勢力が非常に強い植物たち

うっかり庭にはびこると、大変厄介な植物たちをご紹介します。強い生命力を持つ植物は、時には雑草も押しのけ、辺り一面を覆いつくしていきます。勢力が強い植物たちは、まず、自分の庭に植えないことが大切なのです。

ガーデニングをする際に、植栽計画を立ててお庭を管理していても、すぐに雑草が混じってしまったり、病気が蔓延してしまって、なかなか管理は大変なものですよね?

ところが、空き地など、手入れをしている様子もない土地に、辺り一面に同じ種類の植物が繁殖しているということに、「おやっ?」っと違和感を感じることがありませんか?

例えば、ツルニチニチソウなど、たくさん咲いているブルーの花が涼しげで、綺麗なお花畑が出来上がっているのに……その奥を見ると年月が経過した廃墟状態の建物が建っている!という違和感。
静かで涼しげな池。だけど一面にホテイアオイの淡いブルーの花が咲き乱れている。
池一面にブルーの花だけ……。青い悪魔とも言われる……。

手入れをしていないのに?もくもくと増え続け、他を寄せ付けない植物は不気味で嫌なものですね。見渡す限り、一面に広がってしまう繁殖力が強い植物は、自分より弱い植物を押しのけて増え続けてしまいます。このため個人の住宅の土地に植えてしまうと大変なことになってしまうのです。

それでは、壁を覆いつくす植物や、時にはモルタルまで食い込み破壊していく、庭に植えてはならない植物をご紹介します。
地下茎で増えるものや、種が飛んできて繁殖してしまうものなど油断が出来ません。ご自分の大切な庭にうっかり植えない様にしましょう。

まず、地下茎(つまり根)で増えていく、植えてはいけない植物を見ていきましょう。

ドクダミ

ドクダミ

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春になると、庭に見かけるドクダミの群生。ドクダミは日陰でもどんどん増えていく強者です。白い十字型の花が清楚で遠目には綺麗に見えますね。

雑草として処分しようとすると、香りが強く、鎌で刈り取ると発生する強烈な臭気……何とも嫌です。日陰部分に紫色がかったハート型の葉っぱが群生すると陰気な感じがしてきます。

ドクダミは花が咲いても種は出来ず、地下茎で増えていきます。この地下茎が厄介で、株の下にのみ根を張っているのではないのです。

ドクダミの根は地表から数十センチまでの深さに四方八方に広がっているためそれらを全て取り除かないと根絶できません。いくら鎌で草刈りをしてもすぐにまた復活してくるのです。完全に除去するには除草剤をまく方法になります。

少しでも地下茎の一部が残っているとまたそこから芽を出してしまうので、熱湯をかけるなどの方法もなかなか効果が無いようです。

強い生命力で他を押しのける植物にも良い所があります。

ドクダミや笹の葉のように、お茶にして煎じて飲むと、毒消し作用があったり、人間の身体にとって有効な働きをしてくれて体質改善が期待出来たり、他の植物に無い強い有効成分が含まれているものです。

ただ、自宅で栽培して収穫した物をお茶にしてみようとか、化粧水を作ってみようとか考えない方が無難です。

動物の世界で言うと、カラスなど頭の良い動物は嫌われます。
すごい生命力のゴキブリってイヤですよね?
反対に、手がかかる、病気が心配で守ってあげなくてはならない動物=小型犬など、かわいい!育ててみたい!のです。

病気に耐性が少なく何かと手を施さなければ花が咲いてくれないバラなどは、ガーデナーにとって最も興味をそそる植物なのではないでしょうか。

ガーデナーは、とにかく、ほどほどに手入れをしたいのですよね?

カタバミ

黄緑色のハート型の葉っぱと黄色のシンプルな花は、一株だけで見れば可憐な山野草にもみえる植物です。

ところが、このカタバミの生命力は、株から半径1メートルの範囲では種子がはじけて飛び散り、地下にある球根から地下深くまで太い根を張ります。
また、匍匐性もあるので株を横にも増やしていきます。

このカタバミは、綺麗に手入れされた芝生の一部にもはびこり、根を深く張ってしまうので見つけたら直ちに取り去ることが肝心です。
手で引き抜こうとしても途中でちぎれてしまってそこからまた生えてしまいます。除草剤をまくことが有効です。
本当に全て生えてこないようにするには土を全て入れ替えることとなり、大変な作業になります。一度土地に根を張ったら処理が困難な雑草で、根絶するのが難しい植物と覚えておきましょう。

カタバミの中でもピンク色や白の可愛らしい花をさかせるムラサキカタバミは環境庁では要注意外来生物として指定されているほどです。

一方で、カタバミは根絶が難しいほどの生命力から、子孫繁栄に通じるため、家の家紋のモチーフにも使用されています。

ミント

地下茎でどんどん繁殖してこんもりとした群生を作るまでになってしまいます。
抜いてもしばらくすると残った根の一部から芽が出てきてしまうのです。ミントが地下茎で増える植物ということを忘れないでおきましょう。

また、ミントはこぼれ種でも増えていきます。
ミントは香りが強いほど使用価値がありますが、他のしそ科のミントとの交配によってできた種は香りが薄いのです。
ミントが大量に増えても香りが薄く、使用することも出来ず、根絶やしにすることも難しいという状態になっていきます。
ポット苗で見かけるミントは小さくて、様々な魅力的な形の葉ですが、気軽に庭に植えてはいけないのです。

ヒメイワダレソウ

ヒメイワダレソウ

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グランドカバーとして植ええつけられている植物で、意外に勢力が強いものにヒメイワダレソウがあります。名前が可愛らしいのですが大変勢力が強い植物なのです。

かわいい白の花が咲くグランドカバーとして植え付けを考えている方も多いと思います。
ヒメイワダレソウは、他の雑草を寄せ付けないほど繁殖力が強く、あたり一面に広がっていきます。
その成長の速さは芝生の20倍の速度とも言われ、雑草がはびこる前に繁殖していくので他を寄せ付けません。適度に手入れをしていかないと、建物のテラスのモルタルや、タイルの目地部分の弱い所に食い込んで根を張っていきます。

雑草が生えないし、手入れが楽だからといって放置しておくといつの間にか増えてしまい、剥がすのも大変な作業になります。
ヒメイワダレソウを植え込むと、雑草の手入れは必要なくなりますが、ヒメイワダレソウをしょっちゅう剥がすという作業が加わることは間違いありません。

芝生のようにこまめな手入れが必要ないグランドカバーですが、植え込むときには注意が必要です。広がって欲しくない場所には仕切りをするなど対策が必要です。

ツルニチニチソウ

他にもグランドカバー並みに育つキョウチクトウ科の植物ツルニチニチソウは注意が必要です。

繁栄と幸福のシンボルとも言われ、繁殖力が強く、耐寒性も比較的あるため、下段に植え込んで放置しておくと他の植物よりも勢力を増してしまします。

冬季の気温が0℃以上の場所では地上部が枯れることなく越冬します。
また、こぼれ種でも増えていくため咲いた花柄を摘み取る作業をしないと、花壇から外へ、グランドカバーのごとく勢力を拡大してしまいます。

放置されたマンションの花壇からツルニチニチソウが暴れ出し建物にまで這い上がっている状態を見ると勢力のすごさを感じます。

キョウチクトウ科の植物は体に毒を持っているため、他の植物の根を枯らしてしまうのです。鉢植えで寄せ植えをする時にも他との相性を考える必要があります。

地面に植え込むときには十分に注意して、勢力が増さない様に根を遮蔽することが大切です。

植物の生命力や勢力の増し方などを観察していくと、ストーリーがあって興味深いものです。
たった一粒の種が地球上に下り立ち、静かに勢力を増し広がっていく。目に見えない地下にじわじわと広がっていく。なんて映画のシーンの解説のようです。

花が咲き乱れる自分の理想の庭に、手ごわすぎる強敵を自分から植える必要はないのではないでしょうか?
これらの植物は倒すのが不可能なほどの生命力を持ちます。
他にもタケは破壊力が強く、コンクリートも壊してしまうほどです。頑丈な地下茎が地盤を固めるので、地震には強い土地になるようです。

しかし、タケは1日に1メートルも成長してしまうほど勢力が強い植物です。花が咲くと一斉に枯れてしまうのですが、その年月は、120年と1世代以上の月日がかかります。

近所に竹林があると、自分の庭にタケノコが生えてくるかもしれません。植えてはいけませんね。

勢力が強く、庭に植えると根絶が難しい植物をまとめてみました。植物と言えど、繁殖力が強いものは人間の頭を悩ますほど厄介なものです。地面の下の見えない場所で伸びていく地下茎が曲者です。

逆に、人間が品種改良した植物は、手入れをしないと育ちが悪かったり、他の植物の勢力に負けて枯れてしまう……。植物の世界は興味深いです。