木々を知って、ひと狩り、出かけよう!

この時期、ついつい出かけたくなる定番のイベント「紅葉狩り」。でも紅葉(こうよう)するのは、紅葉(もみじ)だけではありません。紅葉している身近な木、名前など、より深く知っていたら、「紅葉狩り」の楽しさも倍増すること間違いないでしょう。

紅葉する木とその葉の特徴をとらえよう!

榎(えのき)

葉脈(ようみゃく:葉に入る筋のこと)の形が特徴的。
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特徴あるもみじの葉をみて、「もみじだ」と誰でも分かりますが、それ以外の木だと紅葉を見て「綺麗だな・・・」と思っても、なかなかその木が何の木なのか分からなかったりします。特に、図鑑などで調べると、花や実のなるものについては、その特徴が紹介されていますが、紅葉している「葉」を図鑑に載っているものと見比べて調べるのは案外大変です。

今回は、そんな紅葉する樹木を中心に簡単に見分けられるコツを紹介いたします。

榎(えのき) 葉脈の形に特徴あり

榎の葉(拡大)

榎の葉の拡大版。葉脈の様子。
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まず、一つ目は榎(えのき)です。ニレ科エノキ属の高木です。一つの木から出ている葉の紅葉具合が違うのか色とりどりで思わず写真に収めました。この木の葉は、葉脈の出方に特徴があります。同じニレ科のケヤキと見比べても違いが分かると思います。言葉で説明するのは難しいですが、百聞は一見に如かずです。

桜 「葉柄のイボ」がポイント。種類による違いもチェック!

桜(大島桜系)

桜(大島桜系)です。紅葉した桜の葉は、穴の開いているところがポイント。
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次に桜の場合です。「葉」で見分けることから考えると、桜は葉柄と呼ばれる葉の根元の茎の部分にいぼの様な「せん体」があるのが特徴です。蜜をだすことから「蜜線」とも呼ばれ、その付いている形や場所などから種類の特定が難しいとされている桜の判断材料の一つにもなっています。

大島桜(拡大)

葉柄の部分。「せん体」と呼ばれるイボのようなものがあるのが桜の特徴。
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柄を染める江戸小紋などによく使われる伊勢型紙をご存じですか?。この穴の沢山開いた「型紙」を布に押し付け、柄をつける道具のことです。この伊勢型紙、一説には桜の葉に穴があいているところにヒントを得たともいわれています。なるほど、この写真を見て、このお話しを思い出しました。

桜(エドヒガン系)

桜(エドヒガン系)というよりも、いわゆる「枝垂れ桜」です。こちらは同じ桜でも縦に細長いのが特徴です。紅葉する色も大島桜とは違うようです。
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ハナミズキ 最近の街路樹定番のひとつ

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ミズキ科ミズキ属の小高木。別名アメリカヤマボウシとも呼ばれ、日本に自生するヤマボウシともよく似ている。ちなみにハナミズキは漢字では「花水木」(か、すい、もくとも読める?)と書きます。和名もあるということは、より馴染み深い樹木なのかもしれません。

ドウダンツツジ 垣根や植え込みで激しく紅葉

ドウダンツツジとつつじ

道路のセンターに、ドウダンツツジとつつじがまるで「茶畑」のように植えられていました。常緑樹であるつつじの緑と真っ赤に紅葉したドウダンツツジのコントラストはなかなか綺麗です。
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ゆりの木 Tシャツ型の葉が特徴

ゆりの木

葉の形が特徴的
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花が「ゆり」に似ている所からそう名付けられた木。モクレン科ユリノキ属の高木。なんといっても、Tシャツを逆さにしたような、あるいは袢纏(はんてん)のような葉の形が特徴です。別名はそれにちなんで袢纏木とも呼ばれます。原産は北アメリカで街路樹にもよく用いられています。

その話題の花は5-6月頃咲きますが、大きな木の上に上向きに咲くのであまり間近でみることはありません。私も街路樹としてよく、この木を目にしますが、花が咲くことすら、知りませんでした。

ゆりの木

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クマシデ 葉の集合体のような、ミノムシのような実が特徴

クマシデ

実の形に特徴があるのが「シデ」類の特徴
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こちらは、実の形に特徴のある「シデ」です。カバノキ科クマシデ属の高木。名前の由来は、しめ縄にかざるシデ(四手)に似ているところに由来します。写真はクマシデと思われますが、これ以外にアカシデ、イヌシデなどがあります。

アカシデは若葉が赤くなることから、イヌシデは使い物にならない事(何を何に使うのかは不明)から、そしてこのクマシデは、「たけだけしい」ためその名が付いていると言われています。

実際、実の形が、「たけだけしい」のでこれはクマシデと推測できます。また、樹皮の感じからもクマシデであると断定してほぼ間違いないと思います(クマシデは光沢のないざらざらした感じ)。皆さんも、この実をみたら、その3つのシデのうちのどれかを見分けてみるのも楽しいかもしれません。

アカシデ シデの中では葉も実も小さいことが特徴

そろ

近所の公団住宅わきの公園にて
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立て看板つきのこの樹を発見。「そろ」は上記説明のうちの「アカシデ」の別名。ミノムシのようなずっしりとした実のなる「クマシデ」に対して、ほっそりとしてスマート(あるいは品祖?)な実をつけるのが「アカシデ」です。

ヤマグワ 葉の形が特徴的

ヤマグワ

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公団のアパートに隣接する公園で見かけました。こちらも葉の形が特徴的です。マグワとともに蚕(かいこ)の養蚕(ようさん)に使われ増やされた木ですが、これがそのマグワかはこの写真だけでは区別がつきません(実に若干違いがあるそうです、あるいは実を見れば判別できるかもしれません)。

いずれにしても、公園内に単独であったため、養蚕用に植えられたものではなく、この地に自生しているものかと推測されます。ちなみに、この特徴的な葉の形は、これ以外に、全く裂けないものや、3裂、2裂、5裂するものなど様々なタイプがあります。傾向として、若い木程、多く裂けるようです。この株もまだかなり若い部類でした。

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最後に

ドウダンツツジ

職場近くの生け垣にて。鮮烈な色が特徴。気候的に今年は紅葉に向いているのかも・・・。
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樹木を紅葉している「葉」だけで判断するのは、結構難しいと思われがちですが、慣れてくると案外判別できるようになります。でも普段から通勤途中などで、樹木を観察していると、ちいさな公園や街路樹だけでも、その木の種類の多さに驚かされます。

たとえは、ここで取り上げた樹木は、全て我が家から数百メートル以内の公園で見かけたもの、あるいは職場の近くの街路樹や公園で見かけたごく「一般」のものです。注意深く観察することによって、あなたのご自宅、近所の公園、実は、美しい色や形をした「宝もの」を沢山収めている「宝箱」なのかもしれません。