イングリッシュガーデンから学ぶ、基本テクニック ~ おすすめの花 Vol.1 ~

庭づくりをするときの一番の楽しみは、ガーデンに何の花を植えようかと考えているときではないでしょうか。けれど花の種類はあまりにも多く、いったいどの花にすれば良いのか悩んでしまうこともありますよね。ここでは実際のイングリッシュガーデンを参考に、おすすめの花をご紹介します。ガーデニングの花選びの際に役立ててくださいね。

花にも流行がある?

ファッションに流行があるように、ガーデニングでも流行りを感じるときがあります。イギリスやスコットランドのガーデンを訪れたり、ガーデニング専門のウェブサイトを見ていたりすると、だんだんとガーデンの流行が分かってくるのです。

それはレイアウトだったり、ディスプレイであったりとさまざまですが、もちろん花も同じこと。「この花はどこのガーデンでも見かけるなあ」と思うと、ガーデニングショップでも大きくその花を取り上げていたり、また早くから売り切れになってしまったりもします。

毎年咲いてくれる庭の花はとても可愛らしいものですが、ときにはガーデンに新しい花を取り入れたいと思うこともありますよね。

今年の庭にはどんな花を迎えようかと悩んでいる方に、ここでは今までに滞在したイングリッシュガーデンで多く見かけた花の中から、おすすめをご紹介します。

また、イングリッシュガーデンでは実際にその花をどのように植栽しているかも合わせてご紹介します。お気に入りの花を見つけたら、ぜひ自宅のガーデンに迎え入れてくださいね。

1.ダリア

どこのイングリッシュガーデンでも多く見かけた花のひとつであるのがダリアです。また最近では、英国にある多くのガーデンショップが力を入れて販売している花のひとつと言えるのではないでしょうか。

英国で最も有名なフラワー&ガーデンショーであるチェルシーフラワーショーでは、ダリアを専門に販売しているショップを見かけ、そこはたくさんのダリアが咲き誇り、まさに圧巻の眺めでした。

ダリアは今、小さな花びらを持つ可憐なものから、大輪の花を咲かせるあでやかなものまで、本当にたくさんの種類が販売されています。

ダリアはとてもバラエティに富んでいて、種類によって色、かたち、背丈がそれぞれ異なります。また葉のかたちも異なるので、どんなものが自分のガーデンに似合うのか、数多くのダリアから好みの合わせて選ぶのも楽しみのひとつとなるでしょう。

とてもインパクトがあり、ゴージャスな花なので、ガーデンの中で素敵なアクセントになること間違いなし!花期が長いのもガーデナーにとって魅力のひとつであり、夏から秋にかけてガーデンの中で光り輝いてくれるでしょう。またダリアは切り花としても楽しめるところも特徴です。

ダリアは人の視線を奪わずにはいられないほどインパクトの強い花なので、花の色、フォルムはもちろん、どこに植えるかも重要なポイントとなります。

たとえば上の写真はスコットランドのボーダーズ・エリアにあるポートモア・ガーデンのキッチンガーデンになります。

ここでは色は華やかなものを、そして背丈のあるダリアを選び、花壇のフロントに植えた小さく可憐な花々と合わせたレイアウトにしています。このように高さの違う花と一緒に植えると、そのアンバランスさが庭に個性を与えてくれるでしょう。

そして上の写真は同じくスコットランドにあるアボッツフォード・ハウスのガーデンとなりますが、こちらはダリアを主役とする植栽法。

あざやかなピンクの大きなダリアが目立つようにメドウの手前に植え、ダリアの持つゴージャスな魅力をよりいっそう感じられる見せ方となっています。

またダリアを植えるときは、周囲の花とのバランスも考慮して選んで植栽すると、ダリアの個性が引き立ちます。

ポートモア・ガーデンズでは『赤』をメインカラーとして花を選び、ダリアは濃い色彩を、その周囲は淡いトーンの花々でまとめており、ダリアがガーデンの中で素敵なアクセントになっていました。

このようにダリアは庭の主役になったり、あるいは個性豊かな名脇役になったりとさまざまな顔を持つ花と言えます。とても品種が豊富なダリア、ぜひ目指したい庭のイメージに合ったものを選んでくださいね。

2.サルビア

サルビアはイングリッシュガーデンに滞在した際、殆どと言ってもいいほど多くの場所で見かけた花になります。

みずみずしい葉の形状、穂先に小さな可憐な花を身に着けるその姿は風に揺られてそよぎ、風情はとってもロマンティック。また素晴らしい芳香を楽しむこともできる花です。

青紫、赤、白と花の色の種類も多いサルビアですが、イングリッシュガーデンで見たものは、青紫のものが一番多かったような気がします。

サルビアは一株でもボリュームが充分にある花ですが、やはり花壇のフロントに並べて植えてみるのがおすすめの植栽法です。その素朴で愛らしいな姿はナチュラルガーデンにはぴったり。

また、主張しすぎない花なので他の花との相性も抜群です。花壇の前方に植えてその後方に背丈の高い花を植えると、ダイナミックな景観が楽しめるでしょう。

またサルビアは花が咲いた後に切り戻しをすると、その後も次々に花を咲かせてくれます。とても花期が長いので、夏から秋にかけてガーデンを美しく彩ってくれるでしょう。また種類によっては香りが素晴らしく、手入れをしているときにも楽しませてくれる花のひとつです。

同じような花壇のフロントに植える花として以前はラベンダーを多く見かけましたが、最近ではこのサルビアの方が人気が高いようにも感じます。暑さに弱い花なので英国の気候に合い、育てやすいのも人気の秘訣かもしれません。

3.アリウム

ダリアにも負けないほどインパクトが強く、その凛々しくも可愛らしい、そしてユニークな姿に魅せられたファンも多いのがアリウムです。

初めてその個性的な姿を見たときは、なぜネギがガーデンに?と思ってしまったほど風変わりな印象でしたが、それもそのはず、玉ねぎやにんにく、エシャロットやチャイブなどもすべてアリウムの仲間になります。

一般公開されているイングリッシュガーデンだけでなく、今では一般の庭にも欠かせない、ガーデナーに大人気の花と言えるでしょう。

アリウムも花の色、かたち、大きさが異なる品種がとても豊富な花になります。中には人の顔ほどのサイズがあるものも!ゴージャスなもの、可憐なタイプとその表情はさまざまです。

アリウムもやはり、とてもインパクトの強い花なので、作り上げたいガーデンのイメージを明確にし、それによって種類を選ぶようにしましょう。また庭のどの場所に、どれぐらいのアリウムを植えるかで大きくガーデンの印象が変わってきます。
植えるときはあらかじめ実際にアリウムの植えられた庭の写真などを良く見て、どんな雰囲気に仕上げたいかを理解した上で、自身の庭の中でどこに植えるのかを決めてくださいね。

世界中に多くのファンを持ち、ガーデナーの憧れのガーデンであるシシングハースト・カースル・ガーデン。その中のホワイトガーデンにおいて、アリウムは効果的に使われています。

さまざまな種類の白い花の中にたくさんのアリウムが植えられており、とても幻想的な風景を作り上げているのが分かります。

上の写真は同じくシシングハースト・カースル・ガーデンのもの。ここでは紫をメインカラーとしており、アリウムはまとめて植栽されていますが、なんとも華やかでエレガントな雰囲気です。

こちらのように同色系の花を集めた中に植栽し、そのフォルムを目立たせるように植えるのはアリウムの個性を良く発揮してくれる方法です。

上の写真はスコットニー・カースルにあるハーブガーデンに咲いていたアリウムです。周囲はみずみずしいグリーンに囲まれ、その中であざやかな紫色のアリウムが美しく咲き誇っていました。このようにアリウムそのものをメインとして楽しみたい場合には、花の中ではなく、リーフの合間に植える植栽法がおすすめです。


アリウムはその姿そのものがとても個性的なため、庭の中でもとても目立つ存在となるので、それを際立たせるか、あるいは溶け込ませるかは自身の目指す庭の雰囲気によって変わります。

どれぐらいのアリウムを植えるのか、どの場所に植栽するのかでも印象が大きく変わるアリウム。初めてトライする方はまずは数本からチャレンジしてみてはどうでしょうか。

庭に新しい景色をつくろう

今度はどんな花を植えようかと考えるのは、ガーデナーにとって最大の楽しみと言えるはず。けれどもその作業は決して簡単なものとは言えません。

好みの花を見つけたら、次はその花の育て方を調べなくてはなりません。適温や日照時間、そして土など、その花がどんな条件の場所に合うのかを確認し、自身の庭の条件をクリアしてようやく購入に至り、庭に迎えることができます。

けれども新たに迎えた花が咲き、庭の景色を一新してくれたのを見たときには、今までの労力など吹き飛ぶほどの喜びに満ちているに違いありません。それほど新しい花は大きな魅力にあふれています。

どんな花を選ぼうか?それは何色で、大きさや購入する株はどれぐらい?周囲とのバランスはどうしよう? そんなワクワクとする花選びのひとときに、今回ご紹介したおすすめの花たちを、ぜひ参考にしてみてくださいね。