2018年11月30日 更新

イングリッシュガーデンを巡る旅 ~ ベイトマンズ・ガーデン Vol.1 ~

英国を代表する作家、詩人であるラドヤード・キップリング。世界を旅し、住み歩いてきた彼が、1902年より亡くなるまでの34年間を過ごした終の棲家がベイトマンズです。 広大な敷地に佇む邸宅と、それを取り囲む庭園。今回は文豪キップリングが愛したベイトマンズとそのガーデンのレポートをお届けします。

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『ジャングルブック』の生みの親

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ラドヤード・キップリングの名前を聞いてもピンと来ない方でも、『ジャングルブック』の原作者だ、と聞けば、誰しもそのタイトルを耳にしたことがあるのではないでしょうか。

ラドヤード・キップリングの書いた児童のための短編小説である『ジャングルブック』は36もの言語で訳され、また何度もアニメ化、映画化されている名作です。子どもの頃に映画やアニメを見たり、小説を読んだことのある、という方も多いはず。

また、児童文学作品だけでなく、数多くの優れた小説や詩を残したラドヤード・キップリングは英国人としては初めて、そして最年少でノーベル文学賞を受賞しています。

当代随一の売れっ子作家であり、富と名声も得ていたキップリング。しかし辛く厳しい出来事も多く身に降りかかった人生でした。

ラドヤード・キップリングとは

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ジョゼフ・ラドヤード・キップリングは1865年、12月30日に当時は英国統治下にあったインドのボンベイで生まれています。

父親のジョン・ロックウッド・キップリングは彫刻家、陶器デザイナーであり、当時ボンベイにあった芸術学校の建築・彫刻家の教授の職を得ていました。

彼は妻のアリスに求愛した場所であるイギリスのピーク・ディストリクトの近く、また陶器の街として有名なストーク・オン・トレントから20キロほど離れた場所にある、ラドヤード湖の名をとって息子に与えています。

インドで生まれ、イギリスで教育を

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英国で教育を受けさせたいと願っていた両親より、キップリングは妹とともに5歳のときにイギリスへ送られます。

デボンにある軍人の子息ための学校、ユナイテッド・サービス・カレッジに入るまで、この時期の里親となった元海軍の役人であったホロウェイ夫妻とともにポーツマスで過ごした日々は、幼いキップリングにとっては虐待と感じるほどでした。

寄宿学校でも最初は馴染めずにいたキップリングでしたが、徐々に友人も増え、のちにこの時代のことを『ストーキーと仲間たち』のモデルにしています。

キップリングはオックスフォード大学へ入学するためには両親からの資金が足りず、また奨学金で入学するには成績が及ばなかったために、父の勧めでパキスタンのラホールの地方新聞社で、編集者助手として働くことになりました。

作家としての成功、結婚へ

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ラホールでキップリングは急速にジャーナリストとして評判を得て、詩や小説も発表し、情熱を持って仕事に取り組みました。1886年には最初の詩集を出版、そして1887年にはインドに移り、ここでも短編小説を書き続けます。

キップリングは1888年にイギリスへ帰国、作家としてのキャリアをスタートさせます。若く才能にあふれたキップリングは次々と作品を発表し、ロンドンでも作家として成功を収めます。

その後1892年の1月、死去したアメリカの出版社に勤める友人、ウォルコット・バレスティエの妹であったキャロライン・バレスティエとロンドンで結婚することになりました。この時キップリングは26歳、キャロラインは29歳でした。

アメリカへー娘たちの誕生

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二人はアメリカのバーモント州にある農場の小さなコテッジに住み、1892年の終わりには最初の子どもであるジョセフィーヌが誕生します。世界的名作となる『ジャングルブック』はこのコテッジに住んでいた際に生み出されました。

ジョセフィーヌ誕生後に二人はキャロラインの弟であるビーティー・バレスティエから10エーカーの土地を購入し、自分たちの家を建てます。

この家はキャロラインの死去した兄、ウォルコットと一緒に作り上げた作品と同じく『ナラウカ』と名付けられました。

1896年には次女のエルシーが生まれ、順風満帆に見えたキップリングですが、当時の政治的問題によるイギリスへの反感、そしてキャロラインの弟のビーティーの飲酒問題による家族間の争いが起こります。

ビーティーとの諍いが警察沙汰にまで発展し、メディアによってさらしものにされ、プライバシーを守ることが出来なくなったキップリングは、イギリスへの帰国を決意するのでした。
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この記事を書いたひと

Hazuki Akiyoshi Hazuki Akiyoshi