思わず見つめてしまう!植物を使った「ジオラマ」が素敵

一つの鉢に風景を作り出す「ジオラマ」が注目を浴びています。その魅力をお伝えします。

ある晴れた日に…ふんづけたのです。

ウルトラマンの、正義の味方のほうの、つま先を…。
洗濯物を胸にいっぱい抱えた状態で。
「よいしょ。」
とベランダに出ようとした時に。

ウルトラマンのブーツのつま先は鋭利。衝撃で、持っていた洗濯物が少しこぼれました。

「もぉ!痛いのよっ!」
そう、思ったのと同時に、気付いたのです。

「そうだ!」
「これを、鉢に置いてみよう!」
と。

「ジオラマ」の完成です。

ひょろんと伸びたサボテンの横に置くと、いい具合にトゲに引っかかってくれて、
眼光鋭く、こっちをじーっと見つめている…
「SPが家族を見守ってくれている風」
に仕上がりました。

作品を玄関に置いてみました。
出迎えるというより「見張ってくれている」素敵なウェルカム・オブジェになりました。

いま注目されている、植物を使った「ジオラマ」。誰でも素敵にできるのです。

その魅力、作り方について、語ります。

出来上がった「ジオラマ」を鑑賞しましょう。

一つの鉢の中に、一つのドラマを見ているような仕上がりが理想です。
自分のアイデアで、映画の中に出てくるような、素敵な風景のミニチュアを作り出すことが出来ます。

素敵なシーンに出会ったら、しっかりと自分の胸に刻み込んでおきましょう。
のちに、ぴったりの木が見つかるかもしれません。

目の前に、心奪われる情景を作り出す。
思いたったら、準備をはじめてみてくださいね。

素材選びのポイント

おすすめは、四季を感じる、もともと日本に生息する木々を使用すると、シーンに多様性が生まれます。

日本に昔からある植物は、外国から入ってきた珍しい植物より手がかからず、すくすくと育ってくれるものです。それを忘れてしまいがちです。素材としても丈夫で、日本の気候に馴染んでくれます。

当たり前に目の前にある、身近な木々たち。その良さを見直す機会になると良いですね。

葉が、あまり大きくならない木もおすすめです。

鉢という小さな舞台に場面を作るため、イチョウやポプラなど葉が大きい木を選ぶと、舞台が大きくなります。※それはそれとして味があります。

材料を育てる

木々をよく観察していると、”今日は表面が乾いている”とか、”先端に勢いがない気がする”とか、小さなことにも気が付くようになります。
植物の種類の違いだけではなく、1本1本の育ち方や様子は違うものです。
少しの置き場所の違いでも、育ち方に違いが出てきます。

木々を育てるためには、太陽の光は必ず必要。
自然界で育つ植物は、カーテン越しの光では間延びしてしまうことがあります。1日のうち、ほんの少しでも、太陽の光を浴びさせてあげると、強く育ってくれます。

素材のオススメ【みかん・レモン】

”種をまく。蝶を呼ぶ。自然のリアルな劇場を作り上げる”

春が近くなると、食べたミカンの中に種が見つかることがあると思います。

ぷっくりとした種を、赤玉土にまいてみて下さい。
黄緑色のミカンの木らしい芽が出てきます。5センチほど育つと、ミカン科の木らしく、茎に小さなトゲができてきます。3本5本と芽を出して、育つごとに個性が出てきます。
高低差を付けるなど、まとめて鉢に植えると、林のセットが出来上がります。

レモンの種も発芽率が良く、おすすめです。
レモンは、みかんに比べると、葉っぱの色が黄色がかっています。レモンの木は耐寒性が若干劣るので、小さい苗木の時期には、冬の間は、部屋に避難させる方が安心です。
見た目は、みかんと比べて全体の色がライムグリーンで、葉っぱが少し小さく茎が太く感じます。

ベランダでも、果樹類の木を育てていると、蝶々がやってきてくれるかもしれません。
蝶々はミカン科の植物が大好きです。

※蝶々にうっとり見とれていると、産み付けられた卵からかえった芋虫に、葉っぱは丸坊主にされてしまい枯れてしまうこともあります。

黄緑色のからだをむくむく動かせて、一生懸命葉っぱを食べる。その姿を観察するのも感動します。リアルに動く劇場です。

かわいいキャラクターは、お腹いっぱい食べつくして、ころころした体つきになると、さなぎになります。

蝶の孵化を目の前でみることも可能です。種を発芽させることから始めて、ドラマチックな生き物の生態の舞台を観察出来ます。

これらの、発芽したばかりの小さい木々は、モンシロチョウの子供ぐらいの、小さい芋虫が似合います。

フィギアをのせてみる

”主人公を配置して、劇場のセット仕立てに”

材料は、まずはおもちゃでも、お菓子のおまけでも大丈夫です。
お子様が使い古したミニカーやフィギアを、純粋な目で見つめてみて下さい。ピンとくる一鉢の上に置けば「ジオラマ」の完成です。

ガチャガチャでもカエルのフィギアが手に入ります。
コップのフチ子さんを「盆栽」に座らせても良いですね。

ポイントは、水をかけてもOKな素材です。耐水性があれば、どんな物でも大丈夫。

特に、ウルトラマンのフィギアと怪獣は、とても使い勝手が良くおすすめです。
※本体が、あらかじめポーズをとっていると、場面に臨場感でます。
※直立型は、何体も並べると「親分のお迎え」的な感じで、あなたを出迎えてくれるでしょう。
小さめのウルトラマンのフィギアは、先ほどご紹介した、芋虫との戦いの場面を作ることが出来ます。

コニファーの陰には、恐竜のフィギアが似合います。

自分の手で作りだす「ジオラマ」の楽しさに目覚めると、休日の1日は、あっという間に過ぎていくことでしょう。思いつくままに置いてみて下さい。意外なものがマッチングして、感動の舞台ができあがるでしょう。

この、フィギアを載せたり、建物の模型をのせたりして風景を作り出すことが、植物を使った「ジオラマ」の醍醐味でもあります。
自分でテーマを決めて、舞台を作り出す醍醐味を、ぜひ味わってみて下さい。

場面の小道具【下草・コケ】

シンボルツリーとなる木を植えたら、下草を寄せ植えしたり、コケを貼ると、さらにジオラマの舞台らしくなります。

自然界の景色をお手本にすると失敗がありません。自然界では、むきだしの土は、畑など以外には見当たらない様に、盆栽の表面もコケなどで覆う方が自然に見えます。

※表面を、化粧土でカバーする方法もあります。

散歩の時に、側溝を見てみましょう。もこもこと盛り上がったコケが見つかるかもしれません。
側溝に、何気なく生えているコケも、集めてみると、色々な大きさ形種類があることに気が付くはずです。
コケを貼り合わせてそれを眺めてみると…。

不思議です!コケが草原に見えてきます。コケにもいろいろな種類があるので、コケだけでも素敵な風景が出来ます。

コケは鉢の土に馴染むまでには、相当な時間が必要です。コケを表面に張ったら、そっと水やりをするのが鉄則です。コケは強い直射日光を嫌います。日差しが当たってしまうときには、半日陰や、他の木の陰に移動させましょう。

自分で鉢を作る【オリジナル鉢】

器は”穴が開いていて排水が出来るもの”ならば、何でも使用することが出来ますが、主人公は木や植物なので、そのイメージに合わせることが大切です。

おすすめなのが、粘土をこねて作る、手ひねりの鉢です。

ろくろを使った本格的な陶芸も良いですが、粘土を自分の手で形作り、自分の大事な1本に似合う植木鉢に仕立てるのは、とても楽しい作業です。

何気ない形に作っても、釉薬をかけると、味のある形に変身します。ただ芽を出したばかりの小さい木を植え付けても、それなりに盆栽を思わせる雰囲気をかもし出してくれるのです。

観賞用に植物を育てる時には、鉢にお金をかけると上手くいきます。
オリジナルの鉢は、世界で一つの素晴らしい価値があります。

土について

盆栽に使う土は、見た目の美しさも気にかけると、出来上がりに差が出ます。
・赤玉土
・山砂
・腐葉土
のブレンドで、大抵の木は育てられます。

※特に酸性の土が好きな植物のつつじ・ブルーベリー・一部の山野草などは鹿沼土が必要です。

鹿沼土の表面には、土のpH(ペーハー)を合わせないと、コケがなかなか張り付かないようです。

ブレンドのポイントは、その木が自然に生えている植物の状態を思い出すことです。

養分豊富な山土が好きな植物ばかりとは限りません。例えば実が生るものは一般的に養分を欲しがるので腐葉土を多めに、植え付けの時に肥料を少し入れた方が良いのです。

例えば他にも赤松を植える場合を考えてみます。
赤松は海の近くで見かけますね。防風林として植えられています。松は砂を多めにブレンドすると生育が良いです。あまり養分は必要ありません。

自然界での生育地を参考に、オリジナルのブレンド土を配合して植え付け、生育の様子を見てみましょう。

値段が安い赤玉土は、水やりの度に崩れやすく、固まってきてしまう傾向があります。値段は高いのですが、焼き赤玉土を使うと、見た目や生育が良いようです。

表面を、コケで覆わずに土をむき出しにする場合は、焼き赤玉土の小粒か、表面のみ真っ黒で細かい粒の「富士砂」を使うと綺麗に仕上がります。

※白い化粧砂を使うと雪の景色を作ることが出来ます。

あなたもオリジナルの風景を作ってみましょう

植物を使った「ジオラマ」は、目の前にミニチュアの景色を作り出します。
あなたは、どんな作品を作りますか?

一鉢の中に、とっておきの”物語”を作り出してみましょう。

今日、初音ミクのフィギアを…。
「くぅ。痛い!」
…そうだ!
あのステージの上に置いてみよう。