水耕栽培で、ハーブに挑戦 (バジル)

我が家は、マンションであり、庭がないため、ベランダや屋内でのガーデニングを独自の方法を研究しつつやってきました。特にそんな中、今までは野菜類の水耕栽培を中心にやってきました。水耕中心であるため、実生から育てて品種数は20種以上を成功させています。そこで、今回は、この技術をハーブ類の栽培に応用することを考えました。「トマト」や「きゅうり」などの「実物」よりは案外、簡単にイケるのではと思い、安易に挑戦を開始しました。ところが…。

水耕栽培ベースで、バジルに挑戦

ガーデニングの中でも、最も手を付けやすいのが、この「ハーブ」類ではないでしょうか。その理由はいくつかあると思いますが、その一つは、なんといっても、育てやすさでしょう。いわゆる「ハーブ」は、立派な花を観賞したり、野菜や果物のように青果物としての出来の成果を問われるといったたぐいのものではありません。

どちらかというと、原種に近いものを、そのまま使っている場合が多く、「放っておいても増える」雑草的なイメージのものが先行しています(今回の場合、結果的にはそのようなイメージ、先入観が、のちのち大きな誤算につながっていってしまいますが…)。

ハーブの種、蒔いてみた

ハーブの種まき

5/11。どれがどれか分からなくなるのを防ぐための記録写真。8種類をそれぞれ緑と黄色の蓋つきプラスチックケースとロックウールブロックを使って発芽、発根を促進。
そもそも、「ハーブ」とは何を指すのでしょうか? まずは種袋に「ハーブ」とあるものを買い集め、いつもの方法(※方法は、下記参照)で、発芽、発根させてみました。緑の箱は、クローゼットの中(暗所)で、黄色の箱は、上にカバーをかけた状態(半日陰)にしました。

※いつもの方法(発芽、発根)…大和プラスチック(株)製のロックウールブロックという種まき、挿し木用の立方体の素材(高炉スラグと数種の岩石を高温で焼き、綿状にしたもので、3X3X3cmの一番小さいサイズのものを使用)に種を蒔きます。一区画がこの大きさに近い蓋つきのプラスチックケース(100円ショップで購入)に入れ、水をひたひたに入れます。そして、クローゼットなどの真っ暗なところに置くと、種袋のパッケージにある「発芽日数」で、ほとんどのものは、発芽します。

発芽成功!

種まき後、一週間

5/17の様子。なんとか芽が出たのが確認できる
早いもの(たとえば、今回取り上げている「バジル」)は約1週間(5/11種まき、17日、発芽確認)で発芽。しかし、遅いもの(ローズマリー)はまだその気配なし…。ローズマリーの種袋の注意書きを見るとなんと「発芽までの日数15-20日(!)」とある。20日といえば、約3週間ということになる。発芽だけで3週間というのは、驚いた。たとえば、日本の野菜だと10日を超えるものは、まれだと思われる。

半日陰の芽だし

5/27の様子。こちらは若干、日に当てたためか、生長がいい気がする

ところが…異常事態発生!

なんと、5/30の写真のあと、6/3位にバジルとレモンバーム、ローズマリーを残して、他は、枯れてしまいました。原因は、未だよくわかっていません。…ということで、失敗に学ぶため、「ハーブ」について色々調べることにしました。

「ハーブ」とは何か?

手前から「ローズマリー」「レモンバーム」「バジル」。とりあえず、別々で管理するため、ひとつひとつ別にする(これも100円ショップで購入。超小型の小物入れ?)。
まず、ほとんどのハーブは日本で自生しているものではありません。つまり、本来、日本とは気候の違うところに生息しているものなのです。そのあたりから、未だかつてなかった、この大失態(せっかく発芽させたのに、ほとんど枯らせてしまった)のヒントをさがしました。

原産地の気候に着目しよう!

今まで「水耕栽培」を中心にやってきた野菜達は、たとえ、原産が日本でなくても、様々な改良を経て、当然、「日本」で栽培されることを前提につくられたものでした。しかし今回挑戦している一連の「ハーブ」達は、どうもちょっと趣が違うようです。
具体的に言うと、もともと、「ハーブ」の文化は、ヨーロッパ主体のものです。一部、東アジアを含む日本の「シソ」類などもありますが、それ以外のものが多数派を占めます。つまり、その土地土地の気候にあった育て方をすることが大切になります。そこで、原産地を大きく区分けすると

1.東アジア、日本
2.東南アジア、中米
3.地中海沿岸
4.ヨーロッパ中緯度

に分類できます。
今回取り上げている「バジル」の原産地は、2.の東南アジア、中米の地域に相当しますので、この地域の気候についてもう少し見てみましょう。「東南アジア」はシンガポールを中心とする熱帯雨林の気候です。同様に中米ではパナマなど同緯度の南北アメリカ大陸の間を指しています。一年中温暖で多湿なのが特徴で、日本での栽培の場合、秋からの防寒(過湿も?)が必要になります。

バジルの基本事項

<特徴>
皆さん、よくご存じスパゲッティやサラダ特にトマトやチーズと相性がよくイタリア料理に欠かせない人気のハーブです。シソ科の植物でビタミンやミネラルを豊富に含み、特にベータカロチンはほうれん草の約1.5倍も含まれています。

<育成情報>
発芽までの日数は5-10日(ハーブとしては、比較的早いほう)、発芽温度(地温)は20-25度、生育適温は同じく20-25度で、これも日本での育成は育てやすい温度だと思われます。種まきは一年中高温多湿な熱帯雨林の特徴から、高山や東北、北海道などの寒地、寒冷地では5-6月、本州南半分では4月中旬-6月、四国九州などの暖地では4月上旬-6月が奨励されています。
<バジルの種類>
・レモンバジル…バジル(スイートバジル)の変種で、バジル風味のあとに柑橘系の香りが漂うという特徴があります。スイートバジルに対して、レシピはあまり多くありませんが、鶏肉との相性がいいと言われています

・シナモンバジル…メキシコで育成されたバジルの変種で、その名の通りシナモンの香りがします。クッキーなどのお菓子に使われています。また日本の暑さにも耐えられるため、日本での栽培には向いているかもしれません。

5/30の様子

5/30の様子。こちらは緑の箱から取り出したもの。バジル以外のハーブも発芽が確認できる
<たねまき>
ポットで苗を育てる場合、本葉4-5枚頃植え付けます。直まきの場合は、1㎡あたり苦土石灰100g,完熟堆肥2kgと有機配合肥料80gを施し、20-30cm間隔で2-3粒ずつ点まきにします。好光性なので、覆土はごく薄くすることがポイントです。
<栽培のポイント>
乾燥を嫌う傾向があるので、水遣りに注意して、生長に応じて追肥を行います。本葉10枚程度になったら、芯をつんで脇柄を伸ばし、花穂がでたらはやめにつんで葉が多く出てくるよう調整します。利用方法としては、大きな葉からつみとります。乾燥させて使う場合は、花が咲き始めるころかりとり、陰干しします。

結果と今後の展望

スーパーで購入した「バジル」

via (写真:オリジナル)
結局、今回は、「芽だし」までは順調だったのですが・・・。その後、あまり大きく成長することなく、挙句の果てには、直射日光を当てたのが悪かったらしく、葉焼けを起こしてしまい、TOPの写真の「バジル」は瀕死状態になってしまいました。

あまりの寂しい結果に、思わずスーパーで食用の「バジル」を購入しました(写真)。次はこれ位のものが収穫できるように頑張りたいです。
今回のバジルを育てるにあたってのポイントは、「東南アジアのシンガポールを中心とする熱帯雨林の気候」に環境をそろえるということ、という結論に至り、2パターンを考察しました。ひとつは、「苗を買って育てる」というもので、これは、今後実施したいと思っています。そして、もう一つは、再度「実生」での挑戦をするということです。ここで、下記写真のようなものを用意し、再チャレンジすることにしました。

実生の新戦略

6/20 新戦略で臨む
まず、失敗の原因について、考えてみました。確証はありませんが、下記の様な感じだと考察しました。
1.ロックウールブロックだと、根から空気が吸えない(水耕栽培用のハイポネックスの養液もあまり功を奏さなかったのではないか?)
2.直射日光は、ダメ(葉焼けしてしまった!)
3.なかなか大きくならなかった(栄養が足らない?)。

作戦会議の結果は…

新戦略(上記写真)について説明します。まず、コンテナ型の箱に半分程度「水で膨らむ土(ココヤシ土)」を入れます。そこにハーブ用の肥料を適量入れます。さらに、もう半分、水で膨らむ土(ココヤシ土)」を入れ種(バジル)を蒔きました。さらに保湿のため、この箱(コンテナ)に付属している蓋をして、萌芽を待ちます。
※「水で膨らむ土(ココヤシ土)」とは?

数社の園芸メーカや、園芸店オリジナル品として販売されています。「ココヤシ」を原料にした吸水性の高い、日本に古来からあるミズゴケのような、軽く運搬も楽な土の代わりを果たす新素材です。「燃えるゴミ」として捨てられるという特徴もあり、ベランダや室内で植物を栽培したい人にはうってつけではないでしょうか。

とはいえ、先日、ホームセンターで半値で販売されていました。半年前は、このホームセンターで、デモ用のサンプルを展示するほどの気合の入れようだったのですが・・・。理由は定かでありませんが、今現在(2017年6月)、(すくなくとも、このお店では)あまり人気がないようです。

パッケージの注意書きにあるとおり、水を吸収して6倍の容積になります。3社から、ほぼ同様の製品がでているのを確認しています。この社の製品だと3.7リットル用が4パック入っていて、私は、使用時に1パックをポリバケツ(約4リットル)一杯の水で解凍?して使用しています。そのままだと、水分が多すぎるので、ざるですくって鉢に入れています。一度解凍すると、乾燥しても容積は変わらないようです。