ベランダでもガーデンでも。植木鉢で育てられる、寄せ植えにもおすすめの花 ~Vol.3 ~

植木鉢は庭がある人には高低差をつけドラマティックな景観を生み出し、庭がない方には手軽に植物のある暮らしを楽しめる、ガーデナーの強い味方です。植木鉢でひとつの花を育ててみたら、次は寄せ植えにチャレンジしてみませんか?ここでは寄せ植えにぴったりのおすすめの花、そして合わせやすいグリーンをご紹介します。

周囲を彩る寄せ植えにチャレンジしてみよう!

植木鉢を代表とするコンテナを使って植物を育てる場合、最初はひとつの品種だけを植えることからスタートする方が多いかもしれません。ですがコンテナで育てるときの大きな楽しみとなるのが、異なる種類の植物を一緒に植える、寄せ植えで育てる方法です。

置く場所を決めたら、そのスペースに合ったサイズの植木鉢を選び、好みのカラーの花を決めてバランスを配慮しながら植える寄せ植えは、ひとつの鉢に自分だけのセンスを活かした小さなガーデンを持つ喜びを得ることができます。

ガーデニングは初めて、という方でも植木鉢で育てることはすぐにトライできる方法で、自身で選んだ花たちがそれぞれの個性を主張しながら咲く姿は、いつまでも眺めていたいほど愛おしいに違いありません。

寄せ植えは一見難しく感じられますが、初めてトライする方は園芸店で既にある程度の大きさになっている花を購入し、植えるところからスタートしましょう。土の配合で難しいと感じたら、最初は肥料入りの土を購入しておきましょう。きっとあまりにも簡単に始められることにびっくりするかもしれません。

寄せ植えは草花と植木鉢、そして自分のセンスがミックスされた小さな箱庭のようなもの。明るい色を持つ花を選び、心が浮き立つような寄せ植えも素敵ですし、お気に入りのメインカラーを選び、グラデーションで周囲を彩るのもおすすめです。

慣れてきたらシーズンごとに花を変えたり、今まで購入したことのない花で寄せ植えをしてみたりと、さまざまな楽しみ方がありますよ。ここではそんな寄せ植えにおすすめの花、そして寄せ植えにぴったりのグリーンをご紹介します。

植木鉢で育てられる、おすすめの花

1.バーベナ

フェミニンなカラーの花が咲くバーベナは、濃い色彩の花はパッと辺りを明るくし、淡いトーンの花であればやわらかな雰囲気をもたらしてくれる植物です。200以上も種類があると言われ、ガーデンショップで目にするバーベナも一年草、宿根草、多年草と種類が分かれています。

横へ広がり先端に花を咲かす宿根草は、寄せ植えにすると花が咲ききらないこともあるため、地植えが向いていると言われていますが、春、もしくは秋に花が咲く一年草、もしくは四季咲きの多年草タイプのものが寄せ植えにはぴったりです。

一年草は暑さに弱いため、真夏の直射日光は避けて保管してあげてください。多年草バーベナは日当たりの良い場所へ。どちらも水はたっぷり与えてあげてくださいね。花は咲き終わったら小まめにカットしてあげましょう。

2.ツンべルギア

アフリカやアジアの熱帯からやって来た植物、ツンべルギア。暖かいところで生まれた植物ですので日本での冬越しは難しく、一年草扱いとなっています。けれど種を採取すればまた翌年も花を楽しむことができますよ。

濃いブルーのツンべルギア・エレクタは青~紫のグラデーションで寄せ植えをまとめると大人びた雰囲気に。明るいイエローカラーがまぶしいツンべルギア・アラタはホットカラーで合わせてみるのがおすすめです。淡い水色のツンべルギア・グランディフロラは儚げな白い花と合わせると、フェミニンな寄せ植えが完成するでしょう。

ツンべルギアはつる性の植物で、丈夫な性質なので成長すると2メートルほどの長さになります。植木鉢で育てるときは高いところに置いたり、あるいはハンギングバスケットにも向いています。

日光を好む植物なので日当たりの良い場所に置き、土の表面が乾いたら水はたっぷりあげてください。咲き終わった花は小まめに切り戻しをしてあげてくださいね。なお、花が咲き終わったときのガクとこれから花が咲くつぼみが同じ形状をしているので、光りに透かして種が入っているものをカットしてあげましょう。

3.ブラキカム

ブラキカムはその可愛らしい姿と淡い色彩で、ナチュラルガーデンが好きな方にはぴったりの植物です。まるで小さなコスモスのような姿で、ヒメコスモスという別名を持っているのも納得できる可憐な風情です。

ブラキカムは淡く小さな花と合わせて優しい雰囲気の寄せ植えにしたり、ブラキカムのみで育てるのも素敵です。グリーンとも合わせやすく、メインにもサブにも使える優秀な植物です。

多湿に弱いのが特徴ですが、乾燥にも弱いので水をあげるときには注意が必要です。土は水はけの良いものを用意し、土の表面が乾いたら水をたっぷりあげてください。また真夏には直射日光を避け、風通しの良い場所に置いてあげましょう。

花が咲き終わったら小まめに摘み取り、また真夏になる前に切り戻しを行い、枝が蒸れないようにしてあげましょう。

4.オステオスペルマム

パッと際立つ華やかな風采で、寄せ植えにするならメインの花に持ってくると、周囲を照らす輝くような風情を見せてくれるオステオスペルマム。キク科に属しアフリカンデイジーという別名でも親しまれています。

春から初夏にかけて次々に花を咲かせてくれる優秀な植物ですが、新しい花を開花させるためには、花が萎れる前、終わりかけの時期に茎の根元からカットしてあげてください。そうすると次の芽がまた育ち、新しい花が咲いてくれるでしょう。

日の当たる場所に保管しますが、直射日光や多湿は避けてください。また、土が乾いたら水をたっぷりと与えますが、過湿も厳禁。根腐れしないように気をつけてくださいね。

5.アゲラタム

キク科に属し、カッコウアザミという別名を持つアゲラタム。その名を聞くと淡く儚げなブルーの花を想像しますが、ピンクや白の花を咲かすアゲラタムの品種もあります。どれもふんわりと優しい印象の花弁が特徴で、やわらかな雰囲気の寄せ植えにぴったりの植物です。
花期が春から秋にかけてと長く、丈夫な性質なので初心者の方にもおすすめです。耐暑性に優れている花ですが、多湿は嫌うので蒸れないように注意が必要です。水やりは土が乾いたらたっぷりと。ただし過湿にならないよう、気をつけてくださいね。

寄せ植えにグリーンを合わせてみよう

寄せ植えでは花はもちろん、合間にグリーンがみずみずしい観葉植物を入れるとぐっと華やかになるのをごぞんじですか?花を引き立て、ドラマティックな演出にも大活躍。エレガントな寄せ植えを作るのに役立ってくれる強い味方です。

花が咲く植物の葉とはまた違う雰囲気を持つグリーンは、茎や葉の形状、模様などにこだわって選んでみましょう。ここでご紹介する植物は植木鉢で育てやすく、また寄せ植えにぴったりなものばかり。
好みのものを見つけたら、ぜひ花に合わせて一緒に植えてみてはどうでしょうか。きっと花だけを植えた印象とはがらりと変わり、植木鉢の中でメリハリのあるシーンを作り出してくれるはずです。

寄せ植えを作るバランス

異なる品種の植物を一緒の鉢に植えるときは、どこに、どの植物を植えれば良いのか悩むときもありますよね。ベーシックなものとしては、正面から見た際に後方、もしくは中心部に背の高い植物を中心に植えてみること。
そしてつる性などの垂れ下がるような植物、もしくは小さめの花をつけるものは前方に植えるとバランスが良くなります。また、植える花の性質は、どれも似たタイプのものを選びましょう。どのような日照環境を欲しているのか、求める土の性質や水やりの好みなど、同種類のケアの植物を選ぶと、手入れがぐっと楽になるはずです。

寄せ植えにおすすめのグリーン

1.アイビー

寄せ植えにおすすめのグリーンの代表とも言えるのがアイビーです。とても丈夫で育てやすく、すくすくと成長してくれる初心者さんにもおすすめの植物。さらにどんな花とも相性は抜群で、葉の模様はバラエティに富んでおり、チョイスがたくさんあるのも嬉しいポイントです。

耐陰性、耐寒性に優れているアイビーですが、葉に模様が入った品種は真夏の直射日光は避け、冬は日当たりの良い場所に置いてあげてください。土は水はけの良いものを選び、少々乾燥気味に育てます。

水をあげるときは土が乾いたときにたっぷりとあげてください。根腐れを起こさないよう、植木鉢の受け皿の水は捨ててくださいね。なお、アイビーのつるは成長するととても長くなります。伸びすぎると下の葉まで栄養が行き渡らなくなりますので、春から夏の間に剪定をしてあげましょう。

2.テマリソウ

近年イギリスでも人気の高くなっているのがテマリソウです。こちらではダイアンサス『グリーン・トリック』という名で親しまれています。オランダからやって来たそうで、カットフラワー・オークションでは大人気だったとか。ウェディングブーケで使われることも多い、とてもファッショナブルな品種です。

テマリソウは実際は花なのですが、非常に珍しいグリーンの花を咲かせるため、おすすめのグリーンで紹介させて頂きますね。ころんとしたポンポン型のフォルムの花は幅が約5センチほどになり、そのインパクトは抜群。茎がとてもしっかりとしているので、テマリソウを際立たせるために周囲はフェミニンな花を一緒に植えるのがおすすめです。

背丈は45センチほどと大きめサイズなので、植木鉢に植える際には充分なスペースがあるサイズの鉢を用意してください。日当たりの良い場所を好みますが、真夏の直射日光は避け、風通しの良い場所に置いてあげましょう。耐寒性に優れているので、冬越しも可能です。

3.アサギリソウ

とてもロマンティックな名前を持つアサギリソウは高山植物でヨモギ属に属し、銀色の葉が特徴的な植物です。

アサギリソウは花も咲くのですが、葉をメインとして楽しみたい方は花が咲くと葉の色が一段落ちてしまうためカットしていきましょう。花も育ててみたいという方は、開花後には小まめにカットしてあげてください。
高山植物であるために多湿を嫌います。普段は日当たりの良い場所に置きますが、真夏は直射日光を避け、風通しの良い場所に置いてあげてください。水は土が乾いたらたっぷりとあげてくださいね。

アサギリソウは成長するとぐんぐん枝が伸びて来ます。荒れた印象だったり、蒸れたりするのを避けるためにも伸びて来たときは株元から数センチ離れたところでカットしてあげてください。また新しい芽が出てきてくれますよ。

4.カロケファルス

海底に息づく生物のようなとても不思議な外観を持つカロケファルス。細い繊細な銀色の茎と先端に小さなボールのような花をつける、とても独特な植物ですが、他の花やグリーンを引き立て、かつ自身の個性も主張する植物です。

オーストラリアから来たカロケファルスは乾燥を好む植物で、多湿を嫌います。日なたに置いて水は土が乾燥しているのを確かめてからあげてくださいね。根腐れしないよう、水のあげ過ぎは厳禁です。
カロケファルスは環境条件が合えばぐんぐん成長します。大きいものだと60センチほどになるとも言われていますが、株の内部が混み合うと蒸れて腐ってしまうことも。鉢の内部が蒸れないよう、風通しの良い場所に置いてあげてあげましょう。暖かい場所でしたら冬越しも可能です。

自分だけの小さな庭を、植木鉢で作ってみよう

植木鉢を利用して植物を育てるには利点がたくさんありますが、そのうちのひとつと言えるのが、そのスペースの中で自分の世界を表現できることかもしれません。

異なる品種の植物をひとつの鉢に収める寄せ植えは、まずは自分の好みの植物の性質を調べるところからスタートします。そして似たタイプの植物や、お気に入りのカラーの花やグリーンをチョイス。さらに背丈や大きさを考慮し、美しいトータルバランスとなるように配置します。

これらはすべて、庭で行うガーデニングと同じ作業と言えるでしょう。寄せ植えとは、たとえ庭がなくても植木鉢という限られたスペースの中で、小さな自分だけの庭を造ることができるのです。

ガーデニングをしたことがないという方も、最初は小さな鉢からスタートして、慣れてきたら大きなサイズで寄せ植えを楽しんでみてはいかがでしょう。きっと思いがけない喜びと創造力が湧いて来るに違いありません。寄せ植えにぴったりな花やグリーンを探しているときは、ぜひ今回の記事を参考にしてくださいね。