【水あげ】がむずかしい!草花を綺麗に咲かせるには?

庭で育てた花を室内に飾ろうとして「水あげ」を失敗して台無しにしてしまう。そんな経験ありませんか?お花屋さんでも苦労する「水あげ」に苦労する草花を、切花として楽しむコツをお伝えします。

幸せを呼ぶ四つ葉のクローバー

見つけると、1日中うれしくなるラッキーアイテムです。

葉の1枚ずつに、勇気・愛情・信頼・希望という意味が込められていて、
4枚が全部そろうと「真実の愛情」や「幸せ」を受け取ることが出来ると言われています。
自然の中で咲いている草花は、自然の中から切り取って、人工的な空間に取り入れるのには、とても大変!四葉のクローバーを見つけて家に持ち帰った時、すぐに水に差しても水が上がらず、「おやっ?」と感じた事ありませんか?

「ぷちっ」と引っ張って、茎をつぶしてしまったクローバーは、水を与えても首をうなだれて、せっかくの4枚の葉を見せてくれません。この場合、つぶれた茎の上の部分で切りなおして水に活ければ、もう一度4枚の葉を大きく開いてくれる可能性があります。

実は、何気なく咲いている草花を家の中に取り入れることこそ難しく、ひと手間が必要なのです。

植物が水を吸い上げるためには?

自然に咲いている花は、根から自分の力で水を吸い上げ、花を咲かせています。植物には体の先端まで水を吸い上げるために、一定の圧力がかかっているので、その道筋を切断してしまうと、養分の吸い上げができなくなってしまうのです。水や栄養分を運ぶ道筋を導管と呼びます。道筋をつぶしてしまうと、先端まで水が上がらず、しおれてしまう結果に…。

切り花として使うときに、切って水に差せば簡単に水を吸い上げる植物と、吸い上げ口を「焼く」「たたく」「煮る」…と手間を施すことを必要とする植物たちがあります。花屋で販売されている切り花は、この水に差すための準備を施しているので、簡単に飾ることができるのです。

はさみで切っただけでは、水道水を吸収できない植物があることを知らないと、庭から切り出した花や枝物を花瓶に活けたとたんにしおれてしまう、ということが起こります。まず、切り出した植物には、しっかりと先端まで水分を行き渡らせることが大切なのです。

花屋で販売している切り花は全て【水あげ】の処理がされている!

全ての花を最後まで育てる気持ち

花を扱うプロは、毎日1本1本の花の水あげ処理をしています。

あまりに花のことが好きすぎて、花のことを「この子達」とか言ってしまうフローリストもいます!どんどんマニアックになっていく仕事です。
切り花を店頭から買った時に、切り口に水を含ませない状態でも、30分ぐらいなら、持ち帰ることに影響はありません。それは、それぞれの花に水あげ処理がされていて、花が、切り口から水道水を吸い上げることができるように処理されているので、断水状態でも大丈夫なのです。

農家から出荷された時の花は、いわば仮死状態で市場に持ちこまれます。朝一番で花が切り出されて、箱に入れられて市場まで運ばれてくるのです。茎や枝をカットされたままの状態で、ほんの少しか水分は補給されていません。箱に詰められているので、いわば仮死状態なのです。一刻も早く水を上げなければならない状況で買い付けられ、お店に入荷します。

植物は、一定時間が過ぎると、導管が完全に閉じてしまって枯れてしまいます。デッドラインは種類によって半日から1日と幅があり、処理方法も違ってきます。仮死状態の花に水あげの手入れをすることで、まさしく生を取り戻したように、もう一度咲きはじめるのです。

植物は水に放つと、どの花も、うれしそうに水を吸い上げます。花の周りマイナスイオンが広がっていくようです。

自宅で育てた花を、花瓶に飾ったり、フラワーアレンジメントとして使用するには、まず、全ての材料が、切り口から水道水を吸い上げてくれ、先端まで元気に枝葉を伸ばしてくれる状態を作り出さなくてはなりません。

切ってすぐの花をオアシスに刺しても、水を吸い上げる力が弱く、顔を下げてしまうことがあるのは、水あげの手入れをしていないためです。

特に、自然の情緒あふれる野の草を集めたアレンジメントは、最初の手入れに大変な手間がかかっていることが想像できます。自然であたりまえに見かける草花ほど、家の中には持ち込みにくいのです。

フラワーナイフについて

フラワーナイフ

刃先がカーブしているフラワーナイフが使いやすく、おすすめです。
使用後は、水分をふき取っておきましょう。

フラワーナイフがあれば、草花のアレンジの幅がぐんと広まりますよ。
1本あれば、かなり長持ちします。
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フラワーナイフを使って処理をすると、切り花の持ちが全然違ってきます。茎の断面を少しでも大きく、つぶさない様に切ることが大切です。特に茎が細く弱い花は、切り口を大きくするために、切れの良いフラワーナイフを使うと、日持ちが違います。フラワーナイフを使い始めると、植物1本1本の硬さの違いの感触がつかめるようになって、花との触れ合いがもっと楽しくなると思います。

水あげがむずかしい草花は【湯あげ】がおすすめ

何気なく足元に咲いている花を家の中に飾ろうと摘んで帰ってもそのまましおれることが多く、本当は、自然のままに咲かせてあげるのが一番だと感じます。クローバーを持ち帰って水にさしてみたことがある方なら、水あげの難しさに気が付いたのではないでしょうか?

庭で育てた草花だからこそ、家の中でも楽しみたいと思ってしまうのですが、よく切れるはさみや、カッターで斜めに切ったところで、草花はなかなか水を吸ってくれないのです。

マツムシソウ・カスミソウ・マトリカリア・マーガレット・コスモス…など、草花に分類される植物は「湯あげ」と呼ばれる切り口をお湯でゆでる処理で、確実にシャキッとさせることができますよ。

【湯あげ】の方法とは?

1 ぐつぐつと沸騰したお湯(なべ底から2~3cm)に、茎の色が変わるまでつけます。
※15秒~20秒
(この時、蒸気で上部の花茎が傷まない様に、新聞紙を厚く巻いて保護しておきましょう。)

2 茎の色が変わったらすぐに、水に浸します。

3 1~2時間そのままにして、水が上がったのを確認出来たら、下のゆでた部分をカットしてからアレンジに使用しましょう。(ゆでた部分は腐りやすいので、なるべく早くカットしておいた方が、花の持ちが良くなります。)

水あげでドラマチックな表情を見せる草花【芍薬】

ピオニー【芍薬】

花期:4月上旬~6月上旬
ピオニーは、神々に愛された妖精の名前が由来です。
あまりの美しさに嫉妬されて花に変えられた「ピオニア」の化身と言われています。
「恥じらい」「はにかみ」「控えめで上品な」といった、女性の内面の美しさをたたえる花言葉を持ちます。
芍薬は草に分類されます。冬に地上部が枯れ、春に新芽が出てきます。
草花の中でも、シャクヤクは存在感がある大きいお顔なのに、処理をすれば水が上がりやすい花です。庭で育てたものは、ほぼ確実に家の中の花瓶に咲かせることができるのではないでしょうか?
※品種改良された大輪の花の場合、蕾の早い段階で切ってしまうと、開かないことがあるようです。水が上がらない場合、大きな葉を間引き、新聞紙で包み深水することをおすすめします。

庭で育てたシャクヤクのつぼみを「湯あげ」してから水に活ければ、大きく咲いて、潔く散ります。時間ごとに花の表情が変わるので、絵を描くのには、写真で納めておく必要がありそう!

「これは咲いてくれるかな?」と思うほどしっかりと閉じた状態のシャクヤクでも、驚くほどの速さで水を吸い上げ、大きく開いてくれる素敵な花です。

その後、満開を迎えたスピードそのままで咲き続け、花弁も花粉も散ります。室温が高い場合、散るまでのスピードは加速します。美しく見事な「妖精の化身の花」を好きな方は多いのではないでしょうか?

雑草的なつる性植物【アイビー・ヘデラ】

意外に、庭から切って水に差しても葉が巻いてしまうのがこのヘデラです。根があれば強い!のですが、自分の根以外から水を吸収するのが苦手のようです。

根が出るまで家の中で観葉植物として育てるためには、切り落とした枝の外皮の部分をフラワーナイフでそぎ落として、やわらかい茎の部分をむき出しにしてあげると元気に水を吸い始めます。
ヘデラは生命力がとても強く、茎の間から根を生やして建物の外壁にからんでいくほどの力を持っていますが、なぜか、切断されると弱いのです。

自分で生きていく力を途中で断絶されてしまうと、新しい生き方に適応させるために手間をかけてあげることが必要なようです。一度水が上がれば、このヘデラも、根が絡むほどに伸びて、土に植えれば増やすことができますよ。

アイビー

色・形・大きさなど様々な種類があります。
耐陰性・耐寒性があり、室内で観葉植物として育てることが出来ます。

花の引き立て役として重宝します。ブーケなどにも使用されますが、水上げに注意が必要です。

草花の切り花には延命剤を

花は、清潔な水に活けるのが鉄則なのは知っていても、毎日、水を取り替えるのは大変ですよね?

水にバクテリアが繁殖して濁ってしまうと、植物も傷んでしまいます。気温が暖かくなってきたら、延命剤を入れておくと、水替えの頻度を少なくすることが出来るので、おススメです。活性成分も含まれているので花の色もちも断然良くなります。

特に、草花は茎が傷みやすく腐りが早いので、適量を水に入れておくと安心です。

また、水替えの時に茎を綺麗に洗ってさっぱりさせると、水が下がってしまうのを防ぐことが出来ます。

季節をリアルタイムで感じることができる草花

何気ない草花でも、植物が部屋にあると、自然のリズムを肌で感じることができるのです。
たとえ切り花になっても、植物の生態時計は太陽と共にあります。
夜は蝶々が眠るように葉を閉じるクローバーを見ると、自然のリズムを感じて、なんだかホッとします。
静かに眠りに入ったのですね。

明日には、また朝日を浴びて開いてくれることでしょう。たった1本のクローバーでも、草花が家の中にあると良いものですね!