水耕栽培を始めよう! (ミニトマト編)

インテリア感覚で栽培ができる「水耕栽培」が最近、流行っています。その中でも「ミニトマト」は初心者向けで、比較的チャレンジしやすい植物かと思います。そんな理由から挑戦してみました。

「水耕栽培」とは? 

<ミニトマト(水耕栽培)>

今回、最初に試したのは、ペットボトルでの栽培を前提にした、キットです。「植物は、光と水と空気で育つ」を合言葉に謳っていて、正直、眉唾かもしれないと思いました。ちなみに、写真は、その解説書どおりのセッティングをして、約1か月後のものです。

写真は、ペットボトルの蓋に当たる部分、僅かに「アップサンド」という土(砂)がありますが、発芽し、発根したら、土は一切使わず、その大部分は水(正確にはハイポネックスの養液)で育てます。つまり、「水耕栽培」とは、土の代わりに水で育てる栽培方法のことを指しています。

水耕栽培の特徴は、土を持ち込まないので、室内でも手軽に育てられることが最大の特徴でしょうか? それ以外には、野菜やくだもの類は水耕で育てた方が苦みが少なく、あるいは、甘味が多くなるともいわれています(証明はされていない? )。いちごやトマトは確かに、農家で水耕をやっている所もあったように思います。

水耕栽培での育て方

<ミニトマト(ペットボトル型:発芽)>

さっそく、育て方をご紹介します。

<種まき>
このペットボトル型の場合、キャップのへこみの部分に数粒のトマトの種を入れて、砂で、覆土します。水、数滴をかけ、湿らせておくと、1-2週間で、芽が出てきます。写真は、記録によると、7/19に種まき、 25日に発芽したとあるので、まさに解説書の通りでした。
<水やり(肥料)>
ペットボトルの水は、週に一度入れ替えます。本葉がでてきた時点で、肥料(ハイポネックス)も溶かして入れます。実は、これが水耕栽培の大きなポイントの一つです。ハイポネックスなら、何でもよいという訳ではなく、6.5-6-19(チッソーリンサンーカリ)という配合のものを1000倍の水に薄めて使います。

ガーデニングミニ知識(栄養分の基本)

ハイポネックスなどは、用途に合わせ、配合している栄養分の比率が変わっています。それらは、大きく3つに分かれ、目的も分かれていると言われています。

1.チッソ…...葉や茎の成長を促進する
2.リンサン...花や実の成長を促進する
3.カリ….......根を丈夫にする

特に「水耕栽培」では、水に根を浸し切った状態にするので、根腐れを防ぐのが最大のポイントとなります。なので、「カリ」の含有率が多い、6.5-6-19(チッソーリンサンーカリ)を使うという訳です。たとえば、同じ「ミニトマト」でも、普通に土で育てるなら、「リンサン」の配合が多いものを使うのがセオリーになると思います。

<ミニトマト(最盛期)>

<収穫>
最初に実をつけ、収穫できたのは12/24日でした。温かい室内で育てたにも関わらず、何と、5か月掛かりました。このキットには約3か月半で、収穫できるとはあるので、途中、栽培しつつも、半ば、諦めていました。

ところが、最盛期には、こんなに実りました。この写真は、なんと、4/14なので、種まきから約9か月後です。その時、付けていた実の数だけで、ざっと20個はあるでしょう。トータルでは、その倍、40個位、頂けたと思います。

とても美味しかったです。気のせいかもしれませんが、水耕栽培だからか、それとも、新鮮だからなのか、酸味も甘味も買ってきたものより、強かったように思われます。まさに「ガーデニング」の醍醐味です。

ミニトマトの一般的な育て方(地植え)について見てみましょう

ここで、ミニトマトの一般的な育て方(地植え)「アイコ」についておさらいを兼ねて、見てみましょう(種袋の説明より)。

<アイコの特徴>
肉厚でゼリーの少ない、長い卵のような型が特徴のミニトマトです。房どりも可能で、果実の割れも少なく、病気に強く、実つきがいいという特徴があります(栽培初心者には向いていると思われます。)

<発芽までの日数>
4-6日。非常に短いです。そういった点でも水耕栽培初心者には適しているかもしれません。なぜなら地植えと違い水耕だと、芽が出るまでが最大の勝負だからです。過去に「いくら待っても芽が出ない」種類の植物は沢山ありました。「ミニトマト」は、色々な種類を色々な方法で試してみましたが、「発芽」に至らなかったものは、ないと記憶しています。

<地温の発芽適温>
20-30度。小松菜と同じ位です。冬場であれば、マルチング等で地面を温めないと発芽しないでしょう。当方はすべて室内で発芽させているので、暖房等あるためか、特に気にしていませんでしたが、毎回成功しています。

<生育適温>
20-30度。こちらも寒い時期にも育てたいという、室内派、水耕派には栽培しやすい温度だと思います。

<ミニトマト「アイコ」8/24>

<種まき>
発芽温度(地温)20-30度が必要なため、低温期の場合、加温や過湿をし、ポットに種2-3粒を蒔き、本葉が1-2枚になる頃までに間引きし、苗木1本にします。定植は、花が咲いたころに、プランターだと35cm、地植えだと50cm間隔で植えつけます。

<栽培管理>
畑づくりは、1 平方メートルあたり、苦土石灰 150g(酸性を嫌うということ、ニンジンより量が多いのでより酸性には弱いと予測される) 、完熟たい肥 3kg と有機配合肥料80g を施します。株が伸びてきたら、支柱が必要になります。

<収穫>
開花後、35日くらいで色づきます。その後、色が熟してから収穫します。


<地域別のまきどきと収穫期>
寒地、寒冷地では3月中旬-4月中旬が蒔き時で、収穫は7月下旬から10月初め位です。温暖地では、3月と4月の2か月間が蒔き時で、収穫は6月末から10月中旬位までできます。暖地に至っては、2月末から5月初旬まで種まきが可能で、収穫は6月中旬から11月中頃まで行えます。

オリジナルの方法による栽培

<ミニトマト(オリジナル栽培法)>

「ペットボトル方式」が予想以上にうまくいったので、今度は、オリジナルでの栽培方法を考えて、実践してみました。せっかくなので、「ミニトマト」は3種類、同時に「なすび」にも挑戦しました(今回は「なすび」は割愛します)。

<種まき>
種まきポットは、ロックウールブロックと呼ばれている、ものをつかっています。これにそれぞれの種を蒔きます。そして、百円ショップで探したプラスチック製の小物入れにひとつずつ入れ、水を浸し、暗いところに置きます。ポイントは、直方体のロックウールブロックと一つの区画がなるべく近い大きさであることです。これにより、各区画の湿度を高く保てるため、発芽が促進されるのだと考えられます。

<ミニトマト(植え替え後)>

<植え替え>
芽が出たら、ガラスの器に移します。今回はやはり100円ショップで購入した大きめのものを使いました。ただし、これだと、ぐらぐらして、倒れてしまうので、工作用の太い針金で茎を支えるものを作りました。大量の水(ハイポネの栄養入り)が供給できた結果、大きく育ちました。

水耕栽培(トマト)の注意点、問題点など

<注意点>

まず、水やりです。発芽するまでは、普通の水を使います。これは、栄養を含んでいると、種を腐らせてしまうことがあるからです。本葉が出てきてから、ハイポネックスの養液に変えましょう。何回もやっている経験上、トマトの場合、発芽は割とすんなり進むようです。

2つ目は、どの野菜でも同じですが、一日のうちで、日当たりのいい場所に置きましょう。半日陰だと想像以上に生育が遅れます。トマトだと、すべて半日陰でそだてたら、生育がよくなくて、実をつけないかもしれませんね。

3つ目は、逆に暑さ対策です。オリジナルで望んだ時は、何株か枯らしてしまいました。栽培時は、原因が全く分からなかったのですが、今、考えると、夏の暑い時期だったので、これが原因だったのかもしれません(キットの説明書きには35度以上だと枯れるとありました)。

<ミニトマト(突然、枯れた! )>

<問題点>

まず、水耕栽培は、養分のある水を使っているので、夏場は藻が出やすいという特徴があります。さらに、トマトなどは、吸い上げる水の量がとても多いです。小さい容器で育てると、朝、水をやって、夕方には、もうからから・・・などということもあり、今回はこういった大きな容器にしました。

また、水の中には、藻だけでなく、ボウフラが沸くこともあります。なので、こまめに水を入れ替える、また、容器をこまめに洗うなどの処置が必要です。

もう一つの問題点は、害虫です。一番悩まされたのは、「アブラムシ」です。要らなくなったCDなど置く、牛乳をかける、蚊帳のようなものの中で育てる等、色々対策をしてみましたが、どれも、あまり効果はありませんでした。

最終的に取った手段は、「洗面所で洗い流す」という手段です。これこそまさに、「水耕栽培」だからできる裏技です! 水で丁寧に手洗いすれば、アブラムシは落ちます。普通の地植えだったら思いつきもしなかったでしょうね(笑)。
<収穫>
3種類(アイコ、すずなりミニトマト、あまうま中玉トマト)のミニトマトを収穫することが出来ました。味はというと、アイコは、皮が硬く、好みの問題もあるのでしょうが、甘味も少なく、いまいちという感じでした。同様に、すずなりミニトマト、あまうま中玉トマトも、甘味は少な目?でした。あるいは、収穫が早すぎたのかも知れません。 

まとめ

<収穫したミニトマト(2種類)>

「植物の仕組み」について、簡単におさらいしてみよう!

まず、葉によって、蒸散作用をもたらし、水分をくみあげます。と同時に二酸化炭素と水から糖分を光合成によって作り出します。この糖分が植物の生長に使われます。そして、根はその光合成の原料である水や酸素を吸い上げ、茎を通じて葉に送ります。

つまり、植物は光と水と空気と根から吸い上げる栄養で育ちます。根腐れすることなく、倒れることなく、根から水と養分が吸い上げられれば、土は不要・・・という考え方の元に「水耕栽培」というものがあります。言い換えると、土は、植物を「根」で支えること、そして、「根」に水だけでなく、酸素も同時に供給すること・・・という大きく分けて2つの役割があります。

この2つの役割を何か他の物で代用し、果たせば、土は不要になるのです。
蒔いた種から、芽が出て、本葉が出て、さらに大きくなり、花が咲き、実がなる・・・。そんな様子を根の張り具合まで目視で観察できる水耕栽培は、単に「お手軽」なだけでなく、ガーデニングの楽しさを倍増させてくれます。

それ以上に「植物の仕組み」を知る教材としても最高のツールといえるかもしれません。この「ミニトマト」の水耕栽培は、私が本格的にガーデニングを始めるきっかけになりました。さらに、オリジナルの栽培方法を色々研究しつつ今に至ります。つまり、「水耕栽培」がしやすい野菜だと思います。皆さんも、挑戦されてはいかがでしょうか?