八王子「富士森公園」探索記

NHKの「趣味の園芸」の放送を見ていたら、八王子市が毎年行っている「緑化プロジェクト」のひとつが紹介(中継放送)されていていました。大いに興味を持ったので、さっそく、出かけてみました。

「全国都市緑化はちおうじフェア」とは?

入り口の花の看板

沢山の花草をゴージャスかつセンスよく配置している。この看板だけでもずっと見ていて見飽きない・・・。
via オリジナル画像
「全国都市緑化・・・」とは「公益財団法人都市緑化機構」が日本の都市の持ち回りで開いている博覧会の一つです。その名の示す通り、「都市緑化」を目標と掲げる団体で、NPOなどとも協力し、都市の緑地化推進活動を推進しているそうです。そして弟34回にあたる今回は、八王子の市政100周年にちなんで、八王子で開催されました。

そのメインイベントとして、「全国都市緑化はちおうじフェア」として、市内の6か所のサテライト会場とともに、メイン会場であるここ「富士森公園」などで盛大に行われました。

富士森公園とは?

アーカイブガーデン

入り口側の手前からの画像・・・。大きな一本の帯のグラデーションになっています。始まりは「赤」で、紫、青、白を経て緑へと徐々に色をかえていく配色になっています。
via オリジナル画像
八王子市で最古の公園で、球場や陸上競技場、市民体育館も隣接している、いわゆる市民憩いの非常に歴史ある、しかも大きな公園です。八王子駅からはバスで数分程度の好アクセスですが、イベント期間中は無料のシャトルバスが運行しており、利用できます。

そのため、普段は100台ほどの駐車スペースがありますが、イベント期間中は混雑が予想されるため、マイカーの乗り入れができません。(ということは、イベントが終了すれば、マイカーで訪れることも可能です。)

シャトルバス

フェア開催前までは、通常の駐車場でしたが、このイベント期間中はシャトルバス乗り場になっています。10分間隔ででているバスはかなり余裕があり、本当はもっと大勢の参加者を見込んでいたのかも・・・。ちなみに、沢山のイベントなども実施されていますが、会場は入場無料です。
via オリジナル画像
シャトルバスは、10分程度の間隔で頻繁にでており、八王子駅からのアクセスは非常に便利です。いろいろな会社のバスが出ていて、「地元密着」な雰囲気をより醸し出している感じがします。また、市の力のいれようもくみ取ることができます。

最初にして、最大の見どころ、「八王子100周年アーカイブガーデン」

アーカイブガーデン

100m100種類のペチュニアと、側道に八王子の歴史を刻んだ、八王子100周年を記念してつくられたガーデン
via オリジナル画像
アーカイブガーデンは、八王子の市政100周年を記念して作られた壮大なガーデンです。もともとは、ここ、富士森公園が運動公園だったため、100m走のコースに作られました。側道には、これまで100年での市の出来事が刻まれています(それがアーカイブの名前の由来の一つとなっています)。

また、何といっても、グラデーション状に配色されたペチュニアが花のじゅうたんを形成して、見るものを圧倒します。

街の話題が歩道に印刷されている

via オリジナル画像
この、アーカイブガーデン、市政100周年にかけて、100種類のペチュニアの花が植えられています。ペチュニアは、八重咲や大きな花、背丈のものもありますが、見栄えを考えて、花の大きさと草丈は比較的同等なものに統一されているようです。

植え方は10の花壇に分かれており、それぞれ10種類づつ、植えられています。色彩がひと帯のグラデーションとなるように工夫されていて、実際には、イベントを兼ねて、八王子市民も参加して植えられたそうです。

別名「花壇の女王」と呼ばれるペチュニア。こんなにカラフルな色のバリエーションだけで、100種類以上もあるとは驚きです。しかも、同時に咲くので実物を見るとその美しさは圧巻です。

アーカイブガーデン(ロードサイドガーデン側から)

高台になっているロードサイドガーデン側からの眺めです。八王子の駅前の新しいランドマーク、40階建ての超高層マンションも遠くに望めます。
via オリジナル画像
元々は、この100m競技をみるために作られた小高くせりあがった観客席。ここは「ロードサイドガーデン」と名付けられた休憩スポットになっています。人口芝の長椅子状になっており、富士森公園全体が見下ろせる絶好のビューポイントとなっています。

ペチュニア花壇のアップの画像

白い花の方は「デボネア ライム グリーン(Petunia Debonair Lime Green)」という品種で、紫の方が「カーペット ブルー レース(Petunia Carpet Blue Lace)」という品種です。
via オリジナル画像
ペチュニア・・・一年草、または多年草で、ナス科の植物。原産地は南アメリカの中東部の亜熱帯から温帯域に自生してます。花期が三月から11月と、とても長く、花色も白、黄色、紫、青、赤、ピンク、そして複合のものなどとカラーバリエーションも豊富です。

初心者にも扱いやすい花種で、枝垂れ型、こんもりしげるタイプ、そして花の種類は一重だけでなく、八重、大きさも大輪から小輪まで色々な園芸品種がありますが、ここ富士森公園では、見た目を重視しているためか、一重で、花の大きさが比較的均一な、色違いのものをそろえているようです。

アーカイブガーデン(入口の逆サイト側から)

グラデーションを意識して綺麗に植えつけられています。

「花とみどりのヴィレッジエリア」より

公園の北東エリアは、「花とみどりのヴィレッジエリア」と名付けられ、様々な工夫を凝らした庭園などを楽しむことができます。イベント期間中は、ガーデンステージでの様々なイベントを楽しんだり、ガーデンレストラン「マルシェ」でお食事を楽しむことも出来ます。

でも、ガーデナーが気になるのは、このイベント会場の様々な顔を持った、いわゆる「ガーデンたち」・・・。一緒に見ていきましょう。

ガーデンステージ入り口付近

ガーデンステージ入り口付近

会場の一番北側。つまり南側から北に向かってガーデンステージ入り口付近の植え込みを撮影しました。
via オリジナル画像
配色が綺麗ですね。手前は若緑色の植物はイポメア(下記解説)、2番目は赤い一重の花、右側はサルビアに似た感じ(サルビアではないかも・・・)の紫の花。左奥は八重咲の菊を連想させる花です。蔓性の植物を手前に配し、だんだん背の高いものを奥側へと配してゆく、日当たりと見栄えをよくする基本的な配置です。

ガーデンレストランの北側

ガーデンレストランの北側

ガーデンレストランの北側の一角。アングルを調整すると、まるで絵画のよう。沢山の花や草木を巧みに組み合わせで出来ています。その色彩感やセンスは、大いに参考になります。
via オリジナル画像
こちらも沢山の花がありました。一番手前が花に光沢があるので、カラジューム系。二番目が紫の葉のケイトウ。その奥が八重咲でツートンカラーの可愛らしい花。その奥がやや濃いめの赤のダリア、そしてその奥にあるのが、なんと、黒いカエデ風の葉を持つ植物(大きさからして、芭蕉とか?)。色のセンス等、こちらも抜群です。

ガーデンレストラン近辺の池

池のほとりの柱のハンギングバスケット

ちいさな人造池の湖畔には、こんなオシャレなハンギングが・・・。
via オリジナル画像
ガーデンレストランの近辺には、人造の小さな池があります。そこにはテラス風の建築物があり、その軒にこの寄せ植え風の鉢が飾ってありました。あまりに綺麗だったので、写真を一枚。周りの景色との調和も素晴らしいのですが・・・でも、この写真だけだと、雰囲気こそ伝わっても内容はつたわりにくいのかな・・・と思いました。なので、部分拡大した写真をもう一枚追加します。

ハンギングバスケットの拡大写真

ベースの色は多用せずに、シンプルにまとめてありますが、葉の形や花のサイズなど様々なバリエーションのものを使用し変化に富んでいます。
via オリジナル
拡大してみると、こんな感じです。白い花と緑の葉をベースとしてアクセントに紫を加える・・・。口で言うと簡単ですが、写真を見ると実際には花の種類、形大きさ、そして葉も色々なバリエーションのものが、センスよく配置されていることが分かります。

花とみどりのヴィレッジエリア北辺

こちらも帯状を基本形に色彩感豊かに花木が植えられています。一番手前は、若草色のイポメア(下記で解説)、2番目の黄色い一重の花、デイジーとかかと思われます。その奥には黒い葉で赤い実がなっている植物。これも園芸店などで見たことがないのでかなり珍しいものだと思います。

その奥は、紫色の小さな八重咲の花をつけたもの。ヒャクニチソウの様な雰囲気ですが、もしそうだとして、この色ならかなり珍しいものだと思われます。その奥の黄色い花とオレンジの花、これは、葉の形からして、除虫菊でしょう。その間に挟まれている黒い色の草は、これもイポメアです。

イポメア「ライム」

目にも鮮やかな若草色のイポメア「ライム」。一番手前でガーデンを引き締める効果を出しています。
via オリジナル画像
イポメア・・・ヒルガオ科の春植え球根で、原産地は熱帯アジアです。一般にサツマイモ属の一種を指しているのですが、バタタスというサツマイモの改良品種のことで、花はあまり目立たないため、観葉として用いられることが多いようです。若草色の方は「ライム」という品種で、黒っぽい方が「パープル」です。

はちむすびガーデン

「はちむすびガーデン」の一角

「はちむすびガーデン」の輪の一部。花壇の花として馴染み深いオレンジと黄色のマリーゴールどなど、メジャーな花草を使い、お手軽イメージの親近感を演出しています。でも、そんなシンプルさの中にも、巧みな色使いと草の種類の組み合わせで、美しく彩られています。
via オリジナル画像
2つの円形ガーデンを繋いだような形のユニークな庭園です。バーゴラ(蔓性の植物などを絡ませる木材などで作られた日陰用のたな)は多摩産の八王子織物の懸垂幕を使用しています。また、「はちおうじフェア」のコンセプトや、その他八王子全域のサテライト会場、八王子と縁のある自治体を紹介しています。

循環の庭

循環の庭は、全国で「都市緑地化」を推進している14の都市が共同で作った庭園です。「雨水循環」をイメージしたその名も「レインガーデン」を中心にウッドデッキを円形に配した造りになっています。中心に降った雨が地中にしみこみ、周りの緑たちにうるおいを与える「水の循環」による自然の豊かな育みと、水の恵みをイメージしています。

循環の庭(部分拡大)

via オリジナル画像

自治体ガーデン(一角)

自治体ガーデンの一角

一部、ご紹介すると、左側のピンクの花は「オシロイバナ 二段咲き ライム 紫 ホワイトアンドローズ(オシロイバナ科)」、真ん中の紫の花は「オシロイバナ 二段咲き ライム 紫ローズ(オシロイバナ科)」、右上の白い花は「センニチコウ ラス ベガス ホワイト(ヒユ科)」
via オリジナル画像
「自治体ガーデン」のコーナーは、広い面積が割かれ、沢山の趣旨のガーデンがありました。その中で、「オシロイバナ」や「ナデシコ科の花」、「センニチコウ」など八重咲で可憐なものを集めているガーデンが目に留まりました。

オシロイバナとセンニチコウ

オシロイバナとセンニチコウ

ピンクの花と紫の花がオシロイバナ、白い花がセンニチコウです。
via オリジナル画像
オシロイバナ・・・オシロイバナ科、オシロイバナ属、ミラビリス属で、ペルーなどの熱帯アメリカが原産です。写真のものは、通常、私たちが「オシロイバナ」と呼んでいるものとはずいぶん違う感じがします。花弁状のものは、ガクヘンで、黒い果実を割ると中から「おしろい」を連想させる白い粉がでてくることから、「オシロイバナ」となずけられています。
センニチコウ・・・ヒユ科、センニチコウ属、ゴンフレナ属の一年草です。カラフルに色付いているのは、花そのものではなく、苞です。名前の由来は、苞の部分の色もちがよく、ドライフラワーにしてもいろあせにくいなどの特徴から、千日紅色が持つという意味で、千日紅となずけられました。

ゴンフレナ属の植物は、アメリカの熱帯地域を中心に100種以上もあり、赤や黄色色を付けるキバナセンニチコウ(G.haageana)と従来から知られている白、紫、ピンクの色を付けるセンニチコウ(Gomphreana globosa)の2種類が主に栽培されています。

また、暑さ寒さにも強く日本の気候にも適していて、花壇や仏壇、フラワーアレンジメントとしてもよく使われます。

最後に

アーカイブガーデン

via オリジナル画像
八王子市の市政100周年の記念事業の一つとして開催されたこの「全国都市緑化はちおうじフェア」の富士森公園でのイベント。非常に力が入っていて、想像以上に楽しく拝見できました。家族連れなどを呼び込むため、色々なイベントも併設していましたが、ガーデニング愛好家である私にはそれ以上に、この沢山の庭たちが癒しを与えてもらえました。

その名のとおり「都市緑化」のイベントとしては、訪れる人に大きなインパクトを与え、大成功なのではないでしょうか。次回は山口で「山口ゆめ花博」として開催されるそうです。ご近所の方は是非訪れてみてはいかがでしょう?

「山口ゆめ花博」宣伝用ブース

次回、開催の「山口ゆめ花博」宣伝用ブース。百合の花が中心となって植えられていました。