちみつの原料になる)としても知られています。「バーム」とは「バルサム」(薫香(くんこう:精油成分を含む樹脂を焚き、かおりを楽しむ(あるいは薬として利用する)こと))を縮めたものです。
<ハーブとしてのレモンバーム>
レモンバームの精油成分はヨーロッパでは昔からよく知られており、強壮作用を発揮する「シトロネラール」などから成り、うつ症の改善、呼吸と脈拍をおだやかにし、血圧を下げるなどの効果があります。さらに、気管支炎やぜんそくにも効果があるといわれています。
<レモンバームの仲間>
変種として、斑入りの「ゴールデンレモンバーム」や葉全体が金色をしているという、その名のとおりの「オールゴールデンレモンバーム」などがあります。
<育成情報>
種まきの時期は4-5月と9月で、ハーブの中では、暑さ寒さにも強く育てやすいと言われています。発芽適温は20-30度、発芽日数は14日(やはり、ハーブは発芽日数が長め)。鉢植え、室内でもよく育ち、明るい日陰の水はけのよい場所を好みます。

今回の結果

種を蒔いたハーブ、一通り芽がでた(5/30)
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結局、今回は、「芽だし」までは順調だったのですが・・・。その後、あまり大きく成長することなく、挙句の果てには、水の与えすぎか、逆に枯れてしまいました。

あまりの寂しい結果に、思わずスーパーで食用の「レモンバーム」を購入し、とりあえず水に差してみました(TOP写真)。次はこれ位のものが収穫できるように頑張りたいです。今回の「レモンバーム」を育てるにあたってのポイントは、「地中海風の気候」に環境をそろえるということだったと思われます。そんな点を踏まえて今後についても考えてみました。

ちょっと一息

「レモンバーム」のように「レモン」で始まるハーブも他にいくつかある様です。その名の通り、どれも「レモンのような香り」がするのが特徴です。せっかくなので、ここで少し押さえておきましょう。

1.レモングラス…「レモンバーム」がシソ科の植物なのに対し、こちらはイネ科の植物です。見た目も稲の様な形ですが、その名の通り、「レモンの香り」がします。その香りの正体はレモンバームと同じ「シトラール」という成分ですが、精油で比較すると、レモングラスの方がより多くのシトラールを含んでいます(含有量:レモングラス70-80%、レモンバーム35-45%)。タイ料理のトムヤンクンには欠かせない食材の一つとなっています。

2.レモンバーベナ…こちらは、レモンと同様のリモネンが含まれています。南米原産の低木で、乾燥させた葉の香りが長持ちすることから、ポプリやリース材に向いています。ちなみに、こちらもシトラールを含んでいますが、精油での含有量は15-35%程度です。

今後の展望

今回の失敗から、2パターンを考察しました。ひとつは、「苗を買って育てる」というもので、これは、今後実施したいと思っています。残念ながら、いくつかホームセンターを回ったのですが、「レモンバーム」は見つかりませんでした。食用をスーパーで調達したのもそのためです。

そして、もう一つは、再度「実生」での挑戦をするということです。それは、結局、苗を購入しても育て方が間違っていれば、また、枯らせてしまうことにもなりかねませんので、実生から「地中海風気候」を再現してみようと思ったためです。
ここで、下記写真のようなものを用意し、再チャレンジすることにしました。

新戦略の実生作戦

改良型の種まきシステム
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まず、失敗の原因について、考えてみました。確証はありませんが、主な敗因は下記の様な感じだろうと考察しました。
1.ロックウールブロックだと、根から空気が吸えない(根の発達を促進する水耕栽培用のハイポネックスの養液が、ほとんど功を奏さなかったのではないか?)
2.直射日光は、ダメらしい(葉焼けしてしまった!)
3.なかなか大きくならなかった(栄養が足らない?)。種の数が少なすぎる?
こんな作戦会議の結果は…
新戦略(上記写真)について説明します。まず、コンテナ型の箱に半分程度「水で膨らむ土(ココヤシ土)」を入れます。そこにハーブ用の肥料を適量入れます。さらに、もう半分、水で膨らむ土(ココヤシ土)」を入れ種(レモンバーム)を蒔きました。さらに保湿のため、この箱(コンテナ)に付属している蓋をして、萌芽を待ちます。
※「水で6倍に膨らむ土(ココヤシ土)」とは?

園芸メーカ、園芸店オリジナル品として幾種類か販売されています。「ココヤシ」を原料にした吸水性の高い、日本に古来からあるミズゴケのような、軽く運搬も楽な土の代わりを果たす新素材です。「燃えるゴミ」として捨てられるという特徴もあり、ベランダや室内で植物を栽培したい人にはうってつけのものです。

とはいえ、先日、ホームセンターで半値で販売されていました。半年前は、このホームセンターで、デモ用のサンプルを展示するほどの気合の入れようだったのですが・・・。理由は定かでありませんが、今現在(2017年6月)、(すくなくとも、このお店では)あまり人気がないようです。

「ココヤシ土」を使った「野菜栽培キット」。お店の人によると、新製品だそうです。
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また、先日、別のホームセンターで見つけたものは、「おしゃれなバッグプランター付き」と銘打っているもの(写真参照)。他にもキットとして同梱されている付属品があり、何種類かの野菜苗の具体的な植え付け方法の説明書も同梱されています。こちらも、別の機会にレポートしてみたいと思います。

この「膨らむ土」はパッケージの注意書きにあるとおり、水を吸収して6倍の容積になります(上記写真のニュータイプは2倍、ただし、キットになっているため、量は固定で水10リットル)。これ以外にも2社から、ほぼ同様の製品がでているのを確認しています。

今、使用している製品(アース社製)だと3.7リットル用が4パック入っていて、私は、使用時に1パックをポリバケツ(約4リットル)一杯の水で解凍して使用しています。そのままだと、水分が多すぎるので、ざるですくって鉢に入れています。一度解凍すると、乾燥してもあまり容積は変わらないという特徴があります。

水遣りについては、鉢を持ち上げることで、すかすかか水がぎっしり入って重たいかを容易に判別できます。そういった点では、水耕栽培同様(水耕栽培は、極力、透明の器(ガラスなど)を使い、一目瞭然を心がけていたので)、水遣りを忘れないですむという優れものです。

最後に

レモンバームは、古来からヨーロッパの人々に愛されてきたハーブでいただくというのが昔から人気のある利用方法の一つです。また、乾燥させておくことによって、時期以外でも「ハーブティー」を楽しむことが可能です。そこで、乾燥方法、「ハーブティー」の入れ方についても簡単に見てみましょう。
<.乾燥ハーブの作り方>
・天気のいい日に「レモンバーム」を1茎数枚を残して摘み取ります。
・風通しのよい日陰にざるを紐で下げた形で吊るし、乾燥させます。
・2~数日で乾燥具合を見て、完成。

<レモンバームティーの作り方>
ポットに「レモンバーム」数枚と茶葉をいれ、沸いたお湯を注ぎ、約3分待ちます。お好みで、砂糖やラム酒を入れて出来上がり。