ガーデニングニュース.net編集部が、超人気の人工芝工場を訪ねました。

設置の手軽さ・お手入れ不要・本物と見間違うようなリアル感により、 「人工芝ブーム」が起こっています。

今回は、最新鋭の機械と豊富な研究開発技術者、熟練のスタッフをそろえた
人工芝製造工場の取材を行いました。

場所は、中国江蘇省宿遷市。静かな工業地帯にある、広大な敷地の工場に
ガーデニングニュース.net編集部が、沈社長周社長ご夫妻を訪ねました。

「ペレットから加工をしています。」

編集部(以下「編」)
本日はお忙しい中、取材にご協力いただきありがとうございます。

沈社長(以下「沈」)
我々の工場をご紹介させていただける貴重な機会ですので、こちらこそよろしくお願いいたします。

編:
お伺いした第一印象として広大な面積にびっくりしましたが、まず、工場の規模をお聞かせください。

沈:
66,000平方メートルの敷地に30,000平方メートルの工場棟があり、約300名が働いています。

編:
すごい広さですね!生産量もお聞きかせください。

沈:
1日あたり40,000平方メートルの面積の生産が可能です。

編:
われわれが販売している10メートル×1メートルのロールにして、4,000本ですか。すごい量ですね。
その生産において、沈社長の工場での特長は何ですか?

沈:
一番の特長は、人工芝を原料のペレット(注釈:ほとんどの人工芝はプラスチック素材だが、
その原料となる小さな粒上の原料をペレットという。)の状態から加工生産しているところです。
中国にもたくさんの人工芝工場がありますが、ペレットから加工している工場はわずかで、
大半は芝状になったものを仕入れて生産しています。

編:
原料から加工すると、何がいいんでしょうか?

沈:
ペレット(プラスチック素材)以外の成分。着色の顔料、耐久性にかかわる紫外線吸収剤や酸化防止剤
などを、工場において自由に、そして安全性の責任を持って配合することが可能になります。

編:
そうすると、「なにが入っているかわからない」ということがなくなりますね。

沈:
そのとおりです。我々は、人工芝を巻くための副素材であるダンボールの芯まで自社生産しています。

「驚くばかりのリアル感ですね。」

編:
さて、その生産しておられる人工芝ですが、驚くばかりのリアル感ですね。

周社長(以下「周」)
ポイントは2つあります。ひとつは、まっすぐ伸びた長い芝と短めのカールした芝をミックスする工夫と、
もうひとつは、まっすぐの芝・カールした芝それぞれに色の変化をつけて立体感を表現しています。
ベーシックなパターンは、長い芝がグリーンの濃淡で芝の生育期間の違いを表現し、カールした芝が
グリーンと薄い茶色で伸びかけと枯れかけの状態を表しています。
私たちの工場は原料から生産していることもあり、その他様々なパターンが作り出せます。

編:
確かにわれわれも、カールした芝のほうを茶色の濃淡で作ってもらったり、カールした芝だけの
人工芝の生産をお願いしています。

周:
私たちは世界中に輸出をしていますので、その地にあった「リアル感」を表現しないといけません。
さらに、お客様の希望ができるだけ反映された商品を作りたいと思っています。

「人工芝の耐久性についてです。」

編:
それでは、その「お客様の希望」についてお聞きします。われわれが販売を進める中、いろいろな
ご質問をいただきます。よくいただくのが「人工芝の耐久性」についてです。

沈:
なかなかお答えしにくいご質問です。(笑)
それは耐久性の判断の基準がないからです。屋外使用での劣化の最大要因は紫外線(日光)ですが、
経年変化で色あせたり切れやすくなったとして、使用できないわけではないので。
また、人工芝の上をよく歩くような状態にあれば芝は1方向に寝てしまい、その上を踏みつけるので
そこはぺったんこになっていきます。これはあくまで劣化とは別物です。天然芝ではないので当然ですが、
時間がたてば下から伸びてきて起き上がることはないため、こまめに芝を起こす作業は必要です。

編:
そのあたり我々は理解していますが、お客様としては「何年持つのか」を知りたい気持ちもわかります。
あえて答えるとどうなるでしょう?

沈:
もちろん、今申し上げたことを踏まえたうえですが、屋外使用で5年は大丈夫と考えています。

編:
答えにくいところ、ありがとうございます。(笑)
そういうと、工場の通路等いたるところに人工芝が設置してありますね?

沈:
美観目的でもありますが、すべて設置時期が記録されており、実際使われる状態での経過観察も
同時に行っています。通路に当たる部分の倒れ方などは、実際に見てみないとわかりませんので。

画像の人工芝は、3年経過の状態です。

「人工芝は抜ける」??

編:
耐久性にもかかわりますが、「人工芝は抜ける」という風にお考えのお客様もおられます。

沈:
特殊な工法を除き、人工芝の植え方に、各工場大きな差はありません。
違いが出るとすると接着剤の使い方ですが、私たちの工場では商品開発専任の研究員により、安全で
最大の効果が出る方法を常に探っています。
さらに私たちが「抜けやすさ・切れやすさ」の上で一番重視するのは、芝自体の劣化です。
主要な人工芝工場での生産商品であれば、最初から抜けやすいことは考えられないのですが、経年劣化
により切れたり抜けたりしやすくなります。数年たってそうならないため、即ち耐久性を上げるため
原料から工夫することが必要になってきます。

編:
確かに耐久性判断の大きなポイントは「使ううちに抜けやすくなった」という点ですね。

沈:
わたしたちは、中国での主要人工芝生産工場商品における、紫外線劣化に対する引っ張り強度試験も
受けています。他社は37%以上劣化に対し、当工場商品は18%劣化にとどまっています。商品改良を
継続して行っている成果と自負しています。

事務所に掲げられた証書の数々。

「水はけが心配」

編:
水はけが心配という声と、防炎処理についてもお客様から時々お聞きします。

沈:
水はけについては、シートに縦約10cm×横約15cmの間隔で貫通穴を開けているため、大丈夫です。
人工芝の場合、シートに透水性はありませんので、この穴から水が抜ける構造になっています。

編:
防炎効果についてはどうでしょう?

沈:
これもなかなかお答えしにくいご質問です。(笑)
結論から申し上げますと、特別な防炎加工はしておりませんが、一般に販売されている程度の
難燃性は確保されていると思っています。
加工の対象は芝部分ですが、地面に接するシートの部分は合成ゴム(SBL)ですので、これは
燃える素材です。商品全体として防炎加工と表示してしまうと、まったく燃えないとの錯覚が
あるかもしれませんので、今後の課題の一つです。

編:
タバコのポイ捨て程度で燃え広がることはないと考えられるが、商品全体としては火気に注意が
必要。という感じでしょうか?

沈:
その通りです。

「人工芝で雑草が防げるか?」

編:
その他、お客様から時々お尋ねをいただくのが、「人工芝で雑草が防げるか?」というものです。

周:
そちらのほうは専門分野ではありませんので、一般的なご返答になりますが・・・
除草効果のある薬剤使用を別にすると、防草目的にかなうのは日光をさえぎり光合成をさせない
ことにあります。
人工芝は合成ゴムのシートの上にポリプロピレンのベースとポリエチレンの芝が植えられています。
この多層構造の下まで日光は届きませんので、ほとんどの雑草は生えないか成長しにくい状態と
なります。
ただ人工芝のシートには、ご説明させていただいた水抜き穴がありますので、ごく微量ですが
そこから日光が進入したり、複数の人工芝のつなぎ目が離れていたりすれば、雑草は伸びてきます。
そうならないため少し面倒になりますが、防草シートで地面を覆ってから人工芝を設置すれば、
完全に遮光することが可能になります。

「使用する上での注意点」

編:
これも耐久性に関わりますが、使用する上での注意点はありますか?

沈:
上を歩かないのが一番ですが(笑)そうもいきませんし、日光を避けるわけにもいかないでしょう。
一般的には、吸い殻・ガム・塗料などの薬剤系液体・ハイヒールを避けていただくことが肝心です。
あとは、1方向に倒れてきたら起こしてやることでしょうか。

「生産工程を教えてください。」

編:
それでは、工場に移動して、実際の生産工程を教えてください。

周:
わかりました。詳しい工程は工場長の汪に説明させます。

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編:
作業員の皆さんが、活発に働いていらっしょうることがよくわかります。
まず、こちらの白い粒々はなんでしょうか?

汪工場長(以下「汪」)
これが人工芝の原料となるペレットです。
当工場では、ポリエチレンとポリプロピレンを使い分けています。

編:
大まかな違いはなんですか?

汪:
ポリエチレンは柔らかめに仕上がり、ポリプロピレンは固めに仕上がります。
用途によって使い分けをします。
この原料に、着色の顔料と耐久性のためのいろいろな成分を配合します。

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編:この機械もすごいですね。緑の麺が延々と出てくるみたいです。

汪:
そうですね。(笑)ここで人工芝の原型がつくられます。
当工場の特長は、芝を押し出す金型も自社生産していますので、厚み・幅・形に変化をつけて
様々な商品を作り出すことができます。

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編:
この、編み機のようなものはなんですか?

汪:
これが短いカールした芝を作る最初の工程です。
生産したまっすぐな芝を、このいわゆる編み機を使って筒状に編んでいきます。
そして癖がついたところでほどいてカールを形成します。

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編:
これは、シートに植える機械ですね。

汪:
よく見てください。
ここで、まっすぐな芝とカールした芝の色を合わせて必要な本数分ずつ、1箇所の穴に植えていきます。

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編:
そして、ここでほぼ完成ですね。

汪:
そうです。大きなシート状になっていますので、これを皆様のオーダーに応じたサイズにカットして、
ダンボールの芯に巻いて完成です。

編:
先ほど伺ったように、その芯も作られていますね。

「モットーをお聞かせください。」

編:
さて、最後に 社長に伺いますが、作業員の皆さんがとても明るく活気があるように感じます。
工場を運営していく上での、ご自身のモットーをお聞かせください。

周:
その点をご指摘いただき、大変うれしいです。
私たちは夫婦ともども一社員として働いていた時期が長かったので、その時の社員としての立場を
決して忘れないようにしています。
単なる福利厚生の充実にとどまらず、社員を使用者ではない、工場を運営するパートナーとして
考えています。
また社外でも学校や施設に、広場やサッカー場の人工芝を提供したり、私たちでできる範囲の
社会貢献を心がけています。

編:
われわれを食事にお誘いいただく時も、ごく自然に一般スタッフの方がご一緒されますので、非常に
いい関係を作っておられると感じます。

沈:
社員と新幹線で移動をするときも、一緒に二等車に乗ります。(笑)

編:
人工芝の基本的な性能から、社長ご夫婦の工場での製品の優れている点。さらには経営方針から
お人柄までお聞かせいただきました。
本日は長時間にわたり、どうもありがとうございました。

沈:
こちらこそ、ありがとうございました。
今後とも、いい関係を続けていきましょう。
(インタビュー:ガーデニングニュース.net編集部 遠藤 大介)
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