2018年9月1日 更新

スコットランドでガーデンを楽しもう!~ フォークランド・パレス&ガーデン Vol.2 ~

スコットランドの自然豊かな景色に囲まれた可愛らしい村、フォークランドにあるフォークランド・パレス。その長い歴史とドラマティックな風情を持つ宮殿とともに、ガーデンもこの場所の見どころのひとつとなります。今回はフォークランド・パレスのガーデンについてレポートをお届けします!

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フォークランド・パレス・ガーデンの歴史

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フォークランド・パレスは小さな村の中心にあるとは思えないほどの規模を誇ります。メインストリートから宮殿内に入り、ガーデンへと歩いて行くと、その意外とも言える大きさに誰もがびっくりするのではないでしょうか。

宮殿は広さ3ヘクタール(30,000㎡)もある敷地内に建てられており、東京ドームの大きさが46,755㎡となりますから、それと比べてみるとこの土地がかなりの大きさであるのが分かります。

ファイフ州に立地するフォークランド・パレスの庭園はスコットランドらしく、北東からの強風が吹く場所で、それを防ぐためでしょうか、周囲はぐるりと高い石の壁に囲まれています。

残念ながらフォークランド・パレスのガーデンは何度も改装、修復を重ねており、かつてこの場所にあった庭園の様子は残されている絵画や記録から知るだけとなっています。

12世紀にこの場所のロッジが建てられていた時代から庭園は存在していたのでは、と言われていますが、最初にガーデンの様子が記されているのは、ジェームズ2世の時代となります。
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ジェームズ2世は1451年にファイフ州の伯爵領とフォークランド・パレスを与えられていますが、そののちの1453年から1456年にかけてガーデナーへの給料の支払いの記録が残されており、この時期に庭園のために時間と労力、そして費用を費やしているのが分かります。

ちなみに16世紀においてはフォークランド・パレスのガーデナーの労働時間の記録が残っているのですが、冬の間は一日8時間、夏は一日14時間(‼)、そして週に6日も働いていたそうで、その時代のガーデナーはとてもハードな仕事であったのかが想像できますね。
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1462年には庭園に芝生が張られ、1488年には庭園の周囲は木製の柵が張り巡らされました。現在のように石の壁となったのは1513年からと言われています。

また、ジェームズ2世の時代には、王の食卓に新鮮な魚を提供するため、庭園内に池があったことも記されています。この時代には多くの庭園で同じように魚を得るために池が造られていたのです。

ジェームズ6世の息子であり、のちに断頭台で斬首された唯一の国王であるチャールズ1世の時代である1628年にも、庭園の植栽や改善にかなりの労力をかけていたことが記されています。
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その2世紀後には現在はウォーター・ガーデンとして知られているエリアにキッチン・ガーデンが配置され、テニスコートの壁に沿って果樹が植えられています。

さらに1826年から1869年には、キッチン・ガーデン、果樹園、フラワー・ガーデンとして庭園は発展を遂げています。

1887年にジョン・パトリック・クリフトン・ステュアートがフォークランド・パレスの『宮殿の管理人』となったのち、彼は宮殿の改装の一環として庭園の修復に取り掛かっています。

それまでのキッチン・ガーデンはパーゴラやデコラティブな花器を使い、美しく変貌を遂げました。また果樹園と宮殿の庭、そして住居を橋や散歩道と一緒に繋ぎ、池の周りに樹木や低木、花々が植栽されています。

『宮殿の管理人』クリフトン・ステュアート家によって生まれ変わった庭園

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フォークランド・パレスの庭園が現在のように生まれ変わったのは、1946年に『宮殿の管理人』の任務に就いたマイケル・クリフトン・ステュアートとその妻バーバラの時代です。

彼らは著名なガーデン・デザイナーであるパーシー・ケインに庭園の修復を依頼します。数々のガーデンのデザインを手がけたケインは、1947年から数年という月日をかけて、このフォークランド・パレスの庭園を新たに蘇らせたのです。

ちなみにパーシー・ケインは以前ご紹介したモンティヴィオット・ハウスの庭園も手掛けています。このふたつの庭のレイアウトを比べてみると、ケインのデザインの特色が良く分かります。
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上の写真はモンティヴィオット・ハウスのガーデンのものになります。こうして見ると、フォークランド・パレスの庭園との共通点を感じて頂けるのではないでしょうか。

彼はどちらの庭園でもメインとなるエリアに広大な芝生を敷き、その中にゆるやかなカーブを描いて花壇を造り、芝生と季節によって咲き誇る花々、ふたつを同時に楽しめるエリアを完成させています。

この庭のレイアウトは今でも多くの庭園や一般の家庭の庭でも見られ、パーシー・ケインが造り出した庭園やそのレイアウトが、時代が変わっても今もなお人々を魅了しているのが分かります。
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この記事を書いたひと

Hazuki Akiyoshi Hazuki Akiyoshi