夏まで待てない?! 「平さやいんげん」の栽培

いんげんは、温暖地、暖地(関東以南など)なら、「夏、秋蒔き(8月頃~)」の適期もあり! しかもなんと、種まきから55日で収穫可能! 今から始めたい野菜類の栽培初心者には、うってつけで~す!

いんげんの基本情報

平さやインゲンの開花

花が咲いた様子(6/25)。マメ科は可愛らしい花がひっそりと咲くのが特徴。おそらく、虫や鳥、風などによる受粉の必要がないのでしょう。
via (画像:オリジナル)
<いんげんの種類>
店頭の種の販売コーナなどを見るまでもなく、いんげんには、沢山の種類があることが分かります。原産はメキシコなどの中央アメリカで、名前の由来は中国からの帰化僧「隠元禅師(いんげんぜんし)」が日本に広めたとされています。いんげん(隠元)はお坊さんの名前から来ているというのは驚きです。

さて、「さやいんげん」と呼ばれているものは、種だけでなく、「さやごと食べられるもの」を意味しています。そんな「さやいんげん」の種類は色や形、原産地などで大きく分類されています。
・丸さや種・・・「どじょういんげん」と呼ばれるものが多く出回っていて、平さやに対し、丸みを帯びているのが特徴です。「ケンタッキーワンダー」と呼ばれている大きなものや、「江戸川」など多くの栽培品種があります。

・平さや種・・・当方で、今回使用した「やわらか平さやいんげん、つるなしジャンピーノ」はここに入ります。長さ14-15cm、幅1.5cmで、つるなし、すじなしが特徴です。有名なモロッコいんげんも形状から「平ざや」になります。こちらは長さ15-20cm、幅1.5-2cmとかなり大きなタイプです。柔らかくて甘味もあり和食の料理にも合います。

・紫いんげん・・・紫色のいんげんで、茹でるとこい緑色になるのが特徴です。生産量が少ないこともあり、店頭ではあまりみかけません。

・黄色いんげん・・・黄色のさやいんげんです。こちらは色落ちしないため、煮物の彩やサラダなどに使われます。

鉢植え後、定着

定着したと思われる(5/27)
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<発芽と生育適温>
発芽までの日数は、5-8日と野菜類では標準的な長さです。発芽温度(地温)は25度前後とたかめで、たとえば、春蒔きで、暖地が4月以降、温暖地だと4月半ば以降、寒地、寒冷地では5月半ば以降が奨励されています。しかし生育適温は20度前後と日本の気候と比べると低めです。ベランダ菜園だと夏場、「暑すぎない」様に管理する必要があるかも知れません。
<種まき植え付け>
まず、夏、秋まきの情報から。寒地、寒冷地(北海道から東北と山岳、関東の山岳部)は夏、秋まきは適さないようです。温暖地(関東以南の本州)では8月いっぱい、暖地(山間部を除く四国、九州)では8月中旬から9月中旬が蒔き時奨励期間になっています。
ちなみに春巻きだと寒地、寒冷地(北海道から東北と山岳、関東の山岳部)では、5月半ばから6月半ば、温暖地(関東以南の本州)では、4月半ばから5月半ば、暖地(山間部を除く四国、九州)では、4月上旬から5月上旬が蒔き時奨励期間になっています。

(6/5)
via (画像:オリジナル)
ポットでの栽培も可能ですが、直接、畑にまく場合は、1平方メートルあたり100g、苦土石灰2kg、完熟堆肥2kgと有機配合飼料80gをほどこし、よく耕します。うね間40-60cm(やや小さめ)、株間20-25cm(こちらも、やや小さめ)で1箇所3粒ずつ点まきします。
<栽培管理>
畑での栽培の場合、本葉3枚までに1本に間引きします。花の咲く前に株元に土寄せするか、短い支柱をたてるなどして、倒れるのを防ぎます。生育をみて、状況により、1-2回追肥を実施します。
<収穫>
種まき後、55日前後でさやがふくらんできたら、収穫可能です。2週間ずらし、種を蒔くことにより、収穫を長期化でき、より楽しめます。

「平さやいんげん」実際の栽培

「平さやいんげん」たねまき

種まき時の様子(4種同時)(5/19)
via (画像:オリジナル)
「平さやいんげんの基本情報」を元に、2017年度版のオリジナルの素材と育成方法で、育ててみました。手順の概略は下記のとおりです。

<概略手順>

・種から芽、根が出るまで・・・ロックウールブロックに種を蒔き、区切り付きのプラスチックケースに入れ、水をひたひたになる程度注ぎ、蓋を閉め、クローゼット(冷暗所)で保管(約一週間)する。

・鉢上げ・・・100円ショップで購入した、お気に入りの色、形と適度な大きさのプラスチックケースに、水で戻した膨らむ土(ココヤシ土)を入れ、ロックウールブロックごと植え替える。

・鉢上げ後の管理・・・水耕栽培にも適したハイポネックスの1000倍に薄めた養液をひたひたになる程度与える。様子を見ながら、固形肥料を与える。

「平さやインゲン」育成用具

via (画像:オリジナル)

<種から芽、根が出るまで>

発芽した「平さやいんげん」

大きな種から大きな芽が出てきました。本葉まで顔を覗かせています(5/25種まきから6日後)。
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ロックウールブロック(※)に種を2,3粒入れ、プラスチックケース(今回は前の写真の緑色のもの)のひと区画にひとつずつセットします。ロックウールブロックが十分しみこみ、若干ひたひたになるくらいの水を入れ蓋をし、クローゼットなどの暗所へ入れます。ポイントは、容器内を高湿度に保つことです。また種が栄養で腐らないようにこの時は「ハイポネックスの養液」ではなく、普通の水を入れます。

※「ロックウールブロック」とは・・・「高炉スラグと数種の岩石を高温で焼き、綿状にしたもの(大和プラスチック(株)製)」で、大型の園芸店や通販等で見つけることができます。サイズが何種類かあり、私が愛用しているのは、写真のプラスチックケースとピッタリサイズの3X3X3(一番小さいサイズ)です。

<鉢上げ>

「平さやインゲン」鉢上げ

(5/25)
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発芽が確認できたら鉢上げします。今期は、新兵器「膨らむ土(ココヤシ土)」(※)を使い、芽がでた苗をロックウールブロックごと、プラスチックケース(今回は赤色)に植えつけます。これは実は100円ショップで見つけた小物入れで、植木鉢用ではありません。なので、底に穴が開いていません。これが当方オリジナル手法の一つの特徴でもあります。

※「膨らむ土(ココヤシ土)」とは・・・数社の園芸メーカや、園芸店オリジナル品として販売されています。「ココヤシ」を原料にした吸水性の高い、日本に古来からあるミズゴケのような、軽く運搬も楽な土の代わりを果たす新素材です。また「燃えるゴミ」として捨てられるという特徴もあり、大量の土を持ち込むのは大変なベランダや室内で植物を栽培したい人にはうってつけのアイテムです。

<鉢上げ後の管理>

「平さやインゲン」実り

実りはじめた。収穫まであと一息(6/30)
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鉢への移植後は、水やりを実施します。ただし、水ではなく「ハイポネックスの養液(※)」を与えます。水耕栽培の実績からこの「ハイポネックスの養液」は根を完全に水没させてしまっても、水と違い、ほとんどの野菜は根腐れしないことが分かっています。夏の日照りの場合は、これをほぼ毎日、ひたひたになるくらい与えます。

ハイポネックスの養液とは・・・一般的なハイポネックスは「チッソ」「リンサン」「カリ」がバランスよく含まれているのですが、水耕栽培(今回は実質水耕栽培に近いイメージなので)の場合、「カリ」の含有率が多い、6.5-6-19(チッソーリンサンーカリ)の配合のものを使います。これは水耕栽培は水に根を浸し切った状態にするので、根腐れを防ぐことが栽培の最大のポイントとなるためです。根の促進を促すと言われているカリの配合比率が極端に多いハイポネックスを1000倍に薄めて使います。

最後に

お店で見かける巨大な「インゲン」を見て、びっくりした経験があります。いわゆる通称「モロッコインゲン」です。それほどの大きさとまで言えないまでも、一日、一日、実の大木k嵯峨大きくなってゆく様は、ある意味、衝撃的です。

植物、特に野菜系は、気温や日当たりの良さで、一日に何センチという単位で「実」が成長してゆくのを目の当たりにすることができます。はじめは、「(無農薬、安全安心で)美味しいものが食べられれば・・・」という単純な発想で始めましたが、今は、単にそんな植物たちを「見守る」ことの方がメインになっているような気がします。

花や実といった収穫が全くなく、枯らせてしまうと、罪悪感すら覚えますが、

「育ててみよう」

という精神は、それをはるかに勝るものだと思います(自分への慰めも含めて・・・)。
「枯らす」ことを恐れずに、あなたも是非、挑戦してみませんか?