コテッジガーデンの魅力を生かす、おすすめ一年草

ガーデンを季節を通して美しく彩ってくれる一年草。毎年植えたり、買い替えたりとちょっぴり面倒…。そんな風に思っていた方におすすめ! 翌年へと続くコテッジガーデンのスタイルで、一年草を楽しんでみませんか?

鮮やかな色彩や、可愛らしいかたちをした花が特徴で、そして一年という短いサイクルの中、種から育ち、花が咲き、新たな種を作り、そして枯れて行く一年草。

その短い生涯の中で華やかに咲き誇る花たちは、常にガーデンに美しさを保ち続けてくれる存在です。
古くからの長い歴史を持ち、イギリスのクラシックなガーデン・スタイルである、コテッジガーデンでもそれは同じ。

季節を通して、庭を美しく彩ってくれる一年草を、どのようにしてコテッジガーデンの中で生かせばいいのでしょうか。
ここではコテッジガーデンのスタイルにおすすめの一年草をご紹介します。多年草と組み合わせて、春から秋にかけて花が咲き乱れる、美しい庭造りに役立てて下さいね。

コテッジガーデンの一年草

コテッジガーデンは、古くは農民の人々が、生きるための食物確保のためにスタートしたスタイルである事は、コテッジガーデンの歴史の中でご紹介してきました。

野菜から始まり、薬としてのハーブ、そして花といった順番で、長い年月をかけてそのスタイルが作られたコテッジガーデン。
その庭に植えられた植物は野生のものであったり、同じ村に住む人から分けてもらったりと、お金をかけずに庭を造っていく方法でしたから、そのため最初は毎年花を咲かせる多年草がメインとなっていました。

しかし時代が流れ、花の種類が増えるにつれ、マナーハウスで働く庭師などから分けてもらった種を植え、一年草や二年草もコテッジガーデンにその姿を見せるようになります。
しかしコテッジガーデンの基本、お金をかけないというスタイルは因習され、庭に植えられた一年草の多くはこぼれ種で増える品種でした。

一年間、美しい姿を見せてくれた花からまた種を採取し、翌年にもまたその姿を愛でる事が出来る。
一年で終わり、ではなく、何年にも渡り、一年草はコテッジガーデンで、その花を鮮やかに咲かせていたのです。

今日にもこのスタイルは続き、多くのコテッジガーデンの一年草は、種を取り分ける事の出来る品種が多いのが特徴です。

一年草の魅力とは

一年草の魅力は、何と言ってもその艶やかな姿と、ガーデンの中での柔軟性と言えるのではないでしょうか。
多年草の花の咲かない時期に、一年草を上手く組み合わせると、一年中花の絶えない庭になってくれるはず。

ビギナーの方は、花壇の中で多年草と一年草のグループに分け、一年草の花が終わったら、その空間を空け、また再度一年草を植えるのが分かりやすいでしょう。

一年草は毎年買い替えなくてはいけないと思うと、随分とお金がかかってしまいそう、と不安になる方もいるかもしれません。

けれど昔からコテッジガーデンで好まれて来た一年草は、種が採取出来るものが多いので、好みの場所に種を蒔けば、翌年もまた、同じ美しい姿を見せてくれます。
コテッジガーデナーに見習って、次の年へと続く一年草を育ててみませんか?

コテッジガーデンの楽しみ ― 種から育てる

種が採取出来る一年草や、こぼれ種で育つ一年草は、翌年も買い替える必要はありません。
また、寒さに強い耐寒性一年草の場合は、育てやすいのも特徴です。

初春に他の花の間のスペースに種を蒔き、芽が出たら少し距離を空けて間引きをします。あるいは、ポットで育ててから地植えをしても良いですね。

種は花が咲き終わり、皮を破って地面にこぼれ落ちる前に採取します。皮から種を取り、綺麗にした状態で、封筒などの中に入れ、ひんやりとして、乾いた場所に保管して下さい。

コテッジガーデンにおすすめ! 種が採取出来る一年草

ニゲラ・ダマスケナ

英語では『Love-in-a-mist』というとても美しい名前で呼ばれるニゲラ・ダマスケナ。優し気な風情でガーデンをふんわりとした雰囲気に包んでくれます。
青いカラー以外にも、白やピンク、紫の花があり、日本ではクロタネソウとも呼ばれています。

背丈は40センチから70センチ前後、開花期は4月~6月、種は秋蒔きで、9月~10月頃。寒さに強いのですが、暑さには弱く、水のやりすぎにも注意が必要です。

マツヨイグサ

開花期が5月から9月と、ガーデンの中で非常に長い期間に渡って楽しませてくれるマツヨイグサは、月見草という名でも親しまれています。

日当たりの良い場所を好み、背丈は20~30センチほど。黄色い花の他に、白や薄いピンクの花もあります。花の終わった秋に種を採取し、初春の2月~3月に種を蒔きます。

リムナンテス

花びらが中央は鮮やかな黄色、そして外側は美しいホワイトと2色のカラーが特徴的なリムナンテスは、その可愛らしい姿から、英語ではポーチド・エッグ・フラワーと呼ばれています。

背丈は20センチ弱と花壇やコテッジガーデンの前方に植えるにはちょうど良いサイズ。
開花期は4月から6月、種は秋蒔きの10月頃。日当たりの良い場所に植え、土が乾いたら水をたっぷり与えてあげて下さいね。

ルナリア

鮮やかで美しい赤紫色の小さな花をたくさん付けるルナリアは、ビギナーさんにも育てやすい花と言えます。
開花期は初夏の5~6月、背丈は50センチから、大きいものだと1メートル近くなる事もあります。

この花の特徴は種のさやが丸く広がるところ。この状態も美しく、ドライフラワーとしても使われています。種は春蒔きの4~5月、秋蒔きの9~10月頃。日当たりの良い場所に植えてあげて下さいね。

耐寒性一年草、半耐寒性一年草とは

一年草は、耐寒性と半耐寒性と種類があるのをご存じですか?
気温が0度以下になっても耐えられる、寒さに強い草花は耐寒性植物と言われ、一定期間この低温にあたった事で、開花期に花が美しく咲くと言われています。

半耐寒性一年草は、0度以下では死んでしまう植物の事。特に霜には弱く、越冬出来ない事もあるので、室内でポットで育て、霜が終わって春になったら庭に植える方法が知られています。

種から育てる時や、さし芽で増やす場合には、どちらの種類に当たるのかを調べておく事をおすすめします。

コテッジガーデンにおすすめ! 耐寒性一年草

アリッサム

小さな花が集まり、ふんわりとした花を咲かせるアリッサム。愛らしい色合いの白やピンク、人目を惹くイエローなどのカラーがあります。

背丈は10センチほどなので、コテッジガーデンの前方に植えたり、ロックガーデンなどにもおすすめ。開花期は3月~5月、種は秋蒔きで9月~10月。
寒さには強いですが、暑さには弱く、多湿にも注意が必要です。

キンギョソウ

キンギョソウというその名の通り、ぷっくりとした花のかたちが可愛らしく、また色彩もピンクや黄色、白やオレンジなど豊富な種類があり、1メートルを超える背丈の高い品種のキンギョソウは、コテッジガーデンのボーダー・プランツとして欠かせない存在の花です。

開花期は4月~6月と春の花壇を彩ってくれるでしょう。種を蒔くのは春の4~5月、秋の9~10月のどちらでも大丈夫。多湿を嫌うので、日当たりの良い場所に植え、土は乾燥気味にしてあげて下さい。

ゴデチア

パッと目を惹くヴィヴィッドな色彩が特徴のゴデチア。花壇の中に植えればひと際目立つ存在で、ガーデンの素敵なアクセントになってくれる花です。

開花期は5~6月で、種蒔きは春と秋の2回、3~4月と9~10月に行います。日当たりの良い場所に植えて、水はたっぷり与えてあげて下さいね。

コテッジガーデンにおすすめ! 半耐寒性一年草

コスモス

白やピンク、赤やオレンジなど数多くの優しい色合いを持つコスモスは、風に揺られてそよぐその姿に魅了されるファンも多く、それはコテッジガーデナーにとっても同じです。

開花期は6月から11月までと非常に長い間に渡って楽しませてくれるところも魅力のひとつ。種も4月~9月と蒔く時期が長いです。
日向に植え、水は土の乾いた状態であればたっぷりと。強く風に吹かれると倒れてしまう事もあるので周囲に支柱を立ててあげて下さい。

ヘリオトロープ

甘い香りを持ち、小さな花が房となってその可愛らしい姿を見せてくれるヘリオトロープは英語でチェリーパイと呼ばれることも。

開花期は4月から9月と長い期間に渡ってガーデンを美しく彩ってくれる花。種は春に蒔いて、室内で育て、霜の季節が終わったら庭に移しましょう。

寒さに弱いので、日当たりの良い場所に植え、乾燥を嫌うので、土が乾いたら水をたっぷりと与えてあげて下さい。

常に自然と共存してきた、コテッジガーデンをヒントに

自然と共存し、自然の力を存分に活用して生き続けて来たコテッジガーデン。

一年草であっても、その年に花が散ったらそれで終わり、という事はなく、その花の種を採取して翌年にまた花開かせる。
時間をかけて育てて行く、そんなスタイルこそコテッジガーデンの魅力と言えるでしょう。

毎年花を咲かせてくれる多年草と違い、一年で終わってしまう一年草を植えるのに、ちょっぴりためらいがあった方も、コテッジガーデンのスタイルをヒントに、さっそく庭に一年草を迎えてあげてはどうでしょうか。

コテッジガーデンにおすすめの一年草を探している方は、是非今回の記事を参考にして下さいね。