観葉植物としても! ごぼうはいかが?

水耕栽培をしているものにとって、いわゆる「根もの」はかなりハードルが高いです。しかし、最近、「ココヤシ」を原料にした「水で(約6倍に)膨らむ土」というのが、ひそかなブームとなっています。そこで、今回は、この「ココヤシ土」を使い、「水耕栽培」では実現できなかった「根もの」代表のひとつである「ごぼう」に挑戦してみました。

「ごぼう」の基礎知識

「サラダごぼう」お試し

年明け、早々に種を植えた「サラダごぼう」。葉っぱがだいぶ出てきたので、生長途中(2/11)をみてみた。「ごぼう」として、いただくには、まだまだな様子。
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<栽培の基本>
今回も最近、自分のオリジナル育成方法の定番になりつつある「膨らむ土(ココヤシ土)」と水抜き穴のない鉢とハイポネックス養液の水遣りで育ててみました。

※「膨らむ土(ココヤシ土)」とは?

数社の園芸メーカや、園芸店オリジナル品として販売されています。「ココヤシ」を原料にした吸水性の高い、日本に古来からあるミズゴケのような、軽く運搬も楽な土の代わりを果たす新素材です。「燃えるゴミ」として捨てられるという特徴もあり、ベランダや室内で植物を栽培したい人にはうってつけです。

榊流「三種の神器?」

左から、バケツ(4リットル)、ざる(これで、「ココヤシ土」をすくう)、鉢(写真は今回の「サラダごぼう」ではありませんが…)
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とはいえ、先日、ホームセンターで半値で販売されていました。半年前は、このホームセンターで、デモ用のサンプルを展示するほどの気合の入れようだったのですが・・・。理由は定かでありませんが、今現在(2017年6月)、(すくなくとも、このお店では)あまり人気がないようです。

パッケージの注意書きにあるとおり、水を吸収して6倍の容積になります。3社から、ほぼ同様の製品がでているのを確認しています。この社の製品だと3.7リットル用が4パック入っていて、私は、使用時に1パックをポリバケツ(約4リットル)一杯の水で解凍?して使用しています。そのままだと、水分が多すぎるので、ざるですくって鉢に入れています。一度解凍すると、乾燥しても容積は変わらないようです。
※「ココヤシ」を原料にした「水で(約6倍に)膨らむ土」については、過去の記事『「水で膨らむ土」で大根作りに挑戦!』
https://gardening-news.net/media/works/v2/articles/F0APC
等で詳細を紹介しています。併せて、ご参照ください。

ごぼうの品種や種類

サラダごぼう(ファイルケース版)

100円ショップで買った「ファイルケース」を鉢として使ってみました。理由は、比較的深く土が張れると考えたので・・・。また、見た目的にもインパクトを狙ったつもりだったのですが・・・。(1/18)
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原種、品種で見ると、さほど「ごぼうの仲間」は多くないようです。

大きく分けると、その一番代表的なもののひとつは、現在栽培されている品種の多くの元となった「滝野川ごぼう」です。その名の示す通り、現在もある東京都北区滝野川発祥と言われるものです。根が柔らかく味がよいことで知られています。

次に有名なものは堀川ごぼうです。こちらは伝統的な京野菜で、真が空洞になっているのが特徴で、秀吉の聚楽亭が発祥だという説もあります。

最近は、この鉢と「ココヤシ土」、「ハイポネックス(6.5-6-19)の養液」のコンビでの栽培が中心となってきています。
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もう一つは、大浦ごぼうです。江戸時代以前から栽培されていたごぼうで、千葉県匝瑳市大浦地区の特産です。でもこちらで作られたものは成田山新勝寺にすべて奉納されるそうです。とはいえ、その種は、古性種故か沢山の種類が出回っているようです。「市場には出回らない!」そういった意味ではガ-ディナーの心揺さぶるものともいえるかもしれませんね。

それに加え、各種苗会社が独自に開発した品種がいくつかあるようですが、全体的には比較的小さめで、生や、生に近い状態(湯がいて食べられる・・・など)のものが人気があるようです。

ちなみに、私が今回、使わせていただいた品種は「さらだごぼう」と呼ばれ、根の長さが35-40cm程度と短く、かつ湯がいて「サラダ」として食べられるものです。もちろん、これは(根の長さが比較的短い等)「ベランダガ-ディニング」に適しているという判断からきています。

サラダごぼうの育て方

サラダごぼう(ファイルケース版)

幸か不幸か鉢(ファイルケース)が見えなくなるほどになりました(2/5)
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一般的な「サラダごぼうの育て方」をもとに、『「ココヤシ土」によるベランダ栽培』について細かく見てゆきましょう。

<種まき>

まず、サラダごぼうの発芽までの日数は7-10日。野菜類では結構時間が掛かる方だと思います。発芽適温は20-25度。こちらは、扱いやすいことを意味しています。ちなみに、生育適温も同じく20-25度です。その条件から、蒔き時期は、寒地、寒冷地(北海道から東北と山岳)は4月下旬から7月いっぱい。温暖地(関東以南)では、蒔き時期の期間が広がり、3月中旬から9月上旬頃、さらに暖地(山間部を除く四国、九州)ではもっと広がり、3月上旬から9月末まで可能です。室内に取り込むことも視野に入れた『ベランダガ-ディニング』だとほぼ、一年中栽培も可能だと思われます。

サラダごぼう(ファイルケース版)

2/21の画像。かなり密集してきて、息苦しい感じに・・・。この後、間引きを実施。右は、ほぼ同時期から育て始めた白菜。
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畑に蒔く場合の情報としては、は、畝間45-60cmで筋蒔きにし、好光性なので、ごく薄く土をかけます(これは、「ココヤシ土」でも踏襲します)。2回程間引きし、本葉3-6枚のころ、株間3-5cmで一本立ちにします(この判断は鉢植え状態では難しい課題かと思います)。
<畑づくりと栽培管理>
畑づくりは、1 平方メートルあたり、苦土石灰を120g,完熟堆肥2kg,有機配合肥料80g施し深く耕します。未熟な堆肥は、また根の原因にもなる(根が当たって2つに裂ける?ということ??)で十分腐熟したものを使います。追肥は、畝の根元付近に3回ほど実施します。
<使用する鉢>
園芸用のプランターを用意するのが普通の栽培だと思いますが、私は、水耕栽培の延長という考えから水はけは気にせずいけるので、持ち運ぶのにも便利な箱型のケースを使いました。今回は、できるだけ深さをとりたいと思い、書類をストックするケースを使ってみました。100円ショップで購入したものです。

<水やり>
水耕栽培で使っているものと同じものを利用しています。「水耕栽培」では、水に根を浸し切った状態にするので、根腐れを防ぐのが最大のポイントとなります。なので、「カリ」の含有率が多い、6.5-6-19(チッソーリンサンーカリ)の配合のハイポネックスを1000倍に薄めて使います。これにより、水耕栽培と同じ条件になるので、ひたひたにしても根腐れの心配がなくなります(なので水を抜く穴の開いた鉢を使わなくても済むわけです)。

サラダごぼう収穫

収穫したサラダごぼう

5/6 に収穫した「サラダごぼう」。太さはとにかく、長さは…。
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観葉植物としての観賞用として十分な大きさになったことと、そしてなにより、葉が傷み始めて、鑑賞用としての限界を感じたので、さっそく収穫した。太さは通常のごぼう位あったのだが、長さが・・・。やはり深さが足らなかったのだろうか?、それともなんらかのストレスが加わってしまったからなのか・・・。疑問を残しつつも「ファイルケース版」サラダごぼうは、これにて終了。
フライパンで軽く炒って食べました。新鮮さ故か不思議なことに、特に太いものは、サツマイモのような「ほくほく感」がありました。あるいは、サラダごぼうの特徴なのでしょうか、とにかく不思議な食感で美味しいを通り越して、感動的でした。

「ごぼう」らしい長さを求めて…

そこで、リベンジ。底の深い器(ゴミ箱らしい)で再挑戦。5/6
5月に収穫したごぼう。味は、抜群でしたが、どうしても、見た目は…。ということで、時期的にもまだ実生からの栽培は、十分可能なので、今度は更に丈の長い容器(実は100円ショップで「ゴミ箱」用として売られていたもの)を使い、リベンジすることにしました。深さ25cm程度ありいっぱいまで土を入れています。

深鉢リベンジ編。6/17現在の様子。
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まとめ

「サラダごぼう」は「水耕栽培」だと、生長してきた時に、本体や根を支える冶具をよういしなくてはならないなど、非常に難しくなってしまいますが、「ココヤシ土」や「深い鉢」、「水耕栽培用のハイポネックスの養液」などを併用することによって、ベランダでもあまり手間をかけることなく栽培できることが分かりました。葉の形がユニークなので、冬場などは室内で鑑賞用としても楽しめます。鑑賞後に超新鮮な根菜・・・まさに、一石二鳥です。

実際に試してみて、水切れなど、おこさなければ、比較的育てやすい部類に入る野菜(根菜?)です。是非皆さんもためしてみてはいかがでしょう?