きゅうりのベランダ栽培

夏をイメージさせる植物は数多くありますが、今回はコレ。実は初心者ガ-ディナーにとっては、とても育てやすいのです。今年も大収穫でした。そして、まだ、間に合います! 自作して、しかも取れたてのきゅうり。その味は、ほんと、格別です。そんな、他では食べられない、新鮮な美味しい「きゅうり」を、あなたも体験できます。

きゅうりに関する基本情報

今期、一番最初に収穫できたきゅうり(5/31)
via (画像:オリジナル)
<きゅうりの種類について>
園芸としての「きゅうり」の最近のトレンドは、やはり、「病気に強い」ことです。一般に「きゅうり」病気に弱いとされ、べと病、うどんこ病、そしてウイルス系の病気などが知られています。これらに強い品種が新たに開発され、人気を博しています。そのような背景もあり、沢山の栽培品種が出回っています。

そんな中で、大きく分類すると、主な種類は下記のとおりです。

・白イボ系・・・市場に出回っている9割以上の主要な品種です。その名のとおり、表面の白いイボが特徴で、皮が薄く触感がいいことが、最も普及している理由でしょう。

・黒イボ系・・・現在九州などの一部で栽培されている品種で、昔はこちらが主流でした。表面のとげが黒く果肉が粘質なのが特徴です。

・ピックル型・・・ヨーロッパ由来のタイプでハンバーガーなどによく入っている「ピクルス」に使われます。

・加賀太・・・石川県特産の品種で黒イボ系です。煮物や漬物向きでトウガンのようにしてたべてもおいしく頂けます。
<種まきと生育適温>
生育適温(地温)は10度-30度と幅が広く、ベランダなどの温度変化(特に高温)が激しいところでもかなり育てやすい部類になっていると思います。種から育てる場合は、3号ポットで培養土を入れ、3-4粒を指一節位の深さの穴を開け、蒔きます。本葉1枚がでたところで、一本立ちにします。

蒔き時は、寒地(北海道)では4月下旬から5月下旬、寒冷地(東北と日本海側)は、4月中旬から5月下旬、温暖地(関東以南の本州)では4月中旬から6月中旬、暖地(関東以南の太平洋側沿岸)では4月上旬から6月下旬が奨励期間になります。
<畑の準備、植え付け>
植え付けの2週間まえまでに石灰を施し、よく耕します。幅90cm、高さ10cmの畝をつくり、中央に深さ20-30cmの溝を掘り元肥をいれます。
<栽培管理>
本葉が3-4枚になったころ、50cm間隔で植えつけます。高さ1.8mほどの支柱をたて、誘引します。定植後、2週間ごとに追肥します。
<収穫>
開花から一週間で収穫適期となります。通常21-23cmが標準的な大きさですが、「もろきゅう」などとして楽しみたい場合は、10-12cmではやどりします。

「きゅうり」栽培実践編

2017年度版「三種の神器?」

2017年度版「三種の神器?」・・・(左上)水耕栽培用ハイポネックスの養液、(右上)種まきポット(ロックウールブロック)、(左下)膨らむ土(ココヤシ土)、(右下)種と穴のない鉢(小物入れ風プラスチックケース)
via (画像:オリジナル)
もともと、当方は、水耕栽培から始めたのですが、2017年度版は、こんな感じのアイテム達を使うことによって、オリジナルの「植物の栽培(主に野菜)」の一つのパターンを確立しました。今回の「きゅうり」でもこの方法を踏襲してみました。


(育成手順概要)
1.芽だし、根だし・・・種まきポット(ロックウールブロック)に種を蒔き、ロックウールブロックのサイズ(3x3x3cm立方体)で区画区分されたケースに入れ、水に浸し、クローゼットなどの真っ暗なところに置き、発芽促進。
2.ガラスのコップに移行・・・芽、根が出たら、生長促進のため、ガラスのコップに移し、日当たりのいい場所(この時期なら、ベランダの先端部分)で栽培開始。
3.鉢上げ・・・「膨らむ土(ココヤシ土)」を使い、「穴のない鉢(100円ショップで購入した小物入れ)」へ、ある程度成長したきゅうり苗を鉢に移植。苗を購入された方は、この3.作業からの実施をお勧めします。

1.芽だし、根だし

きゅうりの「芽だし、根だし」

ロックウールブロック(※)に種を2,3粒入れ、ロックウールブロックが十分水をしみこみ、若干ひたひたになるくらいの水を入れ蓋をし、クローゼットなどの暗所へ入れます。ポイントは、容器内を高湿度に保つことです。また種が栄養価で腐らないようにこの時は「ハイポネックスの養液」ではなく、普通の水を入れます。

※「ロックウールブロック」とは・・・「高炉スラグと数種の岩石を高温で焼き、綿状にしたもの(大和プラスチック(株)製)」で、大型の園芸店や通販等で見つけることができます。サイズが何種類かあり、私が愛用しているのは、写真のプラスチックケースとピッタリサイズの3X3X3(一番小さいサイズ)です。

2.ガラスのコップに移行

コップに移した「きゅうり」

芽が出たところで、ガラスのコップに移行
via (画像:オリジナル)
コップの様なガラスに移します。ここから、「ハイポネックスの養液(※)」の水耕栽培となります。一日に数時間直射日光が当たる場所で生育します。なので、天気のいい日は養液もほぼ毎日与えます。乾燥させてしまうと、枯死してしまいすので特に注意。

ハイポネックスの養液とは・・・一般的なハイポネックスは「チッソ」「リンサン」「カリ」がバランスよく含まれているのですが、水耕栽培の場合、「カリ」の含有率が多い、6.5-6-19(チッソーリンサンーカリ)の配合のものを使います。これは水耕栽培は水に根を浸し切った状態にするので、根腐れを防ぐのが栽培の最大のポイントとなるため、根の促進を促すと言われているカリの配合比率が極端に多いハイポネックスを1000倍に薄めて使います。

3.鉢上げ

鉢上げ

そこそこ、というより、コップで育てるのは限界の大きさなので鉢上げ(5/20)
via (画像:オリジナル)
コップの中だと与えられる水分量も限られており、あまり「きゅうり」は大きくなれません。特にウリ科の植物は水分を沢山欲しがるので「大量の水分を供給」することが、ここでのポイントとなります。去年は1リットル位入る「大きな瓶」を使っていましたが、根が張れず安定しないため、今年は、新兵器「膨らむ土(ココヤシ土)」(※)を使うことにしました。

※「膨らむ土(ココヤシ土)」とは・・・数社の園芸メーカや、園芸店オリジナル品として販売されています。「ココヤシ」を原料にした吸水性の高い、日本に古来からあるミズゴケのような、軽く運搬も楽な土の代わりを果たす新素材です。また「燃えるゴミ」として捨てられるという特徴もあり、大量の土を持ち込むのは大変なベランダや室内で植物を栽培したい人にはうってつけのアイテムです。

地ばいスタイルでぐんぐんと伸びてゆき、花の数だけでも、雄花15位、雌花7位。きゅうりの場合は、雄花と雌花で受粉しなくても、勝手に実ができるタイプらしい(あるいは、この栽培品種の特徴か? 一緒にやってる、かぼちゃの方は、全然結実しないので、雄花の受粉がないと、だめらしい)。また、そういうところが、植物は実に不思議・・・。

今期の成果と反省

蔓型で面積的にも、かなり大きくなるきゅうり。正直、夏場限られた「日当たりのいい場所」を確保するのは大変です。とはいえ、あの「今までとは違う食べ物!」と思えるほどみずみずしく、甘味のある味を体験してしまうと、「また、今年も・・・」とつい、思い、作ってしまいました。

ただ、不思議なことに、前回の完全水耕栽培の時もそうでしたが、あれほど、隆盛を誇っていたのに、突然枯れてしまいました(6/25頃)。理由は分かりません。次回(まだ今期か?)は、その理由をなんとか突き詰めて、さらに収穫をふやせたらと思っています。