2018年12月13日 更新

イングリッシュガーデンを巡る旅 ~ ベイトマンズ・ガーデン Vol.2 ~

イギリス人として初めて、そして最年少でノーベル文学賞を受賞し、数多くの作品を残した作家、詩人のラドヤード・キップリング。今回は彼の終の棲家となった、日本ではまだあまり知られていないイングリッシュガーデンのひとつでもある、ベイトマンズの庭園についてレポートします!

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キップリングがイギリスに求めた理想の風景

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英国が誇る文豪であるラドヤード・キップリングはインドで生まれ、5歳で英国に帰国し教育を受け、パキスタンで職を得て詩人、作家への道を歩み出しました。

彼はパキスタンで過ごしたのちにインドへ渡り、再びイギリスへと帰国。そして作家としての名声を得て結婚するとともに妻とアメリカへと移り、そこで住まいを構えています。

義弟との諍いによりアメリカのメディアにプライバシーを晒されたキップリングはイギリスへの帰国を決意し、数年ののちにこのベイトマンズと出会います。

妻キャロラインとともにひと目でベイトマンズに恋に落ちたキップリング。国を超えて長い期間旅をし続けてきた彼にとって、ベイトマンズは心の中に描いてきた英国の原風景そのものだったのかもしれません。

ベイトマンズとは

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ベイトマンズはイギリスのイースト・サセックスのバーウォッシュにある17世紀のジャコビアン様式の邸宅です。

1634年にロンドンの商人であったウィリアム・ランガム氏によって建てられたと言われ、1687年から1715年まではウィールド地方の鉄器製造業者であるジョン・ブリットンが持ち主でした。

それからのベイトマンズの記録は教区の年代史に時折り登場するのみで詳細は分かってはおらず、その後は農場として、土地管理人の牧師によって管理されていたようです。

1902年にラドヤード・キップリングが当時の金額で9,300ポンドで購入した際は、邸宅とその他の建物、そして33エーカー(13.3ヘクタール)の土地、そして南西に200メートルほど離れた場所にある水車小屋を含んだものでした。
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キップリングが購入した当時のベイトマンズはバスルームがなく、2階には水が流れていない状態でした。そんな荒れた状況だったこの家を、彼は家族が住みやすいように改築しています。

キップリングはこの地に住みだしてから近隣の敷地を購入し続け、最終的には120ヘクタールという広大な土地になりました。

東京ドームの大きさが約4.7ヘクタールと考えると、この土地の広大さを想像して頂けるのではないでしょうか。

ベイトマンズ・ガーデンの魅力

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ベイトマンズに滞在して驚くことは、文豪の住んでいた邸宅がそのまま残されているというだけでなく、この敷地内にあるガーデンや果樹園の素晴らしさです。

キップリングが残したレイアウトとデザインを大切にしながらも現代のエッセンスを取り入れた植栽とエレガントなカラーリング。そしてとてもきめ細かい手入れがされているのも必見です。
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ベイトマンズが有名なのは、もちろんノーベル文学賞を受賞し、36もの言語に翻訳されている児童文学の名作『ジャングルブック』の作者が住んでいた家、というのが一番の理由なのですが、ガーデンファンの方であればきっと感動するに違いないのがこの庭園です。

庭園自体のサイズは約12エーカー、およそ5ヘクタールともちろん規模としては大きなものなのですが、この敷地の広さと比例するとガーデンにはそこまでスペースを割いていないのが分かります。しかしその中にはきらきらと輝く宝石のような美しいガーデンが存在しているのです。
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ベイトマンズはイングリッシュガーデンとしては他の著名な庭園に比べ、まだその名を知られていないからか、あるいは敷地がとても広いせいなのか、来場者もそこまで多いと感じられませんでした。

シーズン中には大変混雑することもあるイングリッシュガーデンですが、ベイトマンズでなら花を眺めながらゆっくりとした時間を過ごせると思います。
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この記事を書いたひと

Hazuki Akiyoshi Hazuki Akiyoshi